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第6章
123,対峙
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一瞬。
まさに一瞬で前方の景色が一変した。
灰と緑の巨体がひしめき合って壁を作るように陣形を築いていたものが、圧縮した風で爆発的に推進力を増した氷の螺旋槍により一瞬でミンチになった。
所々に点在していた大きな岩もまるで発泡スチロールのように簡単に引き裂かれ障害物になどなりえなかった。
当然といえば当然だ。
王族の不文律で消費しなくなったMPに物を言わせて作り出された氷の螺旋槍は今まで放ってきた螺旋槍とは大きさも強度も回転力もすべてが違った。
その上通常はそのまま放っていたものを圧縮した風で推進力を加速させているのだ。
強度が増していなければ最初の衝突の衝撃で氷の螺旋槍自体が自壊してしまうほどの威力になっている。
目測200~300は居たであろうデミオークとオークの混生軍はいまや数十匹程度にまで落ち込んでいる。
この短時間ですでにBaseLvが3つも上がったほどだ。
オレでこれだけ上がっているんだ。アルもレーネさんも上がっているだろう。
氷の螺旋槍により甚大な被害を受けたデミオークとオークの死体はすでにほとんどがオーバーキルにより消滅してしまっている。
氷の螺旋槍の通り道がその周辺の物理的障害も全て巻き込んで巨大な溝が何本も出来、そのまま道となっている。
その道をレーネさんを先頭にアル、オレと続く。
数が減ったとはいえ、まだ数十匹単位でデミオークとオークは残っている。
どうやらデミオークとオークの様子から見て、クイーンもキングも生き残っているようだ。
あれほどの大虐殺を引き起こしたというのに未だに統率が取れている。はっきりいって異常だ。
クイーンとキングが生き残っているという事はオークロードも生き残っていると見ていいだろう。
あわよくばダメージを負っていてくれればいいがそこまでは期待しすぎか。
巨大な溝を走るオレ達に次々にデミオークとオークが襲いかかってくるが朱珠白塵が、氷の矢が次々に迎撃する。
【いました! おそらくアレです!】
巨大な錆びの浮いた斧を振り上げて襲い掛かってきたオークをその斧ごと一刀両断したレーネさんの視線の先には一際多く灰と緑が固まった集団があった。
あの集団にクイーンとキングがいる。
そして恐らくはオークロードも。
【いっきますッ!】
王族の不文律はすでに解除してあるため、MPを普通に消費して作られた氷の螺旋槍を数本、先制攻撃のために射出する。
王族の不文律の時とは違い、強度をそれほど上げられなかったため、風の推進力は得ていない。だがそれでもかなりの威力は保証できる。
振りかぶって勢いをつけて射出された氷の螺旋槍は一直線に目標集団まで向かっていき、数匹のデミオークとオークの肉壁に阻まれ砕け散った。
【アイツら本当に肉壁してますよ!?】
【それでも数は減りました! 十分です!】
肉壁とはいえ1匹2匹ではオレの氷の螺旋槍は受けきれない。
犠牲になった数は氷の螺旋槍1本に付き4匹前後。合計で20匹近くの数は削れた計算だ。
レーネさんが削った隙間に向かって真っ白な一陣の風となり、朱が閃く。
強烈な踏み込みからの大上段の一撃。返す刀で逆袈裟に振るわれ、さらにもう1歩踏み込む刹那の3連撃。
大剣スキルLv6――トリプルイーグル。
大剣スキルでも異質な――速さに特化したスキルが、レーネさんの速さと強化された筋力で爆発的な威力を見せる。
かなりの数の巨体が肉壁よろしく守っている集団が1度のスキルの発動で崩壊する様は凄まじいの一言だ。
トリプルイーグルで斬り飛ばされ、オーバーキルで消滅する死体の先に一際大きな灰と緑が一瞬見え、その後ろに悠然と佇むのは灰と緑の半分ほどしかない個体。
オークとは思えないほどに引き締まった体。
顔は豚だが毛の色は黄金。
皮膚は灰でも緑でもなく、赤黒い。
何よりも纏っている雰囲気が他のオークとは違いすぎた。
「レーネさん!」
「ッ!?」
消滅する死体を隠れ蓑にして灰色が何かを投げようとしていたのが目線の低いオレだけに見えた。
レーネさんの目線からは斬り飛ばされ、消滅しようとしているデミオークやオークの死体で遮られていたのか一瞬反応が遅れてしまっていた。
凄まじいスピードで迫ってくる質量弾。何を投げつけてきたのかはすぐにわかった。
味方のオークの一匹だ。
オークは平均でも成人男性サイズの身長はあり、体重はその脂肪と筋肉で3人分くらいはある。
それがプロのピッチャーも画くやという剛速球で飛んでくるのだ。
そんなものが直撃してしまったらいくら障壁があっても無傷ではいられない。
刹那の間。
投げつけられたオークはあらぬ方向に弾かれ肉が潰れる嫌な音と地面を削る音が響いた。
あの一瞬でオレを守っていたはずのアルがレーネさんの前に転移し、その超がつくほどの高等技術で持って質量弾と化したオークからレーネさんを見事に守っていた。
「アルかっけー!」
【恐悦至極にございます】
一瞬で振り切れてしまったテンションのままにそう叫ぶといつも通りのアルの返答が凄まじく格好良い。
盾を構えたアルの後姿がキラキラ光っているようにさえ見えたほどだ。
さすがオレのアルだ。格好よすぎて胸の奥がものすごく熱い。自然と笑みが溢れて零れてしまうじゃないか!
【すみません、ありがとうございます、アルさん。助かりました】
朱珠白塵を油断なく構えたレーネさんの感謝にアルは視線を前方に向けたまま軽く頷く。
オレに対してだったら絶対しないその態度にちょっと羨ましい、と思ってしまったけれど今は戦闘中だ。後にしよう。
レーネさんがこじ開けた肉壁の隙間はすぐに埋められ、また本丸が遠のいてしまった。
しかし数は確実に減っている。
【レーネさん、アル。一気に押し切ろう!】
【はい! 今度は油断しません!】
【畏まりました】
レーネさんのあの一瞬の隙を油断というのはちょっと判断が微妙なところだが、気を引き締め直したレーネさんにはもう通用しないだろう。
アルがあの一瞬で使った転移は屋敷にあった消耗品型の魔道具による効果だ。
だがアレは1度使えばそれでお終いの1回限りの魔道具。数はそれなりにあったからアルはまだ持っているだろうけど、早々何度も使えない。
さぁ、ここからが本番だ。
オークロードもあの大きさでは成体ではないだろうから叩くなら今だ。
アイテムボックスからスタミナ回復ポーションを使用し、王族の不文律をいつでも使えるようにしておく。
MPの補給はすでに済んでいる。月陽の首飾りのMPはまだまだあるから通常使用は問題ない。
一応他にもたくさんMPタンクは常備しているし。
盾や武器を構え、肉壁として立ちはだかっているデミオークとオークに氷の矢を無数に降らせ、レーネさんが叩き斬る。
散発的に壁の背後あたりから飛んでくる矢や岩は全てアルが防御し、オレ達は攻撃に専念する。
背後や横からも若干だが残っていた灰と緑が攻撃しようとしてきていたが全て遠距離でオレが仕留めて事なきをえている。
肉壁が終わったら次はクイーンとキング。さらにはオークロードだ。
今回はコンパクトにスタミナの消費も極力抑えた省エネ仕様で削っていく。
肉壁が削られ、薄くなっていくと岩の飛んでくる数が増えていく。
どうやらやはりクイーンとキングが投石していたようだ。
オークの質量弾でわかっていたが140kmは出ているんではないかというほどの剛速球だ。
それが1m近くある岩で為されているのだから驚異的だ。
しかしコントロールはあまりよろしくないようで、アルが防御する回数は少ない。最初のアレはまぐれ当たりだったのかもしれない。
アルもまともに受けたりせず角度をつけて受け流し、まったくダメージを受けていない。
まぁアルなんだから当たり前だけどね!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最後の肉壁を倒した頃にはクイーンとキングが投げる岩も近くにはなくなっていた。
デミオークとオークの死体は倒すと同時にオレが後方に吹き飛ばしているので生きたままで飛んでくる以外はなかった。
無論飛んできても全てアルが防御し、こちらに被害は一切ない。
むしろ数が減ってくれて楽になるくらいだ。
そこそこの数がいたのでまたBaseLvが1つ上がったファンファーレが途中で聞こえていた。これでここに来て4つ上がったことになる。
残ったのはオーククイーンとオークキング。後方に守られるように悠然と佇むオークロードだけだ。
あれだけいたデミオークとオークの軍勢はもういない。
心なしかクイーンとキングの表情が苦々しいような、憤怒のような気がしないでもない。豚面なのでよくわからないが。
【オークロードのスキルで両方ともかなりステータスが向上しています。油断せず確実に倒しましょう】
【はい!】
レーネさんが握る朱珠白塵の刀身の赤味が増す。
ソレを見たオークロードからどす黒いオーラのようなものが噴出し、オーククイーンとオークキングの両方の体に纏わりついたかと思うと一際大きかった体がさらに膨張したかのように大きくなった。
同時にけたたましい豚の鳴き声が響き、先ほどまである程度知性の見えた瞳からその色が消えた。
【こ、これは……そんな!? まだ成体にもなっていないのに!】
【やばいスキルなんですか?】
【はい……。『黒き衣』という種族特性を強化し、狂化させるスキルです!
オーククイーンとオークキングの場合は、回復力と筋力が大幅に上昇します!
気をつけてください!】
【つまり見たまんまの効果ってことか……】
膨張した体は脂肪というよりは筋肉の塊のようになっている。
まさに筋肉の鎧といったところだろう。攻撃力と同時に防御力も上がっているようにも見える。
オークロードがいるだけで本当に面倒くさいな。
【来ます!】
狂ったように興奮して涎を垂れ流し、筋肉の塊と化したオーククイーンとオークキングがデミオークやオークなど比較にならない速度で弾丸のように飛び出してきた。
まさに一瞬で前方の景色が一変した。
灰と緑の巨体がひしめき合って壁を作るように陣形を築いていたものが、圧縮した風で爆発的に推進力を増した氷の螺旋槍により一瞬でミンチになった。
所々に点在していた大きな岩もまるで発泡スチロールのように簡単に引き裂かれ障害物になどなりえなかった。
当然といえば当然だ。
王族の不文律で消費しなくなったMPに物を言わせて作り出された氷の螺旋槍は今まで放ってきた螺旋槍とは大きさも強度も回転力もすべてが違った。
その上通常はそのまま放っていたものを圧縮した風で推進力を加速させているのだ。
強度が増していなければ最初の衝突の衝撃で氷の螺旋槍自体が自壊してしまうほどの威力になっている。
目測200~300は居たであろうデミオークとオークの混生軍はいまや数十匹程度にまで落ち込んでいる。
この短時間ですでにBaseLvが3つも上がったほどだ。
オレでこれだけ上がっているんだ。アルもレーネさんも上がっているだろう。
氷の螺旋槍により甚大な被害を受けたデミオークとオークの死体はすでにほとんどがオーバーキルにより消滅してしまっている。
氷の螺旋槍の通り道がその周辺の物理的障害も全て巻き込んで巨大な溝が何本も出来、そのまま道となっている。
その道をレーネさんを先頭にアル、オレと続く。
数が減ったとはいえ、まだ数十匹単位でデミオークとオークは残っている。
どうやらデミオークとオークの様子から見て、クイーンもキングも生き残っているようだ。
あれほどの大虐殺を引き起こしたというのに未だに統率が取れている。はっきりいって異常だ。
クイーンとキングが生き残っているという事はオークロードも生き残っていると見ていいだろう。
あわよくばダメージを負っていてくれればいいがそこまでは期待しすぎか。
巨大な溝を走るオレ達に次々にデミオークとオークが襲いかかってくるが朱珠白塵が、氷の矢が次々に迎撃する。
【いました! おそらくアレです!】
巨大な錆びの浮いた斧を振り上げて襲い掛かってきたオークをその斧ごと一刀両断したレーネさんの視線の先には一際多く灰と緑が固まった集団があった。
あの集団にクイーンとキングがいる。
そして恐らくはオークロードも。
【いっきますッ!】
王族の不文律はすでに解除してあるため、MPを普通に消費して作られた氷の螺旋槍を数本、先制攻撃のために射出する。
王族の不文律の時とは違い、強度をそれほど上げられなかったため、風の推進力は得ていない。だがそれでもかなりの威力は保証できる。
振りかぶって勢いをつけて射出された氷の螺旋槍は一直線に目標集団まで向かっていき、数匹のデミオークとオークの肉壁に阻まれ砕け散った。
【アイツら本当に肉壁してますよ!?】
【それでも数は減りました! 十分です!】
肉壁とはいえ1匹2匹ではオレの氷の螺旋槍は受けきれない。
犠牲になった数は氷の螺旋槍1本に付き4匹前後。合計で20匹近くの数は削れた計算だ。
レーネさんが削った隙間に向かって真っ白な一陣の風となり、朱が閃く。
強烈な踏み込みからの大上段の一撃。返す刀で逆袈裟に振るわれ、さらにもう1歩踏み込む刹那の3連撃。
大剣スキルLv6――トリプルイーグル。
大剣スキルでも異質な――速さに特化したスキルが、レーネさんの速さと強化された筋力で爆発的な威力を見せる。
かなりの数の巨体が肉壁よろしく守っている集団が1度のスキルの発動で崩壊する様は凄まじいの一言だ。
トリプルイーグルで斬り飛ばされ、オーバーキルで消滅する死体の先に一際大きな灰と緑が一瞬見え、その後ろに悠然と佇むのは灰と緑の半分ほどしかない個体。
オークとは思えないほどに引き締まった体。
顔は豚だが毛の色は黄金。
皮膚は灰でも緑でもなく、赤黒い。
何よりも纏っている雰囲気が他のオークとは違いすぎた。
「レーネさん!」
「ッ!?」
消滅する死体を隠れ蓑にして灰色が何かを投げようとしていたのが目線の低いオレだけに見えた。
レーネさんの目線からは斬り飛ばされ、消滅しようとしているデミオークやオークの死体で遮られていたのか一瞬反応が遅れてしまっていた。
凄まじいスピードで迫ってくる質量弾。何を投げつけてきたのかはすぐにわかった。
味方のオークの一匹だ。
オークは平均でも成人男性サイズの身長はあり、体重はその脂肪と筋肉で3人分くらいはある。
それがプロのピッチャーも画くやという剛速球で飛んでくるのだ。
そんなものが直撃してしまったらいくら障壁があっても無傷ではいられない。
刹那の間。
投げつけられたオークはあらぬ方向に弾かれ肉が潰れる嫌な音と地面を削る音が響いた。
あの一瞬でオレを守っていたはずのアルがレーネさんの前に転移し、その超がつくほどの高等技術で持って質量弾と化したオークからレーネさんを見事に守っていた。
「アルかっけー!」
【恐悦至極にございます】
一瞬で振り切れてしまったテンションのままにそう叫ぶといつも通りのアルの返答が凄まじく格好良い。
盾を構えたアルの後姿がキラキラ光っているようにさえ見えたほどだ。
さすがオレのアルだ。格好よすぎて胸の奥がものすごく熱い。自然と笑みが溢れて零れてしまうじゃないか!
【すみません、ありがとうございます、アルさん。助かりました】
朱珠白塵を油断なく構えたレーネさんの感謝にアルは視線を前方に向けたまま軽く頷く。
オレに対してだったら絶対しないその態度にちょっと羨ましい、と思ってしまったけれど今は戦闘中だ。後にしよう。
レーネさんがこじ開けた肉壁の隙間はすぐに埋められ、また本丸が遠のいてしまった。
しかし数は確実に減っている。
【レーネさん、アル。一気に押し切ろう!】
【はい! 今度は油断しません!】
【畏まりました】
レーネさんのあの一瞬の隙を油断というのはちょっと判断が微妙なところだが、気を引き締め直したレーネさんにはもう通用しないだろう。
アルがあの一瞬で使った転移は屋敷にあった消耗品型の魔道具による効果だ。
だがアレは1度使えばそれでお終いの1回限りの魔道具。数はそれなりにあったからアルはまだ持っているだろうけど、早々何度も使えない。
さぁ、ここからが本番だ。
オークロードもあの大きさでは成体ではないだろうから叩くなら今だ。
アイテムボックスからスタミナ回復ポーションを使用し、王族の不文律をいつでも使えるようにしておく。
MPの補給はすでに済んでいる。月陽の首飾りのMPはまだまだあるから通常使用は問題ない。
一応他にもたくさんMPタンクは常備しているし。
盾や武器を構え、肉壁として立ちはだかっているデミオークとオークに氷の矢を無数に降らせ、レーネさんが叩き斬る。
散発的に壁の背後あたりから飛んでくる矢や岩は全てアルが防御し、オレ達は攻撃に専念する。
背後や横からも若干だが残っていた灰と緑が攻撃しようとしてきていたが全て遠距離でオレが仕留めて事なきをえている。
肉壁が終わったら次はクイーンとキング。さらにはオークロードだ。
今回はコンパクトにスタミナの消費も極力抑えた省エネ仕様で削っていく。
肉壁が削られ、薄くなっていくと岩の飛んでくる数が増えていく。
どうやらやはりクイーンとキングが投石していたようだ。
オークの質量弾でわかっていたが140kmは出ているんではないかというほどの剛速球だ。
それが1m近くある岩で為されているのだから驚異的だ。
しかしコントロールはあまりよろしくないようで、アルが防御する回数は少ない。最初のアレはまぐれ当たりだったのかもしれない。
アルもまともに受けたりせず角度をつけて受け流し、まったくダメージを受けていない。
まぁアルなんだから当たり前だけどね!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最後の肉壁を倒した頃にはクイーンとキングが投げる岩も近くにはなくなっていた。
デミオークとオークの死体は倒すと同時にオレが後方に吹き飛ばしているので生きたままで飛んでくる以外はなかった。
無論飛んできても全てアルが防御し、こちらに被害は一切ない。
むしろ数が減ってくれて楽になるくらいだ。
そこそこの数がいたのでまたBaseLvが1つ上がったファンファーレが途中で聞こえていた。これでここに来て4つ上がったことになる。
残ったのはオーククイーンとオークキング。後方に守られるように悠然と佇むオークロードだけだ。
あれだけいたデミオークとオークの軍勢はもういない。
心なしかクイーンとキングの表情が苦々しいような、憤怒のような気がしないでもない。豚面なのでよくわからないが。
【オークロードのスキルで両方ともかなりステータスが向上しています。油断せず確実に倒しましょう】
【はい!】
レーネさんが握る朱珠白塵の刀身の赤味が増す。
ソレを見たオークロードからどす黒いオーラのようなものが噴出し、オーククイーンとオークキングの両方の体に纏わりついたかと思うと一際大きかった体がさらに膨張したかのように大きくなった。
同時にけたたましい豚の鳴き声が響き、先ほどまである程度知性の見えた瞳からその色が消えた。
【こ、これは……そんな!? まだ成体にもなっていないのに!】
【やばいスキルなんですか?】
【はい……。『黒き衣』という種族特性を強化し、狂化させるスキルです!
オーククイーンとオークキングの場合は、回復力と筋力が大幅に上昇します!
気をつけてください!】
【つまり見たまんまの効果ってことか……】
膨張した体は脂肪というよりは筋肉の塊のようになっている。
まさに筋肉の鎧といったところだろう。攻撃力と同時に防御力も上がっているようにも見える。
オークロードがいるだけで本当に面倒くさいな。
【来ます!】
狂ったように興奮して涎を垂れ流し、筋肉の塊と化したオーククイーンとオークキングがデミオークやオークなど比較にならない速度で弾丸のように飛び出してきた。
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