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クリスの死を、ただの情報として理解し、更にその死の理由が理解できない様子のミスティに、ダイアナは怒りを覚えた。
だが、無表情に立つミスティの顔を見つめているうち、ふと思い出したのは、最後にクリスとふたりで過ごしたデートの日だった。
瑛晶の騎士ことレティシア・ジョプトンは、蒼穹の騎士ことスヴェン・ダムノスと恋人関係にあった。
スヴェンは紳士で、スマートで、恋人としては理想的に見えた。
だが、付き合い始めてしばらく経つうちに、レティシアは気づいた。
スヴェンが "理想の恋人像" をなぞっているだけだと……。
「あなた、私を見ていないのね」
レストランの席で向かい合い、ふと漏れたその言葉に、自分でも驚いた。
しかし、スヴェンの瞳が一瞬だけ虚を突かれたように揺れたのを見て、それは決して的外れな言葉ではないと悟った。
「俺は……きみと真面目に付き合っているよ?」
「ええ。とても紳士的にね」
皮肉と自嘲を混ぜた笑みを浮かべ、レティシアは答えた。
「でも、デートの最中に他の誰かのことを考えているのは、マナー違反じゃない?」
「ああ……すまない」
取り繕いながら謝るスヴェンの態度からも、まだ最年少でラディアントに選ばれたミスティのことを考えているのが見て取れた。
敵に囲まれた部隊を安全に撤退させる道を探していたスヴェンは、そこに救援に現れたミスティが、たちまち敵を引き付けて道を開いてくれるのを見た。
そしてノートゥングを振るい、ほぼ全ての敵を引き付けたミスティは、スヴェンに向かってこう言った。
「大規模魔法を撃て!」
と。
撃てば間違いなく、ミスティも巻き込まれる。
だが、撃たねば結局ミスティは敵の数に押され、囲まれるだけだ。
スヴェンは、味方に指示を出し、撃った。
一箇所に集められていた敵は、大規模魔法の炎に焼かれ、たちまちのうちに壊滅したが……。
焼け跡には炎に焼かれたミスティも、ノートゥングの隣に倒れ伏していた。
ミスティが "不死身" であることは、秘匿扱いされている。
故にその骸を回収するのは、前線で常に行動を共にするスヴェンの役目になっていた。
「スヴェン……」
彼の瞳に、レティシアは確信した。
「あなた、ミスティに惹かれているんじゃない?」
「俺がミスティに? まさか……!」
笑い飛ばそうとするスヴェンの顔が、微かに強張るのが見て取れる。
「いや……、まさか……」
「スヴェン。あなたのそれは性指向なんて単純なものじゃない。もっと根深いものよ」
レティシアを見つめる瞳が、驚きと戸惑いに揺れた。
「私も、ずっと気になっていた。ミスティは、いきなりラディアントに引き上げられたけど、その前は騎士見習いだった子よ。私達とは修練の長さも、経験も違う。時々死なない自分を自虐的にジョークにするけど、それもあくまで周囲に対する気遣いでしかなくて、あの子自身は……まるで感情がどんどん失われているみたいだわ」
スヴェンは、深いため息を吐いた。
「やっぱり、そう感じているのは、俺だけじゃなかったんだな……」
ミスティは、必ず蘇生する。
だからこそ、自分の命を軽んじる癖がついてしまった。
それは、過ごす時間がスヴェンほどに長くないレティシアから見ても、回数を重ねるごとに死への恐怖は薄れ、感情そのものが削げ落ちているように感じられた。
だが、無表情に立つミスティの顔を見つめているうち、ふと思い出したのは、最後にクリスとふたりで過ごしたデートの日だった。
瑛晶の騎士ことレティシア・ジョプトンは、蒼穹の騎士ことスヴェン・ダムノスと恋人関係にあった。
スヴェンは紳士で、スマートで、恋人としては理想的に見えた。
だが、付き合い始めてしばらく経つうちに、レティシアは気づいた。
スヴェンが "理想の恋人像" をなぞっているだけだと……。
「あなた、私を見ていないのね」
レストランの席で向かい合い、ふと漏れたその言葉に、自分でも驚いた。
しかし、スヴェンの瞳が一瞬だけ虚を突かれたように揺れたのを見て、それは決して的外れな言葉ではないと悟った。
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皮肉と自嘲を混ぜた笑みを浮かべ、レティシアは答えた。
「でも、デートの最中に他の誰かのことを考えているのは、マナー違反じゃない?」
「ああ……すまない」
取り繕いながら謝るスヴェンの態度からも、まだ最年少でラディアントに選ばれたミスティのことを考えているのが見て取れた。
敵に囲まれた部隊を安全に撤退させる道を探していたスヴェンは、そこに救援に現れたミスティが、たちまち敵を引き付けて道を開いてくれるのを見た。
そしてノートゥングを振るい、ほぼ全ての敵を引き付けたミスティは、スヴェンに向かってこう言った。
「大規模魔法を撃て!」
と。
撃てば間違いなく、ミスティも巻き込まれる。
だが、撃たねば結局ミスティは敵の数に押され、囲まれるだけだ。
スヴェンは、味方に指示を出し、撃った。
一箇所に集められていた敵は、大規模魔法の炎に焼かれ、たちまちのうちに壊滅したが……。
焼け跡には炎に焼かれたミスティも、ノートゥングの隣に倒れ伏していた。
ミスティが "不死身" であることは、秘匿扱いされている。
故にその骸を回収するのは、前線で常に行動を共にするスヴェンの役目になっていた。
「スヴェン……」
彼の瞳に、レティシアは確信した。
「あなた、ミスティに惹かれているんじゃない?」
「俺がミスティに? まさか……!」
笑い飛ばそうとするスヴェンの顔が、微かに強張るのが見て取れる。
「いや……、まさか……」
「スヴェン。あなたのそれは性指向なんて単純なものじゃない。もっと根深いものよ」
レティシアを見つめる瞳が、驚きと戸惑いに揺れた。
「私も、ずっと気になっていた。ミスティは、いきなりラディアントに引き上げられたけど、その前は騎士見習いだった子よ。私達とは修練の長さも、経験も違う。時々死なない自分を自虐的にジョークにするけど、それもあくまで周囲に対する気遣いでしかなくて、あの子自身は……まるで感情がどんどん失われているみたいだわ」
スヴェンは、深いため息を吐いた。
「やっぱり、そう感じているのは、俺だけじゃなかったんだな……」
ミスティは、必ず蘇生する。
だからこそ、自分の命を軽んじる癖がついてしまった。
それは、過ごす時間がスヴェンほどに長くないレティシアから見ても、回数を重ねるごとに死への恐怖は薄れ、感情そのものが削げ落ちているように感じられた。
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