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はちみつバレンタイン(プチ続編)
ハッピーバレンタイン
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◇
庭から結木邸本館、その玄関へと入ると、ちょうど何人かの使用人さんたちが大きな段ボール箱を抱えて、外に出ようとしているところだった。
「それ、なんの荷物ですか?」
一番近くにいる男性の使用人さんに尋ねてみると、
「椛さまに届いたバレンタインチョコです。毎年送られてくるんですが、今年も椛さまは全部養護施設に寄付していいと仰っておられたので、いま配達に行くところなんです」
「え、これ全部チョコなんですか!?」
椛さんて、ほんとにどれだけモテるの!?
「これでも今年は、いつもの半分以下ですよ。椛さまがご結婚なさったから、世の女性たちも遠慮なさったのでしょうね」
「椛さまは、いまはりん子さま一筋ですからねえ。りん子さまは、幸せ者ですよ」
驚いているわたしに、笑いかけつつそう言って、使用人さんたちは玄関を出て行った。
ああ……胸がモヤモヤする。
旦那さまがモテるのって、微妙な気持ちだなあ。
椛さんがモテるのは、それだけ椛さんの魅力が認められているっていうことだから、喜ばしいことではあるのだろうけれど
……やっぱり椛さんは、わたしだけの椛さんでいてほしい。
椛さんを、ひとり占めしたい。
……って、もうこれ以上ひとり占めのしようがないのかもしれないけれど……。
わたし、椛さんのこと言えない。
わたしだって、こんなに独占欲が強い。
悶々としつつ”新居”の部屋に帰ってきて
部屋着に着替え、気晴らしに紅茶でも飲もう、とキッチンスペースに行こうとしたところで、バッグに入れていたケータイの着信音が鳴った。
誰だろう、と思いつつケータイを開くと、ディスプレイには「椎名雪兎」の表示。
……椎名社長、いつのまにわたしのケータイに登録なんかしたんだろう。
少しのあいだそう考えて、ホテルに連れ込まれたあのときに違いない、と思い当たる。
それ以外に椎名社長がわたしのケータイをいじる隙なんか、なかったはずだ。
「……はい」
いったいなんの用だろう、と思いながら電話に出ると、イジワルそうな椎名社長の声が鼓膜を叩いた。
『椛、今日女と会ってるよ。年齢も外見も、椛とつりあうような女と』
ドクン、と心臓が嫌な音を立てる。
「ま、さか……」
『ほんとだって。証拠の写メ撮ったから、送ってやるよ』
そう言うが早いか、椎名社長は一方的に通話を切った。
直後、添付メールが送られてくる。
恐る恐る添付画像を開いたわたしは、ショックでしばらく立ち尽くしてしまった。
確かにその写メには、椛さんとひとりの女性が、仲睦ましげに街中を歩いている。
椎名社長が言っていたとおり、その女性は椛さんと同い年くらいで、とっても美人で……服を見ても、高級なものだと一目(ひとめ)でわかる。
椛さんもその女性も、微笑み合っていた。
……わたしなんかよりも、こういう女の人のほうが、椛さんの結婚相手として、ふさわしかったんだろうな。
きっと世間の人たちだって、そう思っているに違いない。
だから、昨日遊園地で会った元カノさんみたいな人も、出てきたりしちゃうんだ。
椛さん、そういえば今日は、「仕事に行く」とは言っていなかった。
ただ、「出かけなくちゃいけない」とだけ。
それに服だって、昨日わたしとデートのときに着ていたようなカジュアルなもので、でも高級感のあるもので。
椛さんに限って、浮気なんかしないって……わかっているのに。
胸のモヤモヤが、どんどん大きくなっていく。
だから、外がすっかり暗くなってから椛さんが帰ってきたときには、わたしはもう、自分でもコントロールがきかなくなっていたんだ。
「ただいま、……っと」
部屋に入ってきた瞬間、その胸の中に勢いよく抱きついていったわたしを、椛さんは、しっかりと受け止めてくれる。
「りんごちゃん? どうしたの?」
わたしはそれに答える余裕もなく、椛さんのシャツのボタンを上のほうだけプチプチと外して、あらわになったきめ細かできれいな肌に、くちづけた。
キスマーク……つけたことないけど、たぶん……こうすれば……。
唇をつけたまま加減もわからないままに強く吸い上げると、その白い肌に、思ったとおりに赤いアトがついた。
なおも肌にくちづけようとするわたしの顎を、椛さんの長い指がそっとつまんで、クッと顔を上げさせる。
「なにがあったのか、ぼくに教えて?」
椛さんは、とても穏やかで優しい瞳をしていた。
……とても、浮気なんかしてきたようには見えない。
「……わたしが椛さんにふつりあいだって、充分わかってます。でも、……わたしはもう、椛さんがいないと生きていけないんです。椛さんのことが、好きで好きで、大好きで……」
じわりと、椛さんの姿が涙で滲む。
人を好きすぎても涙が出るなんて、初めて知った。
「椛さんが、浮気なんてしないって信じてます。でも、わたし……ぜんぜん余裕、なくて……」
「浮気?」
きょとんとする、椛さんは
それでも、わたしの頬を伝う涙を優しく拭ってくれる。
「他の人に、椛さんを渡したりなんかしませんから……!」
だから、とわたしは喘ぐように続ける。
「だから……椛さん、わたしから離れないで……。お願いです……。わたし、椛さんのためだったらなんでもします。椛さんのためなら、なんでもできます……」
椛さんは、よしよしと頭を撫でてくれて
「なにがあったのか、もう少し詳しく聞かせてもらえるかな?」
優しく、そう尋ねてくれた。
それでわたしは、ついさっきの椎名社長とのやり取りを、すべて椛さんに打ち明けた。
椛さんにうながされて、椎名社長から送られてきた写メも見せる。
「なるほどね。それで、りんごちゃんのこの言動か」
椛さんは、
「落ち着くから、飲むといいよ」
そう言って、はちみつ入りのホットミルクを作ってくれた。
ひと口ずつ飲んでいると身体の芯からあたたまってきて、自然と心も少しずつ落ち着いてくる。
それを見計らったように、椛さんは種明かしをした。
「確かにぼくは、この女性と会っていたよ。だけど、それも取引のためだったんだよね」
「取引……?」
「うん。まあ取引って言っても、プライベートな取引だけど」
そして椛さんは、さっきから片手に持っていた紙袋を、はい、とわたしに差し出した。
「ぼくからりんごちゃんに、バレンタインの特製チョコレートのプレゼント」
「え……」
まさか、椛さんからバレンタインのチョコをもらえると思っていなかったわたしは、完全に虚を突かれて、目を見開いてしまう。
「ぼくからのチョコ、受け取ってくれないの?」
「あ……ありがとうございます」
男の人から、それも好きな人からチョコをもらえるなんて、当然、初めてのことで。
まだ信じられない気持ちで、そろそろと紙袋を受け取った。
中には小さな正方形の箱が入っていて、見た目よりも重い。
心にあたたかな、重さ。
「実は取引っていうのは、そのことなんだ」
遡れば、それは仙堂グループ相手の会食のために、出張が決まったとき。
「ぼくの、日本での一番のお気に入りのショコラティエが、仙堂グループ専属のショコラティエでね。今年のバレンタインは、りんごちゃんとの初めてのバレンタインだから絶対外せないと思って、そのショコラティエにバレンタインの特製チョコを特別に作ってもらえるよう、仙堂グループの会長にかけあったんだよ」
なんでも、そのショコラティエに特製チョコを注文するには、仙堂グループ会長の許可がいるらしい。
そこで椛さんは出張に行く前に、前もってその旨を仙堂グループの会長に伝えた。
仙堂グループの会長は、かなりお年を召された女性なのだそうだけれど、椛さんのことを、昔から孫のように可愛がってくれていて
「椛さんは、奥さんのことをとても愛しているのね。わたし、椛さんがうちのショコラティエに特製チョコを注文する日がくるのを、待ち望んでいたのよ」
そう、喜んでくれたのだという。
椛さんのことをそんなふうに可愛がってくれていたからこそ、椛さんが本社の社長になってからの仕事の取引のときは、椛さんとふたりきりの水入らずで、というのが仙堂グループ会長とのあいだの取り決めだったのは、確かだそうだ。
だけど出張先で、仙堂グループ会長は条件を出した。
「だけどそうねえ、ただ許可を出すんじゃありがたみもないでしょうし。そういえばうちの孫娘の日名子(ひなこ)が、旦那さんの誕生日プレゼントをなににするか悩んでいたわね。椛さん、日名子を助けてあげてくださる? そしたら、うちのショコラティエに注文することを許可するわ」
仙堂グループ会長の孫娘である日名子さんは、去年結婚したばかりで、その旦那さまは椛さんとおなじ大学の出で、学生時代は椛さんとも友人だったそう。
だから、椛さんも日名子さんの旦那さまの好みを、だいたいわかっているそうで。
「もう察しはついていると思うけど、りんごちゃんが見たこの写メに写っている女性が、日名子さん。これはセイジ……日名子さんの旦那さんの誕生日プレゼントを選ぶために、一緒に街を歩いているところだね」
旦那さま……セイジさんは今日が誕生日だったので、誕生日プレゼントが決まったあと、すぐに椛さんと日名子さんはセイジさんとも合流して、軽くお茶を飲んでセイジさんの誕生日のお祝いもしたらしい。
ちなみに、そのご夫婦と別れたあと椛さんは、椎名社長を呼び出して、わたしとのなれ初めを、こんこんと話して聞かせたのだそうだ。
椎名社長は、4年前に椛さんが約一ヵ月のあいだ行方不明だったことを知っていたし、椛さんが戻ってくる前、千春先生のことで椛さんがどれだけショックを受けていたのかもわかっていた。
だからまだしぶしぶとだったようだけど、わたしとのことを認めてくれたらしい。
「雪兎もそのとき、りんごちゃんに日名子さんとの写メを送ったことを白状すればよかったのに……あいつもたいがい歪んでるからね」
椛さんはそう言ったあと、
「セイジの誕生日に関しては、ぼくの友達の誕生日なんだからりんごちゃんも呼べばよかったんだけど……事情が事情でしょ? りんごちゃんにばれちゃったら、台無しだからね。でも……結局誤解させちゃって、ごめんね、りんごちゃん」
わたしは、ふるふるとかぶりを振る。
空になったマグカップを、ローテーブルの上に置いた。
「でも、そのおかげで……そのショコラティエに、こうしてわたしに特製チョコを作ってもらえたんですよね?」
「うん、まあそうなんだけど」
「……食べても、いいですか?」
「どうぞ」
わたしは紙袋の中から箱を取り出し、蓋を開けてみる。
中には林檎の形をした、かわいらしいチョコが、チョコレート色、淡いピンク色、白、と、色とりどりに、たくさん並べられていた。
「わあ……!」
目を輝かせたわたしは、さっそくチョコレート色の特製チョコをひとつつまみ、口に運んだ。
ほのかに林檎の味がして、それがまた濃厚なチョコレートの味と、絶妙にマッチしていて……。
「とってもおいしいです!」
たちまち笑顔になったわたしに、椛さんは
「喜んでもらえて、よかった」
そう言って、頬にキスをくれる。
それで、肝心なことを思い出した。
「そうだ! わたしも椛さんに、バレンタインのチョコ作ったんです」
ソファから立ち上がって、ラッピングしたまま冷蔵庫に入れておいた例の手作りチョコを取り出す。
そして、またリビングに戻ってきて、椛さんに手渡した。
「うまくできてるか、自信ないですけど……愛情だけは、たっぷりと込めました!」
勢い込んで言うわたしに、うれしそうに微笑む椛さん。
「ありがとう。……りんごちゃんの手作りなんて、感動だな。食べてもいい?」
「もちろんです!」
「じゃあ、いただきます」
椛さんはラッピングを丁寧にはがし、ちいさな箱から薔薇を象ったチョコをひとつ取り出すと、ひと口で頬張った。
「うん、すごくおいしい。甘さもちょうどいいし……これ、中に入ってるふわふわの食感は苺のムース?」
「正解です! 椛さんは死ぬほど甘いほうが好きだからと思って、ムースをかなり甘く作ったんです」
他の人が食べたら、甘すぎて、たぶんというか間違いなく口に合わないだろう。
それくらい、椛さんはかなりの甘党なのだ。
椛さんは何度も「おいしいなあ」と言って、作ったぶん全部きれいに平らげてくれた。
いくら世間の女性たちが、椛さんにどんな意図であれ、チョコレートを渡したとしても、椛さんはこうして、わたしのチョコレートしか食べない。
逆に言えば、椛さんはわたしのチョコレートだったら、食べてくれるんだ。
ああ……わたしってほんとうに、幸せ者だなあ。
「りんごちゃん、満面の笑みだよ」
くすくすと笑う、椛さん。
「だって、幸せですから」
自分でも、口元がニヤけているのがわかる。
さっきまでのモヤモヤした気持ちが、嘘のように心が晴れ渡っている。
椛さんは、わたしにくれた特製林檎チョコを一粒、つまみあげると、そんなわたしの口元に持ってきた。
「はい、りんごちゃん」
「? なんですか?」
「口、開けて?」
そ、れって……まさか世に言う、「あーん」という奴ですかっ……!?
かなり恥ずかしかったけど、椛さんがそのまま待っているものだから、勇気を出して口を心持ち大きく開けた。
そこに椛さんが、特製林檎チョコを入れてくる。
だけど、チョコよりもなによりも、かすかにわたしの唇と舌に触れた椛さんの指の甘い味が、わたしを掻き立てて……。
口の中の特製林檎チョコを食べ終わってから、わたしは、そっと言ってみた。
「椛さん」
「うん?」
「わたし、いま……椛さんのことが、……すごく、その……」
「すごく、なに?」
微笑む椛さんは、絶対に意味がわかっていると思う。
そのことを恨めしくも思ったけど、言わないと絶対にくれない。
そう確信していたから、続けた。
「……すごく、……欲しいです……」
とたん、椛さんに抱きすくめられる。
「ぼくも、りんごちゃんのことがすごく欲しいよ」
そうささやいてから、額に、頬に、そして唇に……順繰りに、優しいキスをくれる、椛さん。
次第にキスが激しいものになっていって、わたしと椛さんの吐息が絡まるようになってきたころ、
「……ベッドに、行こうか」
その誘いに、わたしはコクコクとうなずいた。
もう、一刻も早く椛さんとつながりたい。
心も身体も、ひとつになりたい。
場所を寝室に変え、ベッドの上に座って、その上にわたしをまたがらせるように座らせる、椛さん。
そんなかっこうをすると、椛さんの熱くてカタいものが、形がわかるほどにわたしの秘所に当たって。
恥ずかしい、けど……なんだかもう、疼きがひどくてたまらなくなってしまう。
「ぼくのためだったらなんでもしてくれるって、さっき言ったよね」
「……できます。椛さんのためだったら、なんでも」
「じゃあ、ぼくにキスして? 唇にも、さっきみたいに身体にも」
なんで、こんなときに……そんな、焦らすようなことを言うんだろう。
キスなんて、いくらでもしてあげる。
そんなふうに思ってしまう、いまのわたしはまるで熱病にでもおかされたかのよう。
熱い息を吐きながら、椛さんにまたがったかっこうのまま膝立ちになって、椛さんの唇にキス。
いつもの、甘いはちみつの味をゆっくり味わう余裕もなく、次は首筋に。
椛さんが自分でジャケットとセーターを脱ぐと、わたしはもどかしさに震える手で、シャツのボタンを最後まで開ける。
きれいで色っぽくて、ひきしまった椛さんの身体に見惚れて……明らかに欲情している自分を感じて、恥ずかしくなる。
それでも、また首筋に、鎖骨にと一生懸命キスをしていると、ふわっと片方の胸を大きな手で包まれた。
いつのまにか、わたしの服の前も開かれてしまっていて下着まで外されている。
わたしが一生懸命すぎて、気づかなかっただけなんだろうけれど。
椛さんの手が、わたしの胸の形を確かめるように、しなやかに動き出す。
先端を口に含まれ、舌で愛撫され、甘く噛まれては、ちゅっと音を立てて吸われて……もう、それだけで……
「ん、あ……っ!」
自由だった椛さんのもう片方の手が、前触れもなく、わたしの足の間にするりと入って触れられた。
「すごいね」
くすっとイジワルく笑われて、かぁっと羞恥に顔が熱くなる。
自分でもわかるくらいに、ソコはもう、いままでにないくらいにとろけてしまっていたから。
「今夜は、このまま、する?」
悪戯っぽく、まだ膝立ちのわたしを見上げる、椛さん。
「え……?」
「りん子が、上で」
そ、……
「む、……むりっ……そんなこと、したことないっ……」
「大丈夫」
甘くささやいて、わたしの首筋にキスをくれながら、カチャカチャとベルトを外す椛さん。
「このまま、腰を下ろすだけ」
「、でも……っ」
「りん子がしないと、ずっとあげられないよ?」
椛さんなんて、……イジワルで……ドSで、……でも……、大好き。
わたし、なんでこんなに性格歪んでるドS男を好きになっちゃったんだろう。
「……っ」
そっと言われたとおりにすると、椛さんの熱が、……っ。
わたしの愛液が、椛さんの硬い亀頭を濡らしていく。
恥ずかしくてそのままでいると、
「焦らしてるのは、どっち?」
「あ──っ!」
両方の手で腰をつかまれて、ぐっと力ずくで下ろされてしまった。
奥まで熱を感じて、もう……わたしは、夢中で。
「はっ……、……最高」
かすれたような椛さんの声も、切なげな表情も、たまらなく色っぽくて、扇情的で。
胸の奥も身体の奥も、きゅんと甘く、強く疼く。
情熱的に甘くささやきながら、椛さんも下から激しくわたしを揺らす。
「ねえ、りん子。ぼくのことが、好き?」
そんなの、わかりきっていることなのに……いまのわたしは、椛さんに素直になるしかなくて。
だって、こんな状態のまま途中でやめられたりなんかしたら、どうかなってしまう。
「好き……っ」
好き。好き。
大好き、……椛さん。
「きみは……ぼくだけの、ものだよ。誰にも……渡さない」
椛さんは、そして
「りん子、……愛してる──」
深く深く、わたしとつながりながら
深くて甘い、キスをくれた。
わたしも、愛してる……そう返したつもりだったけれど、あまりの快感に震えてかすれたものになってしまって。
だけど、きっと地獄耳の椛さんには、聞き取ってもらえただろう。
そしてわたしたちは、また、ふたり抱き合って幸せな夢を見る。
どこまでもわたしに甘い、はちみつみたいな……わたしの、愛しい旦那さま。愛しい愛しい、椛さん。
椛さんと、最初に迎えた
この、甘く愛されたバレンタインの日の夜のことを
わたしはきっと、一生……忘れない。
...……Happy Valentine……...
《End》
庭から結木邸本館、その玄関へと入ると、ちょうど何人かの使用人さんたちが大きな段ボール箱を抱えて、外に出ようとしているところだった。
「それ、なんの荷物ですか?」
一番近くにいる男性の使用人さんに尋ねてみると、
「椛さまに届いたバレンタインチョコです。毎年送られてくるんですが、今年も椛さまは全部養護施設に寄付していいと仰っておられたので、いま配達に行くところなんです」
「え、これ全部チョコなんですか!?」
椛さんて、ほんとにどれだけモテるの!?
「これでも今年は、いつもの半分以下ですよ。椛さまがご結婚なさったから、世の女性たちも遠慮なさったのでしょうね」
「椛さまは、いまはりん子さま一筋ですからねえ。りん子さまは、幸せ者ですよ」
驚いているわたしに、笑いかけつつそう言って、使用人さんたちは玄関を出て行った。
ああ……胸がモヤモヤする。
旦那さまがモテるのって、微妙な気持ちだなあ。
椛さんがモテるのは、それだけ椛さんの魅力が認められているっていうことだから、喜ばしいことではあるのだろうけれど
……やっぱり椛さんは、わたしだけの椛さんでいてほしい。
椛さんを、ひとり占めしたい。
……って、もうこれ以上ひとり占めのしようがないのかもしれないけれど……。
わたし、椛さんのこと言えない。
わたしだって、こんなに独占欲が強い。
悶々としつつ”新居”の部屋に帰ってきて
部屋着に着替え、気晴らしに紅茶でも飲もう、とキッチンスペースに行こうとしたところで、バッグに入れていたケータイの着信音が鳴った。
誰だろう、と思いつつケータイを開くと、ディスプレイには「椎名雪兎」の表示。
……椎名社長、いつのまにわたしのケータイに登録なんかしたんだろう。
少しのあいだそう考えて、ホテルに連れ込まれたあのときに違いない、と思い当たる。
それ以外に椎名社長がわたしのケータイをいじる隙なんか、なかったはずだ。
「……はい」
いったいなんの用だろう、と思いながら電話に出ると、イジワルそうな椎名社長の声が鼓膜を叩いた。
『椛、今日女と会ってるよ。年齢も外見も、椛とつりあうような女と』
ドクン、と心臓が嫌な音を立てる。
「ま、さか……」
『ほんとだって。証拠の写メ撮ったから、送ってやるよ』
そう言うが早いか、椎名社長は一方的に通話を切った。
直後、添付メールが送られてくる。
恐る恐る添付画像を開いたわたしは、ショックでしばらく立ち尽くしてしまった。
確かにその写メには、椛さんとひとりの女性が、仲睦ましげに街中を歩いている。
椎名社長が言っていたとおり、その女性は椛さんと同い年くらいで、とっても美人で……服を見ても、高級なものだと一目(ひとめ)でわかる。
椛さんもその女性も、微笑み合っていた。
……わたしなんかよりも、こういう女の人のほうが、椛さんの結婚相手として、ふさわしかったんだろうな。
きっと世間の人たちだって、そう思っているに違いない。
だから、昨日遊園地で会った元カノさんみたいな人も、出てきたりしちゃうんだ。
椛さん、そういえば今日は、「仕事に行く」とは言っていなかった。
ただ、「出かけなくちゃいけない」とだけ。
それに服だって、昨日わたしとデートのときに着ていたようなカジュアルなもので、でも高級感のあるもので。
椛さんに限って、浮気なんかしないって……わかっているのに。
胸のモヤモヤが、どんどん大きくなっていく。
だから、外がすっかり暗くなってから椛さんが帰ってきたときには、わたしはもう、自分でもコントロールがきかなくなっていたんだ。
「ただいま、……っと」
部屋に入ってきた瞬間、その胸の中に勢いよく抱きついていったわたしを、椛さんは、しっかりと受け止めてくれる。
「りんごちゃん? どうしたの?」
わたしはそれに答える余裕もなく、椛さんのシャツのボタンを上のほうだけプチプチと外して、あらわになったきめ細かできれいな肌に、くちづけた。
キスマーク……つけたことないけど、たぶん……こうすれば……。
唇をつけたまま加減もわからないままに強く吸い上げると、その白い肌に、思ったとおりに赤いアトがついた。
なおも肌にくちづけようとするわたしの顎を、椛さんの長い指がそっとつまんで、クッと顔を上げさせる。
「なにがあったのか、ぼくに教えて?」
椛さんは、とても穏やかで優しい瞳をしていた。
……とても、浮気なんかしてきたようには見えない。
「……わたしが椛さんにふつりあいだって、充分わかってます。でも、……わたしはもう、椛さんがいないと生きていけないんです。椛さんのことが、好きで好きで、大好きで……」
じわりと、椛さんの姿が涙で滲む。
人を好きすぎても涙が出るなんて、初めて知った。
「椛さんが、浮気なんてしないって信じてます。でも、わたし……ぜんぜん余裕、なくて……」
「浮気?」
きょとんとする、椛さんは
それでも、わたしの頬を伝う涙を優しく拭ってくれる。
「他の人に、椛さんを渡したりなんかしませんから……!」
だから、とわたしは喘ぐように続ける。
「だから……椛さん、わたしから離れないで……。お願いです……。わたし、椛さんのためだったらなんでもします。椛さんのためなら、なんでもできます……」
椛さんは、よしよしと頭を撫でてくれて
「なにがあったのか、もう少し詳しく聞かせてもらえるかな?」
優しく、そう尋ねてくれた。
それでわたしは、ついさっきの椎名社長とのやり取りを、すべて椛さんに打ち明けた。
椛さんにうながされて、椎名社長から送られてきた写メも見せる。
「なるほどね。それで、りんごちゃんのこの言動か」
椛さんは、
「落ち着くから、飲むといいよ」
そう言って、はちみつ入りのホットミルクを作ってくれた。
ひと口ずつ飲んでいると身体の芯からあたたまってきて、自然と心も少しずつ落ち着いてくる。
それを見計らったように、椛さんは種明かしをした。
「確かにぼくは、この女性と会っていたよ。だけど、それも取引のためだったんだよね」
「取引……?」
「うん。まあ取引って言っても、プライベートな取引だけど」
そして椛さんは、さっきから片手に持っていた紙袋を、はい、とわたしに差し出した。
「ぼくからりんごちゃんに、バレンタインの特製チョコレートのプレゼント」
「え……」
まさか、椛さんからバレンタインのチョコをもらえると思っていなかったわたしは、完全に虚を突かれて、目を見開いてしまう。
「ぼくからのチョコ、受け取ってくれないの?」
「あ……ありがとうございます」
男の人から、それも好きな人からチョコをもらえるなんて、当然、初めてのことで。
まだ信じられない気持ちで、そろそろと紙袋を受け取った。
中には小さな正方形の箱が入っていて、見た目よりも重い。
心にあたたかな、重さ。
「実は取引っていうのは、そのことなんだ」
遡れば、それは仙堂グループ相手の会食のために、出張が決まったとき。
「ぼくの、日本での一番のお気に入りのショコラティエが、仙堂グループ専属のショコラティエでね。今年のバレンタインは、りんごちゃんとの初めてのバレンタインだから絶対外せないと思って、そのショコラティエにバレンタインの特製チョコを特別に作ってもらえるよう、仙堂グループの会長にかけあったんだよ」
なんでも、そのショコラティエに特製チョコを注文するには、仙堂グループ会長の許可がいるらしい。
そこで椛さんは出張に行く前に、前もってその旨を仙堂グループの会長に伝えた。
仙堂グループの会長は、かなりお年を召された女性なのだそうだけれど、椛さんのことを、昔から孫のように可愛がってくれていて
「椛さんは、奥さんのことをとても愛しているのね。わたし、椛さんがうちのショコラティエに特製チョコを注文する日がくるのを、待ち望んでいたのよ」
そう、喜んでくれたのだという。
椛さんのことをそんなふうに可愛がってくれていたからこそ、椛さんが本社の社長になってからの仕事の取引のときは、椛さんとふたりきりの水入らずで、というのが仙堂グループ会長とのあいだの取り決めだったのは、確かだそうだ。
だけど出張先で、仙堂グループ会長は条件を出した。
「だけどそうねえ、ただ許可を出すんじゃありがたみもないでしょうし。そういえばうちの孫娘の日名子(ひなこ)が、旦那さんの誕生日プレゼントをなににするか悩んでいたわね。椛さん、日名子を助けてあげてくださる? そしたら、うちのショコラティエに注文することを許可するわ」
仙堂グループ会長の孫娘である日名子さんは、去年結婚したばかりで、その旦那さまは椛さんとおなじ大学の出で、学生時代は椛さんとも友人だったそう。
だから、椛さんも日名子さんの旦那さまの好みを、だいたいわかっているそうで。
「もう察しはついていると思うけど、りんごちゃんが見たこの写メに写っている女性が、日名子さん。これはセイジ……日名子さんの旦那さんの誕生日プレゼントを選ぶために、一緒に街を歩いているところだね」
旦那さま……セイジさんは今日が誕生日だったので、誕生日プレゼントが決まったあと、すぐに椛さんと日名子さんはセイジさんとも合流して、軽くお茶を飲んでセイジさんの誕生日のお祝いもしたらしい。
ちなみに、そのご夫婦と別れたあと椛さんは、椎名社長を呼び出して、わたしとのなれ初めを、こんこんと話して聞かせたのだそうだ。
椎名社長は、4年前に椛さんが約一ヵ月のあいだ行方不明だったことを知っていたし、椛さんが戻ってくる前、千春先生のことで椛さんがどれだけショックを受けていたのかもわかっていた。
だからまだしぶしぶとだったようだけど、わたしとのことを認めてくれたらしい。
「雪兎もそのとき、りんごちゃんに日名子さんとの写メを送ったことを白状すればよかったのに……あいつもたいがい歪んでるからね」
椛さんはそう言ったあと、
「セイジの誕生日に関しては、ぼくの友達の誕生日なんだからりんごちゃんも呼べばよかったんだけど……事情が事情でしょ? りんごちゃんにばれちゃったら、台無しだからね。でも……結局誤解させちゃって、ごめんね、りんごちゃん」
わたしは、ふるふるとかぶりを振る。
空になったマグカップを、ローテーブルの上に置いた。
「でも、そのおかげで……そのショコラティエに、こうしてわたしに特製チョコを作ってもらえたんですよね?」
「うん、まあそうなんだけど」
「……食べても、いいですか?」
「どうぞ」
わたしは紙袋の中から箱を取り出し、蓋を開けてみる。
中には林檎の形をした、かわいらしいチョコが、チョコレート色、淡いピンク色、白、と、色とりどりに、たくさん並べられていた。
「わあ……!」
目を輝かせたわたしは、さっそくチョコレート色の特製チョコをひとつつまみ、口に運んだ。
ほのかに林檎の味がして、それがまた濃厚なチョコレートの味と、絶妙にマッチしていて……。
「とってもおいしいです!」
たちまち笑顔になったわたしに、椛さんは
「喜んでもらえて、よかった」
そう言って、頬にキスをくれる。
それで、肝心なことを思い出した。
「そうだ! わたしも椛さんに、バレンタインのチョコ作ったんです」
ソファから立ち上がって、ラッピングしたまま冷蔵庫に入れておいた例の手作りチョコを取り出す。
そして、またリビングに戻ってきて、椛さんに手渡した。
「うまくできてるか、自信ないですけど……愛情だけは、たっぷりと込めました!」
勢い込んで言うわたしに、うれしそうに微笑む椛さん。
「ありがとう。……りんごちゃんの手作りなんて、感動だな。食べてもいい?」
「もちろんです!」
「じゃあ、いただきます」
椛さんはラッピングを丁寧にはがし、ちいさな箱から薔薇を象ったチョコをひとつ取り出すと、ひと口で頬張った。
「うん、すごくおいしい。甘さもちょうどいいし……これ、中に入ってるふわふわの食感は苺のムース?」
「正解です! 椛さんは死ぬほど甘いほうが好きだからと思って、ムースをかなり甘く作ったんです」
他の人が食べたら、甘すぎて、たぶんというか間違いなく口に合わないだろう。
それくらい、椛さんはかなりの甘党なのだ。
椛さんは何度も「おいしいなあ」と言って、作ったぶん全部きれいに平らげてくれた。
いくら世間の女性たちが、椛さんにどんな意図であれ、チョコレートを渡したとしても、椛さんはこうして、わたしのチョコレートしか食べない。
逆に言えば、椛さんはわたしのチョコレートだったら、食べてくれるんだ。
ああ……わたしってほんとうに、幸せ者だなあ。
「りんごちゃん、満面の笑みだよ」
くすくすと笑う、椛さん。
「だって、幸せですから」
自分でも、口元がニヤけているのがわかる。
さっきまでのモヤモヤした気持ちが、嘘のように心が晴れ渡っている。
椛さんは、わたしにくれた特製林檎チョコを一粒、つまみあげると、そんなわたしの口元に持ってきた。
「はい、りんごちゃん」
「? なんですか?」
「口、開けて?」
そ、れって……まさか世に言う、「あーん」という奴ですかっ……!?
かなり恥ずかしかったけど、椛さんがそのまま待っているものだから、勇気を出して口を心持ち大きく開けた。
そこに椛さんが、特製林檎チョコを入れてくる。
だけど、チョコよりもなによりも、かすかにわたしの唇と舌に触れた椛さんの指の甘い味が、わたしを掻き立てて……。
口の中の特製林檎チョコを食べ終わってから、わたしは、そっと言ってみた。
「椛さん」
「うん?」
「わたし、いま……椛さんのことが、……すごく、その……」
「すごく、なに?」
微笑む椛さんは、絶対に意味がわかっていると思う。
そのことを恨めしくも思ったけど、言わないと絶対にくれない。
そう確信していたから、続けた。
「……すごく、……欲しいです……」
とたん、椛さんに抱きすくめられる。
「ぼくも、りんごちゃんのことがすごく欲しいよ」
そうささやいてから、額に、頬に、そして唇に……順繰りに、優しいキスをくれる、椛さん。
次第にキスが激しいものになっていって、わたしと椛さんの吐息が絡まるようになってきたころ、
「……ベッドに、行こうか」
その誘いに、わたしはコクコクとうなずいた。
もう、一刻も早く椛さんとつながりたい。
心も身体も、ひとつになりたい。
場所を寝室に変え、ベッドの上に座って、その上にわたしをまたがらせるように座らせる、椛さん。
そんなかっこうをすると、椛さんの熱くてカタいものが、形がわかるほどにわたしの秘所に当たって。
恥ずかしい、けど……なんだかもう、疼きがひどくてたまらなくなってしまう。
「ぼくのためだったらなんでもしてくれるって、さっき言ったよね」
「……できます。椛さんのためだったら、なんでも」
「じゃあ、ぼくにキスして? 唇にも、さっきみたいに身体にも」
なんで、こんなときに……そんな、焦らすようなことを言うんだろう。
キスなんて、いくらでもしてあげる。
そんなふうに思ってしまう、いまのわたしはまるで熱病にでもおかされたかのよう。
熱い息を吐きながら、椛さんにまたがったかっこうのまま膝立ちになって、椛さんの唇にキス。
いつもの、甘いはちみつの味をゆっくり味わう余裕もなく、次は首筋に。
椛さんが自分でジャケットとセーターを脱ぐと、わたしはもどかしさに震える手で、シャツのボタンを最後まで開ける。
きれいで色っぽくて、ひきしまった椛さんの身体に見惚れて……明らかに欲情している自分を感じて、恥ずかしくなる。
それでも、また首筋に、鎖骨にと一生懸命キスをしていると、ふわっと片方の胸を大きな手で包まれた。
いつのまにか、わたしの服の前も開かれてしまっていて下着まで外されている。
わたしが一生懸命すぎて、気づかなかっただけなんだろうけれど。
椛さんの手が、わたしの胸の形を確かめるように、しなやかに動き出す。
先端を口に含まれ、舌で愛撫され、甘く噛まれては、ちゅっと音を立てて吸われて……もう、それだけで……
「ん、あ……っ!」
自由だった椛さんのもう片方の手が、前触れもなく、わたしの足の間にするりと入って触れられた。
「すごいね」
くすっとイジワルく笑われて、かぁっと羞恥に顔が熱くなる。
自分でもわかるくらいに、ソコはもう、いままでにないくらいにとろけてしまっていたから。
「今夜は、このまま、する?」
悪戯っぽく、まだ膝立ちのわたしを見上げる、椛さん。
「え……?」
「りん子が、上で」
そ、……
「む、……むりっ……そんなこと、したことないっ……」
「大丈夫」
甘くささやいて、わたしの首筋にキスをくれながら、カチャカチャとベルトを外す椛さん。
「このまま、腰を下ろすだけ」
「、でも……っ」
「りん子がしないと、ずっとあげられないよ?」
椛さんなんて、……イジワルで……ドSで、……でも……、大好き。
わたし、なんでこんなに性格歪んでるドS男を好きになっちゃったんだろう。
「……っ」
そっと言われたとおりにすると、椛さんの熱が、……っ。
わたしの愛液が、椛さんの硬い亀頭を濡らしていく。
恥ずかしくてそのままでいると、
「焦らしてるのは、どっち?」
「あ──っ!」
両方の手で腰をつかまれて、ぐっと力ずくで下ろされてしまった。
奥まで熱を感じて、もう……わたしは、夢中で。
「はっ……、……最高」
かすれたような椛さんの声も、切なげな表情も、たまらなく色っぽくて、扇情的で。
胸の奥も身体の奥も、きゅんと甘く、強く疼く。
情熱的に甘くささやきながら、椛さんも下から激しくわたしを揺らす。
「ねえ、りん子。ぼくのことが、好き?」
そんなの、わかりきっていることなのに……いまのわたしは、椛さんに素直になるしかなくて。
だって、こんな状態のまま途中でやめられたりなんかしたら、どうかなってしまう。
「好き……っ」
好き。好き。
大好き、……椛さん。
「きみは……ぼくだけの、ものだよ。誰にも……渡さない」
椛さんは、そして
「りん子、……愛してる──」
深く深く、わたしとつながりながら
深くて甘い、キスをくれた。
わたしも、愛してる……そう返したつもりだったけれど、あまりの快感に震えてかすれたものになってしまって。
だけど、きっと地獄耳の椛さんには、聞き取ってもらえただろう。
そしてわたしたちは、また、ふたり抱き合って幸せな夢を見る。
どこまでもわたしに甘い、はちみつみたいな……わたしの、愛しい旦那さま。愛しい愛しい、椛さん。
椛さんと、最初に迎えた
この、甘く愛されたバレンタインの日の夜のことを
わたしはきっと、一生……忘れない。
...……Happy Valentine……...
《End》
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