ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ

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第2章 

40.告発

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「元来、アストレア教団は拝金主義マンモニズムではありませんでした。15年前、先代教皇が大悪魔・メフィストフェレスに殺されるまでは――。

当時、大司教だったニコラウスがメフィストフェレスを封印した功績によって教皇となってから、アストレア教団は少しづつおかしくなっていったのです。

信者の心には不平や不信感が募っていき、いよいよ爆発寸前といったタイミングで魔王が誕生しました。

教団に対する敵意が魔王に向くことが期待されていましたが、どういう訳だか魔族は一向に攻めてこない。

そんな折、この教会でベルゴリオ司教が殺害される事件が起こりました。

ニコラウス教皇は、これを利用したのです。

元凶を魔族のせいにして『魔人狩り』を行い、教団に対する不満分子を捕らえ、見せしめにしているのです」

「アンタは教団の中でも結構な地位にいるんだろ? なぜ、俺たちに内幕を教えてくれた?」

 勇者召喚の儀式に参加していたことも明かし、碧に謝罪したアヒムに、エディは尋ねる。

「良心の呵責というやつですよ。魔人狩りで捕らえられた子供たちは、他国に奴隷として売られています。罪のない子供たちが、これ以上、不幸になるのを見たくはない……」

「子供たちは、どこに捕らえられているの?」

 碧の瞳が怒りで燃えていた。

「オール商会……ブラッド・オールマンの屋敷の地下に集められています」

「神都で一番デカい商会の代表だな。ニック、カール、マイケルと合流して救出しよう」

 エディの瞳も碧と同様、義憤に燃えていた。


  ***


 ニコラウスとブラッドは幼馴染だった。

 ブラッドが父親の小さな商会を継いだ時、司祭だったニコラウスが貴族を紹介したことをきっかけに、オール商会は成功の階段を上り始めた。

 ニコラウスに深謝するブラッドは多額の布施を納め、ニコラウスはその金によって教団内での地位を確固たるものにしていった。

 アルニラム神皇国では禁止されている奴隷の売買も、ニコラウスや小児性愛症の貴族たちによって護られている。

 魔人狩りの犠牲者である子供たちは国外だけではなく、アルニラム神皇国の貴族の手にも渡っていた――。


  ***


「警備に冒険者を雇っているようだな。それにしても、凄い数だ」 
 ニックが静かに言った。 
 門扉の格子の間から敷地の様子が見える。

「よほど見られたら困るものでもあるんだろうぜ」 
 エディは門扉に手を伸ばした。
「当然ちゃ当然だが、鍵が掛かってるな。……おい! 誰か、ここを開けろ!!」

「なんだ? ……アンタら、皇国騎士か。それに、そっちにいるのは勇者さまじゃないか! ……どうやら来る場所を間違えてるようだな。ここには魔族も魔獣も出ちゃいませんぜ?」

 身長2メートルはありそうな戦士が言うと、背後にいた男たちが一斉に笑った。

「そう? 残念なことに、ここには悪魔がいるみたいなの。罪のない子供たちを奴隷として売っている悪魔がね!」

 碧は聖剣を抜くと門扉に数太刀を浴びせた。

「見事な太刀筋です、アオイ殿!」 

 閂もろとも切断された扉をカールが蹴破る。

「野郎ども、侵入者だ! 相手は勇者と皇国騎士だが、遠慮することはねえ! っちまえ!!」 
 大男の戦士が叫んだ。

「世間では色々と言われているが、俺は先代教皇を殺した悪魔を封印したニコラウス様を尊敬していたんだ。裏切られた気分だよ。今夜の俺は手加減できないぜ!」

 いつも沈着冷静なニックが、大暴れしている。

「やるじゃねえか! 俺の分も残しておいてくれよ!」

 エディも剣を抜くと、斬りかかってくる荒くれたちを次々に返り討ちにしていった。

「……っくそ!」

 戦況不利と見るや、慌てて逃げようとする大男の戦士を碧は見逃さなかった。

 神速ともいえる動きで退路の前に回り込む。

「捕らえられている子供たちはどこ? 素直に案内すれば、命だけは助けてあげる。そうでなければ……」

「こ、殺さないでくれ! アンタたちに敵わないのは、よーくわかった」

 聖剣の切先を眼前に突き付けられた大男は、自分の剣を捨てて両手を上げた。

「こっちだ……」

 案内されたのは屋敷の横にある馬房だった。

 飼料庫の乾草の下に隠し扉が現れる。

 大男、カール、碧の順で地下に続く階段を下りる。

 地下室に見張りはいない。

 牢の中に10数人の子供たちが監禁されていた。

「案内、ごくろうさま」

 碧は大男のみぞうちに拳を叩き込んで身体を二つに折ると、延髄に手刀を落とし、意識を刈った。

 子供たちを開放し、地上へ戻ると、戦闘は終わっていた。

 警備の冒険者たちは全員後ろ手に拘束されている。

「そっちも終わったみたいだな」 
 碧と子供たちを見てエディが安心したように微笑む。

「子供たちが無事でなによりだが、この騒ぎでオールマン代表は逃走したかもしれんな……」
 肩に担いだ大男を放り投げて、カールが残念そうに言った。

「ご心配なく!」 
 と、マイケルの明るい声が響く。
「念のため屋敷の裏手に回ったら、帳簿を持って逃げようとしていたオールマンと遭遇。確保しました!」

「マイケル、グッジョブ!」 
 碧は満面の笑みをたたえ、親指を立てた。
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