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23、刻印八太
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「えっ、王様が?」
「仮に油が手に入れば、王との交渉に使えるかもしれない」
「油が見つかれば、王とも交渉できる、母さんの病気も治る」
言葉で言いながらも、そんな簡単な問題ではないのだろうと有之助は思った。
「一体、いくつの油を探せばいいんですか」
「七つだ」
それからというもの、2人は決まって夜から油に関する話し合いをした。明確に油探しをしようと宣言したわけではなかったが、2人は自然と旅の計画を練り始めていた。花は急に仲良さそうになった2人を不思議そうに見ていたが、次男は彼女に油の話をしようとはしなかった。もっとも、そんな理由は有之助には見当もつかなかったのだが。
かばんの中を改めて説明するとこんな感じだ。
【油のあることないこと本】
【ガラスの小ビン7種類】
・たまご型(赤の油)
・ひらた型(黄の油)
・はっぱ型(黒の油)
・しずく型(青の油)
・しかく型(白の油)
・ピラミッド型(緑の油)
・ぼう型(紫の油)
【鍋】
【フタ付きのビン】
【古ぼけた眼鏡】
本の冒頭は、こんな言葉から始まる。(一部抜粋)
本書は束7台世界地図に基づいて作られた、幻の油を作るための指南書である。ただ、一つ注意書きを。油は誰にでも見えるものではない。私は見える側の人間だが、多くの人間には見えない存在である。見えなくとも油を探したい者は、見える者の力を借りよ。
油を集める旅には危険が伴う。この物語を始める覚悟はあるか? もし、覚悟がないというのなら今すぐ本書を閉じなさい。
刻印八太
「次男さんが言っていた通りですね。そんなに危険なのかな……」
有之助は本のページをめくりながら向かいで足を伸ばす次男に尋ねた。彼は膝の上でさっきから書き物をしている。その隣には葉牡丹がゴロゴロいっている。
「一通り読んではいるが、実体験したわけじゃない」
次のページに進むと束7台(有之助たちが暮らしている束王国のこと。台は大陸という意味)の世界地図が両ページにわたって記されていた。地図には手書きで旅の経路が細かく記されていた。
「刻印って人はこの場所から始めたみたいですよ」
指で矢印をなぞっていくと、7台すべてを反時計回りに進んで国を一回りした。本は油ごとにページが分けられていた。
「こんなに丁寧に書いてくれているなんて、この刻印って人はいい人だ。案外すぐに見つかるかもしれませんね」
「ここを読め」
そう言って次男はあるページを開いた。
油はその土地に根付く血のような存在。七つの油には、それぞれ油の精が宿り油(血)を守っている。
われわれは油の精から油を分けていただく必要がある。精たちは簡単には油を恵んでくれない。彼らから油をもらうには、その精と対峙しなければならない。戦って勝つことができれば、精は力を認め血を分けてくださるだろう。
戦いに勝つためには、書術師の力が必要だ。彼らの手を借りなくして勝利はありえない。健闘を祈る。
「戦う?」有之助は途端に顔を曇らせて不安になった。「書術師って?」
「文字を操る術師のことだ。非認可の協会に所属し、術により様々な仕事をしている。協力を得るためには協会から派遣してもらう必要があるということだ」
「雇うってことですか?」
「そうなる」
文字を操る術師なんてものが存在すること自体、有之助は初めて聞いたしどこか興味が湧いた。非認可ということは、当然国にばれればまずいことになるだろうし、当然雇う側だってリスクを背負うことになるだろう。
本を読み進めていくと、油の精にはそれぞれ名前もはっきりとした姿もあるという。【赤の章】と書かれたページの冒頭には、赤い油の精らしき赤々としたたてがみの獅子が描かれていた。
「この本によると、赤の油は1台の白門半島にあるらしい」
有之助は言われた通りすぐに地図で確認した。有之助たちが現在いるのは同じ1台だ。白門半島はここからさらに西へ進んだ場所にある。次男はノートを取り出すとペンを握って文字を書き始めた。
現在地(棚場町)→霞町→音羽村→大広武市→貝浜港(もしくは貝浜駅)
「白門半島の貝浜までは列車で3日、航路で4日だ」
「そんなに?」
「1台はばかでかい大陸なんだ」
「車は?」
「航路の2倍はかかる。船でも列車でも好きな方を選べばいい。貝浜に着いたら宿をとり、書術師を探しにいく。協会の支部が町にあるらしい。事前に連絡して段取りは組んでおく」
さすが、根回しが早い。2人で旅の日程を話し合っていると事務所に花がやってきた。
「最近はよくお二人でいらっしゃいますね」
花には2人がお兄ちゃんと弟みたいに見えたのか、ほほ笑ましそうにクスリと笑った。でも、テーブルの上に開いた油の本を見たとたん笑顔を引っ込めた。
「まさか、油を探しに行くおつもりですか?」
次男は目も合わせずにうなずいた。
「危険です」
花は油のことを知っているような口ぶりで言った。
「その油ほしさに何人も人が死んでいるんです。次男さん、あなたが一番そのことをよく理解しているはずじゃありませんか。有之助さんに油の話をしたんですね。その子はようやく仕事にも慣れてきたんです。わざわざ危険な旅に巻き込むなんて。もう、油のことは諦めたと、そうおっしゃったではないですか」
「有之助には油が見える」
次男は首にかけていたガラス玉を持ち上げ、花に言った。花はあっと驚いて有之助を見た。
「本当、なんですか? 有之助さん」
「油の本を書いた刻印八太もその目を持っていた。油を探すには有之助の目が必要だ」
2人が本気なのだと分かった花は力なく目を閉じた。
「私は、心配なんです。次男さん、あなたのお父様は油を探しに行ってひどい死に方をしました。それ以外にも、興味本位で探しに行った旅人は皆変な死に方をしました。みんな恐れています。精の怒りに触れたら殺されると」
有之助は恐る恐る次男の顔を見た。
「何人も死んだって、本当ですか? お父さんまで」
次男の顔が暗くなった。
「でも、本は一つだけじゃないんですか?」
「有之助さん、その本と一式の品は、世界にいくつか存在しているのです。次男さんが持っているのはその中の一つなんですけど、いまだに油を見つけたという人は現れていません」
「でも、刻印八太は幻の油を手に入れたんですよね?」
花はいつもより険しい顔で有之助の肩に手を置いた。
「本当かどうかは分かりません」
「花。最初の油が1年以内に見つからなければ潔く元の生活に戻るつもりだ」
これ以上なにを言っても彼の意思を変えることはできないと察したのか、花は急に否定するのをやめた。
「分かりました。けれど、無理だけはなさらないでください。あなたは同盟の頭として、他に果たさねばならないことがあるのですから」
そんなこと、他人に指図されなくても分かっている、次男の冷静な横顔を見ながら有之助はそう直観した。彼の目には、しっかりと現実が映り、夢を見て浮足立つこと決してない鈍い光が浮かんでいた。
「仮に油が手に入れば、王との交渉に使えるかもしれない」
「油が見つかれば、王とも交渉できる、母さんの病気も治る」
言葉で言いながらも、そんな簡単な問題ではないのだろうと有之助は思った。
「一体、いくつの油を探せばいいんですか」
「七つだ」
それからというもの、2人は決まって夜から油に関する話し合いをした。明確に油探しをしようと宣言したわけではなかったが、2人は自然と旅の計画を練り始めていた。花は急に仲良さそうになった2人を不思議そうに見ていたが、次男は彼女に油の話をしようとはしなかった。もっとも、そんな理由は有之助には見当もつかなかったのだが。
かばんの中を改めて説明するとこんな感じだ。
【油のあることないこと本】
【ガラスの小ビン7種類】
・たまご型(赤の油)
・ひらた型(黄の油)
・はっぱ型(黒の油)
・しずく型(青の油)
・しかく型(白の油)
・ピラミッド型(緑の油)
・ぼう型(紫の油)
【鍋】
【フタ付きのビン】
【古ぼけた眼鏡】
本の冒頭は、こんな言葉から始まる。(一部抜粋)
本書は束7台世界地図に基づいて作られた、幻の油を作るための指南書である。ただ、一つ注意書きを。油は誰にでも見えるものではない。私は見える側の人間だが、多くの人間には見えない存在である。見えなくとも油を探したい者は、見える者の力を借りよ。
油を集める旅には危険が伴う。この物語を始める覚悟はあるか? もし、覚悟がないというのなら今すぐ本書を閉じなさい。
刻印八太
「次男さんが言っていた通りですね。そんなに危険なのかな……」
有之助は本のページをめくりながら向かいで足を伸ばす次男に尋ねた。彼は膝の上でさっきから書き物をしている。その隣には葉牡丹がゴロゴロいっている。
「一通り読んではいるが、実体験したわけじゃない」
次のページに進むと束7台(有之助たちが暮らしている束王国のこと。台は大陸という意味)の世界地図が両ページにわたって記されていた。地図には手書きで旅の経路が細かく記されていた。
「刻印って人はこの場所から始めたみたいですよ」
指で矢印をなぞっていくと、7台すべてを反時計回りに進んで国を一回りした。本は油ごとにページが分けられていた。
「こんなに丁寧に書いてくれているなんて、この刻印って人はいい人だ。案外すぐに見つかるかもしれませんね」
「ここを読め」
そう言って次男はあるページを開いた。
油はその土地に根付く血のような存在。七つの油には、それぞれ油の精が宿り油(血)を守っている。
われわれは油の精から油を分けていただく必要がある。精たちは簡単には油を恵んでくれない。彼らから油をもらうには、その精と対峙しなければならない。戦って勝つことができれば、精は力を認め血を分けてくださるだろう。
戦いに勝つためには、書術師の力が必要だ。彼らの手を借りなくして勝利はありえない。健闘を祈る。
「戦う?」有之助は途端に顔を曇らせて不安になった。「書術師って?」
「文字を操る術師のことだ。非認可の協会に所属し、術により様々な仕事をしている。協力を得るためには協会から派遣してもらう必要があるということだ」
「雇うってことですか?」
「そうなる」
文字を操る術師なんてものが存在すること自体、有之助は初めて聞いたしどこか興味が湧いた。非認可ということは、当然国にばれればまずいことになるだろうし、当然雇う側だってリスクを背負うことになるだろう。
本を読み進めていくと、油の精にはそれぞれ名前もはっきりとした姿もあるという。【赤の章】と書かれたページの冒頭には、赤い油の精らしき赤々としたたてがみの獅子が描かれていた。
「この本によると、赤の油は1台の白門半島にあるらしい」
有之助は言われた通りすぐに地図で確認した。有之助たちが現在いるのは同じ1台だ。白門半島はここからさらに西へ進んだ場所にある。次男はノートを取り出すとペンを握って文字を書き始めた。
現在地(棚場町)→霞町→音羽村→大広武市→貝浜港(もしくは貝浜駅)
「白門半島の貝浜までは列車で3日、航路で4日だ」
「そんなに?」
「1台はばかでかい大陸なんだ」
「車は?」
「航路の2倍はかかる。船でも列車でも好きな方を選べばいい。貝浜に着いたら宿をとり、書術師を探しにいく。協会の支部が町にあるらしい。事前に連絡して段取りは組んでおく」
さすが、根回しが早い。2人で旅の日程を話し合っていると事務所に花がやってきた。
「最近はよくお二人でいらっしゃいますね」
花には2人がお兄ちゃんと弟みたいに見えたのか、ほほ笑ましそうにクスリと笑った。でも、テーブルの上に開いた油の本を見たとたん笑顔を引っ込めた。
「まさか、油を探しに行くおつもりですか?」
次男は目も合わせずにうなずいた。
「危険です」
花は油のことを知っているような口ぶりで言った。
「その油ほしさに何人も人が死んでいるんです。次男さん、あなたが一番そのことをよく理解しているはずじゃありませんか。有之助さんに油の話をしたんですね。その子はようやく仕事にも慣れてきたんです。わざわざ危険な旅に巻き込むなんて。もう、油のことは諦めたと、そうおっしゃったではないですか」
「有之助には油が見える」
次男は首にかけていたガラス玉を持ち上げ、花に言った。花はあっと驚いて有之助を見た。
「本当、なんですか? 有之助さん」
「油の本を書いた刻印八太もその目を持っていた。油を探すには有之助の目が必要だ」
2人が本気なのだと分かった花は力なく目を閉じた。
「私は、心配なんです。次男さん、あなたのお父様は油を探しに行ってひどい死に方をしました。それ以外にも、興味本位で探しに行った旅人は皆変な死に方をしました。みんな恐れています。精の怒りに触れたら殺されると」
有之助は恐る恐る次男の顔を見た。
「何人も死んだって、本当ですか? お父さんまで」
次男の顔が暗くなった。
「でも、本は一つだけじゃないんですか?」
「有之助さん、その本と一式の品は、世界にいくつか存在しているのです。次男さんが持っているのはその中の一つなんですけど、いまだに油を見つけたという人は現れていません」
「でも、刻印八太は幻の油を手に入れたんですよね?」
花はいつもより険しい顔で有之助の肩に手を置いた。
「本当かどうかは分かりません」
「花。最初の油が1年以内に見つからなければ潔く元の生活に戻るつもりだ」
これ以上なにを言っても彼の意思を変えることはできないと察したのか、花は急に否定するのをやめた。
「分かりました。けれど、無理だけはなさらないでください。あなたは同盟の頭として、他に果たさねばならないことがあるのですから」
そんなこと、他人に指図されなくても分かっている、次男の冷静な横顔を見ながら有之助はそう直観した。彼の目には、しっかりと現実が映り、夢を見て浮足立つこと決してない鈍い光が浮かんでいた。
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