36 / 183
第2章
35,チートレーニング
しおりを挟む
さっそく使い易いように改造してもらったベルトを腰につけて実際のフィット感やポーチの位置やなんかを調整してみる。
ポーチは完全に背後に回して両手どちらからでも届く位置にするのがベストっぽい。
でもこの位置だとあまり割れ物は入れられないな。
まぁ小さなポーチなので大きな物も入れられないのでこんなものだろう。
ベルトを外してアルに手渡すと伸びをする。
今日も1日がんばった。
結構色んな事があったけど、概ね平和な1日だった気がする。
奴隷の子のこともエリザベートさんが情報を集めてくれると太鼓判を押してくれたし、あの騎士が連れて行った以上怪我も大丈夫だろう。
疲れてはいるが、昨日のようにベッドに入ってすぐ寝てしまいたいほどではない。
エリザベートさんとの約束もお昼の話だし。
生前は暇になったらテレビなり小説なり漫画なりあったから手持ちぶたさを感じることはあまりなかった。
でも今は何もない。
こういうときはどうしてたっけ、と思うと結構すぐに思い至った。
「そうだ、筋トレをしよう」
思い立ったが吉日。というか、生前は毎日やってたことだ。
昨日は仕方ないとして今日から再開しよう。
だが生前と今では筋力なんかも全然違うし、ステータスの恩恵もある。
どの程度まで筋トレが有効なんだろうか。
ステータスをポイントで上昇させられるといっても、ポイントは早々手に入らない。
他にステータスの強化は装備品やスキルの強化系だろうか。
でも冒険者ギルドなんかで見た感じだと筋骨隆々の人がいっぱいだった。
やはりトレーニングによる効果はあるんだろう。
もしかしたらそのままステータスに加算されたりするのかもしれないし。
こういうときは考えるより、感じろだ。
やって無駄になる物でもないはずなのでさっそくやることにしよう。
アイテムボックスから適当に布を取り出して床に敷く……前にアルに一応敷物にしていいか聞いておくのも忘れない。
軽く柔軟をして体をほぐしてみる。まだ幼児だからかかなり柔らかい。重畳重畳。
ベッドと床の隙間に足の指を突っ込んで腹筋開始。
軽く浅く腰を痛めないように腹筋を意識して行っていく。
筋力増加が影響しているのか、100回を超えても特に疲れたりしない。
200回を超えた辺りで一旦筋力を戻してやってみることにした。
スキルリセットでぱぱっと筋力増加を外すと腹筋を再開。
……やばい。10回いかないうちに上体があがらなくなった。
「……うぅ……ぐはー……だめだー」
「失礼致します」
いつの間にか横に片膝立ちで控えていたアルがタオルで汗を拭いてくれる。
筋力増加があったときには200回やっても汗1つかかなかったのに外すと10回いかないでも汗びっしょりだったからありがたい。
「はぁ……はぁ……素だと筋トレがかなりきつい……」
「ですがさすがワタリ様です。このアル感服致しました」
「……なんで」
またアルがわけのわからない信仰を開始したご様子。
弾んでいた息も整ってきたので問い返すがどうせわけわかんない回答か、だんまりかのどっちかなのであまり気にしていなかった。
「少ない回数でステータス向上トレーニングを完了させる手段を考案するその頭脳。さすが我が主」
「……?」
今アルはステータス向上トレーニングって言ったよな。
やはり筋トレでステータスが上がるのか?
それに……言われてみればそうだな。筋力値が高いと筋トレも回数と時間がかかるみたいだけど、素の状態のように低い数値だと少ない回数と短時間で済む。なるほど。
「ま、まぁね! それよりアル君。筋トレでもステータスってあがるのかね?」
「答えは是。通常年単位でのトレーニングで1上がるかどうかといったところですが、ワタリ様の場合、創造神様からの贈り物がございます」
「おぉ……やっぱり上がるのか! しかも増加分がしっかりステータスで確認できるのか。
あ、でも上がるってことはトレーニングさぼったりしたら下がるってことでもあるのか」
「答えは是。ですがワタリ様の場合増加したポイント分をステータスリセットを使用することにより残りポイントに変換が可能です。
変換した場合、そのポイント分のトレーニングは無効となりそれ以降トレーニングをしなくとも減ることはありません」
「なぬ!?」
ということはなんだ。筋トレで上がったポイントを即効ステリセすればさぼっても減らないってことか!
それよりも筋トレで上がった筋力を別のところに回せるってのがすごい。
普通の人で1年365日で1ってことはオレは一ヶ月くらいやれば1上がるのか。
筋トレだけでも一ヶ月でポイントを稼ぐことができる。これは有利なんてもんじゃないな。
元々チートスキルばっかり貰ってるのになんという高待遇!
俄然やる気が出てきたぜぇ!
「よし! 次は腕立てだ!」
「さすが我が主。局所的なトレーニングでは上昇しづらいのを熟知しておられるとは……感服致しました」
……なんとなく生前やってたメニュー順にやるつもりだっただけだが、正解らしい。
ならばよし!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後もほんの数回でへばってはアルに介抱してもらいながら筋トレをこなしていった。
休憩中に色々とアルから聞き出した結果として筋トレとリセット系2種を併用して使うことによりかなり効率的にしかもデメリットをほとんど出さずにポイントを稼げることがわかった。
簡単に説明すると
・トレーニング自体にLvのような物が存在する。
・能力値が上昇すると同じトレーニングで取得できる経験値が減少する。
・Lvが上がると必要経験値も上昇。
・Lvは初期は0だが、上昇するとステータスに加算されるポイントとして確認できる。
・トレーニングをさぼるとさぼった分だけ経験値が減る。もちろんLvが減ればポイントも減る。
・Lvは0以下にはならないが、高齢になると減る。老化などがこれにあたる。
・ステータスリセットを使うとLvを任意で減らせる。0にするのがもっとも効率的。
・ステータスリセットによりLvを減らした場合でも、次のLvへの必要経験値はLv依存。
・ステータスリセットにより得たポイントを再度同じ能力値に加算してもトレーニングLvにはならない。
これらのことから、筋力値を素に戻して筋トレし、加算されたポイントをすぐにステリセするのがもっとも効率がよいということがわかった。
成長率増加Lv10と合わせて、つくづくチートな存在だとわかる。
筋トレ欠かさないだけでステータス上ではオレ最強になれちゃうよ?
途中から念のためにステータスウィンドウを出しっぱなしにして確認しながら行う。
筋トレ毎に全部のスキルをリセットするのはさすがに面倒くさいので、不必要なステータス系スキルとポイントが高いが筋トレには必要なさそうな詠唱省略などのスキルをリセットして回復力につぎ込んでおいた。
多少なりともスタミナ回復に役立ってくれればいいし、MPの回復速度も高くなる。
MPは月陽の首飾りに貯蓄しておくのも忘れない。
やはり数回の使用でMPの流し方もコントロールできるようになった。
1時間くらいかけてインターバルをたっぷり挟んでのメニューを一通りこなすとかなりぐったりしてしまった。
かなり汗もかいたのでアルにお湯を取りに行ってもらう。
当然ながら1回トレーニングしたくらいではステータスの上昇はなかったが、スキルやステータスを戻しておくのも忘れない。
「はぁ……はぁ~……足も腕も腹筋もぷるぷるする……なんかすっげー久しぶりの感覚だ」
生前はクマのような大男だったが、筋トレは毎日欠かさなかった。
今のような筋肉がぷるぷるするほどやると数時間はかかってしまうので、この感覚は久しく味わっていなかったものだ。
不思議な充実感がある。
「ふー……でもこれ……明日筋肉痛じゃねぇ?」
そう……問題は筋肉痛だ。
超回復……所謂断裂した筋肉組織が回復強化される経過による炎症が原因だとかなんとか。
よく知らないが処置方法なら知ってる。
筋トレ後にもしっかりと柔軟を行ったり、お風呂に入ったりして筋肉を温めてあげるといいのだ。
でも残念ながらお風呂はない。
なのでしっかりと柔軟をしておく。
水分を適度に取りながらやっていたので、流れ出たかなりの汗を吸って湿っている敷物の上で柔らかい体をべたーっとゆっくり伸ばす。
本当にこの体は柔らかい。
生前は骨格なども邪魔してここまで柔らかくは無かった。
だが今は足を180度開いてべったりと床に体がくっつく。どこぞの雑技団の芸もできそうな柔らかさだ。
まぁ真似して戻らなくなったら怖いのでやらないけど。
のんびりとストレッチや軽いヨガをしながら待っていると大きな桶を持ってアルが戻ってきた。
「おかえり~」
「お待たせいたしました」
桶を近場に置くアルに一声かけて服をぽいぽいっと脱いで裸になる。
なんかもうアル相手だと裸になるのも躊躇がなくなってしまった。これも成長率増加の……いや技術じゃないか。
「失礼致します」
「ん」
今朝同様仁王立ちで待ち構えているとそれはそれは綺麗にしてくれました。
ただちょっと違ったのは、今回は拭き終わった後何やらいい匂いのする物をタオルにまぶして軽く全身につけられた。
「アル~何コレ?」
「こちらは肌を保護するパウダーになります」
「へー……?」
元男のオレにはいまいち必要性がわからなかったが、アルが当然のように使用しているのでそういうものなんだろう。保湿クリームみたいなもん?
新しい服を出して着替えると次は髪の番らしい。
ちなみに下着はおぱんてぃではなく、カボチャパンツだ。スポブラは当然つけてない。
オレの尊厳はまだ守られている。アルも特に何も言わなかった。
言ってきても無視するけどね!
服もきぐるみパジャマ――アルが言うには耳パジャマではなく、男物の上下だ。
これには顔には出さないが非常に残念そうにしていた従者君だった。
まぁそのうち覚悟が決まったら着てあげよう。いつになるかわからんけど。むしろ覚悟決まらないかもしれないけど。
「失礼致します」
「ん。お手柔らかに」
今度は仁王立ちではなく椅子に腰掛けて首を背もたれから後ろに出して、髪を垂らすようにする。
タオルで綺麗に拭いてから、やはり買っていたブラシと例の3種類の櫛を使って綺麗に梳いていく。
うーん……やはり気持ちいい……。
マッサージでもされているかのような気持ちよさだ。
それにアルが優しく優しく大切に梳いてくれているのがわかる。
「はぁ~ぎも゛ぢい゛い゛ぃ~……」
「恐悦至極にございます」
親父臭い完全にだらけた声を出しながら長時間かけて髪を梳いてもらいながら、異世界2日目の夜は更けていった。
ポーチは完全に背後に回して両手どちらからでも届く位置にするのがベストっぽい。
でもこの位置だとあまり割れ物は入れられないな。
まぁ小さなポーチなので大きな物も入れられないのでこんなものだろう。
ベルトを外してアルに手渡すと伸びをする。
今日も1日がんばった。
結構色んな事があったけど、概ね平和な1日だった気がする。
奴隷の子のこともエリザベートさんが情報を集めてくれると太鼓判を押してくれたし、あの騎士が連れて行った以上怪我も大丈夫だろう。
疲れてはいるが、昨日のようにベッドに入ってすぐ寝てしまいたいほどではない。
エリザベートさんとの約束もお昼の話だし。
生前は暇になったらテレビなり小説なり漫画なりあったから手持ちぶたさを感じることはあまりなかった。
でも今は何もない。
こういうときはどうしてたっけ、と思うと結構すぐに思い至った。
「そうだ、筋トレをしよう」
思い立ったが吉日。というか、生前は毎日やってたことだ。
昨日は仕方ないとして今日から再開しよう。
だが生前と今では筋力なんかも全然違うし、ステータスの恩恵もある。
どの程度まで筋トレが有効なんだろうか。
ステータスをポイントで上昇させられるといっても、ポイントは早々手に入らない。
他にステータスの強化は装備品やスキルの強化系だろうか。
でも冒険者ギルドなんかで見た感じだと筋骨隆々の人がいっぱいだった。
やはりトレーニングによる効果はあるんだろう。
もしかしたらそのままステータスに加算されたりするのかもしれないし。
こういうときは考えるより、感じろだ。
やって無駄になる物でもないはずなのでさっそくやることにしよう。
アイテムボックスから適当に布を取り出して床に敷く……前にアルに一応敷物にしていいか聞いておくのも忘れない。
軽く柔軟をして体をほぐしてみる。まだ幼児だからかかなり柔らかい。重畳重畳。
ベッドと床の隙間に足の指を突っ込んで腹筋開始。
軽く浅く腰を痛めないように腹筋を意識して行っていく。
筋力増加が影響しているのか、100回を超えても特に疲れたりしない。
200回を超えた辺りで一旦筋力を戻してやってみることにした。
スキルリセットでぱぱっと筋力増加を外すと腹筋を再開。
……やばい。10回いかないうちに上体があがらなくなった。
「……うぅ……ぐはー……だめだー」
「失礼致します」
いつの間にか横に片膝立ちで控えていたアルがタオルで汗を拭いてくれる。
筋力増加があったときには200回やっても汗1つかかなかったのに外すと10回いかないでも汗びっしょりだったからありがたい。
「はぁ……はぁ……素だと筋トレがかなりきつい……」
「ですがさすがワタリ様です。このアル感服致しました」
「……なんで」
またアルがわけのわからない信仰を開始したご様子。
弾んでいた息も整ってきたので問い返すがどうせわけわかんない回答か、だんまりかのどっちかなのであまり気にしていなかった。
「少ない回数でステータス向上トレーニングを完了させる手段を考案するその頭脳。さすが我が主」
「……?」
今アルはステータス向上トレーニングって言ったよな。
やはり筋トレでステータスが上がるのか?
それに……言われてみればそうだな。筋力値が高いと筋トレも回数と時間がかかるみたいだけど、素の状態のように低い数値だと少ない回数と短時間で済む。なるほど。
「ま、まぁね! それよりアル君。筋トレでもステータスってあがるのかね?」
「答えは是。通常年単位でのトレーニングで1上がるかどうかといったところですが、ワタリ様の場合、創造神様からの贈り物がございます」
「おぉ……やっぱり上がるのか! しかも増加分がしっかりステータスで確認できるのか。
あ、でも上がるってことはトレーニングさぼったりしたら下がるってことでもあるのか」
「答えは是。ですがワタリ様の場合増加したポイント分をステータスリセットを使用することにより残りポイントに変換が可能です。
変換した場合、そのポイント分のトレーニングは無効となりそれ以降トレーニングをしなくとも減ることはありません」
「なぬ!?」
ということはなんだ。筋トレで上がったポイントを即効ステリセすればさぼっても減らないってことか!
それよりも筋トレで上がった筋力を別のところに回せるってのがすごい。
普通の人で1年365日で1ってことはオレは一ヶ月くらいやれば1上がるのか。
筋トレだけでも一ヶ月でポイントを稼ぐことができる。これは有利なんてもんじゃないな。
元々チートスキルばっかり貰ってるのになんという高待遇!
俄然やる気が出てきたぜぇ!
「よし! 次は腕立てだ!」
「さすが我が主。局所的なトレーニングでは上昇しづらいのを熟知しておられるとは……感服致しました」
……なんとなく生前やってたメニュー順にやるつもりだっただけだが、正解らしい。
ならばよし!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後もほんの数回でへばってはアルに介抱してもらいながら筋トレをこなしていった。
休憩中に色々とアルから聞き出した結果として筋トレとリセット系2種を併用して使うことによりかなり効率的にしかもデメリットをほとんど出さずにポイントを稼げることがわかった。
簡単に説明すると
・トレーニング自体にLvのような物が存在する。
・能力値が上昇すると同じトレーニングで取得できる経験値が減少する。
・Lvが上がると必要経験値も上昇。
・Lvは初期は0だが、上昇するとステータスに加算されるポイントとして確認できる。
・トレーニングをさぼるとさぼった分だけ経験値が減る。もちろんLvが減ればポイントも減る。
・Lvは0以下にはならないが、高齢になると減る。老化などがこれにあたる。
・ステータスリセットを使うとLvを任意で減らせる。0にするのがもっとも効率的。
・ステータスリセットによりLvを減らした場合でも、次のLvへの必要経験値はLv依存。
・ステータスリセットにより得たポイントを再度同じ能力値に加算してもトレーニングLvにはならない。
これらのことから、筋力値を素に戻して筋トレし、加算されたポイントをすぐにステリセするのがもっとも効率がよいということがわかった。
成長率増加Lv10と合わせて、つくづくチートな存在だとわかる。
筋トレ欠かさないだけでステータス上ではオレ最強になれちゃうよ?
途中から念のためにステータスウィンドウを出しっぱなしにして確認しながら行う。
筋トレ毎に全部のスキルをリセットするのはさすがに面倒くさいので、不必要なステータス系スキルとポイントが高いが筋トレには必要なさそうな詠唱省略などのスキルをリセットして回復力につぎ込んでおいた。
多少なりともスタミナ回復に役立ってくれればいいし、MPの回復速度も高くなる。
MPは月陽の首飾りに貯蓄しておくのも忘れない。
やはり数回の使用でMPの流し方もコントロールできるようになった。
1時間くらいかけてインターバルをたっぷり挟んでのメニューを一通りこなすとかなりぐったりしてしまった。
かなり汗もかいたのでアルにお湯を取りに行ってもらう。
当然ながら1回トレーニングしたくらいではステータスの上昇はなかったが、スキルやステータスを戻しておくのも忘れない。
「はぁ……はぁ~……足も腕も腹筋もぷるぷるする……なんかすっげー久しぶりの感覚だ」
生前はクマのような大男だったが、筋トレは毎日欠かさなかった。
今のような筋肉がぷるぷるするほどやると数時間はかかってしまうので、この感覚は久しく味わっていなかったものだ。
不思議な充実感がある。
「ふー……でもこれ……明日筋肉痛じゃねぇ?」
そう……問題は筋肉痛だ。
超回復……所謂断裂した筋肉組織が回復強化される経過による炎症が原因だとかなんとか。
よく知らないが処置方法なら知ってる。
筋トレ後にもしっかりと柔軟を行ったり、お風呂に入ったりして筋肉を温めてあげるといいのだ。
でも残念ながらお風呂はない。
なのでしっかりと柔軟をしておく。
水分を適度に取りながらやっていたので、流れ出たかなりの汗を吸って湿っている敷物の上で柔らかい体をべたーっとゆっくり伸ばす。
本当にこの体は柔らかい。
生前は骨格なども邪魔してここまで柔らかくは無かった。
だが今は足を180度開いてべったりと床に体がくっつく。どこぞの雑技団の芸もできそうな柔らかさだ。
まぁ真似して戻らなくなったら怖いのでやらないけど。
のんびりとストレッチや軽いヨガをしながら待っていると大きな桶を持ってアルが戻ってきた。
「おかえり~」
「お待たせいたしました」
桶を近場に置くアルに一声かけて服をぽいぽいっと脱いで裸になる。
なんかもうアル相手だと裸になるのも躊躇がなくなってしまった。これも成長率増加の……いや技術じゃないか。
「失礼致します」
「ん」
今朝同様仁王立ちで待ち構えているとそれはそれは綺麗にしてくれました。
ただちょっと違ったのは、今回は拭き終わった後何やらいい匂いのする物をタオルにまぶして軽く全身につけられた。
「アル~何コレ?」
「こちらは肌を保護するパウダーになります」
「へー……?」
元男のオレにはいまいち必要性がわからなかったが、アルが当然のように使用しているのでそういうものなんだろう。保湿クリームみたいなもん?
新しい服を出して着替えると次は髪の番らしい。
ちなみに下着はおぱんてぃではなく、カボチャパンツだ。スポブラは当然つけてない。
オレの尊厳はまだ守られている。アルも特に何も言わなかった。
言ってきても無視するけどね!
服もきぐるみパジャマ――アルが言うには耳パジャマではなく、男物の上下だ。
これには顔には出さないが非常に残念そうにしていた従者君だった。
まぁそのうち覚悟が決まったら着てあげよう。いつになるかわからんけど。むしろ覚悟決まらないかもしれないけど。
「失礼致します」
「ん。お手柔らかに」
今度は仁王立ちではなく椅子に腰掛けて首を背もたれから後ろに出して、髪を垂らすようにする。
タオルで綺麗に拭いてから、やはり買っていたブラシと例の3種類の櫛を使って綺麗に梳いていく。
うーん……やはり気持ちいい……。
マッサージでもされているかのような気持ちよさだ。
それにアルが優しく優しく大切に梳いてくれているのがわかる。
「はぁ~ぎも゛ぢい゛い゛ぃ~……」
「恐悦至極にございます」
親父臭い完全にだらけた声を出しながら長時間かけて髪を梳いてもらいながら、異世界2日目の夜は更けていった。
56
あなたにおすすめの小説
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
この優しさには絶対に裏がある!~激甘待遇に転生幼女は混乱中~
たちばな立花
ファンタジー
処刑された魔女が目を覚ますと、敵国の王女レティシアに逆行転生していた。
しかも自分は――愛され王女!?
前世とは違う扱いに戸惑うレティシア。
「この人たちが私に優しくするのは絶対に何か裏があるはず!」
いつも優しい両親や兄。
戸惑いながらも、心は少しずつ溶けていく。
これは罠? それとも本物の“家族の愛”?
愛を知らないレティシアは、家族の無償の愛に翻弄されながらも成長していく。
疑り深い転生幼女が、初めて“幸せ”と出会う――
じんわり心あたたまる、愛されファンタジー。
他サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる