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俺とハルカの関係…つまりほとんど同棲状態で暮らしているって事…は、俺がアイツの部屋に荷物ごと運ばれた時からみんなが知っている。
みんなってのは、この場合バンドのメンバーを指す。
当時、俺の女癖の悪さを知っている人間は誰でも、ハルカが俺の見張り役を押しつけられた被害者だと思っていた。
そして、俺の男癖の悪さも知っている人間は、俺みたいなろくでもない人間に取り憑かれたハルカを被害者だと思っていた。
ハルカはそれをわざわざ訂正しようとしたから、俺は放っておけと言った。
誰がなんと言おうが、本人が納得していればそれで良いんだし、言った所で何が変わるという訳でもない。
それに関してハルカは少々不満そうな顔をしたし、たぶん俺の見ていない所ではせっせと訂正して回っていたんだろう。
もっとも、そんなハルカの行動さえも、俺にはどうでも良かったが。
「今日中には帰るって、出かけに言ってたけどな」
「ふうん」
スタジオの扉を開くと、小気味の良いドラミングが聞こえてきた。
ドラム担当の新田サンは、バンドの親父的存在だが、そのドラムセンスは小気味の良さで定評のあるヒトだ。
「おはよう」
「遅いぞ」
手を止めてこちらを向いた新田サンは、もうすっかり額に汗を滲ませている様子から察するに、かなり早い時間からドラムと自分の調整をしていたに違いない。
「どうした、道が混んでたんか?」
室内にはベース担当のショーゴもいて、こちらも既に己の楽器のチューニングを済ませてますって感じだった。
「今日は、電車」
答えた俺に、ショーゴは怪訝な顔をしてみせる。
「なんで?」
「ハルカがいないんだって」
俺がいうより先に、ケースからギターを取りだしていたレンがそれを答えていた。
「急だな。どうして?」
「なんでも、オフクロさんが入院したらしいよ」
何度も同じ説明がしたくないと思っていた俺は、勝手に答えるレンに任せたまま黙っていた。
レンの方も俺の思惑を既に察知済みらしく、こちらに相槌を求める事すらせずにショーゴの問いに答えている。
「昨日の夜に連絡があって、そのまま出掛けたんだって」
しかし、答えるレンを余所に、ショーゴはジッと俺を見ていた。
「いつまで、いないんだ?」
会話が進むに連れ、ショーゴの表情はどんどん険しくなっていて、既にそれは見ていると言うよりは睨んでいるって感じの目線が俺に当てられている。
「今日中には戻るって言ってた。…別に、ショーゴに迷惑かけねェよ」
そんなショーゴに対し、俺は負けじと不機嫌光線満載の視線を返す。
俺の幼なじみでもあるショーゴは、ハルカを除いて唯一人、俺の病気…すなわち『安眠クマさん欲しい』病…を知っている人間である。
俺に向けてきた目線は、つまりそれに対する牽制なのだ。
「いつだって、最初にそう言うんだよな、オマエは」
イヤミたっぷりというか、棘だらけというか。
ショーゴは殊更聞こえよがしに大きな溜息をつき、俺から視線を外す。
「じゃあ、とにかく始めようか?」
俺がショーゴに何かを言う前に、レンが穏やかな声で言った。
みんなってのは、この場合バンドのメンバーを指す。
当時、俺の女癖の悪さを知っている人間は誰でも、ハルカが俺の見張り役を押しつけられた被害者だと思っていた。
そして、俺の男癖の悪さも知っている人間は、俺みたいなろくでもない人間に取り憑かれたハルカを被害者だと思っていた。
ハルカはそれをわざわざ訂正しようとしたから、俺は放っておけと言った。
誰がなんと言おうが、本人が納得していればそれで良いんだし、言った所で何が変わるという訳でもない。
それに関してハルカは少々不満そうな顔をしたし、たぶん俺の見ていない所ではせっせと訂正して回っていたんだろう。
もっとも、そんなハルカの行動さえも、俺にはどうでも良かったが。
「今日中には帰るって、出かけに言ってたけどな」
「ふうん」
スタジオの扉を開くと、小気味の良いドラミングが聞こえてきた。
ドラム担当の新田サンは、バンドの親父的存在だが、そのドラムセンスは小気味の良さで定評のあるヒトだ。
「おはよう」
「遅いぞ」
手を止めてこちらを向いた新田サンは、もうすっかり額に汗を滲ませている様子から察するに、かなり早い時間からドラムと自分の調整をしていたに違いない。
「どうした、道が混んでたんか?」
室内にはベース担当のショーゴもいて、こちらも既に己の楽器のチューニングを済ませてますって感じだった。
「今日は、電車」
答えた俺に、ショーゴは怪訝な顔をしてみせる。
「なんで?」
「ハルカがいないんだって」
俺がいうより先に、ケースからギターを取りだしていたレンがそれを答えていた。
「急だな。どうして?」
「なんでも、オフクロさんが入院したらしいよ」
何度も同じ説明がしたくないと思っていた俺は、勝手に答えるレンに任せたまま黙っていた。
レンの方も俺の思惑を既に察知済みらしく、こちらに相槌を求める事すらせずにショーゴの問いに答えている。
「昨日の夜に連絡があって、そのまま出掛けたんだって」
しかし、答えるレンを余所に、ショーゴはジッと俺を見ていた。
「いつまで、いないんだ?」
会話が進むに連れ、ショーゴの表情はどんどん険しくなっていて、既にそれは見ていると言うよりは睨んでいるって感じの目線が俺に当てられている。
「今日中には戻るって言ってた。…別に、ショーゴに迷惑かけねェよ」
そんなショーゴに対し、俺は負けじと不機嫌光線満載の視線を返す。
俺の幼なじみでもあるショーゴは、ハルカを除いて唯一人、俺の病気…すなわち『安眠クマさん欲しい』病…を知っている人間である。
俺に向けてきた目線は、つまりそれに対する牽制なのだ。
「いつだって、最初にそう言うんだよな、オマエは」
イヤミたっぷりというか、棘だらけというか。
ショーゴは殊更聞こえよがしに大きな溜息をつき、俺から視線を外す。
「じゃあ、とにかく始めようか?」
俺がショーゴに何かを言う前に、レンが穏やかな声で言った。
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