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第9話
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「イ…テェ!」
「ど…どうしたの?」
「ん……この枝、トゲがある。ちょっと、気をつけた方がいいかも…」
公園の生け垣にトゲのある植物を植えるなんて、今どきの保護者に訴えられても知らないぞ~とかココロの中で悪態をつきながら、俺は公道側に出て来た。
「ね…猫の道、だね……あっ!」
後ろの冗談めかした声に振り返った時に、北沢氏が前のめりに倒れてきた。
「わっ!」
咄嗟に支えてなんとか転倒だけは防ぎ、俺と北沢氏が一緒になって道ばたに尻餅をつく。
俺はその瞬間、衝撃でズリ落ちたビンゾコ眼鏡の奥の目に、意外なほど勝ち気で澄んだ瞳をチラと垣間見てしまった。
「ああ……ビックリした。…ひ…酷い道に、案内してくれるよ…!」
俺がその瞳に魅入っている事にも気付かぬように、北沢氏がぼっさぼさの髪を押さえ、眼鏡を元に戻す。
俺は慌てて立ち上がり、作り笑いをした。
「あはは、や~マイッタな、すみません~」
北沢氏に手を貸して立ち上がらせたところで、俺は彼が右腕に切り傷を作っているのに気付く。
「北沢サン、怪我してますよ!」
「え、ど…どこ…?」
半袖のシャツから剥き出しになった右腕に、うっすらと血が滲んでいた。
最初に会った時には痩せて華奢だと思っていたが、こうやってみると結構しっかり筋肉が付いた腕だと思う反面、ホテルの壁面が反射するのか、皮膚がやたらと白く見える。
「公園に、す…水道ある…よな?」
言ってるそばから、滲んだ血が紅い雫になって、肌の上に盛り上がってきた。
「ちょ…ちょっと、戻って、洗ってくる…」
俺は、公園に戻り掛ける北沢氏の腕を掴んだ。
「ちょ…っと待って……ハルカ君!」
切り傷を俺に舐め上げられて、北沢氏は悲鳴というか狼狽えたような声を上げる。
しかし驚き凍り付いている北沢氏に構わず、俺は滲み出た血を全て舐め取ってしまった。
どうしてそんな事をしたのか、理由は自分でもよく解らなかった。
思っていた以上に、北沢氏に親しみと好感を抱いてしまったからか。
それとも、ホテルの壁面に反射した水銀灯の光に、現実感が薄れていたからか。
ただ、そうしたいと思ったのだ。
「戻るより、この方が早いよ」
「でも……い…いくらなんでも、これって、変態みたいじゃないか?」
北沢氏は、嫌がっているというよりただ恥ずかしがっているような……気がするのだが、実際はビンゾコ眼鏡とボサヒゲに埋まった北沢氏の表情は、やっぱりよく判らない。
「でも血、止まったでしょ。唾液は消毒効果もあるっていうし。もちろん、ホテル戻ったらちゃんと洗って消毒した方がイイッスよ」
車がほとんど通ってない車道を横切って、俺達はホテルに入った。
「多聞サン、救急箱ぐらい持ってますよねェ?」
「もう、だ…大丈夫、だよ」
妙に尻込みするような様子に、どうも薬を塗る気がなさそうだな…と踏んだ俺は、エレベーターを降りた所で北沢氏の手をガッツリ掴んだ。
「ハ…ハルカ君?!」
「ちゃんと診てもらいましょうね」
「だ…大丈夫だってっ! 子供じゃあるまいし、自分の面倒ぐらい自分で見られるよっ!」
「あ、ちょっと。多聞サンの部屋って何号室?」
タイミング良く通りかかった顔見知りのスタッフを捕まえて、俺は多聞氏のルームナンバーを聞き出し、真っ直ぐその部屋の扉をノックした。
「あれ? 随分変わった顔ぶれだねェ? どうしたの?」
「ちょっと、公園の生け垣をくぐったら北沢サンが切っちゃって」
「おやまぁ…それは大変だったね。とにかく中に入ってよ」
多聞氏は快く俺達を室内に迎え入れてくれて、荷物の中から救急箱を取り出すと手際良く傷口を消毒してくれた。
「傷口広いけど、深くは切ってないね。血も止まってるし消毒しておけば安心だよ」
「良かった、ジャックさんが俺の所為で破傷風になったりしてなくて」
俺と多聞氏が笑い合ってるところに、激しいノックの音がした。
ノックというよりも、まるっきり扉を殴りつけているような音だ。
「なんだろう、今夜はお客が多いな…」
多聞氏がロックを外した途端、まるで竜巻かハリケーンみたいな勢いで扉が開き、多聞氏を突き飛ばすようにして東雲氏が室内に飛び込んできた。
室内を見回した東雲氏は、俺まで弾き飛ばすようにして北沢氏の前に突進すると胸ぐらを掴み、喉をグイグイ締め付けて、いきなり腹を蹴飛ばした。
身体をくの字に折り曲げた北沢氏の襟から手を離し、そのまま崩折れる様子を黙って見下ろしている。
あまりの事に俺は棒立ちになって、唖然とその様を凝視した。
北沢氏を睨め付けている東雲氏の横顔は、まるで冷たく笑っているようにも見える。
「おいジャック、オマエ一体誰のお陰でメシが食えてると思ってンだ? 大事なご主人様おっぽり出して、挙げ句に怪我してきましただと? ふざけんのもいい加減にしろよな!」
その勝手すぎる言い草に、ようやく俺の金縛りが解けた。
「ちょっと待って下さい東雲サン! いきなりそんな乱暴な……北沢サンはワザと怪我したワケじゃありませんし、それにその原因作ったのは俺なんですからっ!」
すると俺がそこにいる事にようやく気付いたみたいな顔で、東雲氏は俺の上から下まで値踏みするみたいに眺め回した。
「そーか。そーいえばオマエのサイフの為に別行動だったんだっけ?」
東雲氏の目つきには、北沢氏に向けた暴力をそのまま俺にも向けてきそうな凶暴で威圧的な色がありありとしていた。
多聞氏が割り入ってくれなければ、たぶんその予感は的中しただろう。
「ちょっとシノさん! ここは俺の部屋だよ。挨拶もなしってあんまりじゃんか」
間に立った多聞氏にはさすがに同じようにはいかなかったようで、それでもまだしばらく、東雲氏は敵意に満ちた目を俺に向けていたが、数秒後に「ふん…っ」と白けた顔になって視線を外した。
「ったく、グズの上にキモが小さくて、ホンット使いモンになんねェなオマエは! 擦り傷の一つや二つで消毒だ医者だって大騒ぎかよ、ウザってェな!」
止める隙もなく、東雲氏はまたしても手加減の全く無い蹴りを北沢氏の尻の辺りに決め、いかにもオーバーリアクションで肩を竦めると、クルリと踵を返した。
「仕事がたまってんだ、さっさと俺の部屋に顔出せよっ!」
言うだけ言うと、荒々しく扉を閉めて東雲氏は出ていった。
その様子はまるで、厄災そのもの…としか表現のしようがない。
2号が常識じゃ考えられないような暴君っぷりを発揮するのは、以前から薄々気付いていたが、今の出来事に俺は言い様のない不快な衝撃を受けた。
「大丈夫ですか?」
俺が手を貸すと、北沢氏は微かに呻きながら身体を起こす。
「…いいんだ、こっちこそ、ご、ゴメン…。イヤなトコロ、見せちゃって…」
「もしかして消毒するの嫌がったのって、こうなるって判ってたからですか? でも、なんで俺達がここに居るコト知ってたんだろう?」
「ハルカ君、俺の部屋に来るのに誰にも会わずに真っ直ぐ来た?」
「いいえ、途中でスタッフに会ったから、多聞サンのルームナンバー訊ねましたけど?」
「じゃあ、それが理由でしょ」
「あ、なるほど…。ちぇっ! アイツ告げ口なんかしやがったのかよ! いけすかねェなぁ!」
「ち…違うよ、スタッフはみんな、シノさんに気を使っているから…、お…俺が戻ったら知らせてって、言われていれば、知らせないワケに、いかないんだよ。こ…こんなコト、他の人に話したり、しないでくれよな? 俺、格好悪すぎるから…」
服の埃を払い、北沢氏はヨロヨロと部屋を出て行こうとする。
「本当に大丈夫ですか? 俺、部屋まで送りましょうか?」
「だ…大丈夫だって。第一そんなコトしたら、は…ハルカ君までシノさんの、不興を買っちゃうよ」
さっきの様子からすると、俺が北沢氏を支えて部屋まで行ったりしたら、2号がまた北沢氏にどんな仕打ちをするか容易に想像出来る。
俺は黙って北沢氏の背中を見送る他に術がなかった。
「あんな横暴に堪えてなきゃならないなんて、年季奉公の丁稚小僧以下じゃないっスか。あんまりですよ」
「年季奉公か………言い得て妙だな」
「感心してる場合じゃないッスよ。そりゃ俺はただのサポートですから、関係ないっちゃ関係ないですけど、でもあれってもう傷害罪の域に入ってるんじゃないんですか?」
「確かにねェ。でも、それを決めるのはジャック君なワケで、ハルカ君が自分で言ってる通り、ハルカ君の問題じゃないでしょ? それともハルカ君は、ジャックが可哀想だからって、自分が身体を張って助ける気があるの?」
東雲2号ハリケーンの暴行でひっくり返った救急箱の中身を片付けながら、多聞氏は明確な確信を突いてくる。
「う………ん、そこまでは、どうだろう…」
「そうでしょう? 本気で全部をフォローするつもりもなく、生半可な口出しや同情するのは逆効果だよ。コレはカウンセリングでも基本中の基本だから」
後味の悪さが残るが、多聞氏の言っている事は真理だ。
俺は諦めの溜息を吐き、多聞氏の片付けを手伝った。
「ど…どうしたの?」
「ん……この枝、トゲがある。ちょっと、気をつけた方がいいかも…」
公園の生け垣にトゲのある植物を植えるなんて、今どきの保護者に訴えられても知らないぞ~とかココロの中で悪態をつきながら、俺は公道側に出て来た。
「ね…猫の道、だね……あっ!」
後ろの冗談めかした声に振り返った時に、北沢氏が前のめりに倒れてきた。
「わっ!」
咄嗟に支えてなんとか転倒だけは防ぎ、俺と北沢氏が一緒になって道ばたに尻餅をつく。
俺はその瞬間、衝撃でズリ落ちたビンゾコ眼鏡の奥の目に、意外なほど勝ち気で澄んだ瞳をチラと垣間見てしまった。
「ああ……ビックリした。…ひ…酷い道に、案内してくれるよ…!」
俺がその瞳に魅入っている事にも気付かぬように、北沢氏がぼっさぼさの髪を押さえ、眼鏡を元に戻す。
俺は慌てて立ち上がり、作り笑いをした。
「あはは、や~マイッタな、すみません~」
北沢氏に手を貸して立ち上がらせたところで、俺は彼が右腕に切り傷を作っているのに気付く。
「北沢サン、怪我してますよ!」
「え、ど…どこ…?」
半袖のシャツから剥き出しになった右腕に、うっすらと血が滲んでいた。
最初に会った時には痩せて華奢だと思っていたが、こうやってみると結構しっかり筋肉が付いた腕だと思う反面、ホテルの壁面が反射するのか、皮膚がやたらと白く見える。
「公園に、す…水道ある…よな?」
言ってるそばから、滲んだ血が紅い雫になって、肌の上に盛り上がってきた。
「ちょ…ちょっと、戻って、洗ってくる…」
俺は、公園に戻り掛ける北沢氏の腕を掴んだ。
「ちょ…っと待って……ハルカ君!」
切り傷を俺に舐め上げられて、北沢氏は悲鳴というか狼狽えたような声を上げる。
しかし驚き凍り付いている北沢氏に構わず、俺は滲み出た血を全て舐め取ってしまった。
どうしてそんな事をしたのか、理由は自分でもよく解らなかった。
思っていた以上に、北沢氏に親しみと好感を抱いてしまったからか。
それとも、ホテルの壁面に反射した水銀灯の光に、現実感が薄れていたからか。
ただ、そうしたいと思ったのだ。
「戻るより、この方が早いよ」
「でも……い…いくらなんでも、これって、変態みたいじゃないか?」
北沢氏は、嫌がっているというよりただ恥ずかしがっているような……気がするのだが、実際はビンゾコ眼鏡とボサヒゲに埋まった北沢氏の表情は、やっぱりよく判らない。
「でも血、止まったでしょ。唾液は消毒効果もあるっていうし。もちろん、ホテル戻ったらちゃんと洗って消毒した方がイイッスよ」
車がほとんど通ってない車道を横切って、俺達はホテルに入った。
「多聞サン、救急箱ぐらい持ってますよねェ?」
「もう、だ…大丈夫、だよ」
妙に尻込みするような様子に、どうも薬を塗る気がなさそうだな…と踏んだ俺は、エレベーターを降りた所で北沢氏の手をガッツリ掴んだ。
「ハ…ハルカ君?!」
「ちゃんと診てもらいましょうね」
「だ…大丈夫だってっ! 子供じゃあるまいし、自分の面倒ぐらい自分で見られるよっ!」
「あ、ちょっと。多聞サンの部屋って何号室?」
タイミング良く通りかかった顔見知りのスタッフを捕まえて、俺は多聞氏のルームナンバーを聞き出し、真っ直ぐその部屋の扉をノックした。
「あれ? 随分変わった顔ぶれだねェ? どうしたの?」
「ちょっと、公園の生け垣をくぐったら北沢サンが切っちゃって」
「おやまぁ…それは大変だったね。とにかく中に入ってよ」
多聞氏は快く俺達を室内に迎え入れてくれて、荷物の中から救急箱を取り出すと手際良く傷口を消毒してくれた。
「傷口広いけど、深くは切ってないね。血も止まってるし消毒しておけば安心だよ」
「良かった、ジャックさんが俺の所為で破傷風になったりしてなくて」
俺と多聞氏が笑い合ってるところに、激しいノックの音がした。
ノックというよりも、まるっきり扉を殴りつけているような音だ。
「なんだろう、今夜はお客が多いな…」
多聞氏がロックを外した途端、まるで竜巻かハリケーンみたいな勢いで扉が開き、多聞氏を突き飛ばすようにして東雲氏が室内に飛び込んできた。
室内を見回した東雲氏は、俺まで弾き飛ばすようにして北沢氏の前に突進すると胸ぐらを掴み、喉をグイグイ締め付けて、いきなり腹を蹴飛ばした。
身体をくの字に折り曲げた北沢氏の襟から手を離し、そのまま崩折れる様子を黙って見下ろしている。
あまりの事に俺は棒立ちになって、唖然とその様を凝視した。
北沢氏を睨め付けている東雲氏の横顔は、まるで冷たく笑っているようにも見える。
「おいジャック、オマエ一体誰のお陰でメシが食えてると思ってンだ? 大事なご主人様おっぽり出して、挙げ句に怪我してきましただと? ふざけんのもいい加減にしろよな!」
その勝手すぎる言い草に、ようやく俺の金縛りが解けた。
「ちょっと待って下さい東雲サン! いきなりそんな乱暴な……北沢サンはワザと怪我したワケじゃありませんし、それにその原因作ったのは俺なんですからっ!」
すると俺がそこにいる事にようやく気付いたみたいな顔で、東雲氏は俺の上から下まで値踏みするみたいに眺め回した。
「そーか。そーいえばオマエのサイフの為に別行動だったんだっけ?」
東雲氏の目つきには、北沢氏に向けた暴力をそのまま俺にも向けてきそうな凶暴で威圧的な色がありありとしていた。
多聞氏が割り入ってくれなければ、たぶんその予感は的中しただろう。
「ちょっとシノさん! ここは俺の部屋だよ。挨拶もなしってあんまりじゃんか」
間に立った多聞氏にはさすがに同じようにはいかなかったようで、それでもまだしばらく、東雲氏は敵意に満ちた目を俺に向けていたが、数秒後に「ふん…っ」と白けた顔になって視線を外した。
「ったく、グズの上にキモが小さくて、ホンット使いモンになんねェなオマエは! 擦り傷の一つや二つで消毒だ医者だって大騒ぎかよ、ウザってェな!」
止める隙もなく、東雲氏はまたしても手加減の全く無い蹴りを北沢氏の尻の辺りに決め、いかにもオーバーリアクションで肩を竦めると、クルリと踵を返した。
「仕事がたまってんだ、さっさと俺の部屋に顔出せよっ!」
言うだけ言うと、荒々しく扉を閉めて東雲氏は出ていった。
その様子はまるで、厄災そのもの…としか表現のしようがない。
2号が常識じゃ考えられないような暴君っぷりを発揮するのは、以前から薄々気付いていたが、今の出来事に俺は言い様のない不快な衝撃を受けた。
「大丈夫ですか?」
俺が手を貸すと、北沢氏は微かに呻きながら身体を起こす。
「…いいんだ、こっちこそ、ご、ゴメン…。イヤなトコロ、見せちゃって…」
「もしかして消毒するの嫌がったのって、こうなるって判ってたからですか? でも、なんで俺達がここに居るコト知ってたんだろう?」
「ハルカ君、俺の部屋に来るのに誰にも会わずに真っ直ぐ来た?」
「いいえ、途中でスタッフに会ったから、多聞サンのルームナンバー訊ねましたけど?」
「じゃあ、それが理由でしょ」
「あ、なるほど…。ちぇっ! アイツ告げ口なんかしやがったのかよ! いけすかねェなぁ!」
「ち…違うよ、スタッフはみんな、シノさんに気を使っているから…、お…俺が戻ったら知らせてって、言われていれば、知らせないワケに、いかないんだよ。こ…こんなコト、他の人に話したり、しないでくれよな? 俺、格好悪すぎるから…」
服の埃を払い、北沢氏はヨロヨロと部屋を出て行こうとする。
「本当に大丈夫ですか? 俺、部屋まで送りましょうか?」
「だ…大丈夫だって。第一そんなコトしたら、は…ハルカ君までシノさんの、不興を買っちゃうよ」
さっきの様子からすると、俺が北沢氏を支えて部屋まで行ったりしたら、2号がまた北沢氏にどんな仕打ちをするか容易に想像出来る。
俺は黙って北沢氏の背中を見送る他に術がなかった。
「あんな横暴に堪えてなきゃならないなんて、年季奉公の丁稚小僧以下じゃないっスか。あんまりですよ」
「年季奉公か………言い得て妙だな」
「感心してる場合じゃないッスよ。そりゃ俺はただのサポートですから、関係ないっちゃ関係ないですけど、でもあれってもう傷害罪の域に入ってるんじゃないんですか?」
「確かにねェ。でも、それを決めるのはジャック君なワケで、ハルカ君が自分で言ってる通り、ハルカ君の問題じゃないでしょ? それともハルカ君は、ジャックが可哀想だからって、自分が身体を張って助ける気があるの?」
東雲2号ハリケーンの暴行でひっくり返った救急箱の中身を片付けながら、多聞氏は明確な確信を突いてくる。
「う………ん、そこまでは、どうだろう…」
「そうでしょう? 本気で全部をフォローするつもりもなく、生半可な口出しや同情するのは逆効果だよ。コレはカウンセリングでも基本中の基本だから」
後味の悪さが残るが、多聞氏の言っている事は真理だ。
俺は諦めの溜息を吐き、多聞氏の片付けを手伝った。
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