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「今日はこれを試してみようと思うの」
キアラの手には何だかよくわからない草が握られていた。
「嬢ちゃん……また変なものを持ってきて……」
呆れた声の料理長に、ふふんと笑って返すキアラの顔は公爵令嬢というより、いたずらを思い付いた子供の顔だ。
「変なものをじゃないわ♪これはね……何と水を固めることが出来るらしいの!」
「………………」
「…信じてないわね!」
料理長の反応にキアラは頬を膨らませる。
「いやぁだってよぉ……そんなもの初めて聞いたぜ?」
「それはそうよ。これはラハミア国から来たものだもの」
「……ん?あそこは確かウチとはあまり交易がないはずだろ?」
料理長は初めてみる草に興味を示し、葉っぱを触ったり、匂いを嗅いだりと観察をしていた。
ラハミア国はキアラ達の住む国からかなり西に位置する国で、珍しい食材や道具があると言われている。
しかし、国自体があまり他国との交流をしないため、謎に包まれた部分があった。
「どこでこれを?」
「この間行った市場にね……」
「……嬢ちゃんまた抜け出したのか?」
「えへへへ……」
質問を笑って誤魔化すキアラに、料理長は真剣な顔つきになった。
「あのなぁ…嬢ちゃんは一応公爵令嬢なんだ。俺たちがこんな風に話すことすら本来はタブーなんだぞ。もっと自分の身分をしっかり考えてくれ。何か事件に巻き込まれてからじゃ遅いんだぞ」
「私のことなんて誰も……」
「あ゙ぁ?それは俺が嬢ちゃんの心配をしないってことか?」
「…………」
「俺だけじゃあねぇぞ。ここの連中は皆嬢ちゃんが好きなんだ。心配するに決まってんだろ!」
「…………ごめんなさい」(ボソッ)
「声が小さい!」
「…っ!ごめんなさい!!!」
よしっ!というように料理長はキアラの頭をガシカシと撫でた。
力強い手に少し痛みを感じたが、その優しい温もりに気恥ずかしくなり、赤くなった顔を隠すようにキアラは俯いた。
(まぁ抜け出したところで護衛はきちんとついてるんだがな……)
チラリとみた厨房の入り口には、こちらをこっそりと覗く公爵夫人が見えた。
料理長はキアラに気づかれないように目で合図をすると、夫人はお礼を言うように頭を下げた。
(なんでこんなに拗れてんだか……)
「とにかく…もしまた出掛けるときはきちんと護衛をつけるんだぞ」
「……わかった」
「嫌ならもうここには入れないぞ?」
「つける!きちんとつけます!」
嫌そうに返事をするキアラに料理長が再び怒りを露にした。
それに慌てて「約束を守る」と言ったキアラに呆れながらも「嬢ちゃんは公爵令嬢という以前に、まだ子供なんだ。年齢的にもきちんと守られることを覚えないとな」と今度は優しく頭を撫でた。
「さて、そいつを試してみるか」
空気を変えるように料理長が草を手に取った。
「どうやって使うか聞いたのか?」
「もちろん!」
キアラは商人から聞いた調理法を嬉々として話し出した。
▽ ▼ ▽
「……これは面白いな」
「プルプル……」
お皿を揺するとそれに合わせて料理が揺れている。
初めて見る光景に二人は興奮を抑えられなかった。
「しかもこの草……寒草だったか?自体に味がしないから、いろんな料理で試してみてもいいかもしれん」
試しにただの水で作ってみると、何の味もしなかった。
「このオレンジのジュースを固めたの美味しい!」
「これもイケるな……」
「温かいのはダメだね……」
不思議な食感がクセになり、あれもこれもと試していると他の料理人たちも覗きにやってきた。
「二人だけズルいですよ」
副料理長がスプーン片手に抗議をする。
そこからは大騒ぎだった。
キアラが持ってきた草はあっという間になくなった。
「…………」
「…………嬢ちゃん…これ仕入れたのどこの商人だ?」
「えっと…確かマリさんのお店の斜め前にあったよ」
マリさんは優しい雰囲気のお姉さんで、これまた優しい旦那さんと二人で花屋をしている。
その斜め前には異国から集めた商品を取り扱うお店があるのだ。
「あそこか……」
「食べ物以外にも面白いものがたくさんあったよ」
「今度行ってみるか……」
「私もまた行きたい!」
「嬢ちゃんはきちんと許可を貰ってからだ」
「……」
「さっき約束しただろ?護衛は必要だ」
「わかった……」
「ちゃんと言うんだぞ?」
頷くキアラに料理長は優しく微笑んだ。
▽ ▼ ▽
─執務室
ノックの音がしてヘルウィンズ公爵は読んでいた書類から顔をあげた。
入室の許可をすると、入ってきた人物に目を見開いた。
「キアラ!」
娘に近づいて目線を合わせると、どこか緊張した様子が見てとれた。
「珍しいな……どうしたんだい?」
滅多に近づいてこない娘の来訪に思わず破顔するが、すぐに俯いたキアラにその表情は見えなかった。
「えっと……」
なかなか言おうとしないキアラを、焦らすことなく言葉を待った。
「が…外出の許可を……」
「っ!ど…どこに行きたいんだ?どこでもいいぞ!」
「いやお父様とではなくて」
娘からの願いに嬉しくなった公爵は、続く言葉にすぐさま撃沈した。
「料理長と買い出しに行きたいんですけど、護衛をつけないと連れていけないって言われて……」
「そ…そんなことぐらい私が連れていって……」
「料理長と行くから大丈夫です。お父様の手を煩わせるわけにいきませんので」
「……」(ガクッ)
公爵は料理長にひどい嫉妬を覚えたが、ここでそれを出しては余計にキアラに嫌われると思い、涙を飲んで我慢した。
「そっそうか……なら腕の立つものを何人かつけよう」
「ありがとうございます。では…」
要は済んだとばかりに、キアラは部屋を後にした。
「キア……」
娘を呼び止めようと伸ばした公爵の手は空振りに終わった。
しかし、久しぶりの娘との会話に喜んだ彼は、その後の執務のスピードがぐんと上がった。
────────────────────
設定ブレブレな気がする…意見聞きたいけど、「なろう」で叩かれたから感想恐怖症……orz
暖かく見守っていただきたいです
お気に入り登録ありがとうございます
キアラの手には何だかよくわからない草が握られていた。
「嬢ちゃん……また変なものを持ってきて……」
呆れた声の料理長に、ふふんと笑って返すキアラの顔は公爵令嬢というより、いたずらを思い付いた子供の顔だ。
「変なものをじゃないわ♪これはね……何と水を固めることが出来るらしいの!」
「………………」
「…信じてないわね!」
料理長の反応にキアラは頬を膨らませる。
「いやぁだってよぉ……そんなもの初めて聞いたぜ?」
「それはそうよ。これはラハミア国から来たものだもの」
「……ん?あそこは確かウチとはあまり交易がないはずだろ?」
料理長は初めてみる草に興味を示し、葉っぱを触ったり、匂いを嗅いだりと観察をしていた。
ラハミア国はキアラ達の住む国からかなり西に位置する国で、珍しい食材や道具があると言われている。
しかし、国自体があまり他国との交流をしないため、謎に包まれた部分があった。
「どこでこれを?」
「この間行った市場にね……」
「……嬢ちゃんまた抜け出したのか?」
「えへへへ……」
質問を笑って誤魔化すキアラに、料理長は真剣な顔つきになった。
「あのなぁ…嬢ちゃんは一応公爵令嬢なんだ。俺たちがこんな風に話すことすら本来はタブーなんだぞ。もっと自分の身分をしっかり考えてくれ。何か事件に巻き込まれてからじゃ遅いんだぞ」
「私のことなんて誰も……」
「あ゙ぁ?それは俺が嬢ちゃんの心配をしないってことか?」
「…………」
「俺だけじゃあねぇぞ。ここの連中は皆嬢ちゃんが好きなんだ。心配するに決まってんだろ!」
「…………ごめんなさい」(ボソッ)
「声が小さい!」
「…っ!ごめんなさい!!!」
よしっ!というように料理長はキアラの頭をガシカシと撫でた。
力強い手に少し痛みを感じたが、その優しい温もりに気恥ずかしくなり、赤くなった顔を隠すようにキアラは俯いた。
(まぁ抜け出したところで護衛はきちんとついてるんだがな……)
チラリとみた厨房の入り口には、こちらをこっそりと覗く公爵夫人が見えた。
料理長はキアラに気づかれないように目で合図をすると、夫人はお礼を言うように頭を下げた。
(なんでこんなに拗れてんだか……)
「とにかく…もしまた出掛けるときはきちんと護衛をつけるんだぞ」
「……わかった」
「嫌ならもうここには入れないぞ?」
「つける!きちんとつけます!」
嫌そうに返事をするキアラに料理長が再び怒りを露にした。
それに慌てて「約束を守る」と言ったキアラに呆れながらも「嬢ちゃんは公爵令嬢という以前に、まだ子供なんだ。年齢的にもきちんと守られることを覚えないとな」と今度は優しく頭を撫でた。
「さて、そいつを試してみるか」
空気を変えるように料理長が草を手に取った。
「どうやって使うか聞いたのか?」
「もちろん!」
キアラは商人から聞いた調理法を嬉々として話し出した。
▽ ▼ ▽
「……これは面白いな」
「プルプル……」
お皿を揺するとそれに合わせて料理が揺れている。
初めて見る光景に二人は興奮を抑えられなかった。
「しかもこの草……寒草だったか?自体に味がしないから、いろんな料理で試してみてもいいかもしれん」
試しにただの水で作ってみると、何の味もしなかった。
「このオレンジのジュースを固めたの美味しい!」
「これもイケるな……」
「温かいのはダメだね……」
不思議な食感がクセになり、あれもこれもと試していると他の料理人たちも覗きにやってきた。
「二人だけズルいですよ」
副料理長がスプーン片手に抗議をする。
そこからは大騒ぎだった。
キアラが持ってきた草はあっという間になくなった。
「…………」
「…………嬢ちゃん…これ仕入れたのどこの商人だ?」
「えっと…確かマリさんのお店の斜め前にあったよ」
マリさんは優しい雰囲気のお姉さんで、これまた優しい旦那さんと二人で花屋をしている。
その斜め前には異国から集めた商品を取り扱うお店があるのだ。
「あそこか……」
「食べ物以外にも面白いものがたくさんあったよ」
「今度行ってみるか……」
「私もまた行きたい!」
「嬢ちゃんはきちんと許可を貰ってからだ」
「……」
「さっき約束しただろ?護衛は必要だ」
「わかった……」
「ちゃんと言うんだぞ?」
頷くキアラに料理長は優しく微笑んだ。
▽ ▼ ▽
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ノックの音がしてヘルウィンズ公爵は読んでいた書類から顔をあげた。
入室の許可をすると、入ってきた人物に目を見開いた。
「キアラ!」
娘に近づいて目線を合わせると、どこか緊張した様子が見てとれた。
「珍しいな……どうしたんだい?」
滅多に近づいてこない娘の来訪に思わず破顔するが、すぐに俯いたキアラにその表情は見えなかった。
「えっと……」
なかなか言おうとしないキアラを、焦らすことなく言葉を待った。
「が…外出の許可を……」
「っ!ど…どこに行きたいんだ?どこでもいいぞ!」
「いやお父様とではなくて」
娘からの願いに嬉しくなった公爵は、続く言葉にすぐさま撃沈した。
「料理長と買い出しに行きたいんですけど、護衛をつけないと連れていけないって言われて……」
「そ…そんなことぐらい私が連れていって……」
「料理長と行くから大丈夫です。お父様の手を煩わせるわけにいきませんので」
「……」(ガクッ)
公爵は料理長にひどい嫉妬を覚えたが、ここでそれを出しては余計にキアラに嫌われると思い、涙を飲んで我慢した。
「そっそうか……なら腕の立つものを何人かつけよう」
「ありがとうございます。では…」
要は済んだとばかりに、キアラは部屋を後にした。
「キア……」
娘を呼び止めようと伸ばした公爵の手は空振りに終わった。
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