幼女と執事が異世界で

天界

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第2章

35,チートレーニング

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 さっそく使い易いように改造してもらったベルトを腰につけて実際のフィット感やポーチの位置やなんかを調整してみる。
 ポーチは完全に背後に回して両手どちらからでも届く位置にするのがベストっぽい。
 でもこの位置だとあまり割れ物は入れられないな。
 まぁ小さなポーチなので大きな物も入れられないのでこんなものだろう。

 ベルトを外してアルに手渡すと伸びをする。
 今日も1日がんばった。
 結構色んな事があったけど、概ね平和な1日だった気がする。
 奴隷の子のこともエリザベートさんが情報を集めてくれると太鼓判を押してくれたし、あの騎士が連れて行った以上怪我も大丈夫だろう。

 疲れてはいるが、昨日のようにベッドに入ってすぐ寝てしまいたいほどではない。
 エリザベートさんとの約束もお昼の話だし。

 生前は暇になったらテレビなり小説なり漫画なりあったから手持ちぶたさを感じることはあまりなかった。
 でも今は何もない。
 こういうときはどうしてたっけ、と思うと結構すぐに思い至った。


「そうだ、筋トレをしよう」


 思い立ったが吉日。というか、生前は毎日やってたことだ。
 昨日は仕方ないとして今日から再開しよう。

 だが生前と今では筋力なんかも全然違うし、ステータスの恩恵もある。
 どの程度まで筋トレが有効なんだろうか。
 ステータスをポイントで上昇させられるといっても、ポイントは早々手に入らない。
 他にステータスの強化は装備品やスキルの強化系だろうか。
 でも冒険者ギルドなんかで見た感じだと筋骨隆々の人がいっぱいだった。
 やはりトレーニングによる効果はあるんだろう。
 もしかしたらそのままステータスに加算されたりするのかもしれないし。

 こういうときは考えるより、感じろだ。

 やって無駄になる物でもないはずなのでさっそくやることにしよう。
 アイテムボックスから適当に布を取り出して床に敷く……前にアルに一応敷物にしていいか聞いておくのも忘れない。
 軽く柔軟をして体をほぐしてみる。まだ幼児だからかかなり柔らかい。重畳重畳。

 ベッドと床の隙間に足の指を突っ込んで腹筋開始。
 軽く浅く腰を痛めないように腹筋を意識して行っていく。
 筋力増加が影響しているのか、100回を超えても特に疲れたりしない。

 200回を超えた辺りで一旦筋力を戻してやってみることにした。
 スキルリセットでぱぱっと筋力増加を外すと腹筋を再開。

 ……やばい。10回いかないうちに上体があがらなくなった。


「……うぅ……ぐはー……だめだー」

「失礼致します」


 いつの間にか横に片膝立ちで控えていたアルがタオルで汗を拭いてくれる。
 筋力増加があったときには200回やっても汗1つかかなかったのに外すと10回いかないでも汗びっしょりだったからありがたい。


「はぁ……はぁ……素だと筋トレがかなりきつい……」

「ですがさすがワタリ様です。このアル感服致しました」

「……なんで」


 またアルがわけのわからない信仰を開始したご様子。
 弾んでいた息も整ってきたので問い返すがどうせわけわかんない回答か、だんまりかのどっちかなのであまり気にしていなかった。


「少ない回数でステータス向上トレーニングを完了させる手段を考案するその頭脳。さすが我が主」

「……?」


 今アルはステータス向上トレーニングって言ったよな。
 やはり筋トレでステータスが上がるのか?
 それに……言われてみればそうだな。筋力値が高いと筋トレも回数と時間がかかるみたいだけど、素の状態のように低い数値だと少ない回数と短時間で済む。なるほど。


「ま、まぁね! それよりアル君。筋トレでもステータスってあがるのかね?」

「答えは是。通常年単位でのトレーニングで1上がるかどうかといったところですが、ワタリ様の場合、創造神様からの贈り物がございます」

「おぉ……やっぱり上がるのか! しかも増加分がしっかりステータスで確認できるのか。
 あ、でも上がるってことはトレーニングさぼったりしたら下がるってことでもあるのか」

「答えは是。ですがワタリ様の場合増加したポイント分をステータスリセットを使用することにより残りポイントに変換が可能です。
 変換した場合、そのポイント分のトレーニングは無効となりそれ以降トレーニングをしなくとも減ることはありません」

「なぬ!?」


 ということはなんだ。筋トレで上がったポイントを即効ステリセステータスリセットすればさぼっても減らないってことか!
 それよりも筋トレで上がった筋力を別のところに回せるってのがすごい。
 普通の人で1年365日で1ってことはオレは一ヶ月くらいやれば1上がるのか。
 筋トレだけでも一ヶ月でポイントを稼ぐことができる。これは有利なんてもんじゃないな。
 元々チートスキルばっかり貰ってるのになんという高待遇!
 俄然やる気が出てきたぜぇ!


「よし! 次は腕立てだ!」

「さすが我が主。局所的なトレーニングでは上昇しづらいのを熟知しておられるとは……感服致しました」


 ……なんとなく生前やってたメニュー順にやるつもりだっただけだが、正解らしい。

 ならばよし!






      ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 その後もほんの数回でへばってはアルに介抱してもらいながら筋トレをこなしていった。
 休憩中に色々とアルから聞き出した結果として筋トレとリセット系2種を併用して使うことによりかなり効率的にしかもデメリットをほとんど出さずにポイントを稼げることがわかった。

 簡単に説明すると
 ・トレーニング自体にLvのような物が存在する。
 ・能力値が上昇すると同じトレーニングで取得できる経験値が減少する。
 ・Lvが上がると必要経験値も上昇。
 ・Lvは初期は0だが、上昇するとステータスに加算されるポイントとして確認できる。
 ・トレーニングをさぼるとさぼった分だけ経験値が減る。もちろんLvが減ればポイントも減る。
 ・Lvは0以下にはならないが、高齢になると減る。老化などがこれにあたる。
 ・ステータスリセットを使うとLvを任意で減らせる。0にするのがもっとも効率的。
 ・ステータスリセットによりLvを減らした場合でも、次のLvへの必要経験値はLv依存。
 ・ステータスリセットにより得たポイントを再度同じ能力値に加算してもトレーニングLvにはならない。

 これらのことから、筋力値を素に戻して筋トレし、加算されたポイントをすぐにステリセステータスリセットするのがもっとも効率がよいということがわかった。
 成長率増加Lv10と合わせて、つくづくチートな存在だとわかる。
 筋トレ欠かさないだけでステータス上ではオレ最強になれちゃうよ?


 途中から念のためにステータスウィンドウを出しっぱなしにして確認しながら行う。
 筋トレ毎に全部のスキルをリセットするのはさすがに面倒くさいので、不必要なステータス系スキルとポイントが高いが筋トレには必要なさそうな詠唱省略などのスキルをリセットして回復力につぎ込んでおいた。
 多少なりともスタミナ回復に役立ってくれればいいし、MPの回復速度も高くなる。
 MPは月陽の首飾りに貯蓄しておくのも忘れない。
 やはり数回の使用でMPの流し方もコントロールできるようになった。


 1時間くらいかけてインターバルをたっぷり挟んでのメニューを一通りこなすとかなりぐったりしてしまった。
 かなり汗もかいたのでアルにお湯を取りに行ってもらう。
 当然ながら1回トレーニングしたくらいではステータスの上昇はなかったが、スキルやステータスを戻しておくのも忘れない。


「はぁ……はぁ~……足も腕も腹筋もぷるぷるする……なんかすっげー久しぶりの感覚だ」


 生前はクマのような大男だったが、筋トレは毎日欠かさなかった。
 今のような筋肉がぷるぷるするほどやると数時間はかかってしまうので、この感覚は久しく味わっていなかったものだ。
 不思議な充実感がある。


「ふー……でもこれ……明日筋肉痛じゃねぇ?」


 そう……問題は筋肉痛だ。
 超回復……所謂断裂した筋肉組織が回復強化される経過による炎症が原因だとかなんとか。
 よく知らないが処置方法なら知ってる。
 筋トレ後にもしっかりと柔軟を行ったり、お風呂に入ったりして筋肉を温めてあげるといいのだ。

 でも残念ながらお風呂はない。
 なのでしっかりと柔軟をしておく。

 水分を適度に取りながらやっていたので、流れ出たかなりの汗を吸って湿っている敷物の上で柔らかい体をべたーっとゆっくり伸ばす。
 本当にこの体は柔らかい。
 生前は骨格なども邪魔してここまで柔らかくは無かった。
 だが今は足を180度開いてべったりと床に体がくっつく。どこぞの雑技団の芸もできそうな柔らかさだ。
 まぁ真似して戻らなくなったら怖いのでやらないけど。

 のんびりとストレッチや軽いヨガをしながら待っていると大きな桶を持ってアルが戻ってきた。


「おかえり~」

「お待たせいたしました」


 桶を近場に置くアルに一声かけて服をぽいぽいっと脱いで裸になる。
 なんかもうアル相手だと裸になるのも躊躇がなくなってしまった。これも成長率増加の……いや技術じゃないか。


「失礼致します」

「ん」


 今朝同様仁王立ちで待ち構えているとそれはそれは綺麗にしてくれました。
 ただちょっと違ったのは、今回は拭き終わった後何やらいい匂いのする物をタオルにまぶして軽く全身につけられた。


「アル~何コレ?」

「こちらは肌を保護するパウダーになります」

「へー……?」


 元男のオレにはいまいち必要性がわからなかったが、アルが当然のように使用しているのでそういうものなんだろう。保湿クリームみたいなもん?

 新しい服を出して着替えると次は髪の番らしい。
 ちなみに下着はおぱんてぃではなく、カボチャパンツだ。スポブラは当然つけてない。
 オレの尊厳はまだ守られている。アルも特に何も言わなかった。
 言ってきても無視するけどね!

 服もきぐるみパジャマ――アルが言うには耳パジャマではなく、男物の上下だ。
 これには顔には出さないが非常に残念そうにしていた従者君だった。
 まぁそのうち覚悟が決まったら着てあげよう。いつになるかわからんけど。むしろ覚悟決まらないかもしれないけど。


「失礼致します」

「ん。お手柔らかに」


 今度は仁王立ちではなく椅子に腰掛けて首を背もたれから後ろに出して、髪を垂らすようにする。
 タオルで綺麗に拭いてから、やはり買っていたブラシと例の3種類の櫛を使って綺麗に梳いていく。

 うーん……やはり気持ちいい……。

 マッサージでもされているかのような気持ちよさだ。
 それにアルが優しく優しく大切に梳いてくれているのがわかる。


「はぁ~ぎも゛ぢい゛い゛ぃ~……」

「恐悦至極にございます」


 親父臭い完全にだらけた声を出しながら長時間かけて髪を梳いてもらいながら、異世界2日目の夜は更けていった。
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