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第2章
43.帝城での攻防
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部屋に足を踏み入れると、一斉に視線を浴びた。
碧、ニック、エディ、カール、マイケルに、
『驚かせて、すまない。ニコラウス以外には指一本、触れるつもりはない。知らん顔をしていて欲しい……』
念話で告げると、周囲には気取られなくらい小さく頷くのが見えた。
「メフィストフェレスーーー!!!」
ニコラウスが悲鳴のような声で叫ぶ。
「久しいな、ニコラウス……。我を召喚し、マルコム教皇を殺させた後、魔封環獄に封印。その後、聖人として新教皇となる……見事なシナリオだったが、我は解放された。代償は払ってもらうぞ!」
「どういうことだ? マルコム教皇の死は、ニコラウスが計画したものだというのか!?」
「皇帝陛下、悪魔の言葉に惑わせてはなりません! 私を陥れようとする絵空事にございます!」
「これを見ても、まだそんなことが言えるか?」
メフィストフェレスの右掌に黒い靄がかかり、水晶髑髏のような物体が現れた。
「これは世界樹の琥珀から作りし魔道具。我は契約書を交わす代わりに、召喚された際の様子を映像として記録している。後で、言い逃れが出来ぬようにな!」
ドクロの眼窩から光が放たれ、空中に映像が投影される。
メフィストフェレスと司祭服姿のニコラウスが映っていた。
『マルコム教皇を亡き者にしてくれ。あの男は頭が固すぎる。献金が多く集まれば教団の力は増し、司教や司祭の生活も豊かになろうというもの。教団の発展のためには、私こそが教皇の座にふさわしい……』
流れる映像を見て、
「ヤメローーー!」
ニコラウス教皇が叫ぶ。
「本日この瞬間をもってニコラウス教皇を罷免する」
アレキサンドル皇帝が、ピシャリと言った。
「加えて国外追放処分とする。メフィストフェレス殿、この男は我が国とは、もはや無関係。ニコラウスを連れて早々にお引き取り願いたい」
「……そんな、私を切り捨てるのですか?」
「悪魔の手を借りてマルコム教皇の暗殺を企てた悪党を、どうして庇えよう。次は朕の番かもしれぬではないか」
「因果応報というやつだ。諦めろ」
俺が言うと、ニコラウスは糸の切れた操り人形のように膝から崩れ落ちた。
メフィストフェレスがニコラウスの頭を掴む。
「心配するな、殺しはせん……我が味わってきた絶望を、魔界でじっくりと堪能するがよい……」
2人の前にブラックホールのような穴が現れた。
「では魔王様、此度の礼は、いずれまた……」
(魔界がどんな場所なのかは知らないが、招待されても絶対に断ろう)
「ま、魔王だとぉおおおおお……!」
アレキサンドル皇帝が目を見開き、叫ぶ。
「き、貴殿は帰らないのか? ニコラウスは引き渡した。これ以上、何を望む!?」
「『魔人狩り』を止めていただきたい。昔と違って、我々魔族は人間に害を及ぼしていない。悪魔が人間に憑りついたとかいう話は、ニコラウスが創作したデマだ。ありもしない罪を着せられ続けるのは、気分が悪いからな」
「民の心を乗っ取り、国内を混乱させ、侵攻の足掛かりにしているのではない……と?」
「貴国をどうにかしたいなら、そんな、まだるっこしいことはしない。直接、攻め込んで落とすさ」
「言わせておけば! 魔王だか何だか知らないが、護衛もつけずに一人でいるということを忘れるな! 皇帝陛下、抜刀の許可を! 我ら近衛騎士団が、この場で打ち滅ぼしてみせましょう!」
近衛騎士の一人が叫んだ。
「俺に剣を向けた瞬間、この国は焦土と化すぞ?」
俺は右掌を窓の方向に向けて、『魔力砲』を放つ。
謁見の間の壁一面が吹き飛んだ。
次の瞬間――。
「ヒィイイイイイ……!」
恐怖と絶望を奏でる悲鳴があちこちから上がり、謁見の間にこだました。
崩壊した壁の向こう、帝城と目と鼻の先の空間にアモンの他、数十のドラゴンが空中停止して睨みを利かせている。
上空には、百を超える数のワイバーンが隊列を組むように旋回していた。
「アモン、この国全体を焼け野原にするのに、どれくらいの時間が必要だ?」
「一時間も頂ければ、魔王様のご期待に応えて見せましょう」
「……だそうだが、試してみるかい?」
「待て! 冷静になってくれ! 話し合おう!」
アレキサンドル皇帝の言葉に、
「俺は最初から、そのつもりだよ」
微笑んで答えた。
碧、ニック、エディ、カール、マイケルに、
『驚かせて、すまない。ニコラウス以外には指一本、触れるつもりはない。知らん顔をしていて欲しい……』
念話で告げると、周囲には気取られなくらい小さく頷くのが見えた。
「メフィストフェレスーーー!!!」
ニコラウスが悲鳴のような声で叫ぶ。
「久しいな、ニコラウス……。我を召喚し、マルコム教皇を殺させた後、魔封環獄に封印。その後、聖人として新教皇となる……見事なシナリオだったが、我は解放された。代償は払ってもらうぞ!」
「どういうことだ? マルコム教皇の死は、ニコラウスが計画したものだというのか!?」
「皇帝陛下、悪魔の言葉に惑わせてはなりません! 私を陥れようとする絵空事にございます!」
「これを見ても、まだそんなことが言えるか?」
メフィストフェレスの右掌に黒い靄がかかり、水晶髑髏のような物体が現れた。
「これは世界樹の琥珀から作りし魔道具。我は契約書を交わす代わりに、召喚された際の様子を映像として記録している。後で、言い逃れが出来ぬようにな!」
ドクロの眼窩から光が放たれ、空中に映像が投影される。
メフィストフェレスと司祭服姿のニコラウスが映っていた。
『マルコム教皇を亡き者にしてくれ。あの男は頭が固すぎる。献金が多く集まれば教団の力は増し、司教や司祭の生活も豊かになろうというもの。教団の発展のためには、私こそが教皇の座にふさわしい……』
流れる映像を見て、
「ヤメローーー!」
ニコラウス教皇が叫ぶ。
「本日この瞬間をもってニコラウス教皇を罷免する」
アレキサンドル皇帝が、ピシャリと言った。
「加えて国外追放処分とする。メフィストフェレス殿、この男は我が国とは、もはや無関係。ニコラウスを連れて早々にお引き取り願いたい」
「……そんな、私を切り捨てるのですか?」
「悪魔の手を借りてマルコム教皇の暗殺を企てた悪党を、どうして庇えよう。次は朕の番かもしれぬではないか」
「因果応報というやつだ。諦めろ」
俺が言うと、ニコラウスは糸の切れた操り人形のように膝から崩れ落ちた。
メフィストフェレスがニコラウスの頭を掴む。
「心配するな、殺しはせん……我が味わってきた絶望を、魔界でじっくりと堪能するがよい……」
2人の前にブラックホールのような穴が現れた。
「では魔王様、此度の礼は、いずれまた……」
(魔界がどんな場所なのかは知らないが、招待されても絶対に断ろう)
「ま、魔王だとぉおおおおお……!」
アレキサンドル皇帝が目を見開き、叫ぶ。
「き、貴殿は帰らないのか? ニコラウスは引き渡した。これ以上、何を望む!?」
「『魔人狩り』を止めていただきたい。昔と違って、我々魔族は人間に害を及ぼしていない。悪魔が人間に憑りついたとかいう話は、ニコラウスが創作したデマだ。ありもしない罪を着せられ続けるのは、気分が悪いからな」
「民の心を乗っ取り、国内を混乱させ、侵攻の足掛かりにしているのではない……と?」
「貴国をどうにかしたいなら、そんな、まだるっこしいことはしない。直接、攻め込んで落とすさ」
「言わせておけば! 魔王だか何だか知らないが、護衛もつけずに一人でいるということを忘れるな! 皇帝陛下、抜刀の許可を! 我ら近衛騎士団が、この場で打ち滅ぼしてみせましょう!」
近衛騎士の一人が叫んだ。
「俺に剣を向けた瞬間、この国は焦土と化すぞ?」
俺は右掌を窓の方向に向けて、『魔力砲』を放つ。
謁見の間の壁一面が吹き飛んだ。
次の瞬間――。
「ヒィイイイイイ……!」
恐怖と絶望を奏でる悲鳴があちこちから上がり、謁見の間にこだました。
崩壊した壁の向こう、帝城と目と鼻の先の空間にアモンの他、数十のドラゴンが空中停止して睨みを利かせている。
上空には、百を超える数のワイバーンが隊列を組むように旋回していた。
「アモン、この国全体を焼け野原にするのに、どれくらいの時間が必要だ?」
「一時間も頂ければ、魔王様のご期待に応えて見せましょう」
「……だそうだが、試してみるかい?」
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