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私室の扉を開け、クリスは先にミスティに入るように道を開けた。
ここで、ミスティはいつも少し気後れする。
この部屋に入ること。
そして、クリスに酒を勧められること。
それからその後……。
だが、考えても仕方がない。
九人目のラディアントなどと言ったところで、自分の存在は武器の一つに過ぎない。
ラディアントの皆は温かく迎え入れてくれているように見えるが、しかし彼らは自分を必ず "ミスティ" と呼ぶのだ。
「好きに座っててくれ」
いつもと同じ言葉。
そしていつも通りにクリスがグラスとボトルを持ってきた。
「なんだ、好きに座れと言っただろう?」
「ああ……うん……」
勧められるまま、ミスティはソファに腰を下ろす。
クリスは向かい側に座り、グラスを差し出した。
それをミスティは、無言で受け取る。
ボトルの蓋を開け、クリスはミスティのグラスに酒を注いだ。
クリスはときおり、何かを言おうと口を開きかけては、やめた。
ただ氷が溶けて音を立てるのが、彼らの会話の代わりだった。
この後がどうなるかなんて、分かっている。
だから、正気でいたくなんかない。
酒はさほど強くはないが、再生能力の所為で翌日まで残ることもない。
グラスが空になるたび、ミスティは迷うことなく酒を自分で注ぎ足した。
やがて視界が、グラグラと揺れ始める。
するとクリスが、傾いた体を支えるように腕を回してきた。
「ミスティ」
「……ん。ああ、するんだろう? ……好きにすればいい」
拒む理由はない。
いや……あったとしても、自分には拒む "権利" はないのだろう。
ミスティの体は、抗うことなくそれを受け入れた。
病衣が肩から滑り落ち、素肌を曝したミスティは、そのままクリスのベッドに倒れ込んだ。
自分の体を、クリスが静かに見つめているのが分かる。
そして……触れてくる指先。
すっかり元通りになっているはずのその肌は、傷跡があったことを記憶してるかのように痛む。
ひくりと反応する体に、ミスティは疎ましさを感じた。
クリスの指先が喉元から胸元へと滑り、肌に沈んでいく。
舌が、指が、手のひらが、肌の表面を丹念にたどり……。
それはわざと感じさせ、煽り立てるように……。
優しく、柔らかく、触れてくる。
ひどく甘ったれた声が零れそうになって、ミスティは長く息を吐いた。
クリスの手が腰へ、背へと回る。
それに対して、ミスティは何の言葉も発しなかった。
だが、その指先はシーツを握りしめていた。
白い布の上で、爪が深く沈む音だけが、時間を刻んでいた。
クリスの唇が肩口に落ちた瞬間、ミスティは息を呑んだ。
シーツの皺が深くなる。
握られていた片手が、きつく拳をつくる。
熱を煽られて……。
どんなに抑え込もうとしても、体が反応して……。
その全てを、クリスが静かに観察しているのが苦しくて。
「……ジロジロ見るな!」
それは、たしかに── "羞恥" だった。
本当は、クリスとベッドを共にすることを、いやだと思っていなかった。
抱かれることがいやだったのではなく、クリスが自分を見ていないことがいやだったのだ。
だから、クリスが必ず部屋の明かりを消さないことが……。
耐えられないほど苦しかった。
けれど、どこかで……。
歓喜するほど嬉しいと……感じているところがあった……。
ここで、ミスティはいつも少し気後れする。
この部屋に入ること。
そして、クリスに酒を勧められること。
それからその後……。
だが、考えても仕方がない。
九人目のラディアントなどと言ったところで、自分の存在は武器の一つに過ぎない。
ラディアントの皆は温かく迎え入れてくれているように見えるが、しかし彼らは自分を必ず "ミスティ" と呼ぶのだ。
「好きに座っててくれ」
いつもと同じ言葉。
そしていつも通りにクリスがグラスとボトルを持ってきた。
「なんだ、好きに座れと言っただろう?」
「ああ……うん……」
勧められるまま、ミスティはソファに腰を下ろす。
クリスは向かい側に座り、グラスを差し出した。
それをミスティは、無言で受け取る。
ボトルの蓋を開け、クリスはミスティのグラスに酒を注いだ。
クリスはときおり、何かを言おうと口を開きかけては、やめた。
ただ氷が溶けて音を立てるのが、彼らの会話の代わりだった。
この後がどうなるかなんて、分かっている。
だから、正気でいたくなんかない。
酒はさほど強くはないが、再生能力の所為で翌日まで残ることもない。
グラスが空になるたび、ミスティは迷うことなく酒を自分で注ぎ足した。
やがて視界が、グラグラと揺れ始める。
するとクリスが、傾いた体を支えるように腕を回してきた。
「ミスティ」
「……ん。ああ、するんだろう? ……好きにすればいい」
拒む理由はない。
いや……あったとしても、自分には拒む "権利" はないのだろう。
ミスティの体は、抗うことなくそれを受け入れた。
病衣が肩から滑り落ち、素肌を曝したミスティは、そのままクリスのベッドに倒れ込んだ。
自分の体を、クリスが静かに見つめているのが分かる。
そして……触れてくる指先。
すっかり元通りになっているはずのその肌は、傷跡があったことを記憶してるかのように痛む。
ひくりと反応する体に、ミスティは疎ましさを感じた。
クリスの指先が喉元から胸元へと滑り、肌に沈んでいく。
舌が、指が、手のひらが、肌の表面を丹念にたどり……。
それはわざと感じさせ、煽り立てるように……。
優しく、柔らかく、触れてくる。
ひどく甘ったれた声が零れそうになって、ミスティは長く息を吐いた。
クリスの手が腰へ、背へと回る。
それに対して、ミスティは何の言葉も発しなかった。
だが、その指先はシーツを握りしめていた。
白い布の上で、爪が深く沈む音だけが、時間を刻んでいた。
クリスの唇が肩口に落ちた瞬間、ミスティは息を呑んだ。
シーツの皺が深くなる。
握られていた片手が、きつく拳をつくる。
熱を煽られて……。
どんなに抑え込もうとしても、体が反応して……。
その全てを、クリスが静かに観察しているのが苦しくて。
「……ジロジロ見るな!」
それは、たしかに── "羞恥" だった。
本当は、クリスとベッドを共にすることを、いやだと思っていなかった。
抱かれることがいやだったのではなく、クリスが自分を見ていないことがいやだったのだ。
だから、クリスが必ず部屋の明かりを消さないことが……。
耐えられないほど苦しかった。
けれど、どこかで……。
歓喜するほど嬉しいと……感じているところがあった……。
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