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16年後の二人の章
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夜も更けた、静浜の隊舎。
若桐の部屋の扉に、急くようなノックが響いた。
門限間際のこの時間に、来客がある予定はない。
訝しみながら扉を開けると──。
「百合緒……」
薄暗い廊下に立つ真壁は、頬にかかった前髪の奥で、荒く息を吐いていた。
制服の肩には夜露が滲み、息は白く散る。
「こんばんは、守さん……はぁ……お話があって……来ました」
「迷惑だ、帰れ」
「……帰りません。それに、もう門が締まります」
息を整えぬまま、真壁はわずかに口角を上げた。
「……僕、非常階段を上がってきたんです。……入れてください」
数秒の躊躇のあと、若桐は扉を広げ、真壁を迎え入れる。
「ありがとうございます」
若桐は、部屋に入ったところで真壁に背を向けている。
「それで、なんの用だ」
「ようやく、守さんがなんで僕と距離を置こうとしたのか、分かったので……」
「分かったなら、帰れ」
「帰りません。そう言いました」
振り返ると、若桐の予想よりはるかに間近に、真壁が立っていた。
「僕は、なにがあっても守さんと離れるつもり、ありません。例え僕が、自衛官を辞めなきゃならなくなったとしても……です」
「なにを莫迦な……」
「莫迦はどっちですか! なんにも言わずに、距離を取って。年金とかキャリアとか、僕には説教したくせに、自分は全部投げ出して消えるつもりですか?」
真壁は、両手で若桐の両の二の腕を掴む。
「輝かしい未来を約束されてる一佐と、これっきり先のない二佐じゃ、話が全然違うだろう」
ふいと視線を外す若桐の横顔は──。
どこか諦めたようで、けれど相手を思っている時の、あの優しい目元だった。
真壁の知る、若桐の顔だ。
自分のことより先に、相手の行く先を案じてしまう人の顔だ。
──ああ、やっぱり。守さんは僕をかばおうとしてくれてるんだ。僕の……守さんは、変わらずやっぱり守さんだ……。
真壁は、胸が一杯になった。
この不器用な優しい恋人と、離れることなど考えられない。
「守さん、僕に自分の夢と一緒に飛べって言ったのに、無責任です」
「だが、俺といることでおまえの出世が阻害されるのは……」
「本望じゃないとでも? ならなんで、ちゃんと調べないんですか。守さんらしくないですよ」
真壁の声音が、決して激昂していないことに気付き、若桐はようやく視線を合わせた。
「僕は、訓練生時代に不適切な付き合いはしてません。……だって若桐教官は "今のナシ" って言ったじゃないですか」
「俺がナシと言ったからって、本当にナシになるわけじゃ……」
「それに、具体的にあのことを知ってるのは、僕と若桐教官だけです。でも密告は、写真付きですよ?」
微笑む真壁に、若桐はぽかんとした顔になる。
「早とちりもいいかげんにしてください。僕の "瑕疵" は、訓練生時代に女性教官と不適切な交際があったって話ですから。……僕がそんなに器用じゃないことは、守さんが一番知ってるでしょう?」
「……じゃあ……」
若桐の眉が困ったように下がった様子を見て、真壁はぎゅうと抱きついた。
制服越しに伝わる体温が、胸から腕へじわりと広がる。
頬が肩口に触れた瞬間、微かに石鹸と機械油が混ざった匂いが鼻先をくすぐった。
若桐の心臓の鼓動が、耳の奥で小さく響く。
§
若桐は、背の高い真壁に抱き込まれて、ぎこちなくしか動かない手をようやく動かし、その背中をぽんぽんと叩く。
「百合緒、苦しい……」
「もう……どっかに行こうとしないでください。じゃないと僕、守さんを閉じ込めたくなっちゃいます……」
「ヤンデレか、おまえは……」
腕を解いた真壁は、ねだるようにキスを仕掛けてきた。
その唇が触れる直前、若桐は一瞬だけ目を伏せ、何かを飲み込むように喉を動かした。
次の瞬間には、やんわりと吸い、それから求められるままに舌を絡ませる。
ほとんど真壁に押し倒されるように、若桐はベッドに倒れ込まされた。
「おい……」
「……僕、本当に仕事も手につかなくなるほど……、怖くて……怖くて……。守さんがいない未来なんて、想像できません。そんなのどんなに出世したって、真っ暗闇です……」
真壁の性格を考えれば、この一言一句が正直な気持ちだろう。
若桐は手を伸ばすと、その頬に触れた。
「すまん。……俺も、百合緒のこととなると、周りがなんにも見えなくなるようだ。気をつける……」
腕を引き寄せると、真壁の顔もついてくる。
若桐は再び唇を重ね合わせ、それからその手を真壁の上着に掛けた。
真壁も若桐のフライトスーツのジッパーを引き下ろし、二人は唇を重ね合わせながら、互いの服をもどかしげに脱がしあった。
真壁を知り尽くしている若桐の手が、指が──。
まるでようやく手に入れた宝物に初めて触れるかのごとく、大事に大事に愛おしんでくれる。
──守さんじゃなきゃ、駄目だ……。
そう言葉に出すつもりだが、口づけていて言えなかった。
若桐の唇が、真壁の首筋に触れる。
「おまえは……いつまで経っても綺麗だなぁ……」
耳元で囁く声が、泣いているようにも聞こえた。
真壁は、腕を伸ばして若桐の肩口に顔を埋める。
「……守さん。……僕は、庇われるだけじゃなく、あなたの隣で戦える人間になりたい。信じてください……」
呟くように言ったそれは、真壁の誓いでもあった。
§
翌朝、真壁はコーヒーの香りで目が覚めた。
音のする方へ目をやると、ミニキッチンで若桐がインスタントコーヒーを淹れている。
「おはようございます、守さん。僕にもください」
「おはよう。今、起こそうと思ってたところだ」
マグを持った若桐は、既にフライトスーツを身に着けている。
一方の自分は、未だ下着もつけずに上掛けで下半身を覆っているだけだ。
「全く、本当におまえは色っぽすぎて、目のやり場に困るよ」
「……そうですか? 僕、自分ではそんなふうに思ったことありません。……でも、守さんの目にそう映ってるなら、ちょっと嬉しいです」
「莫迦……。俺はずっと、誘惑されっぱなしだ」
マグを手渡し、若桐は真壁の額にキスをくれた。
触れた体温に、安堵が満ちる。
自分にとって、何にも代えがたい唯一の温度──。
「それより、おまえ時間大丈夫か?」
「大丈夫です。今日は……響野が……」
「響野が代わりに仕事は出来ないだろう」
「……響野が、西條に頼んで休みにしてくれる……って言ってました」
若桐は呆れ顔になり、思わず天を仰ぐ。
──西條君、苦労してるんだろうなぁ。……転属願い出してないといいけどな。
真壁の副官の顔が浮かぶ。
ちらと時計に目をやると、まだ五時半だ。
「送ってってやるから、ちゃんと仕事出ろ」
「でも、昨日はちゃんと話ができませんでしたし、響野から聞いた、僕の瑕疵の件を、ちゃんと説明させてください」
「莫迦。そんなのは日を改めて大丈夫だ」
若桐は、引き出しに入れていた辞表を取り出すと、真壁の目の前で破り捨ててくれた。
「さっさと服を着ろ。途中でコンビニ寄ってやるから、朝飯はそれで済ませ」
昨晩脱ぎ捨てた服を、バサバサっと投げ渡される。
「わかりました」
真壁は、ちょっとがっかりしながら服を身に着けた。
昨夜みたいに、もう少しこの部屋にいたいと思ったが、守さんの背中が「行け」と言っているようで──逆らう気にはなれなかった。
若桐の部屋の扉に、急くようなノックが響いた。
門限間際のこの時間に、来客がある予定はない。
訝しみながら扉を開けると──。
「百合緒……」
薄暗い廊下に立つ真壁は、頬にかかった前髪の奥で、荒く息を吐いていた。
制服の肩には夜露が滲み、息は白く散る。
「こんばんは、守さん……はぁ……お話があって……来ました」
「迷惑だ、帰れ」
「……帰りません。それに、もう門が締まります」
息を整えぬまま、真壁はわずかに口角を上げた。
「……僕、非常階段を上がってきたんです。……入れてください」
数秒の躊躇のあと、若桐は扉を広げ、真壁を迎え入れる。
「ありがとうございます」
若桐は、部屋に入ったところで真壁に背を向けている。
「それで、なんの用だ」
「ようやく、守さんがなんで僕と距離を置こうとしたのか、分かったので……」
「分かったなら、帰れ」
「帰りません。そう言いました」
振り返ると、若桐の予想よりはるかに間近に、真壁が立っていた。
「僕は、なにがあっても守さんと離れるつもり、ありません。例え僕が、自衛官を辞めなきゃならなくなったとしても……です」
「なにを莫迦な……」
「莫迦はどっちですか! なんにも言わずに、距離を取って。年金とかキャリアとか、僕には説教したくせに、自分は全部投げ出して消えるつもりですか?」
真壁は、両手で若桐の両の二の腕を掴む。
「輝かしい未来を約束されてる一佐と、これっきり先のない二佐じゃ、話が全然違うだろう」
ふいと視線を外す若桐の横顔は──。
どこか諦めたようで、けれど相手を思っている時の、あの優しい目元だった。
真壁の知る、若桐の顔だ。
自分のことより先に、相手の行く先を案じてしまう人の顔だ。
──ああ、やっぱり。守さんは僕をかばおうとしてくれてるんだ。僕の……守さんは、変わらずやっぱり守さんだ……。
真壁は、胸が一杯になった。
この不器用な優しい恋人と、離れることなど考えられない。
「守さん、僕に自分の夢と一緒に飛べって言ったのに、無責任です」
「だが、俺といることでおまえの出世が阻害されるのは……」
「本望じゃないとでも? ならなんで、ちゃんと調べないんですか。守さんらしくないですよ」
真壁の声音が、決して激昂していないことに気付き、若桐はようやく視線を合わせた。
「僕は、訓練生時代に不適切な付き合いはしてません。……だって若桐教官は "今のナシ" って言ったじゃないですか」
「俺がナシと言ったからって、本当にナシになるわけじゃ……」
「それに、具体的にあのことを知ってるのは、僕と若桐教官だけです。でも密告は、写真付きですよ?」
微笑む真壁に、若桐はぽかんとした顔になる。
「早とちりもいいかげんにしてください。僕の "瑕疵" は、訓練生時代に女性教官と不適切な交際があったって話ですから。……僕がそんなに器用じゃないことは、守さんが一番知ってるでしょう?」
「……じゃあ……」
若桐の眉が困ったように下がった様子を見て、真壁はぎゅうと抱きついた。
制服越しに伝わる体温が、胸から腕へじわりと広がる。
頬が肩口に触れた瞬間、微かに石鹸と機械油が混ざった匂いが鼻先をくすぐった。
若桐の心臓の鼓動が、耳の奥で小さく響く。
§
若桐は、背の高い真壁に抱き込まれて、ぎこちなくしか動かない手をようやく動かし、その背中をぽんぽんと叩く。
「百合緒、苦しい……」
「もう……どっかに行こうとしないでください。じゃないと僕、守さんを閉じ込めたくなっちゃいます……」
「ヤンデレか、おまえは……」
腕を解いた真壁は、ねだるようにキスを仕掛けてきた。
その唇が触れる直前、若桐は一瞬だけ目を伏せ、何かを飲み込むように喉を動かした。
次の瞬間には、やんわりと吸い、それから求められるままに舌を絡ませる。
ほとんど真壁に押し倒されるように、若桐はベッドに倒れ込まされた。
「おい……」
「……僕、本当に仕事も手につかなくなるほど……、怖くて……怖くて……。守さんがいない未来なんて、想像できません。そんなのどんなに出世したって、真っ暗闇です……」
真壁の性格を考えれば、この一言一句が正直な気持ちだろう。
若桐は手を伸ばすと、その頬に触れた。
「すまん。……俺も、百合緒のこととなると、周りがなんにも見えなくなるようだ。気をつける……」
腕を引き寄せると、真壁の顔もついてくる。
若桐は再び唇を重ね合わせ、それからその手を真壁の上着に掛けた。
真壁も若桐のフライトスーツのジッパーを引き下ろし、二人は唇を重ね合わせながら、互いの服をもどかしげに脱がしあった。
真壁を知り尽くしている若桐の手が、指が──。
まるでようやく手に入れた宝物に初めて触れるかのごとく、大事に大事に愛おしんでくれる。
──守さんじゃなきゃ、駄目だ……。
そう言葉に出すつもりだが、口づけていて言えなかった。
若桐の唇が、真壁の首筋に触れる。
「おまえは……いつまで経っても綺麗だなぁ……」
耳元で囁く声が、泣いているようにも聞こえた。
真壁は、腕を伸ばして若桐の肩口に顔を埋める。
「……守さん。……僕は、庇われるだけじゃなく、あなたの隣で戦える人間になりたい。信じてください……」
呟くように言ったそれは、真壁の誓いでもあった。
§
翌朝、真壁はコーヒーの香りで目が覚めた。
音のする方へ目をやると、ミニキッチンで若桐がインスタントコーヒーを淹れている。
「おはようございます、守さん。僕にもください」
「おはよう。今、起こそうと思ってたところだ」
マグを持った若桐は、既にフライトスーツを身に着けている。
一方の自分は、未だ下着もつけずに上掛けで下半身を覆っているだけだ。
「全く、本当におまえは色っぽすぎて、目のやり場に困るよ」
「……そうですか? 僕、自分ではそんなふうに思ったことありません。……でも、守さんの目にそう映ってるなら、ちょっと嬉しいです」
「莫迦……。俺はずっと、誘惑されっぱなしだ」
マグを手渡し、若桐は真壁の額にキスをくれた。
触れた体温に、安堵が満ちる。
自分にとって、何にも代えがたい唯一の温度──。
「それより、おまえ時間大丈夫か?」
「大丈夫です。今日は……響野が……」
「響野が代わりに仕事は出来ないだろう」
「……響野が、西條に頼んで休みにしてくれる……って言ってました」
若桐は呆れ顔になり、思わず天を仰ぐ。
──西條君、苦労してるんだろうなぁ。……転属願い出してないといいけどな。
真壁の副官の顔が浮かぶ。
ちらと時計に目をやると、まだ五時半だ。
「送ってってやるから、ちゃんと仕事出ろ」
「でも、昨日はちゃんと話ができませんでしたし、響野から聞いた、僕の瑕疵の件を、ちゃんと説明させてください」
「莫迦。そんなのは日を改めて大丈夫だ」
若桐は、引き出しに入れていた辞表を取り出すと、真壁の目の前で破り捨ててくれた。
「さっさと服を着ろ。途中でコンビニ寄ってやるから、朝飯はそれで済ませ」
昨晩脱ぎ捨てた服を、バサバサっと投げ渡される。
「わかりました」
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