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第一章 未知なる世界でスローライフを!
女神様の審判
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オースティンによって捕えられた聖教国の者達は天幕の所で一ヶ所に集められて拘束されていた。
で、聖女はというと離れた場所にあるオースティンの天幕で一人だけ別に隔離されていた。
オースティンにリィーナによって敵認定された聖女の処遇を尋ねられたが、天幕の中でそのままでいいと答えた。
もうあれから二時間ほど経つのに、まだリィーナの機嫌は直っていなかった。
そんな時突然空が曇り、聖教国の天幕に轟音と共に雷が落ちた。
その破壊力は凄まじく、天幕周辺を跡形もなく聖教国女王や騎士諸共全てを吹き消し去った。
その後、空に黄金の輝きが幾重も現れると美しい澄み渡るような声が響き渡った。
浅はかで、また愚かで、人は顧みずに同じ罪を重ねる
欲に溺れ、他者を蹴落とし虐げ、そしてまた非道を重ね魂を穢していく
私が与えたその力は、そんな愚行を重ねるために与えたものではない
いま一度考えよ。他者を慈しむ心、自然を慈しむ心を
強者は、か弱き善良な者を守り救うためにその強大な力を奮うのだと思い出せ
私の神託に背いた者たちよ
そなたらへの天罰は、私の勇者と大聖女が厳しく下す
私は愛と豊穣の女神フレイヤ
その神格に相応しい世界を
この世界に生きる全ての愛し子たちに期待する
そう女神様が告げ終わると、空はただ普通の青空に変わっていた。
そしてそばにいたエルルーン達神官衆三人が胸を押さえて突然苦しみだした。
「おい、大丈夫か!」
「だ、大丈夫、です。
……これは、あ、あの女の、所業を長く、見逃した罰、ですので」
しばらくエルルーン達は胸を押さえて苦しんでいたが痛みが治った後は何事もなかったようにケロッとしていた。
「はあああぁ、ある意味ご褒美ですね。女神フレイヤ様のお声も直接聞けましたし」
おい、この心配した気持ちを返せ。
「今頃、神官全員が同じように思っていますよ」
やめた。心配して損した。
俺は広場にいるリィーナのもとへ向かった。
◇
俺がリィーナと村の手伝いをしているとエルルーンが凄い形相で走ってきた。
「レンジ様、リィーナ様。聖女の聖紋が消えました!」
ほう、それはそれは。
だが、俺にはなんも関係ない。
「だろうね。それだけで済んだ事に感謝した方がいいよ、女神様に」
エルルーンの方を見ずにリィーナは冷たく言い放った。
その上、手を上下に振って、あっちへ行けと促していた。
ほんとやばいな。
リィーナを怒らせるのは絶対にやめておこう。
リィーナがあの時聖女に言った言葉。
ガキの頃に似たような事を雪奈も言っていたな。
なんかたまに雪奈と言動が被るよな、リィーナは。
「レンジ。そろそろポプラに行って旅の支度しようか」
「もう行くのか。大丈夫か」
「支援の人たちもたくさん来たし、あんまり長居して離れ難くなるのも嫌だからね」
「そうだな。行くか」
俺達は村長や村人。オースティンさんに挨拶をしてポプラの街へ転移した。
「わああ、相変わらず賑やかだね」
「だな。なんか食うか」
「ううん。シェフリーさんの料理が食べられなくなるから我慢するよ。それよりも先に旅の買い出ししよっ!」
リィーナに腕を掴まれて連れて行かれた。
とりあえず笑ってるし、まあいいか。
あとは美味しいものでも食べれば機嫌も直るさ。
「レンジ。セリーヌちゃんを約束通り夕食に招待しておいてね」
ずるいぞ!
いまのお前には断れないじゃないか!
あーあ、もういやだ。
(あ、セリーヌ。今から俺の所へ来れるか)
(はい、大丈夫ですけど)
(あー、あれだ。うちの相方が会いたいんだとさ)
(大聖女様が、ですか。ではそちらに行きますね)
俺達の目の前に金髪赤眼、少し良い庶民の格好をしたセリーヌが現れた。
「おまたせしました、レンジ様。大聖女様、お会いできて光栄です。セリーヌと申します」
魔族の女王らしくもなくペコリと頭を下げた。
その姿にリィーナはとても気に入ったらしく、満面の笑顔でセリーヌと握手していた。
「リィーナ、リィーナって呼んでね。セリーヌちゃん」
「あ、はい。リィーナ様」
「もう、かわいいんだから。ねえねえ、今日は一緒に寝ようね」
はっ、はいいぃー!
お、おまえ何言ってんだよ、ばかなの。
「はい、リィーナ様がよろしければ」
ばかなの、おまえまで何言ってんだよ!
「よし、今日は親睦会だね。たくさん話して、たくさん食べて飲もうね!」
そのお金は誰が払うのですか。
間違っても俺じゃないよな。
「でも先にシーフレアに行く準備しなきゃだから買い物付き合ってね」
「はい」
出会ったばかりなのに仲良く手をつないで俺をおいて先に歩いていった。
「はやく、レンジもおいでよ!」
なにがおいでよだ。
さっさと先に行っといて。
でもまあ、本格的に機嫌も良くなったし、良しとするか。
けどセリーヌ。この街に、というか、なんでピンポイントで転移できたんだ。
あれ、俺セリーヌに転移スキルは渡してないよな。
ってことは、俺より上位の転移スキルを最初から持っていたのか。
ん、んんん、この世界奥深いな。
もっとこの世界の事を勉強しないと駄目だし、もらった力に甘えて胡座をかいていたら置いてかれるからな。
よし、明日からがんばろう!
で、聖女はというと離れた場所にあるオースティンの天幕で一人だけ別に隔離されていた。
オースティンにリィーナによって敵認定された聖女の処遇を尋ねられたが、天幕の中でそのままでいいと答えた。
もうあれから二時間ほど経つのに、まだリィーナの機嫌は直っていなかった。
そんな時突然空が曇り、聖教国の天幕に轟音と共に雷が落ちた。
その破壊力は凄まじく、天幕周辺を跡形もなく聖教国女王や騎士諸共全てを吹き消し去った。
その後、空に黄金の輝きが幾重も現れると美しい澄み渡るような声が響き渡った。
浅はかで、また愚かで、人は顧みずに同じ罪を重ねる
欲に溺れ、他者を蹴落とし虐げ、そしてまた非道を重ね魂を穢していく
私が与えたその力は、そんな愚行を重ねるために与えたものではない
いま一度考えよ。他者を慈しむ心、自然を慈しむ心を
強者は、か弱き善良な者を守り救うためにその強大な力を奮うのだと思い出せ
私の神託に背いた者たちよ
そなたらへの天罰は、私の勇者と大聖女が厳しく下す
私は愛と豊穣の女神フレイヤ
その神格に相応しい世界を
この世界に生きる全ての愛し子たちに期待する
そう女神様が告げ終わると、空はただ普通の青空に変わっていた。
そしてそばにいたエルルーン達神官衆三人が胸を押さえて突然苦しみだした。
「おい、大丈夫か!」
「だ、大丈夫、です。
……これは、あ、あの女の、所業を長く、見逃した罰、ですので」
しばらくエルルーン達は胸を押さえて苦しんでいたが痛みが治った後は何事もなかったようにケロッとしていた。
「はあああぁ、ある意味ご褒美ですね。女神フレイヤ様のお声も直接聞けましたし」
おい、この心配した気持ちを返せ。
「今頃、神官全員が同じように思っていますよ」
やめた。心配して損した。
俺は広場にいるリィーナのもとへ向かった。
◇
俺がリィーナと村の手伝いをしているとエルルーンが凄い形相で走ってきた。
「レンジ様、リィーナ様。聖女の聖紋が消えました!」
ほう、それはそれは。
だが、俺にはなんも関係ない。
「だろうね。それだけで済んだ事に感謝した方がいいよ、女神様に」
エルルーンの方を見ずにリィーナは冷たく言い放った。
その上、手を上下に振って、あっちへ行けと促していた。
ほんとやばいな。
リィーナを怒らせるのは絶対にやめておこう。
リィーナがあの時聖女に言った言葉。
ガキの頃に似たような事を雪奈も言っていたな。
なんかたまに雪奈と言動が被るよな、リィーナは。
「レンジ。そろそろポプラに行って旅の支度しようか」
「もう行くのか。大丈夫か」
「支援の人たちもたくさん来たし、あんまり長居して離れ難くなるのも嫌だからね」
「そうだな。行くか」
俺達は村長や村人。オースティンさんに挨拶をしてポプラの街へ転移した。
「わああ、相変わらず賑やかだね」
「だな。なんか食うか」
「ううん。シェフリーさんの料理が食べられなくなるから我慢するよ。それよりも先に旅の買い出ししよっ!」
リィーナに腕を掴まれて連れて行かれた。
とりあえず笑ってるし、まあいいか。
あとは美味しいものでも食べれば機嫌も直るさ。
「レンジ。セリーヌちゃんを約束通り夕食に招待しておいてね」
ずるいぞ!
いまのお前には断れないじゃないか!
あーあ、もういやだ。
(あ、セリーヌ。今から俺の所へ来れるか)
(はい、大丈夫ですけど)
(あー、あれだ。うちの相方が会いたいんだとさ)
(大聖女様が、ですか。ではそちらに行きますね)
俺達の目の前に金髪赤眼、少し良い庶民の格好をしたセリーヌが現れた。
「おまたせしました、レンジ様。大聖女様、お会いできて光栄です。セリーヌと申します」
魔族の女王らしくもなくペコリと頭を下げた。
その姿にリィーナはとても気に入ったらしく、満面の笑顔でセリーヌと握手していた。
「リィーナ、リィーナって呼んでね。セリーヌちゃん」
「あ、はい。リィーナ様」
「もう、かわいいんだから。ねえねえ、今日は一緒に寝ようね」
はっ、はいいぃー!
お、おまえ何言ってんだよ、ばかなの。
「はい、リィーナ様がよろしければ」
ばかなの、おまえまで何言ってんだよ!
「よし、今日は親睦会だね。たくさん話して、たくさん食べて飲もうね!」
そのお金は誰が払うのですか。
間違っても俺じゃないよな。
「でも先にシーフレアに行く準備しなきゃだから買い物付き合ってね」
「はい」
出会ったばかりなのに仲良く手をつないで俺をおいて先に歩いていった。
「はやく、レンジもおいでよ!」
なにがおいでよだ。
さっさと先に行っといて。
でもまあ、本格的に機嫌も良くなったし、良しとするか。
けどセリーヌ。この街に、というか、なんでピンポイントで転移できたんだ。
あれ、俺セリーヌに転移スキルは渡してないよな。
ってことは、俺より上位の転移スキルを最初から持っていたのか。
ん、んんん、この世界奥深いな。
もっとこの世界の事を勉強しないと駄目だし、もらった力に甘えて胡座をかいていたら置いてかれるからな。
よし、明日からがんばろう!
応援ありがとうございます!
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