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第3章
67,ハイパーハードモード
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地に振動が走り、木々をなぎ倒すような轟音。
それはかなり遠くから響いてきたはずなのにあっという間に大きくなり……姿を現した。
先触れのように鳴り響いていた音に続いて林の中を死に物狂いの形相で必死に転がり出るように2人の人影が見え、次の瞬間には弾丸のような速度で巨体が2人の一瞬前までいたところを削り取るように地面に突撃していった。
木々をなぎ倒す音以上のまるで爆発したかのような音が辺りに響いて砂塵が舞いあがる。
呆然と突然現れた何かとそれに追われる2人組みを見やっていたらアルが声より先にオレの手を取り動き始めようとしていた。
「あ、アル!?」
「ワタリ様! アレはモンスター! 特殊進化の魔物にございます! 今すぐ撤退を進言致します!」
進言とは言っているがアルには珍しく、ものすごい焦った表情でオレの手を引いてすでに走り出している。
だが、オレ達よりも追われているあの2人の位置の方が圧倒的にあの特殊進化個体に近い。
さっきまでは林の障害物を駆使してなんとか逃げていたんだろうけど、もうここには障害物らしい障害物なんてない。
膝丈よりずっと下に短い草が生えていて時折岩が点在している程度だ。
「アル、アル! あの2人は逃げ切れないと思うんだけど」
「ワタリ様のお命が最優先にございます!」
後ろを振り返って必死に逃げてくる2人を見た瞬間だった。
砂塵から巨体が出現し、凄まじいスピードで2人のうちの男の方に向かって跳躍していた。
一言も発する間もなく、跳躍して振り下ろされた両方合わせて6本の腕のうちの1つの拳が男の頭をまるで風船のように潰し、その先の地面に特殊進化個体の拳が大音量を響かせて爆発するかのような衝撃と共に打ち下ろされた。
まさに一瞬の出来事だった。
爆発の余波で2人組の生き残りの女が吹き飛ばされ地面を転がる。
爆発の衝撃で舞い散った砂塵が揺らめきすぐさま巨体がもう1人をターゲットに動き出そうとしているのが分かる。
激しく地面を転がっていた女が痛みに耐えなんとか顔を上げた時には、特殊進化個体の巨体は再度の跳躍を果たし、砂塵から抜け出た瞬間だった。
視界はスローモーションのようになっており、すでに自分が加速されているのがわかる。
アルが掴んでいた手はすでに振り払われ、ゆっくりと移動している巨体と死の爆発を生み出すその拳が女に向かって突き進んでいるのがはっきりと見て取れる。
岩食いペンギンなんて比じゃないほどの暴威を纏い、醜悪な顔には口から突き出たねじれる牙が天に向かって伸びている。
筋骨隆々といった左右合わせて6本の腕は先ほども見せた小爆発を起こすほどの攻撃力が見て取れる。
凄まじい跳躍を可能としている足は4本あり、これもその巨体を支えるのに十分なほどであり薬草採取を行った林の木々よりも太いのではないだろうか。
加速した思考の中でそれだけ相手の情報を纏めると、踏み出していた足で再度地面を蹴り上げる。
おそらく黒狼石の加護の力をもってしてもすでに跳躍して攻撃態勢を終えているあの特殊進化個体から女を救うことは無理だろう。
だが決して無駄ではない。
加速したままの視界は一瞬で切り替わり、絶望の表情で特殊進化個体を見上げる女がすぐ前にいた。
単独転移Lv1。
一瞬で切り替わった視界と地面を蹴り上げて再加速した運動エネルギーを使って拳が振り下ろされる前に女を無理やりその場から引き剥がすことに成功した。
一瞬後に背後での小爆発。
凄まじい衝撃が襲ってくる前に物理防御盾を後方に張ることが出来たので衝撃波をもろに浴びることはなく、盾で防げなかった分は指輪の障壁に全て弾かれてダメージにすらならなかった。
勢いのまま特殊進化個体からなるべく距離を取るように離れ、女が無事であることを確認しようと一瞥したときだった。
「ポーションのお姉さん……?」
その顔には見覚えがあった。
汗まみれ泥まみれであったがこの人は確かにたくさんあるポーションについて色々とアドバイスをくれた人だった。
【ワタリ様!】
アルの念話の叫びにより突然の再会に意識が持っていかれていたのを持ち直す。
すでに特殊進化個体はこちらに向かって拳を振り上げていたのだ。
やばい。
一瞬の思考の後、条件反射のように使用したのは岩食いペンギンを一撃の下に屠ったあの氷の槍を6本。
射出された氷の槍と振り下ろされた拳が激突し、巨体が宙に浮く。
その瞬間を見逃さず、追撃ではなく距離を取る。
ポーションのお姉さん――ジーナさんを庇った状態ではとてもじゃないが戦えない。
絶望の表情のまま固まっているジーナさんは腰が抜けているのか、疲労困憊で動けないのかとにかく1人ではどうしようもない状況のようだ。
だが、特殊進化個体から一旦距離を取ったときに彼女の視界に上半身がなくなった男の残骸が入ってしまった。
ジーナさんの喉から裂けんばかりに悲鳴が上がる。
小脇に抱えて運んでいた為悲鳴と共に暴れ始めたジーナさんが男の残骸に向かおうとするがさすがにそこまでフォローできるような状況ではない。
「ごめん、ジーナさん!」
泣き喚き暴れるジーナさんの無防備な首筋に手刀を叩き込むと糸の切れた人形のように大人しくなった。
誘拐犯達で練習したのが役に立った。
一撃で気絶させることに成功したのは首筋に手を当てて脈があることを確認してあるので問題ない。
状況が状況だけに手加減を誤って殺してしまうこともありえたのでちょっと心配だった。
氷の槍で腕の1本を負傷し、後退した特殊進化個体は様子を見ているのかこちらにその爛々と輝く赤い1対の瞳を向けたまま唸り声を上げている。
負傷した腕からは煙があがり、肉が蠢いている。
どうやら再生能力まで持っているようだ。見る見るうちにどんどん傷がなくなっていく。
氷の槍6本全てで1本の腕を二の腕近くまで削り飛ばしたのにすでにほとんど再生している。とんでもない再生能力だ。
逃げるにしても戦うにしても、とにかく最低限の足止め程度は必要な相手と思われる。
あの4本の強靭な足は凄まじい跳躍を可能にしている。当然走っても早いだろう。
複数転移を織り交ぜて逃げられるならなんとかなるかもしれないが、その場合ジーナさんがPT外なので連れて行けない。
こんなところに置いていくと林が近いから魔物の餌になってしまう。
だがPTに入れようと思ってもすでに気絶してしまっているため不可能。
ちょっと早まったかもしれない。
そうなると、逃げるにはジーナさんを見捨てるか、運を天に任せるか。
あとは……戦うか……だ。
再生能力を持っているといってもこちらの攻撃が効かないわけじゃない。
現に腕を1本削り飛ばしている。
だが攻撃は一撃でも貰えば即死するような悪魔のような威力だ。
そのスピードも並じゃない。
やるなら相当な覚悟が必要だろう。
だが迷ってる暇もそうないようだ。
すでにあちらさんはやる気満々で双眸に憎しみの炎をたぎらせている。
【アル、ジーナさんを任せたい。出来るよね?】
【ワタリ様……。お任せください】
アルの悔しそうな、だが任された任務を必ずややり遂げようという強い意志を感じる念話が届く。
アルはわかっているんだ。
この特殊進化個体相手にアルが出来ることはジーナさんを連れて戦闘に巻き込まれないように離れること。
盾役という文字通りの主の盾にすらなれない自分が悔しいんだろう。
でも彼がいなかったらジーナさんにも気を配りながら戦わなければいけない。
それでは恐らく勝てないだろう。
【アル、君がいてくれてよかった。ほんと最高の従者だよ】
【勿体無きお言葉。このアルこそ、ワタリ様の従者になれたことは全てに勝る最高の幸せにございます】
【ありがとう】
念話が終わり、オレの雰囲気が変わったことに気づいた特殊進化個体がその4本の丸太よりも太い足で地面を抉り飛ばして接近する。
繰り出された右の3本の腕がそれぞれ別角度から強襲するが、月陽の首飾りからすでにMPを取り出しているのでオレのMPは満タンだ。
一番上以外の2本に向かって氷の段平を3本叩きつけて軌道を逸らす。どうせダメージを与えても再生されるのがオチなのでMP消費量を考えて威力よりもオレが避けやすいようにした。
軌道を無理やり変えられた拳が空を切り、その脇を駆け抜けたオレは背後を振り返りすぐさま氷の壁を複数放つ。
足止めにはなるだろうが、それも一瞬だろう。
だがそれで十分だ。
一瞬だけ作られた時間で一気に距離を取り、ジーナさんを寝かせて転移する。
氷の壁を殴って破壊した特殊進化個体の上空5mの位置に転移したオレはすぐさまその弱点と思われる脳天に作り出せる最大の威力と最大の数の氷の槍を射出する。
唸りを上げて飛来する槍達は吸い込まれるように特殊進化個体の脳天を目指していくが、急制動をかけた特殊進化個体が振り向きざまに放った3つの拳によりその軌道をずらされてしまう。
激しく地面に衝突し、地面を凄まじいスピードで削り始めた氷の槍は無視して月陽の首飾りから再度MPを取り出す。
特殊進化個体は右の3つの腕が根元から全てなくなっているが、すでに再生が始まっている。
MPのほとんどを使った、死角への転移からの氷の槍の奇襲ですら対応された。
あれを初見で対応されたのは痛恨としかいえない。
この特殊進化個体は想像以上の化け物のようだ。
一先ずジーナさんを回収したアルと特殊進化個体との距離を開けるためにMP消費を抑えた氷の槍で牽制しつつ、移動を開始する。
特殊進化個体もこちらの攻撃力やトリックスター的な奇襲攻撃を警戒しているのかすぐに距離を詰めようとはしないがある程度の距離は保っている。
おそらくヤツには遠距離攻撃がないのだ。
あるのならば走って逃げているような相手に対して使わないわけがない。
凄まじい再生能力と攻撃力と機動力を持つ相手をどう攻略すればいいのか、牽制しつつ考える。
2つの太陽はすでに中天から傾き始めていた。
それはかなり遠くから響いてきたはずなのにあっという間に大きくなり……姿を現した。
先触れのように鳴り響いていた音に続いて林の中を死に物狂いの形相で必死に転がり出るように2人の人影が見え、次の瞬間には弾丸のような速度で巨体が2人の一瞬前までいたところを削り取るように地面に突撃していった。
木々をなぎ倒す音以上のまるで爆発したかのような音が辺りに響いて砂塵が舞いあがる。
呆然と突然現れた何かとそれに追われる2人組みを見やっていたらアルが声より先にオレの手を取り動き始めようとしていた。
「あ、アル!?」
「ワタリ様! アレはモンスター! 特殊進化の魔物にございます! 今すぐ撤退を進言致します!」
進言とは言っているがアルには珍しく、ものすごい焦った表情でオレの手を引いてすでに走り出している。
だが、オレ達よりも追われているあの2人の位置の方が圧倒的にあの特殊進化個体に近い。
さっきまでは林の障害物を駆使してなんとか逃げていたんだろうけど、もうここには障害物らしい障害物なんてない。
膝丈よりずっと下に短い草が生えていて時折岩が点在している程度だ。
「アル、アル! あの2人は逃げ切れないと思うんだけど」
「ワタリ様のお命が最優先にございます!」
後ろを振り返って必死に逃げてくる2人を見た瞬間だった。
砂塵から巨体が出現し、凄まじいスピードで2人のうちの男の方に向かって跳躍していた。
一言も発する間もなく、跳躍して振り下ろされた両方合わせて6本の腕のうちの1つの拳が男の頭をまるで風船のように潰し、その先の地面に特殊進化個体の拳が大音量を響かせて爆発するかのような衝撃と共に打ち下ろされた。
まさに一瞬の出来事だった。
爆発の余波で2人組の生き残りの女が吹き飛ばされ地面を転がる。
爆発の衝撃で舞い散った砂塵が揺らめきすぐさま巨体がもう1人をターゲットに動き出そうとしているのが分かる。
激しく地面を転がっていた女が痛みに耐えなんとか顔を上げた時には、特殊進化個体の巨体は再度の跳躍を果たし、砂塵から抜け出た瞬間だった。
視界はスローモーションのようになっており、すでに自分が加速されているのがわかる。
アルが掴んでいた手はすでに振り払われ、ゆっくりと移動している巨体と死の爆発を生み出すその拳が女に向かって突き進んでいるのがはっきりと見て取れる。
岩食いペンギンなんて比じゃないほどの暴威を纏い、醜悪な顔には口から突き出たねじれる牙が天に向かって伸びている。
筋骨隆々といった左右合わせて6本の腕は先ほども見せた小爆発を起こすほどの攻撃力が見て取れる。
凄まじい跳躍を可能としている足は4本あり、これもその巨体を支えるのに十分なほどであり薬草採取を行った林の木々よりも太いのではないだろうか。
加速した思考の中でそれだけ相手の情報を纏めると、踏み出していた足で再度地面を蹴り上げる。
おそらく黒狼石の加護の力をもってしてもすでに跳躍して攻撃態勢を終えているあの特殊進化個体から女を救うことは無理だろう。
だが決して無駄ではない。
加速したままの視界は一瞬で切り替わり、絶望の表情で特殊進化個体を見上げる女がすぐ前にいた。
単独転移Lv1。
一瞬で切り替わった視界と地面を蹴り上げて再加速した運動エネルギーを使って拳が振り下ろされる前に女を無理やりその場から引き剥がすことに成功した。
一瞬後に背後での小爆発。
凄まじい衝撃が襲ってくる前に物理防御盾を後方に張ることが出来たので衝撃波をもろに浴びることはなく、盾で防げなかった分は指輪の障壁に全て弾かれてダメージにすらならなかった。
勢いのまま特殊進化個体からなるべく距離を取るように離れ、女が無事であることを確認しようと一瞥したときだった。
「ポーションのお姉さん……?」
その顔には見覚えがあった。
汗まみれ泥まみれであったがこの人は確かにたくさんあるポーションについて色々とアドバイスをくれた人だった。
【ワタリ様!】
アルの念話の叫びにより突然の再会に意識が持っていかれていたのを持ち直す。
すでに特殊進化個体はこちらに向かって拳を振り上げていたのだ。
やばい。
一瞬の思考の後、条件反射のように使用したのは岩食いペンギンを一撃の下に屠ったあの氷の槍を6本。
射出された氷の槍と振り下ろされた拳が激突し、巨体が宙に浮く。
その瞬間を見逃さず、追撃ではなく距離を取る。
ポーションのお姉さん――ジーナさんを庇った状態ではとてもじゃないが戦えない。
絶望の表情のまま固まっているジーナさんは腰が抜けているのか、疲労困憊で動けないのかとにかく1人ではどうしようもない状況のようだ。
だが、特殊進化個体から一旦距離を取ったときに彼女の視界に上半身がなくなった男の残骸が入ってしまった。
ジーナさんの喉から裂けんばかりに悲鳴が上がる。
小脇に抱えて運んでいた為悲鳴と共に暴れ始めたジーナさんが男の残骸に向かおうとするがさすがにそこまでフォローできるような状況ではない。
「ごめん、ジーナさん!」
泣き喚き暴れるジーナさんの無防備な首筋に手刀を叩き込むと糸の切れた人形のように大人しくなった。
誘拐犯達で練習したのが役に立った。
一撃で気絶させることに成功したのは首筋に手を当てて脈があることを確認してあるので問題ない。
状況が状況だけに手加減を誤って殺してしまうこともありえたのでちょっと心配だった。
氷の槍で腕の1本を負傷し、後退した特殊進化個体は様子を見ているのかこちらにその爛々と輝く赤い1対の瞳を向けたまま唸り声を上げている。
負傷した腕からは煙があがり、肉が蠢いている。
どうやら再生能力まで持っているようだ。見る見るうちにどんどん傷がなくなっていく。
氷の槍6本全てで1本の腕を二の腕近くまで削り飛ばしたのにすでにほとんど再生している。とんでもない再生能力だ。
逃げるにしても戦うにしても、とにかく最低限の足止め程度は必要な相手と思われる。
あの4本の強靭な足は凄まじい跳躍を可能にしている。当然走っても早いだろう。
複数転移を織り交ぜて逃げられるならなんとかなるかもしれないが、その場合ジーナさんがPT外なので連れて行けない。
こんなところに置いていくと林が近いから魔物の餌になってしまう。
だがPTに入れようと思ってもすでに気絶してしまっているため不可能。
ちょっと早まったかもしれない。
そうなると、逃げるにはジーナさんを見捨てるか、運を天に任せるか。
あとは……戦うか……だ。
再生能力を持っているといってもこちらの攻撃が効かないわけじゃない。
現に腕を1本削り飛ばしている。
だが攻撃は一撃でも貰えば即死するような悪魔のような威力だ。
そのスピードも並じゃない。
やるなら相当な覚悟が必要だろう。
だが迷ってる暇もそうないようだ。
すでにあちらさんはやる気満々で双眸に憎しみの炎をたぎらせている。
【アル、ジーナさんを任せたい。出来るよね?】
【ワタリ様……。お任せください】
アルの悔しそうな、だが任された任務を必ずややり遂げようという強い意志を感じる念話が届く。
アルはわかっているんだ。
この特殊進化個体相手にアルが出来ることはジーナさんを連れて戦闘に巻き込まれないように離れること。
盾役という文字通りの主の盾にすらなれない自分が悔しいんだろう。
でも彼がいなかったらジーナさんにも気を配りながら戦わなければいけない。
それでは恐らく勝てないだろう。
【アル、君がいてくれてよかった。ほんと最高の従者だよ】
【勿体無きお言葉。このアルこそ、ワタリ様の従者になれたことは全てに勝る最高の幸せにございます】
【ありがとう】
念話が終わり、オレの雰囲気が変わったことに気づいた特殊進化個体がその4本の丸太よりも太い足で地面を抉り飛ばして接近する。
繰り出された右の3本の腕がそれぞれ別角度から強襲するが、月陽の首飾りからすでにMPを取り出しているのでオレのMPは満タンだ。
一番上以外の2本に向かって氷の段平を3本叩きつけて軌道を逸らす。どうせダメージを与えても再生されるのがオチなのでMP消費量を考えて威力よりもオレが避けやすいようにした。
軌道を無理やり変えられた拳が空を切り、その脇を駆け抜けたオレは背後を振り返りすぐさま氷の壁を複数放つ。
足止めにはなるだろうが、それも一瞬だろう。
だがそれで十分だ。
一瞬だけ作られた時間で一気に距離を取り、ジーナさんを寝かせて転移する。
氷の壁を殴って破壊した特殊進化個体の上空5mの位置に転移したオレはすぐさまその弱点と思われる脳天に作り出せる最大の威力と最大の数の氷の槍を射出する。
唸りを上げて飛来する槍達は吸い込まれるように特殊進化個体の脳天を目指していくが、急制動をかけた特殊進化個体が振り向きざまに放った3つの拳によりその軌道をずらされてしまう。
激しく地面に衝突し、地面を凄まじいスピードで削り始めた氷の槍は無視して月陽の首飾りから再度MPを取り出す。
特殊進化個体は右の3つの腕が根元から全てなくなっているが、すでに再生が始まっている。
MPのほとんどを使った、死角への転移からの氷の槍の奇襲ですら対応された。
あれを初見で対応されたのは痛恨としかいえない。
この特殊進化個体は想像以上の化け物のようだ。
一先ずジーナさんを回収したアルと特殊進化個体との距離を開けるためにMP消費を抑えた氷の槍で牽制しつつ、移動を開始する。
特殊進化個体もこちらの攻撃力やトリックスター的な奇襲攻撃を警戒しているのかすぐに距離を詰めようとはしないがある程度の距離は保っている。
おそらくヤツには遠距離攻撃がないのだ。
あるのならば走って逃げているような相手に対して使わないわけがない。
凄まじい再生能力と攻撃力と機動力を持つ相手をどう攻略すればいいのか、牽制しつつ考える。
2つの太陽はすでに中天から傾き始めていた。
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