届け、紙飛行機

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拝啓、知らない誰かへ

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拝啓、この手紙を受け取った人へ。

私の余命はあと一週間です。  
私には親も兄弟もいません。

5年前に旅行中の事故で3人ともあの世へ行ってしまいました。

私だけ一命を取り留め、なんとか今日まで生きてきました。

けれど私は白血病になってしまい、残り一週間というわけです。

何故、知らない誰かにこの手紙を送ろうと思ったのか、実の所私にもよくわかっていません。

もしかしたら、身内のいない私は、誰かに私の生きていた事を知っていてほしいのかもしれません。

この世の誰にも知られないまま消えてゆくのは何だか寂しいです。

まるで水溜りが誰にも気にかけられないまま蒸発してしまうように、私も消えてゆくのだと考えるととても辛いです。

死に直面して気づいたことが沢山ありました。

誰しもいつかは死ぬ。意識してないだけで死はいつも隣に居るのだということ。

ただじっとそばに居てくれていると思うと、死は怖いものではなく親しいものに感じるようになりました。

それと家族を失い一人で生きてきたようで、実は沢山の人に支えられていたということ。

決して一人では生きることはできない世界なのだと気づきました。

そして生きるということの難しさ、美しさ、醜さなど色々な事を感じました。

全部書こうと思うと長くなるので割愛させて頂きます。

そういえば、手紙とは500文字くらいが読みやすいみたいですね、あまり長くなるとあなたにも迷惑だと思うので最後に一言だけあなたに贈ります。

生きてください、醜くて、美しいこの世界を。
まわりを良く見てください、あなたを支えているものを。

一言といったのに一言でまとまりませんでした。

では、さようなら



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