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学園生活は楽しいものだった。
私にとっては三度目となる学生生活─精神年齢を考えると少し…いや、かなり抵抗があるのは本当だが─は、前世と似たような生徒もいたが、これはこれで懐かしく感じた。
もしかして自分と同じ生まれ変わりが……と思って探してみたが、不思議といなかった。単に、私が見つけきれないだけなのかもしれないが……
とりあえず、今世の友人たちもとても刺激的で、お互いに良いライバルとして良好な関係を築くことが出来たと思う。
そんな周りの友人たちが一目置く存在がエマリアだった。
アイツは学園では私の次に良い成績を維持していたし、分け隔てなく人と接するため、いつも周りに人が集まっていた。
「お前の婚約者がエマリア嬢とは本当に羨ましい」
「あんなに可愛いのに頭も良くて…同じ年頃の他の女なんて服とか甘い菓子の話ばかりでつまらないよ」
「でもお前ってあまり彼女と一緒にいるところ見ないよな?」
「おっ…もしかして一緒にいるところを見られるのが恥ずかしいとか?」
「いやそういうわけでは─」
「わかった、わかった。お前もそういうところはまだまだ年相応ってことか」
笑う友人たちに苦笑いがこぼれた。
(アイツは……今世のアイツは本当にいい奴だ。……私だって記憶さえなければ好きになって……いや、恋愛感情が持てなくても良好な関係を気づこうと努力しただろう。でも、現実私には記憶がある。記憶がこれ以上エマリアと親密になることに歯止めをかけている。エマリアに気を許すことが…彼女を裏切る行為なような気がして…アイツがこれまでと同じで煩わしい存在なら良かったのに……アイツが私に向ける好意が痛い……彼女と会うためにと思ってはいたが、やはりアイツとは距離を置いた方がいいのだろうな…でも、次の長期休暇はクロエと約束したから遊びに行かないと…………)
幸いなことにクラスが別だったので、自然とアイツと距離を置くことが出来た。友人たちはエマリアに紹介しろと煩かったが、それを曖昧にかわせば、何だか私の独占欲が強いことになっていた。──お前たち!何だその目は!
否定するとややこしくなるので、勘違いさせたままにしておく。
ただ─時折アイツからの視線を感じた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「デミにいさま~」
クロエが勢いよく私に抱きついてくるのを難なく受け止める。その後ろからエマリアが現れた。
「ごきげんよう、ディミトリアス様」
「あぁ……」
久しぶりの会話だからか、何だかぎこちないものになってしまった。それに対してエマリアは何かを言うでもなく、庭でお茶をしようと誘ってくれた。
どういう態度を取ればいいかわからなかったが、幸いにもクロエがずっと話していたので、気づけば今まで通りの時間を過ごすことが出来た。
「デミにいさま……またつぎのお休みもきてくれる?」
「…………たぶんこれからは少し難しくなるかもしれない……すまない」
クロエに会えないのは痛いが、あまりエマリアと関わるのは良くないだろう。これ以上、仲を進展させるつもりは……私にはないのだから。
「えぇ~やだ、やだ、や~だ」
「クロエ……ディミトリアス様は学園にお勉強をしに行っているのですよ。だから、休みの日はお家のことも色々しないといけないのです」
「そんなの私にはわかんないもん!」
「…あまりディミトリアス様を困らせてはいけませんよ」
だって、だってと愚図るクロエの頭を撫でつつ「全く来れないわけではないよ。来れるときは、また遊びに来るから」と約束する。
「ほんと?」
「あぁ本当だ。それまでクロエもしっかりマナーとか勉強を頑張るんだよ?」
「うん、がんばる!!」
「良かったわね、クロエ」
しばらく会えないからたくさん遊んであげようと、庭を散歩したり、本を読んであげたりした。その姿をエマリアが少し離れたところから見つめていた。
「────」
「ん?何か言ったか?─っ」
エマリアが何か言った気がして振り向くと、そこにはこちらを寂しげに見つめる瞳があった。それは一瞬のうちに隠されたが─・・・
「なんでもありませんわ、ディミトリアス様」
すでにいつもと変わらない様子のエマリアに、そうかと頷き、私はまた視線をクロエに戻した。
私にとっては三度目となる学生生活─精神年齢を考えると少し…いや、かなり抵抗があるのは本当だが─は、前世と似たような生徒もいたが、これはこれで懐かしく感じた。
もしかして自分と同じ生まれ変わりが……と思って探してみたが、不思議といなかった。単に、私が見つけきれないだけなのかもしれないが……
とりあえず、今世の友人たちもとても刺激的で、お互いに良いライバルとして良好な関係を築くことが出来たと思う。
そんな周りの友人たちが一目置く存在がエマリアだった。
アイツは学園では私の次に良い成績を維持していたし、分け隔てなく人と接するため、いつも周りに人が集まっていた。
「お前の婚約者がエマリア嬢とは本当に羨ましい」
「あんなに可愛いのに頭も良くて…同じ年頃の他の女なんて服とか甘い菓子の話ばかりでつまらないよ」
「でもお前ってあまり彼女と一緒にいるところ見ないよな?」
「おっ…もしかして一緒にいるところを見られるのが恥ずかしいとか?」
「いやそういうわけでは─」
「わかった、わかった。お前もそういうところはまだまだ年相応ってことか」
笑う友人たちに苦笑いがこぼれた。
(アイツは……今世のアイツは本当にいい奴だ。……私だって記憶さえなければ好きになって……いや、恋愛感情が持てなくても良好な関係を気づこうと努力しただろう。でも、現実私には記憶がある。記憶がこれ以上エマリアと親密になることに歯止めをかけている。エマリアに気を許すことが…彼女を裏切る行為なような気がして…アイツがこれまでと同じで煩わしい存在なら良かったのに……アイツが私に向ける好意が痛い……彼女と会うためにと思ってはいたが、やはりアイツとは距離を置いた方がいいのだろうな…でも、次の長期休暇はクロエと約束したから遊びに行かないと…………)
幸いなことにクラスが別だったので、自然とアイツと距離を置くことが出来た。友人たちはエマリアに紹介しろと煩かったが、それを曖昧にかわせば、何だか私の独占欲が強いことになっていた。──お前たち!何だその目は!
否定するとややこしくなるので、勘違いさせたままにしておく。
ただ─時折アイツからの視線を感じた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「デミにいさま~」
クロエが勢いよく私に抱きついてくるのを難なく受け止める。その後ろからエマリアが現れた。
「ごきげんよう、ディミトリアス様」
「あぁ……」
久しぶりの会話だからか、何だかぎこちないものになってしまった。それに対してエマリアは何かを言うでもなく、庭でお茶をしようと誘ってくれた。
どういう態度を取ればいいかわからなかったが、幸いにもクロエがずっと話していたので、気づけば今まで通りの時間を過ごすことが出来た。
「デミにいさま……またつぎのお休みもきてくれる?」
「…………たぶんこれからは少し難しくなるかもしれない……すまない」
クロエに会えないのは痛いが、あまりエマリアと関わるのは良くないだろう。これ以上、仲を進展させるつもりは……私にはないのだから。
「えぇ~やだ、やだ、や~だ」
「クロエ……ディミトリアス様は学園にお勉強をしに行っているのですよ。だから、休みの日はお家のことも色々しないといけないのです」
「そんなの私にはわかんないもん!」
「…あまりディミトリアス様を困らせてはいけませんよ」
だって、だってと愚図るクロエの頭を撫でつつ「全く来れないわけではないよ。来れるときは、また遊びに来るから」と約束する。
「ほんと?」
「あぁ本当だ。それまでクロエもしっかりマナーとか勉強を頑張るんだよ?」
「うん、がんばる!!」
「良かったわね、クロエ」
しばらく会えないからたくさん遊んであげようと、庭を散歩したり、本を読んであげたりした。その姿をエマリアが少し離れたところから見つめていた。
「────」
「ん?何か言ったか?─っ」
エマリアが何か言った気がして振り向くと、そこにはこちらを寂しげに見つめる瞳があった。それは一瞬のうちに隠されたが─・・・
「なんでもありませんわ、ディミトリアス様」
すでにいつもと変わらない様子のエマリアに、そうかと頷き、私はまた視線をクロエに戻した。
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