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召喚されし勇者達
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精霊が減る1年程前、帝国ではある試みが成されていた。
皇宮魔導師筆頭であるレースが、アンドリュース皇帝陛下にある提案をしたのが発端である。
「召喚術?」
「はい、わたくしの祖父が考案した魔方陣があるのです。
わたくしは幼い頃から祖父に魔術を教わっておりましたが、その時に『帝国の為に最終奥義を編み出した』と言って魔方陣を見せて下さいました。しかしかなり高度な魔力操作と魔力量が必要になる為、今まで実行出来なかったのです」
「その話をすると言うことは今は実行が可能であるのか?具体的に何を召喚するのだ?あの精霊術に対抗出来る魔獣か?」
「いいえ、異世界から勇者を召喚するのです」
レースは興奮しているのか、鼻の穴を膨らませたまま話を続ける。
「異世界から渡って来る者は特殊なスキルを持つと、メダリア大帝国の遺跡に印されていたことを祖父が発見し、魔方陣作成に至ったのです」
メダリア大帝国とは二千年前に海底に沈んだとされる国である。
地の隆起によって、その一部が海底からせり上がった為、考古学者が向かったと言う話は帝国史に書き記されているので、アンドリュースもそのことは知っていた。
「そなたの祖父は確か考古学を専門にしておったな」
「はい、記述だけで信ぴょう性が低い為に学会で発表は出来ませんでしたが、祖父は確信していたようです。実現する前に祖父は亡くなりましたが、わたくしは召喚術に向け事を進めておりました」
「レース、お前には負担を強いておる。出来ればもう少し寝る時間を増やして欲しいぐらいだ。今も二時間程しか寝ておらぬと報告が来ておるぞ。帝国の為とは言え、お前も国の大事な宝なのだ。召喚術で命を落とすようなことがあれば、余は居た堪れん」
「陛下っ」
レースの目に涙が溜まる。
こんなに自分のことを思ってくれている為政者が居るだろうか?自分は隣国の精霊術師に比べれば明らかに劣る魔術師だ。
それにこんな大国の皇帝陛下ともなれば、もっと自分の我を強いてもおかしくないと言うのに、目の前の男の言葉に偽りは感じられない。
この麗しく優しい男に仕えることはレースにとって誇り以外の何ものでもない。
「御心配、有り難き幸せに存じます!召喚術への準備は万端でございます!祖父の魔方陣を更に突き詰め改良し、以前よりも少ない魔力で実行出来る計算です。その為、わたくし以外の五人の魔術師も既に覚悟は決まっております!」
「分かった。その召喚術を試すとしよう。その代わり余も立ち会いする。それが条件だ。異論は認めん」
宰相のタナトスの顔に不安が現れるが、止めても無駄だろうと視線をレースに戻す。
「はい!必ず成功させてみせます!」
数日後、皇宮内のとある一室で召喚術は行われた。
魔方陣の上に現れた男二人、女二人の異世界人は全員若い子供で、戸惑っている者もいれば「異世界キター!」とはしゃぐ者も居た。
その中で冷静に周りを見回したのが田代龍太郎と言う高校生だった。
「良く参られた、異世界からの勇者よ」
槍や剣を携えた騎士、ローブを被った六人の魔術師っぽく見える者達の中から、2m近くはありそうな白金の髪の美形が進み出た。
「陛下、前に出られては守れません!」
茶髪の痩せぎすの男が慌てて陛下と言われた男の前に出るが、「よい」と、やんわり断られ歩を下げた。
「突然別の世界に呼ばれてさぞかし戸惑っていると思うが、是非そなた達の力を貸して欲しい」
白金の美丈夫は四人に苦もなく膝を着いた。
「陛下!」
慌てたのは茶髪の男や騎士、ローブの男だけでは無かった。
田代達、召喚された者も大いに慌てた。
ラノベや漫画でこの様な異世界に召喚される話は沢山ある。
その中でも国王が出てくる場面では大抵が玉座から勇者に威厳持って話し掛けるか、横柄に命令口調で話していた。
小さい国なんだろうか?と田代が考えたのも仕方ない。
しかし自分達を呼び出した魔術師の説明を聞いたり、通された部屋の豪華さを考えるとそれは間違いだ理解した。
皇宮魔導師筆頭であるレースが、アンドリュース皇帝陛下にある提案をしたのが発端である。
「召喚術?」
「はい、わたくしの祖父が考案した魔方陣があるのです。
わたくしは幼い頃から祖父に魔術を教わっておりましたが、その時に『帝国の為に最終奥義を編み出した』と言って魔方陣を見せて下さいました。しかしかなり高度な魔力操作と魔力量が必要になる為、今まで実行出来なかったのです」
「その話をすると言うことは今は実行が可能であるのか?具体的に何を召喚するのだ?あの精霊術に対抗出来る魔獣か?」
「いいえ、異世界から勇者を召喚するのです」
レースは興奮しているのか、鼻の穴を膨らませたまま話を続ける。
「異世界から渡って来る者は特殊なスキルを持つと、メダリア大帝国の遺跡に印されていたことを祖父が発見し、魔方陣作成に至ったのです」
メダリア大帝国とは二千年前に海底に沈んだとされる国である。
地の隆起によって、その一部が海底からせり上がった為、考古学者が向かったと言う話は帝国史に書き記されているので、アンドリュースもそのことは知っていた。
「そなたの祖父は確か考古学を専門にしておったな」
「はい、記述だけで信ぴょう性が低い為に学会で発表は出来ませんでしたが、祖父は確信していたようです。実現する前に祖父は亡くなりましたが、わたくしは召喚術に向け事を進めておりました」
「レース、お前には負担を強いておる。出来ればもう少し寝る時間を増やして欲しいぐらいだ。今も二時間程しか寝ておらぬと報告が来ておるぞ。帝国の為とは言え、お前も国の大事な宝なのだ。召喚術で命を落とすようなことがあれば、余は居た堪れん」
「陛下っ」
レースの目に涙が溜まる。
こんなに自分のことを思ってくれている為政者が居るだろうか?自分は隣国の精霊術師に比べれば明らかに劣る魔術師だ。
それにこんな大国の皇帝陛下ともなれば、もっと自分の我を強いてもおかしくないと言うのに、目の前の男の言葉に偽りは感じられない。
この麗しく優しい男に仕えることはレースにとって誇り以外の何ものでもない。
「御心配、有り難き幸せに存じます!召喚術への準備は万端でございます!祖父の魔方陣を更に突き詰め改良し、以前よりも少ない魔力で実行出来る計算です。その為、わたくし以外の五人の魔術師も既に覚悟は決まっております!」
「分かった。その召喚術を試すとしよう。その代わり余も立ち会いする。それが条件だ。異論は認めん」
宰相のタナトスの顔に不安が現れるが、止めても無駄だろうと視線をレースに戻す。
「はい!必ず成功させてみせます!」
数日後、皇宮内のとある一室で召喚術は行われた。
魔方陣の上に現れた男二人、女二人の異世界人は全員若い子供で、戸惑っている者もいれば「異世界キター!」とはしゃぐ者も居た。
その中で冷静に周りを見回したのが田代龍太郎と言う高校生だった。
「良く参られた、異世界からの勇者よ」
槍や剣を携えた騎士、ローブを被った六人の魔術師っぽく見える者達の中から、2m近くはありそうな白金の髪の美形が進み出た。
「陛下、前に出られては守れません!」
茶髪の痩せぎすの男が慌てて陛下と言われた男の前に出るが、「よい」と、やんわり断られ歩を下げた。
「突然別の世界に呼ばれてさぞかし戸惑っていると思うが、是非そなた達の力を貸して欲しい」
白金の美丈夫は四人に苦もなく膝を着いた。
「陛下!」
慌てたのは茶髪の男や騎士、ローブの男だけでは無かった。
田代達、召喚された者も大いに慌てた。
ラノベや漫画でこの様な異世界に召喚される話は沢山ある。
その中でも国王が出てくる場面では大抵が玉座から勇者に威厳持って話し掛けるか、横柄に命令口調で話していた。
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