空想世界

book bear

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奇跡

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昨夜、子供は無事だった。
運転手がギリギリの所でハンドルを切り、轢かれずにすんだ。

しかし、運転手は電柱に衝突して命を落とす結果となってしまった。

これは俺が念じたから子供は助かったのだろうか、想真はどう考えてもあの状況で子供が助かるとは思えなかった。

衝突する直前の光景がしっかりと目に焼き付いていた。

もうだめだと思った時思わず目を瞑ってしまった。
恐る恐る目を開けると子供は無事で車が粉々になっていた。

「おい、想真大丈夫か?」

ぼーっとしていた想真を心配してゴッドが声をかけた。

「ああ、大丈夫だ。

なぁゴッド、お前は昨日の事故、不自然に思わなかったか?
どうみてもあれは間に合ってなかった」


ゴッドは思い出すように腕を組みながら上を見上げた。

「うーん、細かいところまで見れてなかったから何とも言えない。

けど、お前が不自然と言うなら子供が無事でいる事を望んだから助かったと考えるべきじゃないか?

馬鹿げた話だと思ってるだろうが、この前話した集合意識が世界を作るように、お前の意識が現実を作り変えた可能性だってあるぞ」

オカルトを疑いもしないゴッドは真剣だった。

「もしそうなら、現実を変えたせいで運転手を殺してしまったのか」

柄にもなく思いつめた表情の想真。

「さぁな、それを確かめる術はないだろ、あまり考えすぎるのはお前らしくない」

「そうだな」

もし、本当に望む世界を作り上げる力があるなら、あの幸せな日々に戻りたい。

嫌な過去を全部無かった事にして人生をやり直したい。
そう強く思った。
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