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第五部:ロイ
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「そっちの刑事さんは知ってるケド、こちらのお嬢さんは誰だい?」
後部シートから身を乗り出すようにして、リンダはロイに訊ねた。
「ああ、そうか。二人は初対面だったね。リズは僕が居候してるマクミランさん家の一人娘。つまり、リンダの身元引受人になってくれてるあのオジサンの子供だよ。キッド君は、リズのパパの部下って事になる」
「へえ、あの主任さんの」
「私、リンダさんの話はパパから聞いたわ。私と、年はあんまり変わらないんですってね」
「そうそう。成人してるとか、十八ですとか、色々言ってたけどね。彼女、実はリズよりイッコ下の十五歳なんだってさ。知ってた? キッド君」
「いーやぁ、全然。すっかり騙されてたよなぁ」
年齢の話に、ロイとウィリアムがことさら大きな声で語り合うと、今度はリンダがばつの悪い顔をして見せた。
「だって、しかたないじゃんか。一人で都会に来るのなんて、怖かったモン」
「そうよ、二人とも。そう言うのは、最初に騙されちゃう方が悪いのよ。ねェ、リンダ」
年頃の近い少女達は、初対面のぎこちなさも長くは続かず、やがては前座席の二人の事さえ忘れたかのようにお喋りに夢中になった。
「どうしたの、キッド君。仏頂面になっちゃって」
「別に。…ただ、後ろの話題がアンタのコトに偏ってるなって、思っただけ」
「共通の話題だからでしょ? なに、妬ましいの?」
「誰がっ!」
プイッと顔を背けたウィリアムに、ロイは思わずクスクスと笑いを零す。
「チェ…」
やっぱり、可愛い女の子につられてノコノコ出向いてきたのは失敗だったと、ウィリアムはますます口をへの字に曲げて、顔を背けた。
後部シートから身を乗り出すようにして、リンダはロイに訊ねた。
「ああ、そうか。二人は初対面だったね。リズは僕が居候してるマクミランさん家の一人娘。つまり、リンダの身元引受人になってくれてるあのオジサンの子供だよ。キッド君は、リズのパパの部下って事になる」
「へえ、あの主任さんの」
「私、リンダさんの話はパパから聞いたわ。私と、年はあんまり変わらないんですってね」
「そうそう。成人してるとか、十八ですとか、色々言ってたけどね。彼女、実はリズよりイッコ下の十五歳なんだってさ。知ってた? キッド君」
「いーやぁ、全然。すっかり騙されてたよなぁ」
年齢の話に、ロイとウィリアムがことさら大きな声で語り合うと、今度はリンダがばつの悪い顔をして見せた。
「だって、しかたないじゃんか。一人で都会に来るのなんて、怖かったモン」
「そうよ、二人とも。そう言うのは、最初に騙されちゃう方が悪いのよ。ねェ、リンダ」
年頃の近い少女達は、初対面のぎこちなさも長くは続かず、やがては前座席の二人の事さえ忘れたかのようにお喋りに夢中になった。
「どうしたの、キッド君。仏頂面になっちゃって」
「別に。…ただ、後ろの話題がアンタのコトに偏ってるなって、思っただけ」
「共通の話題だからでしょ? なに、妬ましいの?」
「誰がっ!」
プイッと顔を背けたウィリアムに、ロイは思わずクスクスと笑いを零す。
「チェ…」
やっぱり、可愛い女の子につられてノコノコ出向いてきたのは失敗だったと、ウィリアムはますます口をへの字に曲げて、顔を背けた。
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