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日常
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授業開始5分前のチャイムが鳴り席につく人が増えてきた。
「廉、じゃあまた後でな」
「ああ」
こっちに来る…!
私の席の1つ前に滝本廉がいて、滝本の右斜め前に玲が座っている。
玲と離れたのは寂しいけど滝本の後ろになれるとは思わなかったから嬉しいな。
とはいえプリントが配られる時に毎回恥ずかしくなるから慣れないけど。
「清水…おはよ」
あくびをしながら言う姿にドキドキしつつも少し和む。
「おはよー、めっちゃ眠そうじゃん!」
「清水はいつも元気だよな。俺昨日夜更かししたから授業中寝るかも…寝てそうだったら起こして」
「元気が取り柄なんでね、もし気づいたら起こすね!」
「ありがと」
そんな会話をしているうちに授業が始まった。
授業中、先程の会話通り滝本は寝ていた。
呼吸で静かに動いている背中を見ていると凄く穏やかな気持ちになれる。
催眠術ですかってくらい眠くなる授業をする先生だからな…これは寝るわ。
んー、起こすって約束はしたけど眠いのに起こされるのは可哀想だしどうしよう…。
悩んだ結果、板書は自分のノート見せればいいかと思い、10分くらいそのまま寝かせてから約束通り起こした。
ちなみに玲はしっかり先生の授業を聞いて勉強していた。
私の視線に気づいてか途中で目が合い、その後滝本の寝ている姿を見て少し微笑んでいた。
その様子が映画のワンシーンのようで見惚れてしまった。
「…夢まで寝た」
…授業後の第一声がそれか。
まああれだけ寝てたら無理もないか。
「どんまい!起こしたけどなかなか起きなくて面白かったよ、玲も笑ってたし」
「まじか、見られてたのハズいな」
「先生にも見られてたりしてね♪」
「もしそうなら辛すぎる…」
「元気だして!」
「ん……」
ハズいっていうのは玲に見られていたからなのか、それとも他の人に見られたからなのか。
気になるけど聞けないな…。
そんなことを考えていると玲と目が合った。
「雪ちゃんと滝本くん」
「西野おはよ」
「玲授業おつかれー!」
「雪ちゃんもおつかれさま!滝本くんはさっき寝てたからおはよう?」
「そうだな…つか寝てたの気づかれてたのか」
「うん!後ろを向いたら滝本くんがぐっすり寝てるからついしっかり見ちゃった」
「ハズいからあんま見ないでくれ」
「ごめんごめん、私ノートとってるからよければ貸そうか?」
「それは助かる、ありがとな」
「ううん!分からないところあったらいつでも言ってね、友達に呼ばれてるからまた後で」
「ああ」
「玲またね!」
小さく手を振って去っていく姿は同性の私から見ても可愛い。
本当は私が滝本にノート見せようかって声かけるつもりだったんだけどな…。
玲の後ろ姿を見ながらそんなことをふと思ってしまう自分に酷く嫌悪感を覚えた。
「廉、じゃあまた後でな」
「ああ」
こっちに来る…!
私の席の1つ前に滝本廉がいて、滝本の右斜め前に玲が座っている。
玲と離れたのは寂しいけど滝本の後ろになれるとは思わなかったから嬉しいな。
とはいえプリントが配られる時に毎回恥ずかしくなるから慣れないけど。
「清水…おはよ」
あくびをしながら言う姿にドキドキしつつも少し和む。
「おはよー、めっちゃ眠そうじゃん!」
「清水はいつも元気だよな。俺昨日夜更かししたから授業中寝るかも…寝てそうだったら起こして」
「元気が取り柄なんでね、もし気づいたら起こすね!」
「ありがと」
そんな会話をしているうちに授業が始まった。
授業中、先程の会話通り滝本は寝ていた。
呼吸で静かに動いている背中を見ていると凄く穏やかな気持ちになれる。
催眠術ですかってくらい眠くなる授業をする先生だからな…これは寝るわ。
んー、起こすって約束はしたけど眠いのに起こされるのは可哀想だしどうしよう…。
悩んだ結果、板書は自分のノート見せればいいかと思い、10分くらいそのまま寝かせてから約束通り起こした。
ちなみに玲はしっかり先生の授業を聞いて勉強していた。
私の視線に気づいてか途中で目が合い、その後滝本の寝ている姿を見て少し微笑んでいた。
その様子が映画のワンシーンのようで見惚れてしまった。
「…夢まで寝た」
…授業後の第一声がそれか。
まああれだけ寝てたら無理もないか。
「どんまい!起こしたけどなかなか起きなくて面白かったよ、玲も笑ってたし」
「まじか、見られてたのハズいな」
「先生にも見られてたりしてね♪」
「もしそうなら辛すぎる…」
「元気だして!」
「ん……」
ハズいっていうのは玲に見られていたからなのか、それとも他の人に見られたからなのか。
気になるけど聞けないな…。
そんなことを考えていると玲と目が合った。
「雪ちゃんと滝本くん」
「西野おはよ」
「玲授業おつかれー!」
「雪ちゃんもおつかれさま!滝本くんはさっき寝てたからおはよう?」
「そうだな…つか寝てたの気づかれてたのか」
「うん!後ろを向いたら滝本くんがぐっすり寝てるからついしっかり見ちゃった」
「ハズいからあんま見ないでくれ」
「ごめんごめん、私ノートとってるからよければ貸そうか?」
「それは助かる、ありがとな」
「ううん!分からないところあったらいつでも言ってね、友達に呼ばれてるからまた後で」
「ああ」
「玲またね!」
小さく手を振って去っていく姿は同性の私から見ても可愛い。
本当は私が滝本にノート見せようかって声かけるつもりだったんだけどな…。
玲の後ろ姿を見ながらそんなことをふと思ってしまう自分に酷く嫌悪感を覚えた。
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