邪神様に恋をして

そらまめ

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新婚編

邪神様、毎度毎度すみません

 またいつものように戦闘後に倒れた。
 全くもって成長しない。

 目を開けると常の様にマルデルが側にいてくれた。
 ただ今回は何故か俺の手を握っていた。

「ごめん、また倒れちゃった。あははは」

 思わず気恥ずかしくて笑ってごまかしてしまったが、彼女はただ静かにうなづいて笑ってくれた。

「あれからどうなったのかな。みんなは無事だった」
「うん、悠太くんのおかげで皆んな無事だったよ。ありがとう」
「うん、なら良かった」

 彼女は微笑みながら俺の手をさすってくれた。
 そして、少しだけ悲しそうな表情を見せては隠した。

「ごめんね。いつも無理ばかりさせて。そしてこんなにいつも気を遣わせてしまってばかりで、本当にごめんなさい」

 こんな事を言わせたい訳でもなく、こんな辛い思いをして欲しい訳じゃないのに、いつも俺のやる事は空回りだ。
 君のために、君の笑顔が見たくて、君に穏やかに幸せに暮らして欲しいから頑張ったのに、いつも……

「ねえ、俺は君に、君のためにやれてるのかな。いつも心配させて辛い思いしかさせてないような気がする。どうしたら俺は、君が心から笑っていられるように出来るのかな。こんなにも君をいちばん大切に思って、いちばん愛しているのに」

「わたしは今がとても幸せだよ。あなたを心配するのも、そして、あなたが傷ついて、わたしが辛い思いをするのも、それは大好きなあなたと一緒にいる証なんだよ。良いことも、悪いことも全てひっくるめて、こうしてあなたの側にいられる事が、幸せなんだよ」

 そう静かに話すと、微笑んで口づけをしてくれた。
 思わずその微笑みに見惚れてしまい目を開けたまま、俺は彼女と口づけを交わした。


「あのさあ、二人が熱々なのはいいけど、彼が目を覚ましたなら私を紹介してくれる約束だったよね、フレイヤ」

 いつの間にかドアにもたれ掛かった、マルデルによく似た超絶美男子がいた。

「あ、兄さん。すっかり忘れていたわ。だって招かざる客人でしょ、兄さんは」
「おいおい、なんでそんなに邪魔者扱いするんだい。こうしていられるのも少しは私のおかげだろ」

 超絶美男子は頭を掻きながらも格好いいというか、様になってる。
 そんな彼をどこか懐かしく思うのは気のせいだろうか。

「あの、はじめまして佐藤悠太といいます。妹さんと結婚したのですが、なんか色々とすみません」

 彼は少し面を食らった表情をした後に愉快そうに軽く拳を握り口を隠して笑った。

「あははは、はじめましてか。そうか、そうだよな。ああ、ごめん。なら私も自己紹介しなくてはな。私はフレイ、そこのフレイヤの双子の兄だ。生意気な妹だが、これからも末永くよろしく頼む」

 彼はそう名乗ると、俺に頭を下げた。
 えええ、神様が人間に頭なんかさげてもいいの。俺に天罰とか下らないよね。

「ちょっと、生意気な、は余計なんだけど。悠太くんに嘘を教えないでよね」
「嘘を言ってるのは君だろ。彼に名も偽ったりしてさ」
「ちょっと、なに言ってるの。わたしは悠太くんに嘘はついてませんから。誤解される様な事は言わないで」

 なんかすごく懐かしいな。そんな気がする。

「お兄さん、マルデルが俺に嘘をつく時は優しい嘘ですから。だから何も問題ありません」

 マルデルは目を潤ませて俺を見つめると急に抱きついてきた。あ、かわいいな、ほんと。

「ほら、見なさい。悠太くんにはちゃんと伝わってるんだからね。余計な事ばかり言って邪魔しないで」

 彼女は俺の首に腕を絡ませながら彼に文句をつけた。
 うん、これはこれで、ほんとかわいい。

「君がそうやってフレイヤを甘やかすから、そんなわがままな娘になったんだぞ。少しは厳しい事も言って欲しいものだよ」

 また彼は呆れたように頭を掻いて苦言を呈した。
 しかし、超絶美男子は何をやっても様になる。

「で、兄さん。もういいでしょ。早くこの部屋から出て行って。わたし達の邪魔しないで」
「はいはい、邪魔者は退散しますよ」

 そう言って軽く手を振って部屋から出て行った。と、思っていたらドアから顔だけを出してのぞいていた。だがそれをマルデルは気付かない。

「まったく兄さんには困ったものだよ。いつもあんな感じなんだよ、ひどいと思わない」
「いや、ひどくないと思うぞ。これもフレイヤの為だからな」

 その声に不機嫌そうに彼女は振り返ると、おもむろに告げた。

「兄さん、よっぽど死にたいの。ええ、だってそうでしょ、そんな盗み聞きするような輩は一万回死ねばいいのよ」

 彼女はゆっくりと立ち上がると彼ににじり寄った。

「ま、待て、ほんの冗談だ。久々だから、つい、な。ちゃんと出ていくから」

 彼は逃げた。それはもう青い顔して引きつった表情で足早に立ち去った。

「マルデル、なにか食べるものはないかな。少しお腹が減ったみたいだ」
「うん、今すぐ用意するね」

 満面の笑みで、何事もなかったように足取りも軽く部屋から出ていった。

 俺は倒れるようにベッドに寝ると天井を眺めた。

 はぁ、あまりマルデルを怒らせないでくれよな。
 俺に飛び火したら困るだろ。ほんと、頼むよ。
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