暁闇の騎士

琉斗六

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 ミスティは、ミーミルたちに救助されるまでにあったことを、淡々と説明した。
 自分が同盟連邦評議会から追われていることを考えて、ミステリーナイトの爵名を名乗るのをためらったミスティだが。
 既にそれが明かされたあとでは、隠す意味も無いと判断したのだ。

「では、浮遊城が魔人の残党による破壊工作によって爆破されたというニュース報道は、嘘なんですね」

 ミーミルはメガネの奥の瞳をわずかに見開きながら、言葉を継いだ。

「ガルディアは公的こうてきな保護を拒絶……か。まぁ、しばらくあそこで修行をさせてもらった僕としては、ちょっと腰抜け感が拭えないな」
「だが、そこで同盟連邦評議会嫌いを公言したら、せっかく魔人との戦争が終わったばかりだと言うのに、また戦争になっちゃうぞ」
「まぁ、そういう意見もあるね」

 やや挑発気味な発言に、エルドは嗜めるように言ったが、フィルは反省の色も見せない。

「僕らが受信した救難信号は、レヴィアタン号のもの……なんだな」

 フィルの様子に呆れたらしく、エルドは話を変える。

「待てよ。ってことは、レヴィアタン号にミスティが無事に保護されたと伝えたほうがいいんじゃないか?」
「いや、待ってくれ。あの魚雷型フロートギアは、魔導でコントロールされていた。通常の通信で伝えては、近くに潜む敵に無線を傍受ぼうじゅされる可能性もある。そもそも、きみたちがここで僕を救助したことが、同盟連邦評議会に察知されると、きみたちの身も危ない」

 親切なエルドの発言に、危機感を覚えたミスティは、エルドの申し出を制した。

「なるほど、なるほど。確かにきみの再生能力は興味深い。しかし魔人由来の技術、同盟連邦評議会の科学力ごときで解明できるかどうかは、怪しいね。仮にきみの体をバラバラにしたとして、そこで何が起きているのか、彼らに理解できるとも思えない」
「ミーミル! それ以前に、そんなことは森の誓約どころか、普通に人間たちの持つ人道的にも許されるものじゃないぞ」
「人道的……ねぇ。人間たちの中にも、そういう倫理をわきまえているものは大勢いるけど。腐敗の進んだ同盟連邦評議会なら、そんなもの簡単に踏みにじるだろう? まぁ、僕にはどうでもいいね。知的に面白くないし」

 分厚いレンズのハマまったメガネの位置を直し、ミーミルはこともなげに言った。

「とりあえず、この場に留まるのは得策じゃなさそうだ。フィル、レヴィアタン号に暗号通信で、ミスティを保護した旨を伝えてくれ。僕はヴァルハラと話し合って、ミスティの身柄について話し合う」

 呆れ顔のエルドは、事態を収めるために動こうとする。
──だが……。

「フィル、通信はしないで。エルド、漂流ひょうりゅうしていた人は "遭難した潜水艇から命からがら逃げ出したけど、深海からの急激な変化に耐えきれず死亡" とチャンネル1でヴァルハラに報告をしてください」

 ミーミルが、淡々と言った。

「どうするんだ?」
「僕らは、もうしばらく潜水艇の捜索を続ける……ていを装うんです。ま、大した時間伸ばしにはならないと思うけど、しないよりはマシでしょう」

 ミーミルは、やはり無感動な声で言い添えた。
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