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竹田詩乃、斎藤福寿と出会う。
2 お互いの全く違う家庭環境
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私は母親が六0歳だから高齢出産である。まぁ、基本的に試験管の中で育つのだから、母体は何歳でも良い。でも、きっと母親だって死にたい年齢を考えているだろうし、孫ぐらいはみせたい。となると、私だって就職した方が両親に孫を見せる可能性が高くなる。マザーに学生結婚を選ばれるようなカップルなんて、ほとんど居ないのだから。
「斎藤の両親って何してるの?」
「僕と竹田さんってそんな深い話をする仲でしたっけ?」
「いや、気になっただけ。だって学費も必要じゃん」
確かに親の仕事まで聞くのは行き過ぎかもしれない。しかし、私はこいつのことを良く思っていた。振られたことについて特に軽蔑してこなかったから。マザーのせいだと言って、私に責任がないようなことを言ってくれたから。
「そうですね。僕の親はヘルパーです」
「へぇ、ここまで進学させても大丈夫なんだ?」
「という竹田さんの家は?」
「具体的なことは言えないけど、二人とも国家公務員だよ」
両親がマザー関係の仕事だなんて言えるはずがない。どのような形であれ、公表されていない仕事なのだ。きっと胸を張れる仕事じゃない。まぁ、お金の面ではゆとりがあるってことも事実だ。しかし、両親の仕事を言ったら彼氏は離れていった。これからも私は両親の仕事について隠して生きるのだと思う。でも、マザーの管理者ということのどこが嫌だったのだろう?その私よりであるべき存在のマザーが、自分との関係を選ばなかったから?それもこのペンダントをしながら、人と接していけば分かるのかもしれない。斎藤とはステータスが【同学年】から【知り合い】になっている。でも色は白いままだ。
「じゃあ、留年しても大丈夫ですね」
「やっぱりあんたの考え方はおかしいよ」
「僕にとっては、親が国家公務員の彼女を振った彼氏の方が信じられませんけど」
斎藤はそう言って私の肩を持った。斎藤の両親はヘルパーだから、日本の闇みたいなものは気付いていると思う。私だってそんなもんは知ってる。だけれど、マザーの決める仕事というのは日本には必要だ。それを否定する彼氏がおかしいと言ってくれたことがありがたかった。
「まぁ、公務員って言っても仕事はいろいろだから」
「嫌われる仕事だってあると思いますよ。でも、マザーが決めたとしたらその人の幸せなのだし、日本に必要な存在だと思います」
あぁ、こいつは優しい人間なんだな。誰かを傷つけないためにいつも一人で居るんだろうなと私は思った。私は斎藤をこっちの世界に引きずり込もうと思った。寂しいっていうのが最初の理由だったけど。おもちゃが見せる選択肢に興味があった。
私はかばんからスマホを取り出す。そして斎藤に言った。反応する色がピンクになるところを見たかった。こうすれば、私とこいつの関係は知り合い以上になるのだろうかと感じた。
「連絡先交換しよう」
「僕は竹田さんと仲良くする意味ってないですから」
斎藤は本は閉じているけど、私に続いてスマホを取り出すことはなかった。最低限の付き合いしかしてこない人間はこういうものなのだろうか。
「そんな、大学の落ちこぼれ同士でしょ?」
「まぁ、そんな思いからでしたら良いですよ」
渋々のような表情をしてスマホを取り出している。そのスマホの機種の古さに私は驚いた。買取に出しても、買値がつかないのでは?と思うほどの品だ。ケースもつけておらず傷だらけだった。
「あんたこれいつの?こんな古いスマホ使ってるんだ?」
「高校生ぐらいからこれですね」
「バッテリーの持ちとかやばいでしょう」
私はいつも最新のスマホを使いたい人間だったから、こんなスマホを使っているという事実に驚いていた。だって、一日も充電が持たないだろう。私だったらこんなスマホで生活なんてできない。
「斎藤の両親って何してるの?」
「僕と竹田さんってそんな深い話をする仲でしたっけ?」
「いや、気になっただけ。だって学費も必要じゃん」
確かに親の仕事まで聞くのは行き過ぎかもしれない。しかし、私はこいつのことを良く思っていた。振られたことについて特に軽蔑してこなかったから。マザーのせいだと言って、私に責任がないようなことを言ってくれたから。
「そうですね。僕の親はヘルパーです」
「へぇ、ここまで進学させても大丈夫なんだ?」
「という竹田さんの家は?」
「具体的なことは言えないけど、二人とも国家公務員だよ」
両親がマザー関係の仕事だなんて言えるはずがない。どのような形であれ、公表されていない仕事なのだ。きっと胸を張れる仕事じゃない。まぁ、お金の面ではゆとりがあるってことも事実だ。しかし、両親の仕事を言ったら彼氏は離れていった。これからも私は両親の仕事について隠して生きるのだと思う。でも、マザーの管理者ということのどこが嫌だったのだろう?その私よりであるべき存在のマザーが、自分との関係を選ばなかったから?それもこのペンダントをしながら、人と接していけば分かるのかもしれない。斎藤とはステータスが【同学年】から【知り合い】になっている。でも色は白いままだ。
「じゃあ、留年しても大丈夫ですね」
「やっぱりあんたの考え方はおかしいよ」
「僕にとっては、親が国家公務員の彼女を振った彼氏の方が信じられませんけど」
斎藤はそう言って私の肩を持った。斎藤の両親はヘルパーだから、日本の闇みたいなものは気付いていると思う。私だってそんなもんは知ってる。だけれど、マザーの決める仕事というのは日本には必要だ。それを否定する彼氏がおかしいと言ってくれたことがありがたかった。
「まぁ、公務員って言っても仕事はいろいろだから」
「嫌われる仕事だってあると思いますよ。でも、マザーが決めたとしたらその人の幸せなのだし、日本に必要な存在だと思います」
あぁ、こいつは優しい人間なんだな。誰かを傷つけないためにいつも一人で居るんだろうなと私は思った。私は斎藤をこっちの世界に引きずり込もうと思った。寂しいっていうのが最初の理由だったけど。おもちゃが見せる選択肢に興味があった。
私はかばんからスマホを取り出す。そして斎藤に言った。反応する色がピンクになるところを見たかった。こうすれば、私とこいつの関係は知り合い以上になるのだろうかと感じた。
「連絡先交換しよう」
「僕は竹田さんと仲良くする意味ってないですから」
斎藤は本は閉じているけど、私に続いてスマホを取り出すことはなかった。最低限の付き合いしかしてこない人間はこういうものなのだろうか。
「そんな、大学の落ちこぼれ同士でしょ?」
「まぁ、そんな思いからでしたら良いですよ」
渋々のような表情をしてスマホを取り出している。そのスマホの機種の古さに私は驚いた。買取に出しても、買値がつかないのでは?と思うほどの品だ。ケースもつけておらず傷だらけだった。
「あんたこれいつの?こんな古いスマホ使ってるんだ?」
「高校生ぐらいからこれですね」
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