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4 踏んで下さい
しおりを挟む「ねぇ奏(ソウ)、時間ある?」
上層部の彼、尋くんにそう聞かれて、
断れるほど身分の高くない僕はもちろん
「うん、大丈夫だよ」
平気なふりをしてそう答える。
それはあくまでふりで。
平気なわけがない。
僕が何か気に触ることでも
してしまったのかなあと
思い返していると
ぐっと胸を引かれて
体育用具室に連れ込まれた。
そして、
目の前に突きつけられたのは
紛れもなくBL本で。
僕の好きな屈辱系。
最近買ったはずなのに
なくなってしまったと
思っていたものだった。
本が見つかったことへの
安堵が生まれた瞬間、
ドンッ
肩への突然の衝撃。
何事かと目を開ければ、
僕はやわらかめのマットの上に
腰を抜かすように埋まっていた。
「尋くん…?」
行動の目的を全く理解できない僕は
彼の名前を呼んだ。
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