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S1:赤いビルヂングと白い幽霊
6.変なものが出た【2】
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「なんじゃあ、どうしたぁ?」
ペントハウスから、シノさんと敬一クン、それにホクトとエビセンが出てきた。
「どうしたんすかぁ?」
三階の住人である、ハルカとミツルもやってきた。
「幽霊が出た!」
俺の叫びに、エビセンは吹いた。
ハルカとミツルは、幽霊の話そのものを知らないので、きょとんとしている。
「あったく、しょーがねぇなぁ」
シノさんが手を貸してくれたので、俺はようやく立ち上がった。
「ケイちゃん、今何時?」
「そろそろ10時回ります」
「え、もうそんな時間?」
竹橋のマンションに帰らなければならないホクトは、名残惜しそうに敬一クンの顔を見る。
「さっさと帰れ」
「おまえに言われるまでもない」
こんなところでまでバリバリの空気を出して欲しくないが、彼らにとっては俺の肝が縮み上がっていることよりも、自分の恋路のほうが優先だろう。
「じゃあ、明日改めて対策みーちんぐを開こうぜ。集合は午後七時。ハルカとミツルも来るように」
「わっかりました!」
「了解しました」
二人は返事をすると、それぞれの部屋に戻っていった。
「じゃあ、ケイ。また明日」
「おまえが来る必要ねぇだろう」
ホクトをしっしっと追い払いながら、エビセンも「じゃあな、中師」と言って、自分の部屋に戻っていく。
「うーん」
「どうしました、兄さん?」
「いや、ビルを守るんじゃから、これって自警団じゃろ? やっぱり団結を深めるためには、名前をつけんとなぁ」
「名前、ですか?」
「うむ……そーだな、キングオブロックンロール神楽坂自警団! とかだな」
「ええ~」
思わず声を出した俺に、シノさんがギロッと睨んでくる。
「もっと短いほうが、覚えやすいんじゃない?」
「そんなんKoR自警団に決まっとろう」
「さいですか……」
「ところでレン、おまえ部屋帰れるのか?」
「か……帰れますよ!」
ニヒヒと笑ったらシノさんは、俺の背中をバンッと叩く。
「別に、ウチのソファ貸してやってもえーんだぞ?」
「ダイジョーブだよ!」
俺は、まだちょっと膝が笑っていたが、見栄を張って部屋に戻った。
ペントハウスから、シノさんと敬一クン、それにホクトとエビセンが出てきた。
「どうしたんすかぁ?」
三階の住人である、ハルカとミツルもやってきた。
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俺の叫びに、エビセンは吹いた。
ハルカとミツルは、幽霊の話そのものを知らないので、きょとんとしている。
「あったく、しょーがねぇなぁ」
シノさんが手を貸してくれたので、俺はようやく立ち上がった。
「ケイちゃん、今何時?」
「そろそろ10時回ります」
「え、もうそんな時間?」
竹橋のマンションに帰らなければならないホクトは、名残惜しそうに敬一クンの顔を見る。
「さっさと帰れ」
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こんなところでまでバリバリの空気を出して欲しくないが、彼らにとっては俺の肝が縮み上がっていることよりも、自分の恋路のほうが優先だろう。
「じゃあ、明日改めて対策みーちんぐを開こうぜ。集合は午後七時。ハルカとミツルも来るように」
「わっかりました!」
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二人は返事をすると、それぞれの部屋に戻っていった。
「じゃあ、ケイ。また明日」
「おまえが来る必要ねぇだろう」
ホクトをしっしっと追い払いながら、エビセンも「じゃあな、中師」と言って、自分の部屋に戻っていく。
「うーん」
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「いや、ビルを守るんじゃから、これって自警団じゃろ? やっぱり団結を深めるためには、名前をつけんとなぁ」
「名前、ですか?」
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「ええ~」
思わず声を出した俺に、シノさんがギロッと睨んでくる。
「もっと短いほうが、覚えやすいんじゃない?」
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「さいですか……」
「ところでレン、おまえ部屋帰れるのか?」
「か……帰れますよ!」
ニヒヒと笑ったらシノさんは、俺の背中をバンッと叩く。
「別に、ウチのソファ貸してやってもえーんだぞ?」
「ダイジョーブだよ!」
俺は、まだちょっと膝が笑っていたが、見栄を張って部屋に戻った。
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