ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ

文字の大きさ
4 / 44
第1章

04.城下の村

しおりを挟む
 リリスの眷属たちが暮らす村は、城から南に300メートル程下った所にあった。

 木製のゲートくぐると、ウサ耳のお姉さんが嬉しそうな表情でリリスを迎えた。

「こんにちは、リリス様! 本日は、どのようなご用向きで、こちらまで来られたのですかぴょん!」

 目鼻立ちがはっきりとした可愛い顔をしている。
 膝上丈のニンジン色のチュニックがよく似合っていた。

「シャルロットよ、元気そうでなによりじゃ。今日は、もしかするとお主たちの生活を一変させるかもしれん日じゃ。皆を広場に集めよ」

「は、はいだぴょん!」
 シャルロットは敬礼をした後、脱兎のごとく駆けていった。

 うらぶれた雰囲気の村を歩く。
 
 モフモフした大きな尻尾をしているのは栗鼠族だろうか?
 ゴブリンは成人で150cmくらい。
 肌が緑という以外は、人間とさほど変わらない外見だ。
 長くて縞縞模様の尻尾をしているのはアライグマ系か?

「あっ、リリス様だ!」
「リリス様~」
 子供たちが手を振っている。
 凄い人気だ。

 リリスの隣を歩く俺に興味深そうな視線を向けていたので小さく手を振ると、きゃあきゃあ言って手を振り返してくれた。
 もしもキャンディーとかお菓子を持っていたら、子供たちに渡して頭を撫でていたと思う。
 
 村の広場には、かなりの人数ひとかずが集まっていた。

「これより、この地に農園を作る。お主らを、飢えと危険から解き放つものじゃ。農園が完成すれば、腹を空かせることもなくなるじゃろう。さすれば、危険な魔獣が巣食う森の深部にまで狩りに行き、命を落とすこともない。開墾は、妾の隣におるサタン殿が買って出てくれた。皆も、協力するように」

 数百の視線が一斉に、俺に向けられる。

(本当に出来るよね……大丈夫だよね……?)
 変な汗が出てきた。

 リリスに、ポンッと肩を叩かれた。
「サタン殿、よろしく頼む」

(ベルゼブブ、どうすればいい?)

<メッセージ>『まず農地を作りたい場所と、広さを確認してください』

 リリスに尋ねると、
「村の近くであればどこでもかまわん。広さは、大きければ大きい程いい」
 との答えが返ってきた。

『ではマスター、森の樹々が根元から徐々に地中へ埋まっていく……というイメージを強く持ってください。魔法の効果はイメージの力に比例します』

 ――イメージした。
 身体の奥底から不思議な力が湧き上がってくるのが分かる。

『次に森を消し去る広さをイメージしてください。マスターがよく知る場所か、大きな建物を想像するのが簡単かと思われます』

 東京ドームを思い浮かべた。

『準備が整いました。では、右手を空に向けて次の詠唱を行ってください――』

「闇夜に煌めく禁断の力よ、我が前に立ちふさがる森よりも高き存在を示せ。灼熱の業火よ、巨大な影を放ち、其処に在る全てを焼き尽くせ。魔力の渦巻く輪廻の輪よ、永遠の転生を我に授けん。【リインカネーション】!!!」

 宙に巨大な魔法陣が出現――

 次の瞬間、目の前の樹々が跡形もなく消え失せていた。
 おそらく、東京ドーム1個分くらいの範囲で……。

(なんじゃコリャーーー!)

『木が枯れたり倒れたりした後、自然に分解され土に戻るプロセスを超高速で行いました。この土地にはルシファー様の加護が授けられたため、通常よりも短い期間で作物が収穫できます』

「サタン殿、何をやった?」
 リリスが目をまん丸くする。

 ギャラリーは口をパクパクさせて、目の前に出現した更地を指差していた。

「えーっと、森の樹を分解して土にしました。この土地では作物の発育も早いため、早期の食料安定化が期待できると思います」
 ベルゼブブの言葉を伝えているだけなので、自然にへりくだった物言いになってしまう。

(にしても、魔法を発動させるためには、あんな厨ニ病的長尺詠唱が必要なんだな……結構、恥ずかしいな……)

『詠唱の文言はデタラメです。そもそも、マスターに詠唱は必要ありません。今回はギャラリーが多かったため、インパクトを重視して芝居がかった演出を提案させていただきました』

(次からはヤメて……)

了解ラジャー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...