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夫婦喧嘩
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「話があるの」
夕飯を終えて、一息ついた時に柚月が改まった様子で言ってきた。
「話?」
総司は柚月と向かい合って座った。
「この間、高速道路の所で総司さんが下敷きになってしまったと思った時に、私は心の底からそうちゃんを失いたく無いって思ったの。私は本気でそうちゃんが好きだって改めて思ったの。
だから、ちゃんと心の底からそうちゃんを愛したいし、そうちゃんに愛されたいと思ってる。その為にも、お姉ちゃんにちゃんと話を聞いて納得した上で、そうちゃんの妻でいたい、それにそうちゃんの記憶を取り戻してその上で私を愛して欲しいの。
もちろん記憶を取り戻した時に、お姉ちゃんへの気持ちが戻ったならそれを受け入れる。
それが"本来"のそうちゃんの気持ちなんだから」
「本来ってなんだよ、俺もこの前瓦礫の下敷きになりかけたとき、思い出したのは柚月だった。
柚月と離れたくないって思ったんだよ、この気持ちに偽りはないし、本当の気持ちだ。」
柚月は頭を振った。
「確かに今の気持ちに偽りはないと思うよ。
でもさ、今のそうちゃんは過去を切り離してしまってる状態でしょ?
過去があって今のそうちゃんが有るんだよ、だから過去も取り戻さないと行けないと思う。
今が偽物って訳ではないんだけど、記憶を取り戻したときに本当のそうちゃん戻るって言うか、うーん
記憶がないそうちゃんは、なんて言えばいいのかな・・・・・」
総司は俯いて言った。
「本当のそうちゃんじゃないってか?・・・・」
柚月はすぐに違うと否定したが総司はそれを遮って言った。
「違わないよ、そういう事だろ、記憶がない俺は昔とは違う総司として今生きている。
見た目は同じでも、俺はかつての総司ではなくて、別人の総司となった。
柚月はそんな俺に昔の俺を被せてみているんだろ?
柚月が愛しているのは俺じゃない・・・・昔の俺なんだよ・・・・。
俺も考えてたんだ、両親や柚月は過去の俺を愛してくれてる、今の俺を受け入れると言う事は、昔の俺との別れを意味するだろ。
そんな事できるか?できないだろ?
だから、今の俺に昔の俺を被せているんだよ」
柚月は自分の気持ちを上手く伝えれない事が歯がゆかった。
そんな自分への怒りがつい、総司方へ向いてしまった。
柚月はバン!と机を叩いた。
「なんでわかってくれないの!私は昔のそうちゃんと今のそうちゃんを切離して考えたことなんかない!
確かに、今は記憶がなくて昔のそうちゃんとは違ったそうちゃんとして生きてるかもしれない、けれど私にとっては同じそうちゃんなんだよ。
だから、記憶のないそうちゃんをみてるのが辛いの!
切離して考えられないからこそ記憶を取り戻してかつてのそうちゃんに戻ってほしいのよ!」
柚月の言う事が理解できた総司は自分を馬鹿だと心の中で罵った。
記憶が無くなって新しい総司として生きていたのは俺だけだったんだ、柚月と両親からしたら、どんな俺でも唯一無二の総司なのだ。
だから昔と今でばらばらになってしまった俺をどう受け入れたらいいのか分からなかったのだ。
そんな事もわからずに俺は、愛されていた過去の自分という他人に嫉妬していたのだ。
「・・・ごめん、柚月の言う通りだ、俺が悪かった。
俺は柚月と両親、それと葉月の為にも記憶を取り戻さなければいけない。
だから、一緒に葉月を探そう」
「ありがとう、私もそうちゃんの気持ちを理解出来ずに、怒鳴ってごめんなさい」
俯いて柚月は言った。
重苦しい空気を和らげようと総司は気になる事を聞いた。
「そういえば、柚月、俺の事そうちゃんって呼ぶようになったね。
不思議と懐かしさを感じるんだ」
柚月は総司の顔を見た。
記憶に、僅かだが刺激を与えれているのかもしれない。
だから、懐かしさを感じているのだろう。
「昔ね、私もお姉ちゃんと同じように、そうちゃんって呼んでたんだよ、きっとその時の記憶が刺激されて懐かしさを感じたんじゃないかな」
総司は笑顔で柚月に言う。
「そうだったのか、じゃあこれからもそう呼んでくれ、もしかしたら記憶を取り戻す鍵になるかもしれない、それにその呼び方のほうが柚月との距離が近い気がして嬉しいし」
柚月は少し照れた様子でわかったと頷いた。
柚月と初めての夫婦喧嘩をした。
これが結果的に二人の絆を深める事になった。
時にはぶつかり合う事も大事と言う事を総司は思った。
夕飯を終えて、一息ついた時に柚月が改まった様子で言ってきた。
「話?」
総司は柚月と向かい合って座った。
「この間、高速道路の所で総司さんが下敷きになってしまったと思った時に、私は心の底からそうちゃんを失いたく無いって思ったの。私は本気でそうちゃんが好きだって改めて思ったの。
だから、ちゃんと心の底からそうちゃんを愛したいし、そうちゃんに愛されたいと思ってる。その為にも、お姉ちゃんにちゃんと話を聞いて納得した上で、そうちゃんの妻でいたい、それにそうちゃんの記憶を取り戻してその上で私を愛して欲しいの。
もちろん記憶を取り戻した時に、お姉ちゃんへの気持ちが戻ったならそれを受け入れる。
それが"本来"のそうちゃんの気持ちなんだから」
「本来ってなんだよ、俺もこの前瓦礫の下敷きになりかけたとき、思い出したのは柚月だった。
柚月と離れたくないって思ったんだよ、この気持ちに偽りはないし、本当の気持ちだ。」
柚月は頭を振った。
「確かに今の気持ちに偽りはないと思うよ。
でもさ、今のそうちゃんは過去を切り離してしまってる状態でしょ?
過去があって今のそうちゃんが有るんだよ、だから過去も取り戻さないと行けないと思う。
今が偽物って訳ではないんだけど、記憶を取り戻したときに本当のそうちゃん戻るって言うか、うーん
記憶がないそうちゃんは、なんて言えばいいのかな・・・・・」
総司は俯いて言った。
「本当のそうちゃんじゃないってか?・・・・」
柚月はすぐに違うと否定したが総司はそれを遮って言った。
「違わないよ、そういう事だろ、記憶がない俺は昔とは違う総司として今生きている。
見た目は同じでも、俺はかつての総司ではなくて、別人の総司となった。
柚月はそんな俺に昔の俺を被せてみているんだろ?
柚月が愛しているのは俺じゃない・・・・昔の俺なんだよ・・・・。
俺も考えてたんだ、両親や柚月は過去の俺を愛してくれてる、今の俺を受け入れると言う事は、昔の俺との別れを意味するだろ。
そんな事できるか?できないだろ?
だから、今の俺に昔の俺を被せているんだよ」
柚月は自分の気持ちを上手く伝えれない事が歯がゆかった。
そんな自分への怒りがつい、総司方へ向いてしまった。
柚月はバン!と机を叩いた。
「なんでわかってくれないの!私は昔のそうちゃんと今のそうちゃんを切離して考えたことなんかない!
確かに、今は記憶がなくて昔のそうちゃんとは違ったそうちゃんとして生きてるかもしれない、けれど私にとっては同じそうちゃんなんだよ。
だから、記憶のないそうちゃんをみてるのが辛いの!
切離して考えられないからこそ記憶を取り戻してかつてのそうちゃんに戻ってほしいのよ!」
柚月の言う事が理解できた総司は自分を馬鹿だと心の中で罵った。
記憶が無くなって新しい総司として生きていたのは俺だけだったんだ、柚月と両親からしたら、どんな俺でも唯一無二の総司なのだ。
だから昔と今でばらばらになってしまった俺をどう受け入れたらいいのか分からなかったのだ。
そんな事もわからずに俺は、愛されていた過去の自分という他人に嫉妬していたのだ。
「・・・ごめん、柚月の言う通りだ、俺が悪かった。
俺は柚月と両親、それと葉月の為にも記憶を取り戻さなければいけない。
だから、一緒に葉月を探そう」
「ありがとう、私もそうちゃんの気持ちを理解出来ずに、怒鳴ってごめんなさい」
俯いて柚月は言った。
重苦しい空気を和らげようと総司は気になる事を聞いた。
「そういえば、柚月、俺の事そうちゃんって呼ぶようになったね。
不思議と懐かしさを感じるんだ」
柚月は総司の顔を見た。
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だから、懐かしさを感じているのだろう。
「昔ね、私もお姉ちゃんと同じように、そうちゃんって呼んでたんだよ、きっとその時の記憶が刺激されて懐かしさを感じたんじゃないかな」
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「そうだったのか、じゃあこれからもそう呼んでくれ、もしかしたら記憶を取り戻す鍵になるかもしれない、それにその呼び方のほうが柚月との距離が近い気がして嬉しいし」
柚月は少し照れた様子でわかったと頷いた。
柚月と初めての夫婦喧嘩をした。
これが結果的に二人の絆を深める事になった。
時にはぶつかり合う事も大事と言う事を総司は思った。
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