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王子シオン
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夜になっても雨は降りやまず、思ったよりも疲れが出ていたのか、気がつけば月花は眠ってしまった。リョウが、どうにかして薪を暖炉にくべて火をつけようとしていたことまでは覚えているのだが──。ベッドに横になったまま寝てしまっていた月花が目を覚ましたとき、一瞬自分がどこにいるのかわからなかった。いつもならアイが優しい声で起こしてくれるのに──。
それで昨日あったことを思い出した。
そうだ、アイを助けようとしてエルの地にきてしまったんだった。
上半身を起こして見渡すと、暖炉の前で横になって眠っているリョウの姿が目に入る。あのあと無事に火はついたらしく、暖炉の中で薪がパチパチと小さな音を立てている。雨はやんでいるようで、窓から見える空はうっすらと明るい。
枕の脇にたたんでおいた制服の間から腕時計を出してみると、時刻は6時少し前を指し示していた。このエルの地では、多少の時差はあるのかもしれないが。
小屋の中はまだあたたかく、そのおかげだろうか、制服も乾き始めている。着れないほどではないが、どうしようかといった具合だ。
どこからか声が聞こえてきたのは、そのときだ。
<──か……>
ささやくように、確かにアイの声のように感じる。もしかして、この小屋の近くに来ているのだろうか。
ちょっとその辺を見るだけと、ぐっすり眠っているリョウを起こさないようにしてそっとベッドから抜け出す。小屋の扉を開けてきょろきょろと見渡すと、木々の間に金色が光ったように見えた。
金髪……? アイ?
「アイ」
なぜ隠れるようにしているのだろう? アイの姿は、木々に隠れて見えない。じれったくなって小屋から出る月花をいざなうように、また少し遠くのほうに金色が光る。もしかして、リョウに気づかれたくないのだろうか。
「アイ……待って」
近づけたと思うとまたすぐに引き離される。幾度かそれを繰り返して茂みをかき分けると、突然前が開けて泉が現れた。学校のプールを円形にしたほどの、そんなに大きくない泉。けれど、どこか心惹かれる泉。近寄ってみると、底が見えるほど澄んでいて美しい。
顔くらい、洗っていこうか。そう思ってしゃがみ込み、そろそろと手を伸ばす。
この泉があたたかければ、お風呂代わりにもなるのにな。なんて思いながら泉に手を入れた月花は、驚いた。湯気も出ていないのに、泉の水が温泉のようにあたたかいのだ。
──小屋からそう遠くないし、すぐに戻れば大丈夫かな。
少し迷っていたが、冷え切った身体をどうにかしたい。汚れた身体をどうにかしたい。その思いが勝り、毛布と下着をとって泉に浸かる。
「きもちいい──」
思わず声が出てしまうほどの心地良さ。極楽とは、まさにこのことだろう。泉の中に座ると、ちょうど肩の高さまでお湯がくる。手でお湯をすくい、身体を洗っていた月花は、ふとその動きを止めた。
昨日制服を脱いだときは、気づかなかった。両胸の間、ちょうど真ん中あたりに、涙のしずくのようなアザができていた。どこかに、ぶつけたのだろうか。でも、触れてみても痛くない──。
「おい、女」
ふと背後から声をかけられ、びっくりして振り向く。短い銀髪に、紫色の瞳の背の高い、美しい女性が立っている。美しい──アイと同じくらい、いやそれ以上かもしれない。思わず見惚れてしまっていた月花に、彼女はもう一度声をかけてくる。
「この冬にその水。冷たくはないのか?」
こ んなにきれいなのに、なぜに男のような口調なのだろう。もったいない。よく見れば、着ている服も変だ。昔のヨーロッパ貴族が着ているような、マントつきの服。しかもやはり男みたいな服だった。一番引っかかったのは、相手はどうやら外国人のようなのに言葉が通じるようだということ。
不思議に思いながらも、
「お湯ですよ、これ。あ、もしかしてあなたもここに入りに来たんですか?」
と日本語で答えてみる。
「──お湯?」
銀髪の美女はニヤリと笑ったかと思うと、バサッとマントを翻した。マントが美女の全身を包み込んだかと思うと、一瞬で彼女は男の姿に様変わりする。さっきまで確かにあった豊かな胸のふくらみすら、消え去っていた。
「“ルーイン”はここにいたぞ! 逃がすな!」
その形の良い唇から出た声も、さっきとは違って低い男の声で。驚きと戸惑いを隠せない月花は、男の声に左右の茂みから一斉に出てきた兵隊のような男たちに、あっさりととらわれていた。
◇
冷たい風が吹いてきたのを感じて、リョウは目を覚ました。すっかり身体が冷え切っている。
暖炉に薪をくべておいたはずなのに……。
そう思いつつのリョウのぼんやりとした視界に入ってきたのは、またも一面の地面の青と森の緑だった。
「──!?」
がばっと飛び起きる。これは──どういうことなのだろう。
上半身をくるんでいたはずの毛布がない。いやそれどころか、小屋そのものがなくなっている。リョウは再び、森の中にいた。見覚えのある木や花をいくつか確認し、どうやら位置的にはあの小屋の場所で間違いないようだと冷静に判断する。
だが、本当にどういうことなのだろう。夢でも見ているのかとも思ったが、それにしてはリアルすぎる。
とりあえずたたんでおいた制服のシャツと上着を着て、月花はどこだろうと見渡してみる。ベッドがあった位置に、丁寧にたたまれた月花の制服は見つけたが、当の本人がいない。
「月花?」
ひとりでどこかに行ったのだろうか。月花の制服を拾い、探しに行こうとしたところへ、茂みの向こうからちょっと昔のヨーロッパの兵隊のような恰好をした、ふたりの男が現れた。片方の男は胸まである赤毛の髪をひとつの三つ編みにしているが、それが妙に似合っている。目が合うと、男が話しかけてきた。
「おまえ、“ルーイン”か?」
──ルーイン? ルーインてなんだ? というか、いま言葉が通じなかったか? 相手の髪の色で判断するのもどうかとは思うが、恐らく外人だろう。なのに、日本語で聞こえてくる。
リョウのその反応を見て赤毛の男は、もう片方のいかつい男に言った。
「違うみたいだぜ。もうここらにはいねぇよきっと。戻ろうぜ」
だが、いかつい男は目ざとくリョウが持っている月花の制服を見つける。指さし、赤毛の男に言う。
「もうひとりいるみたいだ。見逃したと知れたらシオン王子にお咎めがあるのは俺たちだぞ」
赤毛の男は、だるそうにがっくりと肩を落とす。
「もういいじゃねぇかよ、どんだけ探したと思ってんだよ。そもそも俺はルーインなんて興味ねぇんだよ」
いかつい男は相手にせず、リョウに尋ねてきた。
「こんな森の中でなにをしていた? 連れの者はどこにいる?」
だがリョウが答えるより早く、遠くのほうから「いたぞー!ルーインだ!」という声が聞こえてきて、ふたりの男は振り返った。
「──いたってよ。よかったな」
「そんな口をきくな。王子が聞いたら怒るぞ」
「どうでもいいぜ」
そんなやり取りをしている男たちの前に、茂みをかき分けて身長150センチほどと思われる小男が走ってくる。
「ルーインはあっちにいたぞ、やっぱり泉のほうだった。シオン王子自ら見つけた、少女だぞ」
それを聞いて、初めてリョウは口を開いた。
「少女って、ツキカという名前ですか?」
小男は、そこで初めてリョウの存在に気づいたようだった。じろじろと見てから、不審そうに答える。
「いや、まだ名前まではわからないらしいけど……」
「会わせて下さい。いますぐに」
逸る思いで、リョウは言う。もし彼らのいう少女が月花だったら、連れ戻せばいい。だが月花でない場合、改めて別の場所を探さなくてはいけない。だったら、早いほうがいいに決まっている。
だが、いかつい男が呆れたようにため息をついた。
「いきなりルーインに会いたいとは、あんたどうかしているのか?」
「旅行者じゃないか? ほら、変な服着てるし」
小男がささやくようにいかつい男に言っているが、ばっちり聞こえる。リョウからしてみれば、小男たちのほうがよほど変な服装なのだが。
「いくら旅行者でも、この世界の者ならルーインのことは赤ん坊でも知っているぞ」
つられていかつい男もささやくように小男に言う台詞もはっきりと聞こえる。この世界とかいったか? この男、いま。この国ではなく、この世界、と。
嫌な予感のするリョウの思考を遮るように、赤毛の男がふと思い立ったように言った。
「いいぜ、ついてこいよ」
他の男たちが、目を見開く。
「おいセレネータ、おまえなに考えてんだよ!」
「無理だろう、どう考えても!」
セレネータと呼ばれた赤毛の男は、うるさそうに片手で耳を押さえた。
「ぎゃーぎゃーうるせぇな。なんとかなるだろ、たぶん」
そして、もう一度リョウを見る。
「シオン王子に会ったら、旅行者だって言え。それ以外は何も答えなくていいから」
どうやら彼らがルーインと呼ぶ「発見した少女」と会うには、シオン王子とやらに面通ししなければならないのだろう。いままでの会話で、リョウはそう判断する。
リョウがうなずくのを見ると、セレネータは先に立って歩き出した。
それで昨日あったことを思い出した。
そうだ、アイを助けようとしてエルの地にきてしまったんだった。
上半身を起こして見渡すと、暖炉の前で横になって眠っているリョウの姿が目に入る。あのあと無事に火はついたらしく、暖炉の中で薪がパチパチと小さな音を立てている。雨はやんでいるようで、窓から見える空はうっすらと明るい。
枕の脇にたたんでおいた制服の間から腕時計を出してみると、時刻は6時少し前を指し示していた。このエルの地では、多少の時差はあるのかもしれないが。
小屋の中はまだあたたかく、そのおかげだろうか、制服も乾き始めている。着れないほどではないが、どうしようかといった具合だ。
どこからか声が聞こえてきたのは、そのときだ。
<──か……>
ささやくように、確かにアイの声のように感じる。もしかして、この小屋の近くに来ているのだろうか。
ちょっとその辺を見るだけと、ぐっすり眠っているリョウを起こさないようにしてそっとベッドから抜け出す。小屋の扉を開けてきょろきょろと見渡すと、木々の間に金色が光ったように見えた。
金髪……? アイ?
「アイ」
なぜ隠れるようにしているのだろう? アイの姿は、木々に隠れて見えない。じれったくなって小屋から出る月花をいざなうように、また少し遠くのほうに金色が光る。もしかして、リョウに気づかれたくないのだろうか。
「アイ……待って」
近づけたと思うとまたすぐに引き離される。幾度かそれを繰り返して茂みをかき分けると、突然前が開けて泉が現れた。学校のプールを円形にしたほどの、そんなに大きくない泉。けれど、どこか心惹かれる泉。近寄ってみると、底が見えるほど澄んでいて美しい。
顔くらい、洗っていこうか。そう思ってしゃがみ込み、そろそろと手を伸ばす。
この泉があたたかければ、お風呂代わりにもなるのにな。なんて思いながら泉に手を入れた月花は、驚いた。湯気も出ていないのに、泉の水が温泉のようにあたたかいのだ。
──小屋からそう遠くないし、すぐに戻れば大丈夫かな。
少し迷っていたが、冷え切った身体をどうにかしたい。汚れた身体をどうにかしたい。その思いが勝り、毛布と下着をとって泉に浸かる。
「きもちいい──」
思わず声が出てしまうほどの心地良さ。極楽とは、まさにこのことだろう。泉の中に座ると、ちょうど肩の高さまでお湯がくる。手でお湯をすくい、身体を洗っていた月花は、ふとその動きを止めた。
昨日制服を脱いだときは、気づかなかった。両胸の間、ちょうど真ん中あたりに、涙のしずくのようなアザができていた。どこかに、ぶつけたのだろうか。でも、触れてみても痛くない──。
「おい、女」
ふと背後から声をかけられ、びっくりして振り向く。短い銀髪に、紫色の瞳の背の高い、美しい女性が立っている。美しい──アイと同じくらい、いやそれ以上かもしれない。思わず見惚れてしまっていた月花に、彼女はもう一度声をかけてくる。
「この冬にその水。冷たくはないのか?」
こ んなにきれいなのに、なぜに男のような口調なのだろう。もったいない。よく見れば、着ている服も変だ。昔のヨーロッパ貴族が着ているような、マントつきの服。しかもやはり男みたいな服だった。一番引っかかったのは、相手はどうやら外国人のようなのに言葉が通じるようだということ。
不思議に思いながらも、
「お湯ですよ、これ。あ、もしかしてあなたもここに入りに来たんですか?」
と日本語で答えてみる。
「──お湯?」
銀髪の美女はニヤリと笑ったかと思うと、バサッとマントを翻した。マントが美女の全身を包み込んだかと思うと、一瞬で彼女は男の姿に様変わりする。さっきまで確かにあった豊かな胸のふくらみすら、消え去っていた。
「“ルーイン”はここにいたぞ! 逃がすな!」
その形の良い唇から出た声も、さっきとは違って低い男の声で。驚きと戸惑いを隠せない月花は、男の声に左右の茂みから一斉に出てきた兵隊のような男たちに、あっさりととらわれていた。
◇
冷たい風が吹いてきたのを感じて、リョウは目を覚ました。すっかり身体が冷え切っている。
暖炉に薪をくべておいたはずなのに……。
そう思いつつのリョウのぼんやりとした視界に入ってきたのは、またも一面の地面の青と森の緑だった。
「──!?」
がばっと飛び起きる。これは──どういうことなのだろう。
上半身をくるんでいたはずの毛布がない。いやそれどころか、小屋そのものがなくなっている。リョウは再び、森の中にいた。見覚えのある木や花をいくつか確認し、どうやら位置的にはあの小屋の場所で間違いないようだと冷静に判断する。
だが、本当にどういうことなのだろう。夢でも見ているのかとも思ったが、それにしてはリアルすぎる。
とりあえずたたんでおいた制服のシャツと上着を着て、月花はどこだろうと見渡してみる。ベッドがあった位置に、丁寧にたたまれた月花の制服は見つけたが、当の本人がいない。
「月花?」
ひとりでどこかに行ったのだろうか。月花の制服を拾い、探しに行こうとしたところへ、茂みの向こうからちょっと昔のヨーロッパの兵隊のような恰好をした、ふたりの男が現れた。片方の男は胸まである赤毛の髪をひとつの三つ編みにしているが、それが妙に似合っている。目が合うと、男が話しかけてきた。
「おまえ、“ルーイン”か?」
──ルーイン? ルーインてなんだ? というか、いま言葉が通じなかったか? 相手の髪の色で判断するのもどうかとは思うが、恐らく外人だろう。なのに、日本語で聞こえてくる。
リョウのその反応を見て赤毛の男は、もう片方のいかつい男に言った。
「違うみたいだぜ。もうここらにはいねぇよきっと。戻ろうぜ」
だが、いかつい男は目ざとくリョウが持っている月花の制服を見つける。指さし、赤毛の男に言う。
「もうひとりいるみたいだ。見逃したと知れたらシオン王子にお咎めがあるのは俺たちだぞ」
赤毛の男は、だるそうにがっくりと肩を落とす。
「もういいじゃねぇかよ、どんだけ探したと思ってんだよ。そもそも俺はルーインなんて興味ねぇんだよ」
いかつい男は相手にせず、リョウに尋ねてきた。
「こんな森の中でなにをしていた? 連れの者はどこにいる?」
だがリョウが答えるより早く、遠くのほうから「いたぞー!ルーインだ!」という声が聞こえてきて、ふたりの男は振り返った。
「──いたってよ。よかったな」
「そんな口をきくな。王子が聞いたら怒るぞ」
「どうでもいいぜ」
そんなやり取りをしている男たちの前に、茂みをかき分けて身長150センチほどと思われる小男が走ってくる。
「ルーインはあっちにいたぞ、やっぱり泉のほうだった。シオン王子自ら見つけた、少女だぞ」
それを聞いて、初めてリョウは口を開いた。
「少女って、ツキカという名前ですか?」
小男は、そこで初めてリョウの存在に気づいたようだった。じろじろと見てから、不審そうに答える。
「いや、まだ名前まではわからないらしいけど……」
「会わせて下さい。いますぐに」
逸る思いで、リョウは言う。もし彼らのいう少女が月花だったら、連れ戻せばいい。だが月花でない場合、改めて別の場所を探さなくてはいけない。だったら、早いほうがいいに決まっている。
だが、いかつい男が呆れたようにため息をついた。
「いきなりルーインに会いたいとは、あんたどうかしているのか?」
「旅行者じゃないか? ほら、変な服着てるし」
小男がささやくようにいかつい男に言っているが、ばっちり聞こえる。リョウからしてみれば、小男たちのほうがよほど変な服装なのだが。
「いくら旅行者でも、この世界の者ならルーインのことは赤ん坊でも知っているぞ」
つられていかつい男もささやくように小男に言う台詞もはっきりと聞こえる。この世界とかいったか? この男、いま。この国ではなく、この世界、と。
嫌な予感のするリョウの思考を遮るように、赤毛の男がふと思い立ったように言った。
「いいぜ、ついてこいよ」
他の男たちが、目を見開く。
「おいセレネータ、おまえなに考えてんだよ!」
「無理だろう、どう考えても!」
セレネータと呼ばれた赤毛の男は、うるさそうに片手で耳を押さえた。
「ぎゃーぎゃーうるせぇな。なんとかなるだろ、たぶん」
そして、もう一度リョウを見る。
「シオン王子に会ったら、旅行者だって言え。それ以外は何も答えなくていいから」
どうやら彼らがルーインと呼ぶ「発見した少女」と会うには、シオン王子とやらに面通ししなければならないのだろう。いままでの会話で、リョウはそう判断する。
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