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本編
4話
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翌日の放課後、今日も生徒会の活動があり、生徒会室へと集まっている。
そして、僕は椅子に座り項垂れていた。
「まあ、二、三回断られるなんてよくあることだよ」
「そう落ち込むな」
「そうさ、僕もよくイザベルに断られているし、テオの言うとおり、よくあることさ」
クラーラから一緒に学園へ行くことも、帰ることも断られた僕に三人は慰めの言葉をかけてくれる。
しかし、その言葉でさえも鬱陶しく感じてしまうほどに今の気分は最悪だ。
その伝言が来たのは、朝からクラーラを迎えに行こうとしていたところだった。
クラーラから今日は一人で行きます、と来たのだ。
帰りも一人で帰るとのことだった。
きっと彼女も忙しいのだろう。
そうは思っていても心は追いつかないのだ。
今日は遠くからでしかクラーラを見れなかった。
もっと近くから彼女を眺めていたいのに。
「また誘えばいいじゃないか」
ロルフは僕の肩をポンと叩いて、生徒会室の奥にある一番豪華な椅子へと座った。
生徒会長は代々、そこの席に座る決まりなのだ。
ロルフはキラキラしすぎて居心地が悪いと言っていたが。
彼は第三王子なのにそういったキラキラした豪華なものが苦手だ。
ロルフは渋々そこに座っていた。
その隣の椅子には副会長である俺が座っている。
生徒会長以外の椅子は無駄な装飾品はついていないシンプルなものだ。
「遅れて申し訳ありません!」
「大丈夫だよ、まだ始まっていなかったから」
会計のヘレーネ・パーゼマンが慌てながら入ってくる。
彼女に優しく笑いかけるテオ。
そのテオに対してヴィリーは睨みつけている。
ああ、いつも通りだ。
彼女、ヘレーネはクラーラの友人でもある。
ヘレーネは優秀な人材だ。
そして何より、クラーラが大切にしている。
だから、僕も信頼をおいている。
一応、幼い頃からの関係ではあるが、僕はその当時からクラーラにしか興味がなかった。
全員が椅子に座ると、会議が始まる。
「以上で会議を終了する」
生徒会長の言葉で、全員が立ち上がる。
「じゃあ、私はこれで。フランツ、元気だしてね」
テオは書類を素早く集めると、そう残し足速に出ていった。
最近、気になっているご令嬢のところに行くのだろう。
羨ましいやつだ。
「あら、何かありましたのフランツ様」
「いや、」
「それがさ、こいつ、バルテル嬢に誘いを断られてばかりで落ち込んでるんだよ」
ヴィリーが僕とヘレーネの間に割り込んでくる。
「そうでしたの……」
ヘレーネは少し戸惑ったように言った。
「ああ。ところで、クラーラに最近、変わったことはあるかい」
「いえ、特に変わりはありませんわ。あっ、でも最近、ある令嬢と仲良くしていましたわ」
「それは誰なんだ?」
「子爵令嬢のマリー・バール様ですわ」
名前を聞いてみたが、分からない。
確かに聞いたことはあるが、顔が出てこない。
「あ~、例のご令嬢か」
「例の?」
今まで黙っていたロルフが納得した様子で言う。
「忘れたのかい?フランツが鬱陶しがっていたご令嬢だよ。最近、よく話しかけてくると言っていたではないか」
「ああ、彼女か」
確か、そんな名前だった気がする。
興味がなかったので覚えていなかった。
公爵令息としてどうかと思われるだろうが、必要最低限を覚えればいいと思っている。
それに僕はクラーラのことしか考えたくないのだ。
「そうか。ありがとう、ヘレーネ嬢」
「いいえ、あまりお役に立てなくてすみません」
「大丈夫だ」
僕は一礼をして生徒会室を出た。
今日も一人で馬車に向かう。
寂しい足取り。
いつもなら、隣で笑う顔を眺めているのに。
ため息をつきそうになる。
「きゃっ」
すると、突然、横から現れたものと衝突してしまう。
下を向くと先程まで話題にしていたマリー・バールがいた。
そして、僕は椅子に座り項垂れていた。
「まあ、二、三回断られるなんてよくあることだよ」
「そう落ち込むな」
「そうさ、僕もよくイザベルに断られているし、テオの言うとおり、よくあることさ」
クラーラから一緒に学園へ行くことも、帰ることも断られた僕に三人は慰めの言葉をかけてくれる。
しかし、その言葉でさえも鬱陶しく感じてしまうほどに今の気分は最悪だ。
その伝言が来たのは、朝からクラーラを迎えに行こうとしていたところだった。
クラーラから今日は一人で行きます、と来たのだ。
帰りも一人で帰るとのことだった。
きっと彼女も忙しいのだろう。
そうは思っていても心は追いつかないのだ。
今日は遠くからでしかクラーラを見れなかった。
もっと近くから彼女を眺めていたいのに。
「また誘えばいいじゃないか」
ロルフは僕の肩をポンと叩いて、生徒会室の奥にある一番豪華な椅子へと座った。
生徒会長は代々、そこの席に座る決まりなのだ。
ロルフはキラキラしすぎて居心地が悪いと言っていたが。
彼は第三王子なのにそういったキラキラした豪華なものが苦手だ。
ロルフは渋々そこに座っていた。
その隣の椅子には副会長である俺が座っている。
生徒会長以外の椅子は無駄な装飾品はついていないシンプルなものだ。
「遅れて申し訳ありません!」
「大丈夫だよ、まだ始まっていなかったから」
会計のヘレーネ・パーゼマンが慌てながら入ってくる。
彼女に優しく笑いかけるテオ。
そのテオに対してヴィリーは睨みつけている。
ああ、いつも通りだ。
彼女、ヘレーネはクラーラの友人でもある。
ヘレーネは優秀な人材だ。
そして何より、クラーラが大切にしている。
だから、僕も信頼をおいている。
一応、幼い頃からの関係ではあるが、僕はその当時からクラーラにしか興味がなかった。
全員が椅子に座ると、会議が始まる。
「以上で会議を終了する」
生徒会長の言葉で、全員が立ち上がる。
「じゃあ、私はこれで。フランツ、元気だしてね」
テオは書類を素早く集めると、そう残し足速に出ていった。
最近、気になっているご令嬢のところに行くのだろう。
羨ましいやつだ。
「あら、何かありましたのフランツ様」
「いや、」
「それがさ、こいつ、バルテル嬢に誘いを断られてばかりで落ち込んでるんだよ」
ヴィリーが僕とヘレーネの間に割り込んでくる。
「そうでしたの……」
ヘレーネは少し戸惑ったように言った。
「ああ。ところで、クラーラに最近、変わったことはあるかい」
「いえ、特に変わりはありませんわ。あっ、でも最近、ある令嬢と仲良くしていましたわ」
「それは誰なんだ?」
「子爵令嬢のマリー・バール様ですわ」
名前を聞いてみたが、分からない。
確かに聞いたことはあるが、顔が出てこない。
「あ~、例のご令嬢か」
「例の?」
今まで黙っていたロルフが納得した様子で言う。
「忘れたのかい?フランツが鬱陶しがっていたご令嬢だよ。最近、よく話しかけてくると言っていたではないか」
「ああ、彼女か」
確か、そんな名前だった気がする。
興味がなかったので覚えていなかった。
公爵令息としてどうかと思われるだろうが、必要最低限を覚えればいいと思っている。
それに僕はクラーラのことしか考えたくないのだ。
「そうか。ありがとう、ヘレーネ嬢」
「いいえ、あまりお役に立てなくてすみません」
「大丈夫だ」
僕は一礼をして生徒会室を出た。
今日も一人で馬車に向かう。
寂しい足取り。
いつもなら、隣で笑う顔を眺めているのに。
ため息をつきそうになる。
「きゃっ」
すると、突然、横から現れたものと衝突してしまう。
下を向くと先程まで話題にしていたマリー・バールがいた。
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