REALIZER

希彗まゆ

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●第九話

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「本当に何考えてるのか分からない男ねあんたって! リアライザーにこんなくだらない願いを叶えさせたのってあんたが初めてだと思うわ!」

 ほのかはぷんぷん怒っている。和妃だって出来れば怒りたかった。赤い風船のためにこんなに疲労させられたのだから。

「どうされた!?」

 ぐったりした和妃を見て、車の運転席に控えていた純也が血相を変えて駆け寄ってくる。

「どうもこうも、敵にやられる前に味方に疲れさせられちゃどうしようもないわよ。しかも無理矢理よ無理矢理! 身勝手にもほどがあるわ」

 ほのかはさっさと車に乗り込む。

 まさかお前、と純也は眉を上げて章地を見る。

「何を願った」

「可愛い赤い風船を」

 満足気な章地に、は? と理解しかねる感じの純也だったが、ふと真顔になった。

「しかしそれで新たな事実が分かったな」

 座席で振り返るほのかと、意味ありげに微笑む章地の視線を受けて、純也は言う。

「無理矢理に願いを叶えさせられたということは、つまるところ能力のコントロールが不可能ということだ」

 はっと息を呑むほのか。

 ぼんやりする頭で和妃は、あまりいい雰囲気でないその場の空気を感じ取っていた。

「とりあえず、行きましょうか。早く帰って栄養のつくものを食べてもらわなくちゃ可哀想なので」

 和妃を抱いたまま座席に乗り込み、章地は膝の上に抱え直す。隣のほのかはじろりと睨んだ。

「あんなことをしたのはそれを確かめるため?」

 純也も運転席に戻り、車が走らせ始める。

「コントロール出来るか出来ないかというのは、いずれ知っておかなければならないだろう」

 不遜なその返答に、ほのかは挑戦的な微笑みを浮かべる。

「一山章地くん。あなた、物事を為すには順序があるということをご存じかしら」

 章地は窓外から視線を動かし、彼女の挑戦を緩やかな笑みでかわした。

「遅かれ早かれの問題においては、早いほうが展開もそれなりの速度で進むと思わないか」

「……悪党の素質あり、ね」

 苦虫を噛み潰したような顔で、ほのかはそれきり不機嫌に黙り込んだ。
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