黄葉に載せて君を想う

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黄葉に載せて君を想う

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そうか、そうだったのか。
彼女は当時の気持ちや約束を忘れたわけではなかったんだ。

彼女も俺と同じようにずっと想い続けてくれていたのだ。

それを知る事ができてとても嬉しかった。
幸せだと感じた。
けれど喜びと同じ位に悲しさも溢れ出してくる。


彼女はもうこの世にいないのだ。
気持ちが繋がっていた喜びを分かち合う事も、想いを直接伝える事ももう出来ない。

やり切れない気持ちと、どうしようもない悔しさが一気に押し寄せ、嬉しさと悲しさが混ざった涙が頬を伝う。

手紙の中にはまだ彼女の気配が残っているような気がして俺はずっと手紙を読み返していた。

滴る涙が手紙に落ち、彼女の文字が滲んでしまう。
その様子が彼女が消えようとしている様に思えて更に涙が溢れて、文字はぼんやりとして読みづらく、手紙を読めなくなった俺はその場で静かに泣き続けた。

泣けば泣くほど彼女がいない事が実感として湧いてくる。

辛い、こんな形で終わってしまうのか・・・・。
心が折れそうになる中、ぼやける視界に彼女の文字が目に写った。

"あの世でメッセージ待ってるよ"

そうだ、まだ最後ではない。
彼女のお願いがあるのだ。


彼女は俺に命をかけてもいいと思えるほど愛していると言ってくれた。

俺も同じ想いだ、再会してそれを彼女に伝えるため、いつの日かこの葉を持って彼女の元へ会いに行こう。


だからこの葉には「再会」と意味を込めて大切に肌身離さず大切に持つことにした。

俺が彼女の元に行った時、ありったけの想いを伝えよう。二人の恋愛はまだ終わらない、始まったばかりなのだ。

何十年先になるか分からないけど、また約束の場所で再会できることを信じて彼女を想い続ける。


だから約束だ、あの銀杏の木の下で待ち合わせよう。







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