3分で読めるショート短編集

カプセルハウス

今世間では、カプセルハウスなる住宅が当たり前になっている。
名前の由来はカプセルホテルからで、まんまカプセルホテルを自宅用に改造したものだ。
改造といってもカプセルの所有権が自分にあり、小さなトイレとシャワーが付いてるくらいで、ほとんどカプセルホテルと変わらない。
AIが発達する前の人たちなら窮屈に感じただろうが、今のAIが発達したこの時代では、寝ころべるスペースさえあればそれでいい、トイレも食事も風呂も、寝転んでいる状態で全部自動でAIがやってくれるのだ。
なんて楽ちんな世の中なのだろう。娯楽も、この携帯端末でゲームからテレビ、動画サービス、読書など。寝転びながら楽しめる。家畜の繁殖や治安の管理、設備の修理や建築、子育てまでもAIが自動でやってくれるので、仕事という概念もなくなった。ほんとうに一日中ゴロゴロしているだけでいいのだ。
あぁなんて幸せな日々なのだろう。
こんな日々が一生続きますように。


残念ながら、しばらくして人類は滅びてしまった。
一日中ゴロゴロしているだけで、外にも行かない。彼らは気付かないうちに太っていき、カプセルから出られなくなってしまったのだ。流石のAIでも多少は人間の手でメンテナンスしてやらないと、使い物にならなくなってしまう。出られない状況からしばらく経って、ようやく人類は今の危機的状況に気がついた。しかし時すでに遅し、全人類は自分の作ったカプセルに詰まり、全員詰まり死んだ。
なんと滑稽な種の滅亡だろう。
かつてAIによって人類は滅びると言った人達もいたようだが、ここまで笑える滅び方だとは誰も思わなかったであろう。