12 / 44
第1章
12.再会
しおりを挟む
(完敗だ……)
落下しながら、アモンは思う。
(私は、このまま死ぬのかな……? 多分、そうなんだろう……)
森の樹々が倒れ、大地が揺れる。
(闘いが全ての生涯だった。
誰よりも強くありたいと願った。
私に敵うドラゴンは皆無だった。
《最凶》《暴君》などと称され、誰もが私を恐れ、敬った。
同時に、私は孤独になった。
誰も、本心を明かさない。
私の顔色を伺い、媚び諂う。
だけど、リリスとロキアと緋魅狐たちは違った――。
魔王様が勇者によって倒された時、私は新魔王となるべく、リリスに闘いを挑んだ。
誰もが、次の魔王にふさわしいのはリリスだと考えていたから……。
力で証明したかったんだ。
私の方が魔王にふさわしいのだ、と――。
「こんな時に、魔族同士で争って何の意味がある? 魔王になりたくば、お主がなればよかろう」
リリスは言ったけど、
「譲られた称号に意味などない」
私の言葉にリリスは呆れ、魔王軍から去ってしまった。
いつしか、ロキアと緋魅狐も魔王軍を離れ、私は再び独りになった――)
アモンの身体が小さくなっていく。
(ゴメンなさい……リリス、ロキア、緋魅狐……私、間違っていたよ……最後に、もう一度だけ逢いたかった――)
アモンは静かに目を閉じる。
頬に一筋の涙が光った。
***
「おおっ……目が覚めたようじゃの」
意識を取り戻したアモンの耳に、なつかしい声が響く。
ぼんやりとした視界の焦点が定まると、アモンの瞳に、やさしく微笑むリリスの顔が映った。
「えっ!? ここは、いったい……?」
身体を起したアモンの目に、信じられない光景が飛び込んでくる。
リリスだけではなく、ロキアと緋魅狐の姿もあったのだ。
「ここは妾の城じゃ。気兼ねなく、ゆっくりいていけ」
「派手にやられちゃったみたいだね~。でも、気を落とすことないよ。サタンくんには、ボクだって勝てなかったんだからさ。仕方ない、仕方ない!」
ロキアが腕組みをして、うんうんと頷く。
「もう少し横になっているでありんす。アモンは、ここへ運ばれてから3日間、眠り続けておりんした。無理は禁物でありんすえ」
――あの日。
サタンとの闘いに敗れたアモンは、瀕死の状態だった。
体が大きければ大きい程、生命維持に要するエネルギー量は多くなる。
生存確率を上げるため、アモンは人形である龍人に姿を変え、そこで力尽きて意識を失った。
アモンを追って地上に降りたサタンは、なぎ倒された樹々の中心に横たわる、金色の髪の女性を見つけた。
角も尻尾もなかったが、状況からアモンだと分かった。
治癒魔法で怪我を癒した後、リリスの城へ運ぶと、
「あとは妾たちが引き受ける」
リリスが言った。
「リリス、ロキア、緋魅狐……会いたかった! 逢えてよかった!!」
アモンの目から自然と涙が溢れる。
「ごめんなさい! あの時は、本当に――」
「もう、よい。昔のことじゃ」
「へぇええええ! アモンが謝るなんて、明日は赤い雪が降るんじゃない?」
ロキアの脳天を緋魅狐の煙管が打ち抜く。
苦悶の表情を浮かべて、ロキアはうずくまった。
「いまのはロキア、お主が悪い!」
リリスが冷たく言い放ち、ロキアはアモンに、
「ゴメン」
と頭を下げた。
「パァアアアン!」
緋魅狐が一つ、大きく柏手を打つ。
「なにはともあれ、これで手打ちといたしんしょう。昔のことは水に流して――」
「「「おかえり、アモン!!!」」」
リリス、ロキア、緋魅狐の声が重なった。
「ただいま!」
アモンは涙を拭い、笑顔で答えた。
四天王は再び一つになった。
落下しながら、アモンは思う。
(私は、このまま死ぬのかな……? 多分、そうなんだろう……)
森の樹々が倒れ、大地が揺れる。
(闘いが全ての生涯だった。
誰よりも強くありたいと願った。
私に敵うドラゴンは皆無だった。
《最凶》《暴君》などと称され、誰もが私を恐れ、敬った。
同時に、私は孤独になった。
誰も、本心を明かさない。
私の顔色を伺い、媚び諂う。
だけど、リリスとロキアと緋魅狐たちは違った――。
魔王様が勇者によって倒された時、私は新魔王となるべく、リリスに闘いを挑んだ。
誰もが、次の魔王にふさわしいのはリリスだと考えていたから……。
力で証明したかったんだ。
私の方が魔王にふさわしいのだ、と――。
「こんな時に、魔族同士で争って何の意味がある? 魔王になりたくば、お主がなればよかろう」
リリスは言ったけど、
「譲られた称号に意味などない」
私の言葉にリリスは呆れ、魔王軍から去ってしまった。
いつしか、ロキアと緋魅狐も魔王軍を離れ、私は再び独りになった――)
アモンの身体が小さくなっていく。
(ゴメンなさい……リリス、ロキア、緋魅狐……私、間違っていたよ……最後に、もう一度だけ逢いたかった――)
アモンは静かに目を閉じる。
頬に一筋の涙が光った。
***
「おおっ……目が覚めたようじゃの」
意識を取り戻したアモンの耳に、なつかしい声が響く。
ぼんやりとした視界の焦点が定まると、アモンの瞳に、やさしく微笑むリリスの顔が映った。
「えっ!? ここは、いったい……?」
身体を起したアモンの目に、信じられない光景が飛び込んでくる。
リリスだけではなく、ロキアと緋魅狐の姿もあったのだ。
「ここは妾の城じゃ。気兼ねなく、ゆっくりいていけ」
「派手にやられちゃったみたいだね~。でも、気を落とすことないよ。サタンくんには、ボクだって勝てなかったんだからさ。仕方ない、仕方ない!」
ロキアが腕組みをして、うんうんと頷く。
「もう少し横になっているでありんす。アモンは、ここへ運ばれてから3日間、眠り続けておりんした。無理は禁物でありんすえ」
――あの日。
サタンとの闘いに敗れたアモンは、瀕死の状態だった。
体が大きければ大きい程、生命維持に要するエネルギー量は多くなる。
生存確率を上げるため、アモンは人形である龍人に姿を変え、そこで力尽きて意識を失った。
アモンを追って地上に降りたサタンは、なぎ倒された樹々の中心に横たわる、金色の髪の女性を見つけた。
角も尻尾もなかったが、状況からアモンだと分かった。
治癒魔法で怪我を癒した後、リリスの城へ運ぶと、
「あとは妾たちが引き受ける」
リリスが言った。
「リリス、ロキア、緋魅狐……会いたかった! 逢えてよかった!!」
アモンの目から自然と涙が溢れる。
「ごめんなさい! あの時は、本当に――」
「もう、よい。昔のことじゃ」
「へぇええええ! アモンが謝るなんて、明日は赤い雪が降るんじゃない?」
ロキアの脳天を緋魅狐の煙管が打ち抜く。
苦悶の表情を浮かべて、ロキアはうずくまった。
「いまのはロキア、お主が悪い!」
リリスが冷たく言い放ち、ロキアはアモンに、
「ゴメン」
と頭を下げた。
「パァアアアン!」
緋魅狐が一つ、大きく柏手を打つ。
「なにはともあれ、これで手打ちといたしんしょう。昔のことは水に流して――」
「「「おかえり、アモン!!!」」」
リリス、ロキア、緋魅狐の声が重なった。
「ただいま!」
アモンは涙を拭い、笑顔で答えた。
四天王は再び一つになった。
0
あなたにおすすめの小説
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる