その「好き」はどこまで本気ですか?

沙夜

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嫉妬とすれ違い

友達の忠告

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昨夜は、ほとんど眠れなかった。
目を閉じれば、あの光景がまぶたの裏にちらつく。自己防衛のために並べた理屈は、一人になった途端に何の役にも立たなかった。ただ鈍い痛みが、一晩中心臓のあたりに居座り続けている。

翌日、私はエイミーをカフェに呼び出していた。もう、一人では抱えきれなかったのだ。
公園での出来事を全て話すと、エイミーは呆れたように大きなため息をついた。

「ありえない! 目の前で他の女とキスされて、朱音は黙ってたわけ!?」
「だって、私たち付き合ってるわけじゃないし……」
「権利の問題じゃないでしょ! 朱音の気持ちの問題!」

エイミーはテーブルに身を乗り出すと、私の目をまっすぐに見て言った。

「いい、朱音。あんたはいつも考えすぎなのよ。理屈で自分の気持ちに蓋をしようとする。もっと肩の力抜いて、自分の気持ちに正直になりなさい。昨日のあれ、どう感じたの? 腹が立った? 悲しかった?」

彼女のストレートな言葉に、私は何も言い返せない。腹も立ったし、何より、悲しかった。

「その気持ちが答えよ。あとは、朱音がどうしたいか。それでも彼と一緒にいたいのか、もう会うのをやめるのか。シンプルに考えなさい」

エイミーと別れ、一人で街を歩きながら、彼女の言葉を反芻する。
自分の気持ちに、正直になる。

(私は、サイラスのことが好きなんだ)

あまりにも単純なその答えにたどり着いた途端、ストン、と胸のつかえが落ちるような気がした。そうだ、私は彼が好きだ。だから、昨日の出来事は悲しかったのだ。

では、どうしたい?
もう会うのをやめる?
その選択肢を考えた瞬間、胸がずきりと痛んだ。彼と会えなくなる日常は、この三ヶ月で築き上げた穏やかな時間は、あまりにも惜しい。

(付き合おうって言われているわけではない。束縛するのは、違う)

エイミーの言葉が、私の背中をそっと押してくれた。
今の、この曖昧な関係も、悪くないのかもしれない。彼と一緒にいる時間は、間違いなく心地がいいのだから。下手に「恋人」という関係を望むより、ずっと気楽でいられる。

そう思うと、不思議と心が軽くなった。
アパートに戻った私は、スマートフォンを手に取る。これまでは、いつも彼からの連絡を待ってばかりだった。

(たまには、私から誘ってみるのも、いいかもしれない)

画面に表示された『Silas』の名前を指でなぞりながら、私は小さく、けれど確かな決意を固めていた。
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