108 / 230
新婚編
邪神様、地獄からの天国でした
しおりを挟む
「ヘカテー、今、なんて言ったの」
「ですから、あの島は結界が弱まり、今とても危ない状況なのです」
わたしは驚きのあまり二度も尋ねてしまった。
ヒルデ達を見渡すと一様に険しい表情をしていた。
さらに、わたしの肩に座るクロノアも緊張と怒りで体を強張らせているのが手に取る様に分かった。また、その事をヒルデだけは察していた。
「それで、再度結界を張りなおすことはできるの。弱まった原因は掴めてるの」
「あの駄犬どもの出現などを考えると、おそらくハデスの干渉が原因かと。ならば、また再び奴を退けなければ結界を張りなおすことは不可能です。お姉様、力不足で申し訳ありません」
ゼウスが滅んだ事で、欲がでてきたのか、それとも復讐しにきたのか。たぶん、後者なのだろう。
「アルヴィド。他の女神にもこの件について警戒するよう、至急使者を送りなさい。そしてこの街にロザミア、マチルダ、セリーヌ、ミツキ、クオンは残ってください。ロザミア、彼女達の事はお願いしますね」
悠太くんが島に行ってから三日か。まだ、たぶん大丈夫だろう。けど、巻き込まれ体質だから少し心配だな。
「それと、全ワルキューレは完全武装で一度ここに集合させたのちに、最悪を想定してきっちり編成すること。ブリュンヒルド、指揮をあなたに一任します」
「はっ、仰せのままに」
「スクルド、ロータ、エイルは、わたしとヘカテー共に先行します。至急、準備を整えてください」
皆が急いで散っていく中、クロノアだけが残っていた。
「クロ、そんなに心配しなくても大丈夫。今回はわたしも一緒なんだから。わたし達二人なら無敵でしょ」
「そうだよね。フレイヤと一緒なら無敵だよね」
思い出したくない。二度と同じ思いはしたくない、そんな気持ちは痛いほど分かっているから。
「それにね。わたしの戦乙女達は、あの頃よりすごく強くなったんだよ。アテーナイでのあの戦いぶりをクロにも見せてあげたかったよ。だから、安心して大丈夫だからね」
わたしはクロを掌に乗せて、安心させるように自信たっぷりな表情で明るく語りかけると、彼女の額にキスをした。
「もう、わたしが子供みたいじゃない、やめてよね」
◇
凛子の手料理を久々に堪能して、その後は和やかに昔話に花を咲かせていた。のだが、恐怖は忘れた頃にやってくる。
小屋の窓から外を見れば、白く淡い人の姿をした者達が、ふわふわと宙を彷徨っていた。
俺達は肌を寄せ合い、もとい、身を寄せ合って震えていた。
「佐藤くん、あれは、あれって、」
「言うな、言ってはいけない。俺達は夢の中にいるんだ、そうだろ、凛子」
「そうだよ、ね。そう、夢、夢だよね。あははは」
なんてことだ。こんなでか虫ゾーンより恐ろしい世界は。
凛子とこんなに近づいているのに、温もりどころか背筋がどんどん寒くなる。
「よし、俺が排除してこよう。俺が凛子を必ず守るからな」
あああああ、なんて馬鹿な事を言うのかな、俺は!
「佐藤くん一人には決してしない。わたしはそう誓ったの。死ぬ時も生きる時も一緒だから」
震える足で必死に立ち上がる彼女を見て、俺の紳士パワーが全開になる。
「大丈夫だよ、凛。俺を信じてくれ」
彼女のその気持ちに男として応えなければいけない。
男には死ぬと分かっていても立ち上がる時があるのだ!
俺はマルディールを手に外へ飛びだすと、一気に幽霊を斬った。
あああああ、手応えがないんですけどおぉー!
ん、でも消えたな。やったのか、俺。
少し冷静になって、襲い掛かる幽霊を斬り払った。
おお、さすがはマルディールだ。これに斬れぬものはない。
調子に乗った俺は次々と幽霊を仕留めていった。
「佐藤くん、もう全部やっつけたみたいだよ」
「うん、俺と凛子の愛の勝利だ!」
俺達は抱き合って勝利を喜び、熱い口づけを交わした。
そして、そのままベッドで、はじめての愛を交わした。
とても胸の鼓動が高まり、そして少し戸惑いながらも、不器用にお互い何度も愛し合った。
「佐藤くん、不慣れでごめんね」
「そんな事はないから。凛子はとても素敵だったよ」
「そうかな、そうだと嬉しいな」
「本当だよ。なら、もう一度、証明するよ」
俺はまた凛子を優しく愛おしく抱きしめた。
本当に長い付き合いを感じさせる、俺の全てを何も言わずに分かってくれるのだから。
俺達は眠る事を忘れて、ただ愛して求めあった。
そして次に目が覚めた時は、何故か夕方だった。
「今夜もここで野営だよな、仕方がないよな」
「うん、そうだね。なにか食べるものでも作るよ」
布一枚もまとわない凛子を見て、俺はまた後ろから抱きしめた。
「ごはん作れないよ」
「ごはんより、俺は凛子とこうしていたい」
「もう、しょうがないなあ」
そう言って、彼女は優しくキスをしてくれた。
「じゃあ、一緒にお風呂に入ろうよ。わたし夢だったんだ、佐藤くんの背中を流してあげるのが」
彼女は笑顔で俺の手を引いて、お風呂場まで連れていった。それはとても嬉しそうに。
凛子とこんな日が来るなんて夢にも思ってなかったけど、凛子と結ばれて心から良かったと思った。
これからも、たくさん恋をしような、凛。
「ですから、あの島は結界が弱まり、今とても危ない状況なのです」
わたしは驚きのあまり二度も尋ねてしまった。
ヒルデ達を見渡すと一様に険しい表情をしていた。
さらに、わたしの肩に座るクロノアも緊張と怒りで体を強張らせているのが手に取る様に分かった。また、その事をヒルデだけは察していた。
「それで、再度結界を張りなおすことはできるの。弱まった原因は掴めてるの」
「あの駄犬どもの出現などを考えると、おそらくハデスの干渉が原因かと。ならば、また再び奴を退けなければ結界を張りなおすことは不可能です。お姉様、力不足で申し訳ありません」
ゼウスが滅んだ事で、欲がでてきたのか、それとも復讐しにきたのか。たぶん、後者なのだろう。
「アルヴィド。他の女神にもこの件について警戒するよう、至急使者を送りなさい。そしてこの街にロザミア、マチルダ、セリーヌ、ミツキ、クオンは残ってください。ロザミア、彼女達の事はお願いしますね」
悠太くんが島に行ってから三日か。まだ、たぶん大丈夫だろう。けど、巻き込まれ体質だから少し心配だな。
「それと、全ワルキューレは完全武装で一度ここに集合させたのちに、最悪を想定してきっちり編成すること。ブリュンヒルド、指揮をあなたに一任します」
「はっ、仰せのままに」
「スクルド、ロータ、エイルは、わたしとヘカテー共に先行します。至急、準備を整えてください」
皆が急いで散っていく中、クロノアだけが残っていた。
「クロ、そんなに心配しなくても大丈夫。今回はわたしも一緒なんだから。わたし達二人なら無敵でしょ」
「そうだよね。フレイヤと一緒なら無敵だよね」
思い出したくない。二度と同じ思いはしたくない、そんな気持ちは痛いほど分かっているから。
「それにね。わたしの戦乙女達は、あの頃よりすごく強くなったんだよ。アテーナイでのあの戦いぶりをクロにも見せてあげたかったよ。だから、安心して大丈夫だからね」
わたしはクロを掌に乗せて、安心させるように自信たっぷりな表情で明るく語りかけると、彼女の額にキスをした。
「もう、わたしが子供みたいじゃない、やめてよね」
◇
凛子の手料理を久々に堪能して、その後は和やかに昔話に花を咲かせていた。のだが、恐怖は忘れた頃にやってくる。
小屋の窓から外を見れば、白く淡い人の姿をした者達が、ふわふわと宙を彷徨っていた。
俺達は肌を寄せ合い、もとい、身を寄せ合って震えていた。
「佐藤くん、あれは、あれって、」
「言うな、言ってはいけない。俺達は夢の中にいるんだ、そうだろ、凛子」
「そうだよ、ね。そう、夢、夢だよね。あははは」
なんてことだ。こんなでか虫ゾーンより恐ろしい世界は。
凛子とこんなに近づいているのに、温もりどころか背筋がどんどん寒くなる。
「よし、俺が排除してこよう。俺が凛子を必ず守るからな」
あああああ、なんて馬鹿な事を言うのかな、俺は!
「佐藤くん一人には決してしない。わたしはそう誓ったの。死ぬ時も生きる時も一緒だから」
震える足で必死に立ち上がる彼女を見て、俺の紳士パワーが全開になる。
「大丈夫だよ、凛。俺を信じてくれ」
彼女のその気持ちに男として応えなければいけない。
男には死ぬと分かっていても立ち上がる時があるのだ!
俺はマルディールを手に外へ飛びだすと、一気に幽霊を斬った。
あああああ、手応えがないんですけどおぉー!
ん、でも消えたな。やったのか、俺。
少し冷静になって、襲い掛かる幽霊を斬り払った。
おお、さすがはマルディールだ。これに斬れぬものはない。
調子に乗った俺は次々と幽霊を仕留めていった。
「佐藤くん、もう全部やっつけたみたいだよ」
「うん、俺と凛子の愛の勝利だ!」
俺達は抱き合って勝利を喜び、熱い口づけを交わした。
そして、そのままベッドで、はじめての愛を交わした。
とても胸の鼓動が高まり、そして少し戸惑いながらも、不器用にお互い何度も愛し合った。
「佐藤くん、不慣れでごめんね」
「そんな事はないから。凛子はとても素敵だったよ」
「そうかな、そうだと嬉しいな」
「本当だよ。なら、もう一度、証明するよ」
俺はまた凛子を優しく愛おしく抱きしめた。
本当に長い付き合いを感じさせる、俺の全てを何も言わずに分かってくれるのだから。
俺達は眠る事を忘れて、ただ愛して求めあった。
そして次に目が覚めた時は、何故か夕方だった。
「今夜もここで野営だよな、仕方がないよな」
「うん、そうだね。なにか食べるものでも作るよ」
布一枚もまとわない凛子を見て、俺はまた後ろから抱きしめた。
「ごはん作れないよ」
「ごはんより、俺は凛子とこうしていたい」
「もう、しょうがないなあ」
そう言って、彼女は優しくキスをしてくれた。
「じゃあ、一緒にお風呂に入ろうよ。わたし夢だったんだ、佐藤くんの背中を流してあげるのが」
彼女は笑顔で俺の手を引いて、お風呂場まで連れていった。それはとても嬉しそうに。
凛子とこんな日が来るなんて夢にも思ってなかったけど、凛子と結ばれて心から良かったと思った。
これからも、たくさん恋をしような、凛。
0
あなたにおすすめの小説
転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる
初
ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。
レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。
これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができて、先行者利益を獲得できたとしたら〜
一日千秋
ファンタジー
昨今、話題の現実にダンジョンができる系の作品です。
高校生達のダンジョン攻略と日常の学校生活、ビジネス活動を書いていきます。
舞台は2025年、
高校2年生の主人公の千夏将人(チナツマサト)は
異世界漫画研究部の部長をしています。
同じ部活の友人たちとある日突然できたダンジョンに
できてすぐ侵入します。
オタクは知っている、ダンジョンには先行者利益があることを。
そして、得たスキルでこつこつダンジョンを攻略していき、日本で影響力をつけていった先に待ち受ける困難とは!?
ダンジョンの設定はステータス、レベル、スキルあり、ダンジョン内のモンスターの死体はしっかり消えます。
一話につき1000〜2500文字くらいの読みやすい量になっているので初心者には読みやすい仕様になっております。
キャラクターはところどころ新キャラが出てきますがメインストーリーは主に3人なので複雑になりすぎないように心がけています。
「いいね」頂けるととても嬉しいです!
「お気に入り」登録も最高に嬉しいです!
よろしくお願いします!
※契約書、経済システムの書式、掲示板テンプレはAI生成を活用して制作しております。修正、加筆は行っております。ご了承下さい。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる