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第一章 ー始まりー
あれから…。
しおりを挟むあれから半年、俺は勉強も訓練も頑張ったおかげで、属性魔法も、完璧になり、体術もティアから終わりを告げられた。
「随分と強くなりましたねミツキ。」
「ティアのおかげです。」
ティアは少し寂しそうな顔を浮かべて言った。
「体術は合格です、明日からは剣術の訓練に移ります。」
俺は、拳と手の平を胸の前で合わせ浅く礼をした。
「ありがとうございます、これからもよろしくお願いします師匠!」
「私の弟子として、恥ずかしくないよう、全力で鍛えますので覚悟しておいて下さい。」
すると、いつものようにレイナが呼びに来た。
「ミツキさーん、ティアお姉様ー!」
レイナは今日も訓練場の端っこから、元気良く声を掛けてくれてる。
俺達はレイナと合流して家へと向かった。
「そう言えば!ミツキさんが作ってくれたハンガー?とっても使いやすいです、本当にありがとうございます!」
「いえ、レイナのお役に立てたのなら作ったかいがあります。」
少し前、魔法を覚えてから何か少しでも役に立てないかと、俺はディーアに相談したのだ。
『なるほど、確か君の世界の話を聞いたとき、便利そうな物がいくつかあったね……よし、錬金術を教えてあげよう。』
そして俺は、授業の時に錬金術を教えてもらったのだ。
ちなみに…。
錬金術とは、もともと魔力量が少ないドワーフ族が身を守るために武器を作ったのが発端らしい。
他の強い種族に負けないように、より強い武器や防具を作ろうと考えたドワーフ族は、魔法などに頼らず、鉱物などの素材に目を付け、加工に力を注いだ。
その結果、素材に自分の魔力を流し、自分の中の魔力と反応させ、加工しやすい形に変える事に成功したのだ。
それから長い時が立ち、分解、変形、再構築と言う流れが錬金魔法と呼ばれ、後に、それらをまとめて錬金術と呼ぶ様になった。
しかしこれには自分の魔力操作が精密でないと上手くいかず、その精密さを持ってる事もあって、ドワーフ族はとても器用だと世界中に認識されたと言う事だった。
そして、ディーアさんから木材を貰って、寝る前に何度も練習して習得したのだった。
俺達が家に戻ると、外にディーアがいた。
『やぁ、みんなただいま。』
ディーアは両手に木剣を持っていた。
「どうしたんですかそれ…。」
俺が尋ねると、ティアが言った。
「私がディーア様に頼んでいたんです、そろそろ体術が仕上がるので、用意して貰えないかと。」
(なるほど、ティアはとっくに認めてくれていたんだな…。)
「ありがとうございます師匠。」
俺はティアに礼をした。
『そうだ、言われた通り、これも用意しておいたよ。』
「これって…」
ディーアが見せてくれたのは、木製の防具だった…。
(まさか…。)
俺はティアに恐る恐る聞いた。
「あの~師匠?剣術も実践形式でやるのですか?」
ティアは笑顔で答えた。
「もちろんです、先程も覚悟しておいて下さいと伝えたはずですよ?」
「あは、あははは…」
俺は、心の中で、それこそ命の覚悟をしたのだった…。
それから俺達は中に入って昼食を食べ、お茶を飲みながらこれからの授業と訓練の話をしていた。
『いやーしかし、まさかティアに弟子と認められるとはね、やるじゃないかミツキ君。』
「いやーそれほどでもないですよ。」
本当は、大いに喜びたい俺だったのだが、ここで調子に乗ると後の訓練が怖いので、自重した。
「私は滅多に弟子とは認めません、私に教えを乞うた者達は、次々に私の元を去って行きましたから。」
(だろうな…。)
ティアの訓練は容赦がない、俺も何度も死にかけたし、それでもティアは手加減をしていたのだ。
今日の最後の一撃も、気を抜いたら死んでいたかもしれない。
でも、そのお陰で俺も強くなれたから本当に感謝している。
「ありがとうございます師匠。」
俺は苦笑いでお礼を言った。
『では、ティア達は明日から剣術かい?』
「はい、体術は今日で仕上がりましたので。」
ディーアはそうかそうかと嬉しそうにしながら俺を見て言った。
『私達は、今日からは語学だよ。』
「語学ですか……。」
俺は語学は苦手だ、一応、大学まで出ていた身だったが、外国語は本当に苦労したし、それでも合格点ギリギリだったのだ。
『おやおや、自信なさげだねミツキ君。』
「はい…元の世界でも他の国の言葉を覚えるのは苦手でした。」
『そうか、ミツキ君の世界では国ごとに言葉が違うんだったね、ちなみにここでは種族ごとに言葉が違うからね。』
(英語だけじゃないって事か…。)
「はぁ~~」
俺はため息をついた。
それを見たディーアは追い討ちをかけるように言った。
『あっ、ちなみに魔法関連で古代語と古代文字もあるし、医学もあるからね。』
俺は落とした肩を、さらに落とした。
ディーアはクスクスと俺を見て笑っていた。
「ミツキ、明日から使う防具や木剣は自分自信で調整と手入れをしてもらいますので、後で部屋に持って行って下さい。」
「はい、師匠。」
ティアも落ち込む俺を見てクスクスと笑っていた。
(これからが不安だ~)
『さてと、じゃあそろそろ始めるよ!』
俺は、隣に置かれていた木剣と防具を持って部屋へと戻り、タンスの上に置いた。
それからしばらくして、ディーア先生が笑顔で沢山の本を持ってきたのだった…。
そして、俺の猛勉強の日々が始まったのだ…。
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