40 / 67
竹田詩乃、2回目のバイトをする。
7 ずっとひとり
しおりを挟む
「おじさんにとって悪はなんですか?」
「竹田さんまで、僕をおじさんって言うの。悲しいなぁ」
「じゃあ、お兄さんにとっての悪を教えて下さい」
「詳しくは言えないけど、今の日本を良しと思わない人かな。具体的に言えばマザーにハッキングしたりしてくる人」
マザーにハッキングする人なんて人が日本国民に居るのだろうか。それは外国の人がやっているのではないだろうか。
「ハッキングって国内ですか?それとも外国?」
「二人はバイトだからそこまでは言えないなぁ」
「そうですよね。詳しく聞けないのは残念ですが……」
マザーを狙う人が居ることが分かった。マザーの決める未来を信じている人が一般的だけど、これをおかしいと思う人も一定数居る。それに私は安心した。
「ピザまん食べて帰りましょうよ」
「それって、ポイント溜めたいだけでしょう?」
私は呆れながら福寿に聞く。福寿の考えていることはよく分からない。
「二人はこれから休みだけど、おじさんはこれから仕事だよ」
「おじさんも無理しないでね」
「もう、お兄さんじゃないから体がきついよ」
庁舎を出て、バイトに来る前に向かったコンビニへ向かう。夜来た時と違って空は腫れており、一日がこれから始まると言った感じだ。
「詩乃さんは肉まんも好きって言ったけど、一番好きなのは?」
「そりゃあ、豚角煮まんだよ」
「わぉ、一番高いやつだ」
「ここのコンビニのは食べたことないけどね」
コンビニへ着くと、夜にあったクリアファイルはすべてなくなっていた。そして私は福寿にピザまんを買ってもらい、そこで別れた。
”結婚しました。#結婚式#春の結婚式#幸せな日々#マザーのある日々”
”わぁ、ドレス似合ってる。おめでとう!”
”お似合いカップルだね。マザー最高。私も続きたい”
じっと私はこの投稿を見ていた。私だって負けていることはできない。
”@竹田詩乃幸せになってね”
私はそれだけ送信した。人からは普通に思われたい。
私はソファーでSNSを見て飛び込んできたやりを見て、それで私だって悔しかったけれど返信したのだ。悔しい気持ちなんてバレないように。惨めだと思われたくなんてない。でも、どうしても許せなくて辛くて、感情の行方が分からない。だからベッドに向かってスマホを投げた。投げるという最低な行動だけど、ベッドに向かって投げたのはスマホを壊さないため。だってこれ以上の被害はもう嫌だ。私を苦しめた報告は別れてまだ一ヶ月も立たない元彼と、私の友達との結婚式の報告だった。まさか、あの子が狙っていたなんてね。全く気付かなかった。狙っていた?元彼の相手にマザーが決めたのが私じゃなくて、私の友達だった。
悔しいけれど、私はどうすることもできない。マザーのある日本では、恋愛結婚よりもマザーのマッチングの方がうまくいくとされているのだし、お互いの幸せを考えるならこの道の方が正しい。それは分かっている。でも、悔しい気分でいっぱいだった。私だって、幸せになれたはずだ。クッションで顔を抑える。私の友達はこの事実を誰も教えてくれなかった。結婚式に誘われなかったから。写真に居たゲストは私の知っている友達ばかりだったのに、なんだか遠くに行っちゃった感じだ。私の未来はマザーはどうするつもりなのだろう。私も人並みに幸せにしてもらえるだろうか。すべての日本国民に平和で幸せな未来を提供するというマザーなのに、私は幸せを与えられていない。
今日も一人でご飯を食べる。今日は三回目のバイトだ。五回という約束だから折返しってことだ。友達は今頃二次会なのだろうか。私はこれからバイトで、みんな幸せなのに惨めだ。奈々美さんのような母親が居たら、こういう愚痴も聞いてくれただろうに。私の両親は今日も仕事だ。産まれた時から私はずっとひとりだ。
「竹田さんまで、僕をおじさんって言うの。悲しいなぁ」
「じゃあ、お兄さんにとっての悪を教えて下さい」
「詳しくは言えないけど、今の日本を良しと思わない人かな。具体的に言えばマザーにハッキングしたりしてくる人」
マザーにハッキングする人なんて人が日本国民に居るのだろうか。それは外国の人がやっているのではないだろうか。
「ハッキングって国内ですか?それとも外国?」
「二人はバイトだからそこまでは言えないなぁ」
「そうですよね。詳しく聞けないのは残念ですが……」
マザーを狙う人が居ることが分かった。マザーの決める未来を信じている人が一般的だけど、これをおかしいと思う人も一定数居る。それに私は安心した。
「ピザまん食べて帰りましょうよ」
「それって、ポイント溜めたいだけでしょう?」
私は呆れながら福寿に聞く。福寿の考えていることはよく分からない。
「二人はこれから休みだけど、おじさんはこれから仕事だよ」
「おじさんも無理しないでね」
「もう、お兄さんじゃないから体がきついよ」
庁舎を出て、バイトに来る前に向かったコンビニへ向かう。夜来た時と違って空は腫れており、一日がこれから始まると言った感じだ。
「詩乃さんは肉まんも好きって言ったけど、一番好きなのは?」
「そりゃあ、豚角煮まんだよ」
「わぉ、一番高いやつだ」
「ここのコンビニのは食べたことないけどね」
コンビニへ着くと、夜にあったクリアファイルはすべてなくなっていた。そして私は福寿にピザまんを買ってもらい、そこで別れた。
”結婚しました。#結婚式#春の結婚式#幸せな日々#マザーのある日々”
”わぁ、ドレス似合ってる。おめでとう!”
”お似合いカップルだね。マザー最高。私も続きたい”
じっと私はこの投稿を見ていた。私だって負けていることはできない。
”@竹田詩乃幸せになってね”
私はそれだけ送信した。人からは普通に思われたい。
私はソファーでSNSを見て飛び込んできたやりを見て、それで私だって悔しかったけれど返信したのだ。悔しい気持ちなんてバレないように。惨めだと思われたくなんてない。でも、どうしても許せなくて辛くて、感情の行方が分からない。だからベッドに向かってスマホを投げた。投げるという最低な行動だけど、ベッドに向かって投げたのはスマホを壊さないため。だってこれ以上の被害はもう嫌だ。私を苦しめた報告は別れてまだ一ヶ月も立たない元彼と、私の友達との結婚式の報告だった。まさか、あの子が狙っていたなんてね。全く気付かなかった。狙っていた?元彼の相手にマザーが決めたのが私じゃなくて、私の友達だった。
悔しいけれど、私はどうすることもできない。マザーのある日本では、恋愛結婚よりもマザーのマッチングの方がうまくいくとされているのだし、お互いの幸せを考えるならこの道の方が正しい。それは分かっている。でも、悔しい気分でいっぱいだった。私だって、幸せになれたはずだ。クッションで顔を抑える。私の友達はこの事実を誰も教えてくれなかった。結婚式に誘われなかったから。写真に居たゲストは私の知っている友達ばかりだったのに、なんだか遠くに行っちゃった感じだ。私の未来はマザーはどうするつもりなのだろう。私も人並みに幸せにしてもらえるだろうか。すべての日本国民に平和で幸せな未来を提供するというマザーなのに、私は幸せを与えられていない。
今日も一人でご飯を食べる。今日は三回目のバイトだ。五回という約束だから折返しってことだ。友達は今頃二次会なのだろうか。私はこれからバイトで、みんな幸せなのに惨めだ。奈々美さんのような母親が居たら、こういう愚痴も聞いてくれただろうに。私の両親は今日も仕事だ。産まれた時から私はずっとひとりだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる