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第一章 未知なる世界でスローライフを!
黒い、黒すぎ
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オースティンさんに腹黒女王が来た時の対応を任せた。
村には入れず、村の外で対応して欲しいと。
そして俺は万が一を考えて広場の女神像の台座に魔石を取り付け、村全体に結界を張れるようにした。
ちなみに魔石は魔族を倒した時にドロップした物だ。
魔族の魔石はとても品質が高く長持ちするらしいのでこれで長時間結界が持つだろう。
「村長。台座のこの部分を横に開いて魔石を触ると結界が村全体を覆うようにしました。
村に危険が迫った時はこの結界の中に入れば安全ですので皆に伝えておいてください」
「これは誰が魔石に触っても構わないのですか」
「はい、構いません」
「レンジ様。何から何まで本当にありがとうございます。この御恩は村人全員で忘れる事なく語り継いでいきます」
「そんな大袈裟な。そんな事をしなくても結構ですから」
そんな他愛もない押し問答をしていると腹黒女王がやってきたと伝えられた。
「おい、エルルーン様。あなた達は絶対に接触するな。いいな、これ以上面倒事を増やさないでくれよ」
「な、なんでですか。それにこれは神殿の問題ですよ」
「あれ、俺達に会いに来たのに神殿の問題なんですか。あれれ、クロノア様のお言葉を忘れたのですか、エルルーン様」
「むぐぐぐ、ずるいです。レンジ様はずるいです」
なんとでも言うがいい。トラブルが大きくなるよりマシだからな。
「レンジ、村の外で会いたいってさ」
「そうか。なら二人だけで行こうか」
「うん!」
◇
村の外に出るとオースティンさんが迎えてくれた。
そのまま三人で腹黒女王様の待つ場所まで歩いた。
あれが女王様か。派手派手しいのにも程があるだろ。
いかにも金と権力に汚い感じだ。
(レンジ見て。魂、真っ黒)
(ああ、周りにいる奴らも含めて穢れすぎてんな)
(なんか汚すぎて近寄りたくないよ)
(我慢しろ。浄化するのも大聖女の務めだ)
この穢れの色は間違いなく悪魔絡みだな。少し警戒しておくか。
「これはこれは勇者様に大聖女様。初めまして、私は聖教国女王ゲースリアと申します。以後、お見知りおきを。
あちらの天幕で聖女エイルも待っておりますのでお話はあちらで」
天幕の方へ目をやると、その天幕の後ろには五十騎程の騎士が控えていた。
それも完全武装の臨戦態勢だ。
はぁぁぁ、いかにもなキャラだよ。
しかも俺達に精神攻撃が通じるとでも思っているのか。
(なんかチクチクするんだけど。もうぶっ飛ばしていいよね)
(まあ待て。お楽しみはこれからかもしれないしな)
(どうせあれでしょ。お香とかそんなやつ)
そんな話をしながら天幕の中に入ると大きな長机の向こうで聖女と従者らしきものが立っていた。
その長机に一人だけ腹黒女王が座り、俺達は向かいの椅子に座った。
何気に聖女より私の方が偉いアピールでもしたつもりなのだろうか。
別にそんなことをしても俺達には一切関係ないのに滑稽なことだ。
(ほら、お香じゃん。で、次は飲み物でしょ、どうせ)
(飲んでも効かないって驚かせるか)
(やだよ。あんな奴が出したものに口をつけるのは)
だな。まったく俺も同じ意見だ。
で、やはり出されたお茶にも仕込んである。
お約束通りの展開過ぎて最早面倒だ。
「どうぞ。最高級のお茶を用意致しました」
こんなのでもう勝った気でいるのか……
(やめたやめた)
「あほなのか。お前らは。
こんなもので俺達を操れるとでも思ってるのか。
おい、それにそこのばか聖女。
操られてるふりするなら、もう少し上手くやれ」
俺が話し終えるとリィーナは鎖で全員を拘束した。
相変わらず見事な手並みだ。
「貴様ら、何を。私にこんなことをして、」
「ねぇ、権力を笠に着る奴って同じ事しか言わないね。
ばかなのかなぁ。
オースティンさん、やっておしまい」
その言葉を合図にオースティンさん達騎士が一斉に雪崩れ込んできた。
「外の連中も拘束したから無駄だよ。誰もあんたの助けになんか来ないよ」
そう言って椅子から立ち上がり聖女の前まで歩いていくと、聖女の頬に強烈な平手打ちをかました。
「操られてるふりして楽しかった。
思うように相手が動いてくれて、まんまと私達と敵対してさぁ、勝手に破滅してくれてさ。さぞかし愉快だったんだろうね。
私さぁ、そういう姑息な人って嫌いなんだよね。しかも魂少し濁ってるし。
二度と私達の前に姿を見せるな!」
そして止めの平手打ちを炸裂させた。
なぁ、それは痛いだろ。痛すぎじゃないか。
もう少し手加減ていうものを……
「レンジ、行こう」
リィーナは俺の手を取ると不機嫌極まりないといった顔で天幕を後にした。
「おい。そんなに怒ることはないだろ」
「……やなの。ああいった人は。もう神殿も敵だよ、私にとってはね」
これはまずいな。
私って言ってる時点で本気だしな。
こりゃあ、機嫌が直るの長くなりそうだな。
その後なぜかリィーナは無言でエルルーン達三人にも平手打ちをしていた。
エルルーン達は驚きすぎてしばらく固まっていたが、なぜか叩かれた意味も分かっていないのに必死に後をついて謝っていた。
何度無視されても諦めずに何度も。
うーん。これは俺でも手こずるな。
というか、こんなに怒っているリィーナを見たこともないし。
そりゃあ聖女の魂が少しでも濁っていたらキレるよな。
たとえ、善人の範囲だとしてもさ。
エルルーンとか真っ白だし尚更だよな……
はぁ、女神フレイヤ様、クロノア様。
申し訳ありません。神殿が敵認定になりました。
でも私の信仰は変わりませんのでご安心ください。
俺は天を見上げ祈りを捧げた。
村には入れず、村の外で対応して欲しいと。
そして俺は万が一を考えて広場の女神像の台座に魔石を取り付け、村全体に結界を張れるようにした。
ちなみに魔石は魔族を倒した時にドロップした物だ。
魔族の魔石はとても品質が高く長持ちするらしいのでこれで長時間結界が持つだろう。
「村長。台座のこの部分を横に開いて魔石を触ると結界が村全体を覆うようにしました。
村に危険が迫った時はこの結界の中に入れば安全ですので皆に伝えておいてください」
「これは誰が魔石に触っても構わないのですか」
「はい、構いません」
「レンジ様。何から何まで本当にありがとうございます。この御恩は村人全員で忘れる事なく語り継いでいきます」
「そんな大袈裟な。そんな事をしなくても結構ですから」
そんな他愛もない押し問答をしていると腹黒女王がやってきたと伝えられた。
「おい、エルルーン様。あなた達は絶対に接触するな。いいな、これ以上面倒事を増やさないでくれよ」
「な、なんでですか。それにこれは神殿の問題ですよ」
「あれ、俺達に会いに来たのに神殿の問題なんですか。あれれ、クロノア様のお言葉を忘れたのですか、エルルーン様」
「むぐぐぐ、ずるいです。レンジ様はずるいです」
なんとでも言うがいい。トラブルが大きくなるよりマシだからな。
「レンジ、村の外で会いたいってさ」
「そうか。なら二人だけで行こうか」
「うん!」
◇
村の外に出るとオースティンさんが迎えてくれた。
そのまま三人で腹黒女王様の待つ場所まで歩いた。
あれが女王様か。派手派手しいのにも程があるだろ。
いかにも金と権力に汚い感じだ。
(レンジ見て。魂、真っ黒)
(ああ、周りにいる奴らも含めて穢れすぎてんな)
(なんか汚すぎて近寄りたくないよ)
(我慢しろ。浄化するのも大聖女の務めだ)
この穢れの色は間違いなく悪魔絡みだな。少し警戒しておくか。
「これはこれは勇者様に大聖女様。初めまして、私は聖教国女王ゲースリアと申します。以後、お見知りおきを。
あちらの天幕で聖女エイルも待っておりますのでお話はあちらで」
天幕の方へ目をやると、その天幕の後ろには五十騎程の騎士が控えていた。
それも完全武装の臨戦態勢だ。
はぁぁぁ、いかにもなキャラだよ。
しかも俺達に精神攻撃が通じるとでも思っているのか。
(なんかチクチクするんだけど。もうぶっ飛ばしていいよね)
(まあ待て。お楽しみはこれからかもしれないしな)
(どうせあれでしょ。お香とかそんなやつ)
そんな話をしながら天幕の中に入ると大きな長机の向こうで聖女と従者らしきものが立っていた。
その長机に一人だけ腹黒女王が座り、俺達は向かいの椅子に座った。
何気に聖女より私の方が偉いアピールでもしたつもりなのだろうか。
別にそんなことをしても俺達には一切関係ないのに滑稽なことだ。
(ほら、お香じゃん。で、次は飲み物でしょ、どうせ)
(飲んでも効かないって驚かせるか)
(やだよ。あんな奴が出したものに口をつけるのは)
だな。まったく俺も同じ意見だ。
で、やはり出されたお茶にも仕込んである。
お約束通りの展開過ぎて最早面倒だ。
「どうぞ。最高級のお茶を用意致しました」
こんなのでもう勝った気でいるのか……
(やめたやめた)
「あほなのか。お前らは。
こんなもので俺達を操れるとでも思ってるのか。
おい、それにそこのばか聖女。
操られてるふりするなら、もう少し上手くやれ」
俺が話し終えるとリィーナは鎖で全員を拘束した。
相変わらず見事な手並みだ。
「貴様ら、何を。私にこんなことをして、」
「ねぇ、権力を笠に着る奴って同じ事しか言わないね。
ばかなのかなぁ。
オースティンさん、やっておしまい」
その言葉を合図にオースティンさん達騎士が一斉に雪崩れ込んできた。
「外の連中も拘束したから無駄だよ。誰もあんたの助けになんか来ないよ」
そう言って椅子から立ち上がり聖女の前まで歩いていくと、聖女の頬に強烈な平手打ちをかました。
「操られてるふりして楽しかった。
思うように相手が動いてくれて、まんまと私達と敵対してさぁ、勝手に破滅してくれてさ。さぞかし愉快だったんだろうね。
私さぁ、そういう姑息な人って嫌いなんだよね。しかも魂少し濁ってるし。
二度と私達の前に姿を見せるな!」
そして止めの平手打ちを炸裂させた。
なぁ、それは痛いだろ。痛すぎじゃないか。
もう少し手加減ていうものを……
「レンジ、行こう」
リィーナは俺の手を取ると不機嫌極まりないといった顔で天幕を後にした。
「おい。そんなに怒ることはないだろ」
「……やなの。ああいった人は。もう神殿も敵だよ、私にとってはね」
これはまずいな。
私って言ってる時点で本気だしな。
こりゃあ、機嫌が直るの長くなりそうだな。
その後なぜかリィーナは無言でエルルーン達三人にも平手打ちをしていた。
エルルーン達は驚きすぎてしばらく固まっていたが、なぜか叩かれた意味も分かっていないのに必死に後をついて謝っていた。
何度無視されても諦めずに何度も。
うーん。これは俺でも手こずるな。
というか、こんなに怒っているリィーナを見たこともないし。
そりゃあ聖女の魂が少しでも濁っていたらキレるよな。
たとえ、善人の範囲だとしてもさ。
エルルーンとか真っ白だし尚更だよな……
はぁ、女神フレイヤ様、クロノア様。
申し訳ありません。神殿が敵認定になりました。
でも私の信仰は変わりませんのでご安心ください。
俺は天を見上げ祈りを捧げた。
応援ありがとうございます!
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