唯一無二の"二人"の魔法使い

kiku

文字の大きさ
4 / 8

4話

しおりを挟む
戦闘が終わり、担任から解説が始まる。

「いいか!まず最初のあの尋常でない動きは、身体魔法といって!…………」

俺は首の後ろについている魔石を取り出す。
そして、魔石を握りしめ、魔力を充填していく。

「あの、質問なんですけど。
 魔石の魔力ってあんな一瞬で無くなるものなんですか?」

「うーーーん、それについてはだな……」

担任は少し思案したあと、俺の方を向いて、

「じゃあ雑木!説明してみろ!」

といきなり話を振られた。
俺は多少面倒になりながらも、説明を始める。

「最後のは、防魔服に張り巡らされているその魔線を使いました。
 そいつは魔力を一方向に流すことの出来るもので、人の意思がなくても魔力を与えるだけで勝手に流れていく。
 その特性上、魔線は常に円環状になっていて、一部分でもちぎれると魔力が循環しなくなり、防魔服はその機能を停止する」

語っていったが、見せた方が早いと思い、俺は砂埃を支配して、魔線紛いのものを作る。
それに大して俺は、その砂埃の流れの途中に手を翳す。
すると、流れていた砂埃は俺の手元で慣性を失い、地面に落ちていく。

「こんな感じで、その流れのところに魔力を送り込んで相殺すれば、魔力がすぐなくなる」

それを聞いたクラスのみんなは、納得したように頷く。

「まぁ、魔力が少なくても、やりようによっては君達は手も足も出ることなく、倒される可能性があるんだ」

そこで担任は、真剣なトーンで話し始める。

「だから、だ」

俺は肩を叩かれる。
後ろにいるのは誰だ?と思いながら振り向く、そこには、担任の姿があった。
おそらくクラスメイトの人も驚いているだろう。

速すぎる。

「それじゃあ、これから防魔服の性能について話をしていく!
 防魔服を知らないものは確実に魔戦はさせられない!
 心して覚えてくれ!」

その言葉に、呆気にとられていたクラスメイト達も、気合を入れたような声を出す。

「南部と雑木はどうする?!
 見たところ二人とも実践を終えた後だから、無理して参加することは無いぞ!」

その言葉に、俺はもうカッスカスになってきた魔力を考え、

「じゃあ俺は辞退で……」

「私はやります」

「ほう、じゃあ雑木はそこら辺のどこか邪魔にならないところで見学していてくれ」

そう言い、担任は南部に魔石を出すように催促し、俺はそこら辺に座ることにした。

どうやら担任は南部に誰かと組むように言ったらしく、南部は茶髪で大きい目の…………南部の魔法を消したことに驚いたやつと、練習を始めた。

「おう、雑木、元気してたか?」

「担任でしょうあんたは……」

隣に座ってきたのは、担任。
その口振りは、いつもと違い、少し軽い感じの口調。
そして内容は、まるで俺と友人であったかのような話し方。

「お前が南部のあれを消した時は驚いたよ」

「別に難しいことはしてないです。
 見えないものを見えないように消しただけだし」

「…………あのふたり」

言われずともわかるその対象は、茶髪が一生懸命南部に対して会話をしている。
対する南部は、露骨に不機嫌な感じで茶髪と話す。

「分かってる」

「波切の方は分からない。
 聞いたことのない苗字、特に目立った功績もなし。
 なのに、あの時、リアクションをした」

「まぁ、支配張ってたとかありそうですし、いまは様子見に留めておきましょう」

「うむ、しかし雑木」

少し、担任の纏う空気が変わった。
懐かしいような、それでいてもう触れることのないであろうと思っていた空気。

「貴様、どこが本気だ?」

「………………あなたの思うところですよ」

そんな空気を断ち切りたく、俺は担任に、皮肉で返してみると、

「ふむ、ならばやっちゃんに聞いてみようか」

「やっちゃんこそ教えてくれないと思うよ」

どうやら勘違いしているのか……。
やっちゃんの名前を出せば動くというものじゃない。
まぁ、やっちゃんには大変世話になったから、逆らえないのも事実だが、

「ま、そうだな、ーーーー」

「…………それはちょっと不意打ちじゃないですか?」

耳元で囁かれた言葉。
……まさか俺の渾名まで知っているとは……。
流石に何をしてるかまではバレないだろうが、確実にマークはされてたんだな、と思っていると。

「これ以上は調べないし、これを元に雑木を利用するつもり等は毛頭無い」

担任は歩いて練習を行っているみんなの元へ歩き始める。

「さぁ!まずは痛みに慣れるぞ!」

その言葉に、やっぱり戦場をくぐり抜けてきたものなのだと、再認識する。
俺は満タンになった魔石を手の中で転がしながら、仰向けになった。










「話してほしい」

翌日から、俺は南部小雪と、波切冬児という人物について、見誤っていたことに盛大に後悔するのは、仕方が無いことだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

はぁ……潔く……散るか……

#Daki-Makura
ファンタジー
バカ息子(王太子)がやりおった…… もうじき友がやってくる…… はぁ……潔く……散るか……

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...