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1話
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魔法学校。
俺でも苦笑いをしてしまうほどのネーミングセンスのない名前。
そんな学校に俺は通っている。
まぁ、魔法学校、なんて言うくらいだから魔法は使うんだが、多分昔……"Wの逆転"の前に語られていた"魔法"とは、結構毛色の違うものを俺らは扱っている。
「基礎魔法は、なんなくできますよー、と」
まず、魔法……の元となる魔力、というものには二つの性質があることがわかった。
「"支配"やっぱ上手くならないとなー」
「こっちは"増幅"が上手くいかないんだよなぁ」
支配、増幅。
この二つの特性が魔力にはあった。
昔、語られていた魔法というものは、無から有を作り出せるものが主流だったが、今の魔法はそんなものではない。
「うわ……」
「やっぱやべぇよあれ……」
有から有を作り出し、
「流石南部の天才……」
「南部はやっぱり……」
その有を増幅し、操り、
「うわぁ、魔力やば…………」
「出来るわけないよ……」
それを支配したもの、それを魔法と呼ぶ。
そこには、津波とも呼べる質量の水を、天体のように配置している小柄な少女の姿があった
「南部さんってなんでそんなに魔法使えるの?!」
「ねぇねぇ南部さん!」
南部。
それは俺の名前……な訳はなく、俺は俺でちゃんとした名前を持っている。
波切冬至(なきりとうじ)
魔法学校1ーC、名簿番号25、誕生日は11月11日のお菓子会社がこぞって騒ぎ始める日、血液型はAB型の至って普通の、魔法がみんなより少しうまく使える学生だ。
それで、話題は戻るが、この南部、という絶賛隣でチヤホヤされて、なのに無表情を貫き、露骨に近寄らないでオーラを醸し出している銀髪ボブカット幼女だ。
俺は割と魔法業界というか、魔法で有名な人が分からないため、最初は本当に高校生なのか聞いてしまいそうになってしまったが、みんなからすれば、銀髪ボブカット幼女=南部の天才次女、という常識があるらしく、久しぶりに、話しかけなかった自分を褒めてあげたくなるほどにすごい人だった。
ちなみに、南部、というのは俺でも知っているくらいには、魔法業界においてはかなりの意味を持つ。
魔法省最高責任者の父、魔戦……魔法による戦闘型スポーツの元チャンピオンである母、現魔法学校生徒会長兼現魔戦における最強だろうと言われている姉、というありえない家系だ。
俺も小さい頃は、南部の母にあたる、南部詩織のチャンピオン戦は何回も見た。
そんな誰でも知っているような家系の子で、チヤホヤされるのは仕方が無いだろう。
「おーし!午後の授業始めるぞー!」
そこに現れたのは、筋肉によってはちきれんばかりのスーツを身に纏った、サングラスをかけた男……椚硬(くぬぎこう)
俺らのクラスである1ーCの担任である。
その姿を見るなり、生徒は各々で返事を返し、席につく。
「えー、お前らがこの学校に入学してから1週間が経った!
まずは質問だ!」
サングラスをチャキ、とあげ、その奥にある瞳を見せる。
この先生は、一見超スパルタ教師、に見えるが、その実すごい良い人で、生徒に大して常に真摯である。
それに、魔戦で一時期活躍していた、という一部の生徒の噂から、みんなで調べてみたところ、"Wの逆転"からの動乱の時代に活躍した一人として名を残していたことが判明。
今ではクラスのみんなが先生のことを慕っている、と言ってもいいほどだに、椚先生は大人気だ。
「ここまでの基礎魔法の授業、たのしかったか?」
口元がにやりとしているところを見る限り、結果は丸わかりのようで、俺も含めクラスのみんなは一様に、
「つまんない!!!」
「はっはっはっ!そうかそうか!つまらんか!」
そのリアクションに、100点だと言わんばかりに大笑いする椚先生。
そして、しばらく笑ったあと、サングラスをかけ直し、
「じゃあ、やるか」
おっ……、えっ……、とクラスのみんなは乗り始め、椚先生は、机をパンっ!と叩き、
「魔戦、やるぞ」
歓声。
魔法学校に入るヤツの大体は、魔戦を見て育ってきたやつらで、そんなやつらにやるぞ、と言えば勿論盛り上がるわけで、俺もその一人なのだが、生憎俺は素直に喜べなかった。
いや、ねぇ、こういう雰囲気になれば、うるさいじゃん?
すると…「ちょっと椚先生!!!!」ほらきた。
膝まである長い髪、左右の目の色が異なっていて、片方にはモノクルをしている、推定三十前の女教師が現れた。
「おっと申し訳ないです、弥生先生」
「…………その感じだと、魔戦申し込みが通ったんですね?」
「えぇ、弥生先生のお力もあってこそ、この様に通常の2分の1の期間で魔戦実習へと移ることができました」
「はぁ…………一応私はあなたより年下だし、敬語を使わなくてもいいと何度も…………」
弥生蜜(やよいみつ)。
1ーB担任であり、かつては"魔女"という名で一時期の魔戦を荒らしたと言われる、一部の間ではこの人が学校に来た理由がわからない、と言われるほどの実力を持つ教師だ。
この前も、こんな感じで基礎魔法実習を始めるぞー、となった時に、うるさいと怒られた。
「まぁ、弥生先生。
明日からは魔戦実習だし、そちらの生徒さんを待たせるのも悪いですので、今度、お話は聞かせてもらいます」
「…………はぁ、分かりましたよ。
今度奢ってくださいね」
「それは重々承知です」
この二人、実は前から知り合いだったのでは、と言うくらいに話の掛け合いが上手い。
女子なんかは、付き合っているじゃない?とか言っている奴もいる。
弥生先生が出ていったことを確認した椚先生は、俺らの方を向き、
「……………………すまんな、ということで、明日から始める。
今日の所は、ウキウキ気分で授業を受けてくれ!」
それでは魔法史の授業を始める!……と椚先生は、授業を始めた。
明日は魔戦。
今は魔法学校からしか出ることが許されていない魔戦士。
プロになるためにはここに入らなければいけないし、魔戦士に関係する仕事をしたいなら、ここが一番最適な学校。
周りにいるのは、倍率30倍を超えた猛者達だ。
俺の夢は魔戦士になること。
だから、悪いけど南部のお嬢さんも踏み台になってもらうぞー……
「ここを、波切!読んでもらうか!」
「あっ、はい?!」
「……魔法史だぞ」
魔戦の雑誌を持ってしまったのは、許してくださいよ……。
俺でも苦笑いをしてしまうほどのネーミングセンスのない名前。
そんな学校に俺は通っている。
まぁ、魔法学校、なんて言うくらいだから魔法は使うんだが、多分昔……"Wの逆転"の前に語られていた"魔法"とは、結構毛色の違うものを俺らは扱っている。
「基礎魔法は、なんなくできますよー、と」
まず、魔法……の元となる魔力、というものには二つの性質があることがわかった。
「"支配"やっぱ上手くならないとなー」
「こっちは"増幅"が上手くいかないんだよなぁ」
支配、増幅。
この二つの特性が魔力にはあった。
昔、語られていた魔法というものは、無から有を作り出せるものが主流だったが、今の魔法はそんなものではない。
「うわ……」
「やっぱやべぇよあれ……」
有から有を作り出し、
「流石南部の天才……」
「南部はやっぱり……」
その有を増幅し、操り、
「うわぁ、魔力やば…………」
「出来るわけないよ……」
それを支配したもの、それを魔法と呼ぶ。
そこには、津波とも呼べる質量の水を、天体のように配置している小柄な少女の姿があった
「南部さんってなんでそんなに魔法使えるの?!」
「ねぇねぇ南部さん!」
南部。
それは俺の名前……な訳はなく、俺は俺でちゃんとした名前を持っている。
波切冬至(なきりとうじ)
魔法学校1ーC、名簿番号25、誕生日は11月11日のお菓子会社がこぞって騒ぎ始める日、血液型はAB型の至って普通の、魔法がみんなより少しうまく使える学生だ。
それで、話題は戻るが、この南部、という絶賛隣でチヤホヤされて、なのに無表情を貫き、露骨に近寄らないでオーラを醸し出している銀髪ボブカット幼女だ。
俺は割と魔法業界というか、魔法で有名な人が分からないため、最初は本当に高校生なのか聞いてしまいそうになってしまったが、みんなからすれば、銀髪ボブカット幼女=南部の天才次女、という常識があるらしく、久しぶりに、話しかけなかった自分を褒めてあげたくなるほどにすごい人だった。
ちなみに、南部、というのは俺でも知っているくらいには、魔法業界においてはかなりの意味を持つ。
魔法省最高責任者の父、魔戦……魔法による戦闘型スポーツの元チャンピオンである母、現魔法学校生徒会長兼現魔戦における最強だろうと言われている姉、というありえない家系だ。
俺も小さい頃は、南部の母にあたる、南部詩織のチャンピオン戦は何回も見た。
そんな誰でも知っているような家系の子で、チヤホヤされるのは仕方が無いだろう。
「おーし!午後の授業始めるぞー!」
そこに現れたのは、筋肉によってはちきれんばかりのスーツを身に纏った、サングラスをかけた男……椚硬(くぬぎこう)
俺らのクラスである1ーCの担任である。
その姿を見るなり、生徒は各々で返事を返し、席につく。
「えー、お前らがこの学校に入学してから1週間が経った!
まずは質問だ!」
サングラスをチャキ、とあげ、その奥にある瞳を見せる。
この先生は、一見超スパルタ教師、に見えるが、その実すごい良い人で、生徒に大して常に真摯である。
それに、魔戦で一時期活躍していた、という一部の生徒の噂から、みんなで調べてみたところ、"Wの逆転"からの動乱の時代に活躍した一人として名を残していたことが判明。
今ではクラスのみんなが先生のことを慕っている、と言ってもいいほどだに、椚先生は大人気だ。
「ここまでの基礎魔法の授業、たのしかったか?」
口元がにやりとしているところを見る限り、結果は丸わかりのようで、俺も含めクラスのみんなは一様に、
「つまんない!!!」
「はっはっはっ!そうかそうか!つまらんか!」
そのリアクションに、100点だと言わんばかりに大笑いする椚先生。
そして、しばらく笑ったあと、サングラスをかけ直し、
「じゃあ、やるか」
おっ……、えっ……、とクラスのみんなは乗り始め、椚先生は、机をパンっ!と叩き、
「魔戦、やるぞ」
歓声。
魔法学校に入るヤツの大体は、魔戦を見て育ってきたやつらで、そんなやつらにやるぞ、と言えば勿論盛り上がるわけで、俺もその一人なのだが、生憎俺は素直に喜べなかった。
いや、ねぇ、こういう雰囲気になれば、うるさいじゃん?
すると…「ちょっと椚先生!!!!」ほらきた。
膝まである長い髪、左右の目の色が異なっていて、片方にはモノクルをしている、推定三十前の女教師が現れた。
「おっと申し訳ないです、弥生先生」
「…………その感じだと、魔戦申し込みが通ったんですね?」
「えぇ、弥生先生のお力もあってこそ、この様に通常の2分の1の期間で魔戦実習へと移ることができました」
「はぁ…………一応私はあなたより年下だし、敬語を使わなくてもいいと何度も…………」
弥生蜜(やよいみつ)。
1ーB担任であり、かつては"魔女"という名で一時期の魔戦を荒らしたと言われる、一部の間ではこの人が学校に来た理由がわからない、と言われるほどの実力を持つ教師だ。
この前も、こんな感じで基礎魔法実習を始めるぞー、となった時に、うるさいと怒られた。
「まぁ、弥生先生。
明日からは魔戦実習だし、そちらの生徒さんを待たせるのも悪いですので、今度、お話は聞かせてもらいます」
「…………はぁ、分かりましたよ。
今度奢ってくださいね」
「それは重々承知です」
この二人、実は前から知り合いだったのでは、と言うくらいに話の掛け合いが上手い。
女子なんかは、付き合っているじゃない?とか言っている奴もいる。
弥生先生が出ていったことを確認した椚先生は、俺らの方を向き、
「……………………すまんな、ということで、明日から始める。
今日の所は、ウキウキ気分で授業を受けてくれ!」
それでは魔法史の授業を始める!……と椚先生は、授業を始めた。
明日は魔戦。
今は魔法学校からしか出ることが許されていない魔戦士。
プロになるためにはここに入らなければいけないし、魔戦士に関係する仕事をしたいなら、ここが一番最適な学校。
周りにいるのは、倍率30倍を超えた猛者達だ。
俺の夢は魔戦士になること。
だから、悪いけど南部のお嬢さんも踏み台になってもらうぞー……
「ここを、波切!読んでもらうか!」
「あっ、はい?!」
「……魔法史だぞ」
魔戦の雑誌を持ってしまったのは、許してくださいよ……。
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