痛覚研究所の記録

爪剥がし

パチンッパチンッ
｢お？博士、爪切りですか？｣
｢あぁそうだ、レディとして爪は美しくしておかないとな｣
｢さすが博士、美意識が高い。ちょっと僕にも貸してくれませんか？ちょうど爪が伸びてて...、前に1度伸ばしっぱなしにしてたら引っ掛けて剥がれたことがあるんですよ｣
｢いいだろう、ほら、手を出せ、切ってやろう｣
｢えへへ、ありがとうございまぁす｣
｢ふむ、確かに伸ばしすぎだな、男たるもの女を傷つけないように爪は切っておかねばダメだぞ｣
｢博士、僕には傷つけるような女の人は居ないんですよ、バカにしてます？｣
｢...もしも色々あって私とすることがあった時に、私を傷つけたら容赦しないぞ？｣
｢す、するって！？何を言い出すんですか博士！｣
｢それより、今日の実験を思いついた｣
｢それよりじゃないですよ！、もう博士ったらぁ...｣
｢今回は爪剥がしをしようと思う｣
｢爪剥がしとは、シンプルかつ効率よく痛みを与えられる拷問の基礎中の基礎ですね｣
｢そうだ、準備物も少ないし手軽にできる所も良いな｣
｢それじゃぁ、実験体の準備ですね｣
｢あぁ、今回は私が準備しよう、君はニッパーを準備しといてくれ｣
｢わぁ、僕の準備楽ちんだぁ｣


ガチャ
それには椅子に縛られた男がいた。
｢おいっ！ここから出せ！じゃないと警察に言うぞ！｣
｢出したところで警察に言うだろ...｣
｢こんなこと言ったら余計に殺されるリスクが高まるだけなのに...どうして言うんだろう？｣
｢パニックになって物事を考える力が低下しているのだろう。構う必要はない、始めよう｣
助手がニッパーを手に取り、男の手を握る。
｢おい！何するつもりだ！！さわんじゃねぇよ！！｣
｢今回の実験体は随分ガラが悪いですねぇ、やりにくいですよ｣
｢あぁ、ギャギャーうるさいな。適当に選ぶんじゃなかった...｣
｢ええ？！適当に選んだんですか！？、ちゃんとしてくださいよぉ、一様研究なんですよ｣
｢君もニッパーを買ってきただけだろう、それより、早く剥がしてしまおう｣
｢はーい、オリャッ｣
ブチッブチッ
｢うぐぁあぁぁぁぁぁぁ！！痛ってぇぇぇ！痛ってぇぇぇぇ！！｣
｢うわぁぁぁ、さらにうるさくなったぁぁぁ｣
｢くそ、今日の実験は楽だと思ったのだが、まさか実験体がこんな奴とは...｣
｢ウグッ、やめてください...許してください。
すみませんすみませんすみませんすみません｣
｢えぇ、泣きだしましたよこいつ、ほんとめんどくさいなぁ｣
｢うむ、威勢だけは良い奴だったんだな、まぁこっちの方がさっきよりはいい、テンポよくいこう｣
｢はーい、オリャオリャオリャオリャ｣
ブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッブチッ
残りの4本の指の爪を一気に剥がした。
｢うっっぐぁぁぁぁぁぁ！！イイぃぃぃぃ！ウグゥゥゥゥゥゥ！！｣
｢うわぁ、顔が涙と鼻水でぐちゃぐちゃだぁ、きたなーい、ほんときたなーい｣ 
｢うむ、見ていて吐きそうだ｣
｢ヒグッ、あんた達、何が目的だ？金か？金ならある！！いくらでもやるから解放してくれ！！｣
｢急に死亡フラグを言い出したな｣ 
｢余程死にたいらしいですね｣
｢あぁ、だが今回は殺さない、また再利用しよう、前回の紙男のおかげで色々学べたしな｣
｢うぅ、許してぇ、許してぇ、許してぇ。お願いしますお願いしますお願いします...｣
｢うるさいですね、早く出ましょう｣
｢あぁ、同感だ｣
ガチャン

｢いやぁ、しかし今回の実験はなかなか疲れましたね｣
｢あぁ、準備が簡単だと言って、あなどってしまった。結果いつもより大変な実験になった｣
｢でもひとつ学べましたね｣ 
｢あぁ、そうだな｣

｢準備が1番大事｣