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悪魔祓い

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俺は200年ぶりに目を覚ました悪魔だ、人間どもの欲望を満たす代わりに魂を頂く、そいつが俺の仕事だ。
それにしても200年の間に日本は随分と様変わりしたな、建物はコンクリートで出来ているし、何やら小型の会話装置まで持っている。しかも個人一人一人がだ。おまけに200年前の活気溢れる町並みとは異なり、全員死んだ目をしている、こいつらはどこに向かってこんなに早く歩いているのだろう。
まさか、もう既にほかの悪魔がこいつらの魂を食い、コントロールしているのだろうか。そうとしか考えられない。男は同じような服を着て、ある建物にぞろぞろと入り込み、女は家から出ようとしない。きっと男を統治している悪魔はあのでかい建物の中にいて、夜にだけお気に入りの女の元に行くのだろう。
全く恐ろしいことをする悪魔もいたものだ、何もここまで魂を奪い尽くさないでもいいだろう。こいつらは生きているが死んでいる。人形と大して変わらない。飯を食い寝ることが出来る操り人形だ。
俺もなかなかのワルのつもりだったが、この時代の悪魔は悪魔の中の悪魔だ。悪魔の俺が言うのだからまちがいない。
そんな卑劣な悪魔がいる時代に長居は無用だな、さてもう500年ほどねむるとするか。

凄いぞ日本人、別に悪魔に操られている訳でもないのに、悪魔を知らず知らずのうちに追っ払ってしまった。凄いぞ日本人。

誇れよ日本人。
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