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第3章
59,弟子
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資材やゴミが溜まっているようにみえてしっかりと道だけは出来ているリューネの雑貨屋の横の路地。ちなみにまだあの白磁の皿は売れ残っているようだ。いつか買い取りたい。
若干暗くなっているその路地の奥には以前来たときと同様に廃屋があったが、近づくと廃屋ではなく古汚い店に見えなくもない。
「相変わらずすごい偽装というか、なんというか」
アルの後ろでビクビクしているネーシャが不安そうな顔をしている。でもここが目的地で間違いないのである程度のステータスがなければ開かないドアノブに手を掛ける。
そこで思ったのだがどのくらいのステータスだと開くのだろうか。
今のオレのステータスは通常用の戦闘可能ステータスだ。
なのでこのステータスなら確実に開く。なんせ前はこのステータスで開いたのだから。
ドアノブを握った状態で止まっていたオレが心配になったのか、ネーシャがおずおずと言ってくる。
「お、お嬢様……?」
「あぁ、ごめんごめん。ちょっとまってね」
とりあえず不安そうにしているネーシャに安心するように優しく微笑んであげてから一旦増加系スキルを外してノブを回してみるが、当然回らなかった。
職の恩恵もあるので全部10ではないがこの程度では開かないようだ。
次は筋力だけに絞って筋力増加Lv1から順につけてノブを捻っていく。
すると筋力が95になったところでノブが少し動いた。
どうやら95もかかるらしい。
「ふむ……」
次はステータスを分散させてみる。
ステータスは増加系Lv1で3増える。Lv2だと7増える。
合計95以上増えるように増加系を取ってみてノブを捻ってみると回った。
どうやらステータスの合計でも問題ないようだ。ていうか最初これでいけてるんだから実験の意味がないと実験し終わってから気づいた。ちょっとだけ黄昏たけど誰もオレは責められまい。
背後で不思議そうにしているネーシャを感じたので、気を取り直して考える。
結構入店条件は厳しい。
まぁお値段的な問題と立地条件でも早々人はこないのだろうけど。
筋力95は初期値10から引いて最低で85ポイント必要だ。
増加スキルだとLv10まであげてやっと到達可能だ。増加系Lv10は取得するのに65ポイントかかる。BaseLv10毎にボーナスで10ポイント入るとしてもBaseLv20以上が必要となる。
エリザベートさんが言っていたけどBaseLv20というのは中級クラスの冒険者になるらしい。意外と低いのだ。
でも基本的にHPとMPを除く増加系だけを取得するわけには行かない。前衛以外にもHPを取らないと耐久力が極端に低くなるらしく即死する可能性が出て来るそうだ。
この辺は高い防御力を有する防具を装備していても発生する。要するに守りずらい箇所である関節部や顔なんかに一撃をもらうとそのまま昇天というケースだ。
防御のステータスがない代わりにHPがその辺を含めているみたいだ。物理的には損傷がそれほどでもなくてもショック死するらしい。逆ご都合主義とでもいうべきか、ゲームのシステムを無理やり現実に合わせているというべきか。
スキルを戻して気を取り直してノブを回して入店する。
「やっと入ってきたねー。いらっしゃーい」
聞こえてきたのはランカスターさんの野太い声ではなく、可愛らしい若い声だった。
開いたドアから見えたのはやはり髭面の爺さんではなく背の低い可愛らしい女の子だった。
とはいっても6歳児のオレよりは大きいだろう。
カウンターの奥で椅子にでも座っているのか頬杖を突いた状態でにっこり微笑んでくれている。
ネーシャもきょろきょろしながら中に入ると女の子も椅子から下りて近寄ってくるが、3歩前くらいまできたところでビクッと立ち止まって、いきなり大きく目を見開いたまま硬直してしまった。
一体何があったのだろうかとこちらも硬直してしまっていたが、数秒して口をパクパクし始めた女の子は慌てたように踵を返すと大声を挙げながら店の奥に転びそうになりながら走っていってしまった。
「な、なにあれ……」
「な、なんだったんでしょう……」
「ワタリ様に対して失礼な態度ですね。許しがたいことです」
アルだけはさっきの女の子の奇行を見ても平常運転だった。
女の子が駆け込んで行った奥からはドタドタと慌しい音が聞こえた後野太い声で何度か怒鳴り声が聞こえ、金切り声のような先ほどの女の子の声と思われる声が何度も響いてきた。
ただなんといってるのかはちょっとよくわからない。
「どうしようか?」
「許可頂けるのであれば、先行致しますが如何致しますか?」
「先行って……。ここは普通……じゃないけど一応お店なんだし……」
まるで敵でも居るのかというほどのアルの言いっぷりに呆れていると先ほどの女の子が髭もじゃの老ドワーフ――ゴーシュさんを連れて戻ってきた。
「ほら、お父さんあの子だよ! すごいよ! びっくりだよ!」
「わかったわかった。なんだ嬢ちゃんじゃないか。やっぱりうちの品が必要になったろう? ガッハッハ!」
「お久しぶり……というほどではないですけどお久しぶりです」
「え? えぇ? お父さん知り合いなの?」
「師匠の、おまえの爺さんの黒狼石の短剣を抜いた嬢ちゃんだ」
「あぁ! あれを! へぇ~……。じゃぁ加護持ちなのも納得だなぁ」
「……ッ!」
今この子加護持ちっていったか!?
なんで加護持ちってわかったんだろう。まさかオレ以外にも鑑定スキル持ちがいるのか?
いや特殊スキルとはいえ、スキルだ。創造神の贈り物レベルとはいかなくても劣化スキル持ちがいてもおかしくない。
「あの」
「あぁ、悪いな。こいつが加護持ちが3人も来たって大騒ぎしてな。加護持ちなんてうちの客にも滅多にいないからな。
まさか嬢ちゃんだけじゃなくておまえさんも加護持ちとはな。そっちの嬢ちゃんは新顔だな。だがさすが嬢ちゃんの連れだ」
嬉しそうに顎鬚を撫でながら語るゴーシュさんだが、3人って言ったか? 言ったよな?
アルとネーシャが加護持ちだってのは知ってたけどやっぱりオレにも加護があったのか。
やっぱり創造神の加護だろうか。
「あの、1ついいでしょうか?」
「ん? なんだ? 武器は短剣で十分だろうから次は防具か? それとも月陽の首飾りじゃタンクとしては足りなかったか?」
「あ、えっと。防具は足りてますので、あ、でもあとでアルとネーシャの、あ、ネーシャはこの子です。で、防具はあとで見せてもらうとして、首飾りもこれに近い容量のがあるのなら見せて欲しいですけど、今はちがくて!」
ちょっとわたわたと説明をしてから聞きたいことを聞いてみる。
「なんで私達が加護持ちだってわかったんですか?」
「あ、それは私が鑑定の魔眼持ちだから!」
「鑑定の魔眼?」
「知らんのも無理もない。これはかなりレアな先天性スキルだからな」
「先天性スキルですか」
先天性スキルとは、ポイントで任意に取得できる普通のスキルが後天的スキルと学術的に呼ばれているのに対して、生まれた時から持っているポイントでは取得できないスキルのことを指す。
これらは成長させることも任意に取得することもできない代わりに強力なスキルである場合が多い。
生まれた時から覚えているものであり、後から覚えることが絶対にできないのも特徴だ。
7割が魔眼と呼ばれる見ることにより効果を発揮するタイプで、その種類もたくさんある。
だがやはりそこにはピンキリがあり、図書館で色々調べた時に載っていたのは千里眼とか先読みとかだった。
鑑定の魔眼は初耳だ。
ちなみに確認されている千里眼の魔眼は最高で5km離れたところの針の穴すら見れるレベルらしい。
先読みは最高で10秒先の未来が見える。
だが強力な先天性スキルにはデメリットが存在し、使用が任意であり使用すると酷い頭痛に見舞われたりするらしい。メリットがでかい代わりにデメリットもでかいのだ。
「まぁユユの鑑定の魔眼はそれほど強くない。距離も短いし加護付きかどうか見れる程度だ」
「あ、そうなんですか。てっきりBaseLvとか名前とか見れるのかと」
「もちろん見えるよ! 職もね!」
「へぇ……。そうなんですか……。あはは」
「この馬鹿が……」
「あいたッ」
どうやらゴーシュさんが隠そうとしてくれたのに、ユユと呼ばれた女の子は胸を張って自慢げに言ってしまっていた。なんともいえずに返答に困っているとゴーシュさんもさすがに呆れた顔をしながら拳骨を落としていた。
「すまん、嬢ちゃん。これは内緒にしておいてくれないか?
広まるとこいつが狙われかねない」
「ご、ごめんなさい……。内緒にしてくれますか?」
「あはは。はい、じゃあ内緒ですね」
「すまんな、嬢ちゃん」
「ありがとうございます! あ、うちはユユ・ランカスターって言います! ランカスター魔道具店の看板娘だよ!」
「自分で看板娘言うな!」
「あいたッ」
えっへんと厚手の謎皮製のオーバーオールに包まれた薄いぺったん胸を張って自己紹介するユユさんだがすぐにゴーシュさんの拳骨が再び脳天に落とされる。
かなり痛そうだが、特にそんなそぶりも見せないことから慣れているのかそれともゴーシュさんがちゃんと手加減しているのか。でも音といい速さといい多分前者だろう。
「あ、あの……」
「あぁ、すまんかった。それで防具とタンクだったな」
「あ、その前になんですけど……」
「ん? 他にも何かあるのか?」
「お父ちゃん多分この子の加護の関係の話だよ」
「あ、はい。ネーシャの加護は鍛冶神の加護なんです」
「ふむ……。さっきこいつが大慌てでそれを知らせにきたんだが、弟子入り志願というわけか?
確かに鍛冶神の加護持ちなら鍛冶師としては超がつくほどの1流になれるだろう。
師匠も鍛冶神の加護持ちだったからな。その恩恵はまさに神の加護に相応しいものだ。
だがうちは厳しいぞ? ネーシャといったか? どうみても鍛冶の経験はないだろう?」
「あ、はい。まずはそのぅ……。見学というのはダメでしょうか?」
「他の鍛冶屋には行ってきたのか?」
「あ、はい……。とても未経験者には無理そうな感じでした」
「だろうな。うちでもその辺は変わらんぞ?」
「やっぱりそうですかー」
「まぁ予想通りといったところか」
「はい、お察しの通りでだめもとで聞いてみようかな、と」
「別に無理しておとうちゃんに弟子入りすることもないじゃん。うちの弟子にしてあげるよ」
「えっ……。いいんですか?」
「もちろんいいよ! うちは主に彫金とかでアクセサリーを作ったりしてるから武器とか防具みたいなのは作れないけどいい?」
「ネーシャどうかな? やってみない?」
「は、はい! 頑張ります!」
「じゃあ決まりだね! ネーシャちゃんだったよね? よろしくね!」
「はい! よろしくお願いします! えっと……師匠?」
「わぁー! 師匠って言ってもらえちゃったー! うんうん、うちがネーシャちゃんの師匠だよ! えへへへへへ~」
師匠と呼ばれたのがそんなに嬉しいのか、両手で頬を押さえてくねくねと身悶えているユユさん。
そんな自分の娘を見て呆れているのか嬉しいのか微妙な表情をしていたゴーシュさんがこっちを向くと照れくさそうにしている。
「まぁなんだ。こいつも腕はいいんだが、如何せんうちは魔道具店だからな。早々弟子は取れん。
それにこいつが気に入るなんてそれこそ始めてだからな、よかったらこのまま弟子になってくれると助かる」
「あ、いえ、こちらこそお願いします。あ、でも弟子になるといっても通いでってことになると思います。
それに毎日これるかとかどのくらい働くかとかも」
「あぁ、その辺は嬢ちゃんで好きにしてくれ。こいつも店番があるからな毎日というわけにはいかんだろう」
「えー、店番っていってもあんまり人こないんだから色々教えられるよー」
「……まぁそうだな」
「そうなんだ……」
確かに最初来たときもオレ以外に客が1人来ただけだったし、採算は取れているのだろうかこの店。
まぁ高価な品っぽいから大丈夫なんだろう。
それに弟子ってことは給料とかはどうなっているんだろう。むしろ教えを乞う立場だからこっちが払うのかな……。
【ねぇアル。こういう場合ってお給料とかどうするの? オレが授業料とか払わないといけないのかな?】
【答えは否。通常は住み込みか通いかによって変わりますが、弟子になったばかりでは給料は基本的に出ません。ある程度仕込まれ、使えるようになった段階で給料が発生しますがそれも本人達によりますのでなんとも言えないところでございます。
ワタリ様が授業料を払う必要はございませんが、高名な者に弟子入りする際には発生する場合も稀にあります】
【ランカスターさんじゃなくて娘さんの方だし、大丈夫かな?】
【確認してもよろしいですか?】
【あ、うん。頼んでいいかな?】
【畏まりました】
ユユさんがネーシャの手を取ってその手の具合を見たりしているのをゴーシュさんは暖かく見守っている。
その間に念話で確認を済ませるとアルがさっそくゴーシュさんと話し合いを始めていた。
さすがアル。行動が素早い。出来る男は違うねぇ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
結果として週に3,4回通うことになった。
時間は日によって違うが大体4時間~。授業料はなしで給料もなし。ただし教えるのに使う材料なんかは全部ユユさん側で持ってくれる。
実はこの辺は普通の弟子の場合給料から引かれたり、借金になったりするらしい。
鍛冶師という職業は実は金がものすごくかかるものらしい。
その代わり独り立ちしたとき見返りなんかも大きい。武具の値段なんかがその辺を物語っている。
ラッシュの街の一般水準家庭での月収なんか数日で稼げるほどだ。
さすがにピンキリではあるが独り立ちできるレベルになれば一般水準よりは遥かに高収入になる。
そういうわけでこちらの負担はほぼ0という高待遇を獲得したのだが、アルの交渉術の成果もあるがネーシャの加護というのも理由のひとつだ。
ゴーシュさんが言っていたように鍛冶神の加護はゴーシュさんの師匠である黒狼石の短剣を造った人も持っていた加護だ。
その恩恵は凄まじいもので、普通に作った物でも特殊効果などが付く場合が多いらしい。
その集大成が黒狼石の短剣だそうだ。
確かにあれほどの凄まじい効果が付くのなら加護の恩恵というものは凄まじい。そんな人を弟子にするということは師匠としても鼻が高いのだろう。
交渉の結果としては十分だし、ネーシャもユユさんと仲良くなっていたしやる気も十分なので万々歳だ。
最悪なんとかしてネーシャには頑張ってもらおうと思っていたので自分からやる気になってくれたのは嬉しい。
ネーシャには鍛冶神の加護があるので最初は辛くても鍛冶系の仕事に付くのがいいと思っていたのだ。
どんな職に就くかは最終的には本人の意思を尊重しようと思っているけどやれるだけのことはやらせてみよう。
ユユさんにはネーシャは大声とか威圧的な態度に拒否反応を示すことをきちんと伝えてある。詳細は省いたけど、若干対人恐怖症的な面があるという感じに伝えた。
ユユさん自身はすごく穏やかな人なので心配はないのだが、ゴーシュさんがちょっと心配だ。
なので最初の週は同行することになった。
ユユさん自身が申し出てくれたのでこちらから言わなくてよくなったのでラッキーだった。
若干暗くなっているその路地の奥には以前来たときと同様に廃屋があったが、近づくと廃屋ではなく古汚い店に見えなくもない。
「相変わらずすごい偽装というか、なんというか」
アルの後ろでビクビクしているネーシャが不安そうな顔をしている。でもここが目的地で間違いないのである程度のステータスがなければ開かないドアノブに手を掛ける。
そこで思ったのだがどのくらいのステータスだと開くのだろうか。
今のオレのステータスは通常用の戦闘可能ステータスだ。
なのでこのステータスなら確実に開く。なんせ前はこのステータスで開いたのだから。
ドアノブを握った状態で止まっていたオレが心配になったのか、ネーシャがおずおずと言ってくる。
「お、お嬢様……?」
「あぁ、ごめんごめん。ちょっとまってね」
とりあえず不安そうにしているネーシャに安心するように優しく微笑んであげてから一旦増加系スキルを外してノブを回してみるが、当然回らなかった。
職の恩恵もあるので全部10ではないがこの程度では開かないようだ。
次は筋力だけに絞って筋力増加Lv1から順につけてノブを捻っていく。
すると筋力が95になったところでノブが少し動いた。
どうやら95もかかるらしい。
「ふむ……」
次はステータスを分散させてみる。
ステータスは増加系Lv1で3増える。Lv2だと7増える。
合計95以上増えるように増加系を取ってみてノブを捻ってみると回った。
どうやらステータスの合計でも問題ないようだ。ていうか最初これでいけてるんだから実験の意味がないと実験し終わってから気づいた。ちょっとだけ黄昏たけど誰もオレは責められまい。
背後で不思議そうにしているネーシャを感じたので、気を取り直して考える。
結構入店条件は厳しい。
まぁお値段的な問題と立地条件でも早々人はこないのだろうけど。
筋力95は初期値10から引いて最低で85ポイント必要だ。
増加スキルだとLv10まであげてやっと到達可能だ。増加系Lv10は取得するのに65ポイントかかる。BaseLv10毎にボーナスで10ポイント入るとしてもBaseLv20以上が必要となる。
エリザベートさんが言っていたけどBaseLv20というのは中級クラスの冒険者になるらしい。意外と低いのだ。
でも基本的にHPとMPを除く増加系だけを取得するわけには行かない。前衛以外にもHPを取らないと耐久力が極端に低くなるらしく即死する可能性が出て来るそうだ。
この辺は高い防御力を有する防具を装備していても発生する。要するに守りずらい箇所である関節部や顔なんかに一撃をもらうとそのまま昇天というケースだ。
防御のステータスがない代わりにHPがその辺を含めているみたいだ。物理的には損傷がそれほどでもなくてもショック死するらしい。逆ご都合主義とでもいうべきか、ゲームのシステムを無理やり現実に合わせているというべきか。
スキルを戻して気を取り直してノブを回して入店する。
「やっと入ってきたねー。いらっしゃーい」
聞こえてきたのはランカスターさんの野太い声ではなく、可愛らしい若い声だった。
開いたドアから見えたのはやはり髭面の爺さんではなく背の低い可愛らしい女の子だった。
とはいっても6歳児のオレよりは大きいだろう。
カウンターの奥で椅子にでも座っているのか頬杖を突いた状態でにっこり微笑んでくれている。
ネーシャもきょろきょろしながら中に入ると女の子も椅子から下りて近寄ってくるが、3歩前くらいまできたところでビクッと立ち止まって、いきなり大きく目を見開いたまま硬直してしまった。
一体何があったのだろうかとこちらも硬直してしまっていたが、数秒して口をパクパクし始めた女の子は慌てたように踵を返すと大声を挙げながら店の奥に転びそうになりながら走っていってしまった。
「な、なにあれ……」
「な、なんだったんでしょう……」
「ワタリ様に対して失礼な態度ですね。許しがたいことです」
アルだけはさっきの女の子の奇行を見ても平常運転だった。
女の子が駆け込んで行った奥からはドタドタと慌しい音が聞こえた後野太い声で何度か怒鳴り声が聞こえ、金切り声のような先ほどの女の子の声と思われる声が何度も響いてきた。
ただなんといってるのかはちょっとよくわからない。
「どうしようか?」
「許可頂けるのであれば、先行致しますが如何致しますか?」
「先行って……。ここは普通……じゃないけど一応お店なんだし……」
まるで敵でも居るのかというほどのアルの言いっぷりに呆れていると先ほどの女の子が髭もじゃの老ドワーフ――ゴーシュさんを連れて戻ってきた。
「ほら、お父さんあの子だよ! すごいよ! びっくりだよ!」
「わかったわかった。なんだ嬢ちゃんじゃないか。やっぱりうちの品が必要になったろう? ガッハッハ!」
「お久しぶり……というほどではないですけどお久しぶりです」
「え? えぇ? お父さん知り合いなの?」
「師匠の、おまえの爺さんの黒狼石の短剣を抜いた嬢ちゃんだ」
「あぁ! あれを! へぇ~……。じゃぁ加護持ちなのも納得だなぁ」
「……ッ!」
今この子加護持ちっていったか!?
なんで加護持ちってわかったんだろう。まさかオレ以外にも鑑定スキル持ちがいるのか?
いや特殊スキルとはいえ、スキルだ。創造神の贈り物レベルとはいかなくても劣化スキル持ちがいてもおかしくない。
「あの」
「あぁ、悪いな。こいつが加護持ちが3人も来たって大騒ぎしてな。加護持ちなんてうちの客にも滅多にいないからな。
まさか嬢ちゃんだけじゃなくておまえさんも加護持ちとはな。そっちの嬢ちゃんは新顔だな。だがさすが嬢ちゃんの連れだ」
嬉しそうに顎鬚を撫でながら語るゴーシュさんだが、3人って言ったか? 言ったよな?
アルとネーシャが加護持ちだってのは知ってたけどやっぱりオレにも加護があったのか。
やっぱり創造神の加護だろうか。
「あの、1ついいでしょうか?」
「ん? なんだ? 武器は短剣で十分だろうから次は防具か? それとも月陽の首飾りじゃタンクとしては足りなかったか?」
「あ、えっと。防具は足りてますので、あ、でもあとでアルとネーシャの、あ、ネーシャはこの子です。で、防具はあとで見せてもらうとして、首飾りもこれに近い容量のがあるのなら見せて欲しいですけど、今はちがくて!」
ちょっとわたわたと説明をしてから聞きたいことを聞いてみる。
「なんで私達が加護持ちだってわかったんですか?」
「あ、それは私が鑑定の魔眼持ちだから!」
「鑑定の魔眼?」
「知らんのも無理もない。これはかなりレアな先天性スキルだからな」
「先天性スキルですか」
先天性スキルとは、ポイントで任意に取得できる普通のスキルが後天的スキルと学術的に呼ばれているのに対して、生まれた時から持っているポイントでは取得できないスキルのことを指す。
これらは成長させることも任意に取得することもできない代わりに強力なスキルである場合が多い。
生まれた時から覚えているものであり、後から覚えることが絶対にできないのも特徴だ。
7割が魔眼と呼ばれる見ることにより効果を発揮するタイプで、その種類もたくさんある。
だがやはりそこにはピンキリがあり、図書館で色々調べた時に載っていたのは千里眼とか先読みとかだった。
鑑定の魔眼は初耳だ。
ちなみに確認されている千里眼の魔眼は最高で5km離れたところの針の穴すら見れるレベルらしい。
先読みは最高で10秒先の未来が見える。
だが強力な先天性スキルにはデメリットが存在し、使用が任意であり使用すると酷い頭痛に見舞われたりするらしい。メリットがでかい代わりにデメリットもでかいのだ。
「まぁユユの鑑定の魔眼はそれほど強くない。距離も短いし加護付きかどうか見れる程度だ」
「あ、そうなんですか。てっきりBaseLvとか名前とか見れるのかと」
「もちろん見えるよ! 職もね!」
「へぇ……。そうなんですか……。あはは」
「この馬鹿が……」
「あいたッ」
どうやらゴーシュさんが隠そうとしてくれたのに、ユユと呼ばれた女の子は胸を張って自慢げに言ってしまっていた。なんともいえずに返答に困っているとゴーシュさんもさすがに呆れた顔をしながら拳骨を落としていた。
「すまん、嬢ちゃん。これは内緒にしておいてくれないか?
広まるとこいつが狙われかねない」
「ご、ごめんなさい……。内緒にしてくれますか?」
「あはは。はい、じゃあ内緒ですね」
「すまんな、嬢ちゃん」
「ありがとうございます! あ、うちはユユ・ランカスターって言います! ランカスター魔道具店の看板娘だよ!」
「自分で看板娘言うな!」
「あいたッ」
えっへんと厚手の謎皮製のオーバーオールに包まれた薄いぺったん胸を張って自己紹介するユユさんだがすぐにゴーシュさんの拳骨が再び脳天に落とされる。
かなり痛そうだが、特にそんなそぶりも見せないことから慣れているのかそれともゴーシュさんがちゃんと手加減しているのか。でも音といい速さといい多分前者だろう。
「あ、あの……」
「あぁ、すまんかった。それで防具とタンクだったな」
「あ、その前になんですけど……」
「ん? 他にも何かあるのか?」
「お父ちゃん多分この子の加護の関係の話だよ」
「あ、はい。ネーシャの加護は鍛冶神の加護なんです」
「ふむ……。さっきこいつが大慌てでそれを知らせにきたんだが、弟子入り志願というわけか?
確かに鍛冶神の加護持ちなら鍛冶師としては超がつくほどの1流になれるだろう。
師匠も鍛冶神の加護持ちだったからな。その恩恵はまさに神の加護に相応しいものだ。
だがうちは厳しいぞ? ネーシャといったか? どうみても鍛冶の経験はないだろう?」
「あ、はい。まずはそのぅ……。見学というのはダメでしょうか?」
「他の鍛冶屋には行ってきたのか?」
「あ、はい……。とても未経験者には無理そうな感じでした」
「だろうな。うちでもその辺は変わらんぞ?」
「やっぱりそうですかー」
「まぁ予想通りといったところか」
「はい、お察しの通りでだめもとで聞いてみようかな、と」
「別に無理しておとうちゃんに弟子入りすることもないじゃん。うちの弟子にしてあげるよ」
「えっ……。いいんですか?」
「もちろんいいよ! うちは主に彫金とかでアクセサリーを作ったりしてるから武器とか防具みたいなのは作れないけどいい?」
「ネーシャどうかな? やってみない?」
「は、はい! 頑張ります!」
「じゃあ決まりだね! ネーシャちゃんだったよね? よろしくね!」
「はい! よろしくお願いします! えっと……師匠?」
「わぁー! 師匠って言ってもらえちゃったー! うんうん、うちがネーシャちゃんの師匠だよ! えへへへへへ~」
師匠と呼ばれたのがそんなに嬉しいのか、両手で頬を押さえてくねくねと身悶えているユユさん。
そんな自分の娘を見て呆れているのか嬉しいのか微妙な表情をしていたゴーシュさんがこっちを向くと照れくさそうにしている。
「まぁなんだ。こいつも腕はいいんだが、如何せんうちは魔道具店だからな。早々弟子は取れん。
それにこいつが気に入るなんてそれこそ始めてだからな、よかったらこのまま弟子になってくれると助かる」
「あ、いえ、こちらこそお願いします。あ、でも弟子になるといっても通いでってことになると思います。
それに毎日これるかとかどのくらい働くかとかも」
「あぁ、その辺は嬢ちゃんで好きにしてくれ。こいつも店番があるからな毎日というわけにはいかんだろう」
「えー、店番っていってもあんまり人こないんだから色々教えられるよー」
「……まぁそうだな」
「そうなんだ……」
確かに最初来たときもオレ以外に客が1人来ただけだったし、採算は取れているのだろうかこの店。
まぁ高価な品っぽいから大丈夫なんだろう。
それに弟子ってことは給料とかはどうなっているんだろう。むしろ教えを乞う立場だからこっちが払うのかな……。
【ねぇアル。こういう場合ってお給料とかどうするの? オレが授業料とか払わないといけないのかな?】
【答えは否。通常は住み込みか通いかによって変わりますが、弟子になったばかりでは給料は基本的に出ません。ある程度仕込まれ、使えるようになった段階で給料が発生しますがそれも本人達によりますのでなんとも言えないところでございます。
ワタリ様が授業料を払う必要はございませんが、高名な者に弟子入りする際には発生する場合も稀にあります】
【ランカスターさんじゃなくて娘さんの方だし、大丈夫かな?】
【確認してもよろしいですか?】
【あ、うん。頼んでいいかな?】
【畏まりました】
ユユさんがネーシャの手を取ってその手の具合を見たりしているのをゴーシュさんは暖かく見守っている。
その間に念話で確認を済ませるとアルがさっそくゴーシュさんと話し合いを始めていた。
さすがアル。行動が素早い。出来る男は違うねぇ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
結果として週に3,4回通うことになった。
時間は日によって違うが大体4時間~。授業料はなしで給料もなし。ただし教えるのに使う材料なんかは全部ユユさん側で持ってくれる。
実はこの辺は普通の弟子の場合給料から引かれたり、借金になったりするらしい。
鍛冶師という職業は実は金がものすごくかかるものらしい。
その代わり独り立ちしたとき見返りなんかも大きい。武具の値段なんかがその辺を物語っている。
ラッシュの街の一般水準家庭での月収なんか数日で稼げるほどだ。
さすがにピンキリではあるが独り立ちできるレベルになれば一般水準よりは遥かに高収入になる。
そういうわけでこちらの負担はほぼ0という高待遇を獲得したのだが、アルの交渉術の成果もあるがネーシャの加護というのも理由のひとつだ。
ゴーシュさんが言っていたように鍛冶神の加護はゴーシュさんの師匠である黒狼石の短剣を造った人も持っていた加護だ。
その恩恵は凄まじいもので、普通に作った物でも特殊効果などが付く場合が多いらしい。
その集大成が黒狼石の短剣だそうだ。
確かにあれほどの凄まじい効果が付くのなら加護の恩恵というものは凄まじい。そんな人を弟子にするということは師匠としても鼻が高いのだろう。
交渉の結果としては十分だし、ネーシャもユユさんと仲良くなっていたしやる気も十分なので万々歳だ。
最悪なんとかしてネーシャには頑張ってもらおうと思っていたので自分からやる気になってくれたのは嬉しい。
ネーシャには鍛冶神の加護があるので最初は辛くても鍛冶系の仕事に付くのがいいと思っていたのだ。
どんな職に就くかは最終的には本人の意思を尊重しようと思っているけどやれるだけのことはやらせてみよう。
ユユさんにはネーシャは大声とか威圧的な態度に拒否反応を示すことをきちんと伝えてある。詳細は省いたけど、若干対人恐怖症的な面があるという感じに伝えた。
ユユさん自身はすごく穏やかな人なので心配はないのだが、ゴーシュさんがちょっと心配だ。
なので最初の週は同行することになった。
ユユさん自身が申し出てくれたのでこちらから言わなくてよくなったのでラッキーだった。
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素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
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12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
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【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
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婚約破棄、そして辺境送り――。
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「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
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私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
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【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
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【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
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悪役令嬢発溺愛幼女着
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「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」
わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。
響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。
わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。
冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。
どうして。
誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。
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