32 / 67
竹田詩乃、マザーを守るバイトをする。
3 不幸は群れると福寿は言ったから
しおりを挟む
「同じ趣味とか立場の人って、自然と集まるじゃないですか」
「あんたの趣味って何だったのよ」
「いや、僕は趣味も出会いもないからここまで友達ができなかったの」
斎藤はゆっくり話しはじめる。私はそれを聞いていた。
「それで、不幸な人も不幸な人で群れちゃうんです」
「それの何が悪いの?」
「同じ趣味とかの人は高め合うことができるでしょう?でも不幸な群れはお互いに落とし合うことしか考えない。足の引っ張り合いです」
「ちょっと飛躍しすぎてて分からないんだけど……」
私は友達というか知り合いは多いつもり。それに不幸仲間なんてものは居ない。
「僕は友達が居ないけれど、余りでつるむことはしなかった」
「それを自分が不幸仲間を作らなかったと言いたいの?」
「だって、友達が居ないことは一般論として不幸ですからね。僕は僕の不幸に、他人を巻き込みたくなかったわけです」
「へぇ、あんたはあえて友達を作らなかったのね」
もし、私はひとりぼっちになったとしたら、あの日に斎藤に気まぐれで話しかけたように仲間を見つけたいと思うだろう。斎藤に話しかけることを選んだのは、私の寂しいという不幸があったからだろう。
「何度も言いますが、不幸は不幸を呼ぶんです」
「幸せと不幸は代わる代わる来るみたいなことわざあるじゃない?どんな人と居ても私がこのままずっと不幸とは限らないわよ」
「いや、不幸な人はゆとりがないんです。金銭的にも精神的にも。こんな人が不幸仲間である人を助けられると思いますか?」
私は弱い。それに心にゆとりがあるわけじゃない。だから、この言葉は身に沁みて痛いものがある。私は斎藤を不幸にするために近付いたわけじゃないのに、結局のところは不幸を願っていたのかもしれないから。
「まぁ、あんたの言う通り足の引っ張り合いになるわね」
「それに不幸仲間って、はじめから他人の不幸を喜ぶ人間の集まりですし」
「そうか、もっと不幸になった友達すら喜んで見捨てるのね」
「簡単に言うとそうです」
斎藤の言うように、幸せな人はこころにゆとりがある。だから、他人に対してもゆとりを持って接することができると思う。同じ額のお金を持っていても、不幸な人は精神的なゆとりがないため出せない。幸せな人は精神的にゆとりがある。そのお金を利用するかはここでは考えないとして、心配してきっと行動に移すことができるタイプなのだと思う。
「母さんの意見で言うと、僕を助けようと思った詩乃さんは不幸じゃないです」
「あんたよりは私は恵まれているわよ!」
「いや、詩乃さんの性根は優しいんです」
そう言われるとなんだか嬉しい。私は他人の不幸を望んでいたけれど、こいつを不幸にしかたかったわけじゃない。それが分かってもらえていた。
「そうね、私は不幸と言うより寂しかったのかも」
「詩乃さんは僕を助けたように、心にゆとりがある幸せな人間です。羨ましいと思うぐらいに」
「私って幸せなのかぁ……」
お金がすべてを解決するわけじゃない。まぁ、今回の課金騒動はお金が解決する問題だけれども。でも、不幸な考え方をする人間だったら、私は斎藤について見捨てていてこんな助けることをしなかっただろう。私はマザーに選ばれなかった未来については、選ばれた友達と比べて不幸だと感じていた。しかし、少なくともこいつからは不幸な人間だと思われていなかった。私はきっと幸せだと思われてはいなかっただろうけれど、その言葉は嬉しいものだ。
「奈々美さんはやっぱり偉大な人だなぁ……」
「僕の母さんがですか?」
「だって、私があんたの立場だとして奈々美さんが居なかったら、多分孤独でグレてるわよ」
「友達が居ないってそんなに不幸なことですか?」
こいつは友達が居たことがあったのだろうか。友達とわいわいした経験が一度でもあるというのなら、友達が居ない寂しさが分かるだろうに。斎藤は友達が居て楽しいとか言うことを経験したことがないだけかもしれない。
「私から言わせてもらうと、あんたは人生を損してる」
「まぁ、詩乃さんに教えられるまでアニメの世界も知りませんでしたし」
こいつはゲームの画面を見ながら、私の方を興味ないようにして呟く。私は斎藤の近くに言って、胸ぐらを掴んだ。こんなアニメのようなことをするなんて、自分でも思わなかった。
「決めた!あんたはちょっと私の言うことを聞きなさい」
「急にどうしたんです?僕は宇宙人でも未来人でもありませんよ。だからサークルなんて作っても面白くないですよ」
こいつはあのラノベの主人公みたいなことを、私ができると思ったのだろうか。それとも私はもう斎藤に影響を与えているのだろうか。
「もう、そういうオタクの世界と現実を混ぜないで」
「なら、何を決めたんですか?」
「今から私があんたの人生をもっと楽しませてあげようって決めたの」
言ってから恥ずかしいことを言っていると分かった。でも、斎藤は生きていて友達と遊ぶ幸せとか、普通に得られるものすら知らなかった。だから、私は斎藤に幸せだって与えることができるだけろう。こう思えるってことは私は不幸じゃない。きっとまだ幸せの側に居る方の人間だ。
「あんたの趣味って何だったのよ」
「いや、僕は趣味も出会いもないからここまで友達ができなかったの」
斎藤はゆっくり話しはじめる。私はそれを聞いていた。
「それで、不幸な人も不幸な人で群れちゃうんです」
「それの何が悪いの?」
「同じ趣味とかの人は高め合うことができるでしょう?でも不幸な群れはお互いに落とし合うことしか考えない。足の引っ張り合いです」
「ちょっと飛躍しすぎてて分からないんだけど……」
私は友達というか知り合いは多いつもり。それに不幸仲間なんてものは居ない。
「僕は友達が居ないけれど、余りでつるむことはしなかった」
「それを自分が不幸仲間を作らなかったと言いたいの?」
「だって、友達が居ないことは一般論として不幸ですからね。僕は僕の不幸に、他人を巻き込みたくなかったわけです」
「へぇ、あんたはあえて友達を作らなかったのね」
もし、私はひとりぼっちになったとしたら、あの日に斎藤に気まぐれで話しかけたように仲間を見つけたいと思うだろう。斎藤に話しかけることを選んだのは、私の寂しいという不幸があったからだろう。
「何度も言いますが、不幸は不幸を呼ぶんです」
「幸せと不幸は代わる代わる来るみたいなことわざあるじゃない?どんな人と居ても私がこのままずっと不幸とは限らないわよ」
「いや、不幸な人はゆとりがないんです。金銭的にも精神的にも。こんな人が不幸仲間である人を助けられると思いますか?」
私は弱い。それに心にゆとりがあるわけじゃない。だから、この言葉は身に沁みて痛いものがある。私は斎藤を不幸にするために近付いたわけじゃないのに、結局のところは不幸を願っていたのかもしれないから。
「まぁ、あんたの言う通り足の引っ張り合いになるわね」
「それに不幸仲間って、はじめから他人の不幸を喜ぶ人間の集まりですし」
「そうか、もっと不幸になった友達すら喜んで見捨てるのね」
「簡単に言うとそうです」
斎藤の言うように、幸せな人はこころにゆとりがある。だから、他人に対してもゆとりを持って接することができると思う。同じ額のお金を持っていても、不幸な人は精神的なゆとりがないため出せない。幸せな人は精神的にゆとりがある。そのお金を利用するかはここでは考えないとして、心配してきっと行動に移すことができるタイプなのだと思う。
「母さんの意見で言うと、僕を助けようと思った詩乃さんは不幸じゃないです」
「あんたよりは私は恵まれているわよ!」
「いや、詩乃さんの性根は優しいんです」
そう言われるとなんだか嬉しい。私は他人の不幸を望んでいたけれど、こいつを不幸にしかたかったわけじゃない。それが分かってもらえていた。
「そうね、私は不幸と言うより寂しかったのかも」
「詩乃さんは僕を助けたように、心にゆとりがある幸せな人間です。羨ましいと思うぐらいに」
「私って幸せなのかぁ……」
お金がすべてを解決するわけじゃない。まぁ、今回の課金騒動はお金が解決する問題だけれども。でも、不幸な考え方をする人間だったら、私は斎藤について見捨てていてこんな助けることをしなかっただろう。私はマザーに選ばれなかった未来については、選ばれた友達と比べて不幸だと感じていた。しかし、少なくともこいつからは不幸な人間だと思われていなかった。私はきっと幸せだと思われてはいなかっただろうけれど、その言葉は嬉しいものだ。
「奈々美さんはやっぱり偉大な人だなぁ……」
「僕の母さんがですか?」
「だって、私があんたの立場だとして奈々美さんが居なかったら、多分孤独でグレてるわよ」
「友達が居ないってそんなに不幸なことですか?」
こいつは友達が居たことがあったのだろうか。友達とわいわいした経験が一度でもあるというのなら、友達が居ない寂しさが分かるだろうに。斎藤は友達が居て楽しいとか言うことを経験したことがないだけかもしれない。
「私から言わせてもらうと、あんたは人生を損してる」
「まぁ、詩乃さんに教えられるまでアニメの世界も知りませんでしたし」
こいつはゲームの画面を見ながら、私の方を興味ないようにして呟く。私は斎藤の近くに言って、胸ぐらを掴んだ。こんなアニメのようなことをするなんて、自分でも思わなかった。
「決めた!あんたはちょっと私の言うことを聞きなさい」
「急にどうしたんです?僕は宇宙人でも未来人でもありませんよ。だからサークルなんて作っても面白くないですよ」
こいつはあのラノベの主人公みたいなことを、私ができると思ったのだろうか。それとも私はもう斎藤に影響を与えているのだろうか。
「もう、そういうオタクの世界と現実を混ぜないで」
「なら、何を決めたんですか?」
「今から私があんたの人生をもっと楽しませてあげようって決めたの」
言ってから恥ずかしいことを言っていると分かった。でも、斎藤は生きていて友達と遊ぶ幸せとか、普通に得られるものすら知らなかった。だから、私は斎藤に幸せだって与えることができるだけろう。こう思えるってことは私は不幸じゃない。きっとまだ幸せの側に居る方の人間だ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる