転生したけれど就職したからにはなんとか生きてみせる

向井日向

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え、ここってファンタジーの世界だったの?

「そういえばミラン様は学校に行っていないのですね」
 パーティーから数日後のある日の昼下がり、一つ気になっていたことがありミランに直接聞くことにした。
「今は家庭教師に勉強を教えてもらっているからね」
 今さらなぜそんなことを? と言いたげであったがミランは答えてくれた。

 そうだった、ここは日本ではないから教育制度が違うのだった。俺が持っている一般的な感覚は日本にいた頃由来のものだしあまりこちらでは通用しない。
 前から思ってはいたのだがこの国は現代がベースの国ではなさそうだ。ネットやスマホはもおろか、自動車もまだない。
 この国に生を受けて十四年になるのだが、今でも慣れない部分が多くある。

「どうして急に学校のことを聞いてきたの?」
「いや、貴族のご子息は学校に行くものかと思っていたのでミラン様は行かないのかなと思っただけです」
 この国の教育制度が日本と全然違っているからだとは言えず苦しまぎれに嘘をつく。
「でも来年には学校に入学していると思うよ」
 ミラン様は確か誕生日が来ると十二歳。来年ということは十三歳から学校に入学できるのか。

「僕が学校に行ってしまうのは寂しい?」
「確かに寂しいかもな」
 雇用主の子どもとは言えほとんどが俺より年上の職場の中で同年代で話しやすいのは確かだ。
 日中によく話す奴がいなくなってしまい寂しくなるのは本当だ。

「……そう」
「なんだよその間は」
 別にーとミランは答えるが、あれは何かを企んでいる顔だ。

「俺は学校になんて言ったことがないからな。どんな場所なのか知っていたら教えてくれ」
 現代日本とは違うこの国ではどんな学校があるのかとても気になるところだ。
「僕が知っているのは学校には二種類あるっていうこと。普通の人が通う学校と、魔法使いを育成する学校」
「は? 魔法使い?」

 魔法使いってあれだよな、おとぎ話によく出てくる魔法を使う人物だよな。
 ここってもしかして今までいた世界とは違う魔法がある世界なのか?
「魔法使いの才能があれば学校からスカウトが来るらしいよ。まあ僕には関係ない話だよ」

「で、そもそも魔法ってなんだ?」
 憐れむような目でこちらを見ないでほしい。こっちは魔法があるなんて知らないのだから……。
「はあ、魔法はね常識では考えられない力や現象のことだよ」
 あ、それは同じなのか。
 ただ、この世界では魔法が実在する。
 ということはここはファンタジーの世界なのか。

「へーすごいなー」
 元居た世界には魔法使いの少年の有名な児童文学があった。魔法使いを育成するという学校もそんな感じなのだろうか。
 何にせよ俺には関係ない世界の話だ。

「ミラン様は魔法とかに興味はないのですか?」
「僕は別に興味はないね」
 俺は魔法が使えるのなら空を飛んでみたのだが、馬鹿にされそうな気がしたので黙っておくことにした。
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