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再襲 4
しおりを挟む「………………んっ!?」
「ーごさん……」
「ちょっ、何……」
耳元に感じる呼吸はまだ眠たげで、どちらかと言えば落ち着いているーーはずなのだが。
いかんせん、尾骨に。
(当たってる当たってる…………!!)
意識した途端柔らかく押し付けられ始めて、敬吾はやっと慌て始めた。
が、やはり遅い。
器用なことに本能だけで目覚めた逸が、敬吾の肩を引いて仰向かせてのしかかる。
そして笑った。
「………敬吾さん」
「────、」
あまりに愛おしげに、独り言のように呟かれ、敬吾は言葉を失う。
返事をする類の呼びかけなのかどうか、わからなかった。
敬吾が俯いてしまうとやはり返事など求めてもいなかったのか、逸はまたその髪に顔を埋める。
また慌てて敬吾が逸の肩を押し返すがやはり出遅れているようだった。
逸が最初から求めているものが、敬吾にはまだ訝しいから。
だがまたスウェットの中に手が潜り、それが胸まで押し上げられると──
「っっだーーやっぱりかよっ!やめろって!」
「んん…………?」
「何する気だよ!朝っぱらからこの馬鹿っ…………」
「だって………」
「…………!」
逸の指先が、焦らすように乳輪の縁をなぞる。
敬吾は慌てて体を固め息を殺すが、今まで押し返そうとしていた逸の肩に縋るようになってしまった。
嬉しそうに頬を緩ませ、逸は手を引いて裾を正してやる。
そのまま今度は服の上からまだ小さな膨らみをすりすりと撫でた。
「…………っ」
敬吾が手の甲で口をふさぐと、逸はその手が抵抗に回らないことに気を良くする。
緩みきった口元が少し人相悪く歪み、開いた。
「今日は敬吾さん、俺のなんですもん………」
「────きょ、」
今日は、だとか。そういう問題か?
また言葉を失って敬吾は口を金魚さながらぱくつかせるが、逸は気にもしない。
敬吾を独り占めに出来ることが嬉しくて、その特権を謳歌したくて堪らなかった。
敬吾が本気で抵抗しないなら………
「………敬吾さん」
また独り言のようにその名を呼び、困ったように引かれた唇に吸い寄せられるように重ね合わせる。
不満げながら開いてくれる唇を柔らかく舐め上げ、温かいその感触に浸った。
口は開くくせに引きこもる舌を追い、絡ませると諦めたらしい、敬吾は逃げるのをやめた。
夢中で絡め、溶け合う頃になると頼りなく膝が揺れる。
それを持ち上げると、逸は下着ごとズボンを下ろした。
最低限谷間が露出する程度に。
「んーーー!!?」
「んー、……ふふ」
唇は深く合わせたまま、敬吾は藻掻き逸は笑う。
そしてその合間に指を捩じ込み濡らして、やはりと言うべきか、敬吾の中に埋めた。
「んん──………!」
また噛み合わされた唇が苦しく喘ぐ。
間延びした寝起きの体には余る快感に、必要以上に体が跳ねた。
「んっ!んっんぅ……っ、……ん──……!」
舌を噛まれそうなほど激しく敬吾が呻くので、逸は弾くように強く口付けて顔を離した。
声は開放されたのに、それだけに留めどなく溢れてしまいそうで今度は自分で口をふさぐ。
そうしながら敬吾はやはりいつもより必死に快感に耐えているようだった。
「敬吾さん……… 可愛い」
「……っぁ!うぅ………っ」
大きく腿を上げられ、逸の膝に上げられても、冷えた体に熱い飛沫を浴びるような衝撃を伴った快感に翻弄されていてまともに把握も出来ない。
やっと自分がもう食われるばかりなのだと自覚したのは、
「……入れますね」
──そう言われてからだった。
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