拉致られて箱庭掃除をやらされてます。~きっと犯人は闇の組織に違いない

那珂川

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あの時の猫?

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 最初に目覚めてから何日経ったのか分かるようにカレンダーを購入。
 ネットを繋げば今日がいつかは分かるけど、パッと見で分かる物が欲しかった。
 それに一日一日バツ印を付けていく。

 半月が経った。

 ここでの生活はまぁまぁ快適だ。窓に付けたカーテンも時々開けて外を確認している。
 部屋の換気をしたい、とゆ~か、外の空気を吸いたい。
 しかし、ダンプカーサイズの犬が怖いので、10cmだけ開けることにしている。
 ジーッとこっちを見てるけど、俺は目を逸らす。怖いから。

 この窓、網戸が無いんだよな。虫が入って来たら嫌なので、窓枠に置ける虫除けを設置している。

 最近幽霊は見ないが、オーブは庭中をフワフワと飛び回っている。しかし虫除けに反応して窓に近付いては慌てて離れて行く様な感じだ。
 オーブに虫除けが効くとは。

 龍おどりラジコンとダンプカー犬は仲良しなのか、色々話してるみたいだ。

 え?話してる?俺は何を言ってるんだ?

 あぁ、多分慣れだな。
 人間、直ぐ慣れるって言うし。俺はおかしくないはず。

 そんな時、開けた窓の隙間から入り込んだのか、箱庭の部屋からテレビの部屋に戻った時、ガラステーブルの上に1匹の灰色猫が座っていた。
 こちらに気付いて可愛らしく鳴かれれば無視は出来ない。

「お前、あの時の猫に似てるな」

 そう、その灰色猫は祖父母に引き取られたばかりの俺が助けた猫に似ていた。

 来た当初は田舎が珍しく、両親や弟から解放されたのもあって、祖父母の家の近所を散策することが多かった。
 道端にお地蔵さんが居るなんて実際見たこと無かったから、俺にとっては狭い範囲でも冒険だったのだ。

 不意に動物の激しい叫び声が聞こえ、俺はその声のした方へ向かって走った。
 木で作られた小さな祠?みたいな物の下で中型の野良犬と灰色の猫が揉み合っていた。
 俺の身体は弾けたように二匹の間に割り込んだ。
 手が鼻っ柱に当たったのか、犬はビックリして動きを止めた。その隙に灰色猫を抱え、俺は犬を大声を出して追い掛ける仕草をしたのだ。
 ここで逃げ出せば、犬は必ず後ろから追ってくる。
 俺の行動に犬は更に驚いたのか2mぐらい走って離れ、こちらをジッと見た。
 正直、俺の足は震えていたと思う。
 そして今回は運が良かったのか、野良犬はプイッと顔を背けると草場の中へ消えて行った。
 怒った犬は恐ろしい。本当だったら間に入るべきではないのだ。
 あの犬がその気になれば、俺の手か足の肉は引きちぎられていたと思う。

「た、助かった~~」

 俺は灰色猫を抱いたままその場に座り込んだ。
 灰色猫を見てみると、不思議そうな顔で俺の顔を眺めていた。
 陽の光が当たって、灰色猫は銀色に見えてとても綺麗だった。その銀色の身体から血が出ているのが見えて、俺は祖父母の家にその銀色猫を連れて帰ったのだった。

 身体の砂埃を濡れタオルで拭い、傷を確認してみると、思ったより大きくはなかった。
 人間用の消毒液が猫に良いのか分からなかったので、祖父母に聞いて、玄関にあったアロエの皮を剥ぎ取り、中の透明な部分を傷口に貼り付けてガーゼし、苦しくない程度に包帯で巻いた。
 銀色猫は室内では灰色に見えたが、瞳は緑と濃い青が混ざった、それはそれは美しい地球みたいな色をしていた。

 甘えてくる灰色猫に俺は夢中になったが、半月程すると何処かに行ってしまった。
 弟に殴られ蹴られ、両親に差別されても泣かなかったのに、あの時は号泣してしまい、心配した祖父母は猫を何処からか貰おうか?と俺に聞いたが、俺はあの灰色猫しか受け入れられなかった。
 大人になって考えてみたが、何であの時あれだけ灰色猫に固執したのか分からない。

 その灰色猫そっくりな猫が直ぐ目の前に居るのだ。

 もしかして本当にあの時の猫なんだろうか?
 俺を拉致した犯人は、俺が飲んでいたミネラルウォーターを冷蔵庫に毎日補充している。
 もしこの猫があの時の灰色猫なら、子供の時から俺を犯人は見ていたことになる。

 いや、考え過ぎか。

 まぁいい、今はこの灰色猫の滑らかな毛並みを楽しませて貰おう。


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