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第四話
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……死ぬかと思った……ってか死んだと思った。
俺は柔らかい泥の中に完全にめり込んでしまった身体を起こすべく、まずはその『手』に力を入れて……手?
んしょ、んしょ……どっこらせっと!
やっぱりだ、間違いない。俺にもついに手が生えたようだ。
まさか、手足の有り難さをこれほど痛感させられることになろうとは、いやはやありがとう俺の手足!
じゃあ尾びれは……ん、ピコピコ。まだあるな。
もと人間としては、手足がある以上この尾びれがある現状に違和感が半端ないが……。まあいい、今は踏まれても生き残れた奇跡に感謝するべきだろうな。
……それにしても。
俺はさっき自分を踏み潰してくれやがった人間の足跡をじっと見る。ちょうど土踏まずの辺りにある凹みが俺が埋まった場所。
この足跡を残した人間の靴のサイズが二十七センチと仮定すれば、俺の体長は十センチほどか……意外とデカイな俺。
尾びれを入れたら十五センチはいくんじゃないか、まあたぶんもうすぐ尾びれなくなるけど……。
お!
目の前に、さっきのグリーンスライムが食べ残した成体のカエルが浮いている。顔と胸そして左手くらいしか残っていないが……うげ、まだピクピクしてるけど生きてるのかコレ?
とりあえず……
いただきます。…………ピロピローン!
なんだろうな……食べるのに躊躇しないあたり、俺はすっかり人間を辞めたということなのか……俺は人間を辞めるぞジョ◯ョ……いや気にしないでね、独り言。
それにしても、今何か音がしなかったか、電子音みたいなピロンってやつ。
……ん、尻がムズムズする……って、ぅおぃっ!
お尻の辺りに感じた違和感に振り返れば、俺の尾びれが……みるみる引っ込んでいくではないか。
ああ、これで俺は一人前のカエルになるんだな。カエルの成体になれたことでこんなに感慨深いとは……うんビバ、カエル!
ところで、結局のところ俺って何ガエルなのだろう。
さっきのグリーンスライムみたいに、俺の上にもプラカード……はないな。何とか知る方法がないものか……。
うわっ、びっくりしたぁ!
それは本当に突然だった。
自分の種族的なことを知る手段がないかと考えていた俺の顔の前に、さっきのスライムの頭上に浮かんでいたようなプラカードみたいなのがいきなり現れたのだ。驚きすぎて未だにバクバクと鼓動が波打つ中、それを恐る恐る見てみると……
『ヌマガエル』
そのまんまかいっ!
なんともひねりのない名前がそこにあった。
しかも生えたばかりの手でそっと触れてみると……
おお、ステータス画面キターーッ!
俺自身のプラカードはスマホのようにめくれるらしい。そこには定番のレベルやスキル、そして次のページには様々な数値が並んでいる。
個体名 無し
種族 ヌマガエル
レベル 5
称号 無し
装備 無し
エクストラスキル 大食漢
通常スキル 粘着舌
数値の方はよくわからんが、このスキルってのはよく聞くあれで間違いないだろう。確か持っている能力的なものだよな。
粘着舌ってのは、まあこれのことだろうなあ……。
俺は近くを流れる落ち葉に向けて狙いを定める。人間には無かった機能だが、スキルの恩恵かその使い方はすぐに理解出来た。
舌が一気に伸びて落ち葉に貼りつき、そのまま落ち葉ごとバネが縮むようにして戻ってくる。その力は意外と強く、自分の体重の半分くらいまでの獲物なら引っ張れそうな気がした。
他にスキルも無い以上、普通のカエルのようにこの舌を使ってエサを捕まえ、頑張って生きていくしかないようだ。
さて……。
俺は近くの泥の上に上がり、ゴロゴロと転がって身体中を泥だらけにした。身体の色は黒っぽい灰色。目立ちはしないのだが、周りの泥の色と比べると身を隠せているとは言い難い。
今の俺の倍以上の身体をしていた成体が、あっさりとスライムに補食されるあたり、このヌマガエルというのはこの沼地エリアでもかなり下位の存在なのだろう。それならば、まずは身の安全を図るのが最優先事項だ。全てはそれからだな。
ちなみにさっき成体になった時に、肺のような機関が出来たのだろう。エラが無くなってしまったようだが、特に息苦しさを感じることはない。
とりあえず、さっきのスライムを追っていた人間たちの動向も気になるし、恐らく周りは俺よりも格上ばかりだろう。
ここは、この沼地の泥と一体化して隠れ、状況をしっかり把握するのが先決だな。うん。
俺は柔らかい泥の中に完全にめり込んでしまった身体を起こすべく、まずはその『手』に力を入れて……手?
んしょ、んしょ……どっこらせっと!
やっぱりだ、間違いない。俺にもついに手が生えたようだ。
まさか、手足の有り難さをこれほど痛感させられることになろうとは、いやはやありがとう俺の手足!
じゃあ尾びれは……ん、ピコピコ。まだあるな。
もと人間としては、手足がある以上この尾びれがある現状に違和感が半端ないが……。まあいい、今は踏まれても生き残れた奇跡に感謝するべきだろうな。
……それにしても。
俺はさっき自分を踏み潰してくれやがった人間の足跡をじっと見る。ちょうど土踏まずの辺りにある凹みが俺が埋まった場所。
この足跡を残した人間の靴のサイズが二十七センチと仮定すれば、俺の体長は十センチほどか……意外とデカイな俺。
尾びれを入れたら十五センチはいくんじゃないか、まあたぶんもうすぐ尾びれなくなるけど……。
お!
目の前に、さっきのグリーンスライムが食べ残した成体のカエルが浮いている。顔と胸そして左手くらいしか残っていないが……うげ、まだピクピクしてるけど生きてるのかコレ?
とりあえず……
いただきます。…………ピロピローン!
なんだろうな……食べるのに躊躇しないあたり、俺はすっかり人間を辞めたということなのか……俺は人間を辞めるぞジョ◯ョ……いや気にしないでね、独り言。
それにしても、今何か音がしなかったか、電子音みたいなピロンってやつ。
……ん、尻がムズムズする……って、ぅおぃっ!
お尻の辺りに感じた違和感に振り返れば、俺の尾びれが……みるみる引っ込んでいくではないか。
ああ、これで俺は一人前のカエルになるんだな。カエルの成体になれたことでこんなに感慨深いとは……うんビバ、カエル!
ところで、結局のところ俺って何ガエルなのだろう。
さっきのグリーンスライムみたいに、俺の上にもプラカード……はないな。何とか知る方法がないものか……。
うわっ、びっくりしたぁ!
それは本当に突然だった。
自分の種族的なことを知る手段がないかと考えていた俺の顔の前に、さっきのスライムの頭上に浮かんでいたようなプラカードみたいなのがいきなり現れたのだ。驚きすぎて未だにバクバクと鼓動が波打つ中、それを恐る恐る見てみると……
『ヌマガエル』
そのまんまかいっ!
なんともひねりのない名前がそこにあった。
しかも生えたばかりの手でそっと触れてみると……
おお、ステータス画面キターーッ!
俺自身のプラカードはスマホのようにめくれるらしい。そこには定番のレベルやスキル、そして次のページには様々な数値が並んでいる。
個体名 無し
種族 ヌマガエル
レベル 5
称号 無し
装備 無し
エクストラスキル 大食漢
通常スキル 粘着舌
数値の方はよくわからんが、このスキルってのはよく聞くあれで間違いないだろう。確か持っている能力的なものだよな。
粘着舌ってのは、まあこれのことだろうなあ……。
俺は近くを流れる落ち葉に向けて狙いを定める。人間には無かった機能だが、スキルの恩恵かその使い方はすぐに理解出来た。
舌が一気に伸びて落ち葉に貼りつき、そのまま落ち葉ごとバネが縮むようにして戻ってくる。その力は意外と強く、自分の体重の半分くらいまでの獲物なら引っ張れそうな気がした。
他にスキルも無い以上、普通のカエルのようにこの舌を使ってエサを捕まえ、頑張って生きていくしかないようだ。
さて……。
俺は近くの泥の上に上がり、ゴロゴロと転がって身体中を泥だらけにした。身体の色は黒っぽい灰色。目立ちはしないのだが、周りの泥の色と比べると身を隠せているとは言い難い。
今の俺の倍以上の身体をしていた成体が、あっさりとスライムに補食されるあたり、このヌマガエルというのはこの沼地エリアでもかなり下位の存在なのだろう。それならば、まずは身の安全を図るのが最優先事項だ。全てはそれからだな。
ちなみにさっき成体になった時に、肺のような機関が出来たのだろう。エラが無くなってしまったようだが、特に息苦しさを感じることはない。
とりあえず、さっきのスライムを追っていた人間たちの動向も気になるし、恐らく周りは俺よりも格上ばかりだろう。
ここは、この沼地の泥と一体化して隠れ、状況をしっかり把握するのが先決だな。うん。
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