暁闇の騎士

琉斗六

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6.深海

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 小型艇は、水上を滑るように、すぐにも河口から海洋へと進んだ。

「シェイド。この任務には、どれほどの人間が関与してるんだい?」
「僕も、よく知らないんだ。発案者のグリント様も、それを引き継いだクリスも、僕に詳細は教えてくれなかったんで」
「グリント様の秘書まで務めていた君が、それを知らないのか?」
「ああ。僕はグリント様が更迭されたあと、クリスに呼び出されてこの計画を聞かされたんだ。後方支援で培った物資調達の腕をふるって、小型艇を暗黒の森の指定ポイントに待機させることと、昔のツテを使って、ガルディアにアポを取れ……って指示だけもらってね」
「ダスクは、計画を知っていそうだったが……」
「あのヒトは、ほら……。諜報担当だから、知ってることを教えてくれないだろう?」
「そうだった」

 グリントはミスティの処遇をどうするか、ある程度考えてあったのだろう。
 人望もあり、人脈も広かったグリントならば、人道的な派閥に庇護を求めるような方法も考えていたはずだ。

 だが……。

 不老不死は、栄華を極めた者が取り憑かれる、一種の熱病のようなもの──それは人間の夢でもあった。
 その仕組みを解明し、自身にも施してもらえるとなれば、かねで動かない人物であっても裏切った可能性は否定出来ない。
 グリントが失脚した背景は、つまりそういうことなのだろう。
 だとすれば、自分が逃げ延びられる場所など、この世界に残っているのだろうか。
 ミスティは、胸の奥に冷たいものが走るのを感じた。

「ミスティ」

 シェイドの声に、思考は途切れる。
 波音が大きくさざめき、海底からなにかが浮上してくる気配がした。
 海面がざわめき、静かな水鏡がゆっくりと割れる。
水中から浮かび上がったのは、夜の海に金の筋をたたえた青の巨体──それがレヴィアタン号だった。
 その艦橋に、影のような人影が立っていた。
 静かに手を振る姿は、夜の海に溶け込むように落ち着いている。
 小型艇が接舷すると、制服姿の男が前へ出て、落ち着いたよく通る声で告げた。

「レヴィアタン号へようこそ──英雄、暁闇の騎士ミステリーナイト!」
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