異世界就職!?

pさん

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第一章 ー始まりー

誕生日…そして夢。

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地獄の語学勉強が始まって、気づけばもう1年半になった。

俺は何度も挫折しながら、どうにか語学をマスターする事が出来た。

ディーアの教え方も上手く、分かりやすかったのだが、全てを頭に記憶するのは無理だった。

なので俺は、錬金術とこれまで教えてもらった知識を駆使して木材から紙を作り、防腐剤を手に入れ、頑丈なノートを何冊も作った。

紙とインクはかなり高価なものと知っていたので、インクは炭と森の木の樹液を錬成して、ディーアから貰った動物の羽を加工してペンを作った。

そして、ひたすら授業の内容をノートに書き込み、平仮名やカタカナや漢字を使い、自分で分かりやすいようにまとめた。

そのおかげで、忘れそうになった時はノートを見返して、分からないところは何度も確認した。

各種族には、文字を必要としない種族もあり、また文字も予想してたより少なかった。

だが、古代言語と古代文字だけは、俺の予想を遥かに超える量だった…。

(ディーアとティアがこれを頭に叩き込んだ事を考えると、一体何者なんだと思う。まぁエルフだけども…。)


あれから剣術もどうにか習得した。

最初に体術を習得したお陰で、基礎などはすぐに覚える事ができた。

もちろん何度もケガや骨折を繰り返したが、その度にティアに治してもらった。

木剣や防具も固く加工はされていたのだが、ティアも徐々に張り切ってしまい、直ぐにボロボロになってしまう…。

最初は週に一回のペースで直していたが、最後の1ヶ月間くらいは毎日直していた。


あと、残る訓練は弓術!そして勉強は、医学、歴史学、地理、算術、古代学だ!

(まぁ、算術と地理は問題ないだろう…得意だったし。)


そして俺は今、訓練場から頭に布袋を被せられ、レイナに手を引かれながら家へと向かっている。

「あのー、これはどう言う?」


「いいですから!そのままゆっくり歩いて下さい!」

ちなみに今日は、ディーアの都合で、午後に訓練を回されていた。


そして俺は今、視界が真っ暗な状態で歩いている。

(流されるまま被されてここまで歩いたけど、俺、このまま売り飛ばされるのかな?)

俺はティアさんに声を掛けた。

「ティア?俺はこのまま売られるのでしょうか?」


「………。」

あれ?ティアの返事がない…と言うか、気配自体が無い…。
すると、レイナが笑いながら言った。

「そんな、売られるだなんて…大丈夫ですよ!私達を信じて下さい!」


「はぁ…。」

俺が不安なまま歩いていると、レイナが止まった。

(着いたのか?てか、この布袋臭い…。)

「着きました!布袋取りますよ?それっ!」


俺は、ゆっくりと目を開けた…。


「「「誕生日おめでとうミツキ!!」」」

3人が大きな声で言った…。

「あの…これは一体???」

俺がキョトンとした顔で聞くと、ディーアが答えてくれた…。

『何言ってるんだいミツキ君、今日は君の15歳の誕生日じゃないか!』

「おめでとうミツキ。」

「おめでとうございますミツキさん!」


(そうか、俺は13歳になってこの世界に来て、もう2年経つのか…。)


「あ、ありがとうございます先生、師匠、レイナ。」


この地域には季節がなかったし、勉強と訓練で全然気が付かなかった。

誕生日を祝って貰えるなんて、本当に久しぶりだ…。


「ありがとうみんな、本当にありがとう。」

俺は泣きそうになった…。

(まさか、こんな日がくるとは…。)


『さぁ、レイナが一生懸命に作ってくれたご馳走をいただこうか!』


俺は涙を堪え、笑顔で席に着いた。


「いただきます!」


それから皆んなでご馳走を食べた。


どれもこれも豪華で凄く美味しい、レイナは俺達が美味しいと言う度に嬉しそうな顔をして、照れた顔をしていた。


色々と話しを聞くと、誕生日は人族の行事で5年ごとにやるものらしい、ちなみに、この世界の人族の成人は15歳。

そして、エルフは100歳で成人なんだとか…。

(と言うことは、ティアもかなり若い方なのか…。)

そして、今回の立案者はレイナだった。
しかもかなり前から計画してたらしい。

「レイナ、本当にありがとう。」

「いえ、そんな…」

俺は心からお礼を言うと、レイナはなんだか照れているようだった。

(にしても、訓練と勉強で本当に気づかなかったな…。人間観察は得意な方だと思ってたのに…まぁエルフもいるけど…。)


そんな事を考えて食べてると、ディーアが壺を2個持ってきた。


『さて、ミツキ君も一人前になったと言う事で、皆んなで飲もうか、』


「それは?」

俺が尋ねると、ディーアは1個の壺を開けてコップに注いでくれた。

『これは、チェルエールって言ってね、チェルと言う果物から作られたお酒だよ。』


(赤ワインみたいな感じかな?)

コップを貰い匂いを嗅ぐと、甘くてとても良い香りとアルコールの匂いがした。

『心配しなくても大丈夫だよ、そっちはかなり弱いやつを買ってきたから。』


「ちなみに、もう1個は何が入ってるんですか?」


『あぁ、これかい?これは私達2人の大人用のお酒だよ。』


そう言って壺を開けると、凄く強そうなお酒の匂いがした。


(わぁお、あっちはやめておこう…)


俺達は皆んなで乾杯して飲んだ。

「うまーい!」


チェルエールはカクテルみたいに甘く、チューハイのようなアルコール度数だった。

レイナも一緒に飲むと。


「やっぱり美味しいですね!」


と笑っていた。
レイナによると、成人祝いでよく使われるお酒なんだそうだ。


ディーアとティアも美味しそうに飲んでいる。


(こう言う接待抜きのお酒の場も凄く久しぶりだ…。)


しばらくすると、ティアが席を立ちどこかへと行ってしまった。


俺が心配になり立ち上がろうとすると、ディーアが腕を掴んで、微笑みながら止めた。


俺は大丈夫だと察し、そのまま席に着いた。


すると、すぐにティアが布に包まれたナニかを2つ持って来た。

「ミツキ、私から師匠としての贈りものです。受け取って下さい。」


(贈り物???)

「あ、ありがとうございます師匠。」


俺はその2つを受け取った。

「今、開けてもいいですか?」


「構いませんよ。」

ティアは少し恥ずかしそうに言った。


「おぉー!!!」


1つ目の中には、弓が入っていた。


見た事はあったが実際に触ったのは初めてだったので俺は興奮した。

(と、言う事は、もう一つは!)

もう一つを開けて見ると、矢筒と矢が入っていた。


「ありがとうございます師匠!」


ティアを見ると、少し残念そうにしてる。


「どうしたんですか師匠?」


「本当は、剣を送ろうかと思ったのですが、剣は自分で選ぶのが剣士だとディーア様に止められたのです。」


俺はディーアを見た。
それと同時に、ディーアは顔を逸らした…。


(あいつ~さては、訓練の為に師匠を困らせたな……でも…。)


俺は、2人の気遣いがとても嬉しかった…。


「いいえ師匠、俺はすごく嬉しいです!本当にありがとうございます、明日からの弓術もよろしくお願いしますね!」



俺がそう言って笑うと、ティアも安心して笑ってくれた。


それから、ご馳走を皆んなで平らげて、食休みをしながら色んな事を喋った。


レイナも片付けを終わらせ合流し、4人で会話をした。

ディーアは世界を周っていた時の話し、ティアさんは、ディーアとの出会いの話や国を落とした方法、レイナは街の事や、冒険者についてなど色々と教えてくれた。

(この世界には冒険者も居るのか…。)

でも、一番興味をそそられたのはやっぱりディーアの世界一周のはなしだった。


俺は、ディーアさんの為にお酒の話しを、ティアさんの為に武器の話しを、レイナには当時若い子達に流行っていたファッションやデザートなどを教えてあげた。

3人とも終始目を輝けかせ食い入るように話を聞いてくれた。

気つけば外はもう真っ暗になっていた。

俺達は、パーティーをお開きにして、各々部屋へと戻った。

俺は、あの後風呂に入り、いつものルーティーンで毛を確認した。

(まだなのかぁーー!!!こっちの世界では成長が遅いのかな?)

成人したのに、がっかりしながら部屋へと戻った。

俺はベットの上で、ディーアの世界一周の話を思い出していた。

(世界か…。俺もいつかは…。)


そして俺は目を閉じたのだった。
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